週刊PONTE vol.25 2019/05/06

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.25 2019/05/06
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第24回「Dali日記前編」

・Fuji…フジづくり 第25回「中国・大理から帰ってきて」

・きんまめ…デビステのてんぷら 24本目 (メルマガ第18回)

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第24回「Dali日記前編」

先週もお伝えした通り、Fujiくんと一緒に中国に行ってきました。
Dali Flow Festival という、フロウアーツのフェスティバルがお目当てです。
来週と合わせて、前後編に分けて日記(メルマガver.)をお届けします。

【4/23】
中国に向けて、出発日。ギリギリまで、今年の夏に行くEJCのパンフレットに載せる広告の編集をしていた。
中国ではインターネットに独特の規制がある。Gmailに繋がれない可能性があったので、(まぁ結果的に杞憂だったんだけど)何としても日本にいる間に入稿したい。そのため、羽田空港に着いてからもまだ作業。結局仕上がったのは朝の3時だった。しかし、へへへ、という気分になるよな。出国審査の長蛇の列を抜けたあと、搭乗口に急ぐ。搭乗口に着くと、すぐに搭乗開始のアナウンスが流れた。

【4/24】
香港経由でまずは昆明(クンミン)空港へ。
飛行機でふと、そういえば中国に行くの初めてなんだよな、と思う。空から見る昆明は、緑が多くて、のどかだった。広さが手に取るようにわかった。
昆明の空港は新しく清潔で、デザインもモダン。気持ちのいい空港だった。この時からいい予感がした。両替を済ませて、長距離列車の駅に向かう。高速鉄道に乗って大理まで2時間ほど。去年までは鈍行列車で片道6時間もかかったそうだ。車内は日本の新幹線と同じくらい、非常に快適だった。むしろ座席は日本の新幹線より広かったかも。大理駅からタクシーに乗って、会場に到着したのは夜。すでにフェスティバルは始まっており、この日は野外にあるステージでオープンステージが行われていた。途中から観覧し、それが終わると、主催のサムに挨拶をした。キャンプ場の場所を教えてもらって、テントを張ってすぐに寝た。

【4/25】
昨晩は、少し暑いぐらいだったので油断していた。夜中の3時ごろ、思わず起きてしまうくらいひどく寒くなった。あまりうまく寝られず。朝起きてひとまずシャワーを探しに行くと、見つかったのは布で仕切られた空間。そこにはホースが一本。しかも、ひねっても水は出ない。もう一人の主催者、べべに聞いてみると、「そう、出ないんだよ」と言われる。そうか、出ないんですか。諦めてホテルに泊まることにした。近くにあるホテルは、安くて広いしいいよ、と勧められた。一人一泊1200円の宿へ。部屋は確かにとても広かったし、シャワーも存分にお湯が出た。受付をしてくれた宿のにいちゃんに、「後でお茶飲みにおいでよ」と言われる。屋外のロビーにはハスキー犬がでんと構えてこっちを見ていた。目つきが少し怖い。
宿に荷物を置いたら、旧市街に繰り出してみた。大理はかつてとても栄えたところで、そのころの町並みを再現してある。ほとんど作り物だとはわかっているのだが、それでも、それなりの風情がある。
前日のオープンステージを見にきていた山口さんという方にも会った。旧市街の中で日本食レストランをやっているのだ。行ってみると、もう一人大西さんという日本人がおり、麦茶を飲みながらしばし話す。大西さんは、大理にある大学で日本語を教えておられるそうである。70歳近い方だったが、とても快活で、ずっと喋っていた。山口さんも山口さんで、なんだか味のある人で、面白おかしく喋る人であった。どのように自分のテリトリーを守っているか、豪快に話していた。中国で暮らしていく厳しさと愉快な様子を同時に感じ取った。
旧市街の中心から少し外れたところに、三月街、という区域がある。そこでは、ちょうど、農暦の3月を祝うお祭りをやっており、屋台がこれでもかと出ていた。丘の上り坂に沿ってずうっと店が続くので、一番上まで上がって、また下りてきた。会場に戻ると、この日は、シリル・ユメンによる「イン・ゼロ」という作品が上演された。

【4/26】
この日はほとんどフェスティバルの中にとどまっていた。ボールジャグリングのワークショップをするためである。朝は少し遅く起きて、近所の中華屋さん(まぁ中華屋さんしかないんだが)で朝ごはん。小籠包やら、揚げパンやら、豆乳やら。とっても美味しい。しかも安い。これだけ食べて300円くらいだった。会場でも無料でパンとコーヒーがもらえたので、それもいただく。
僕とFujiくんが出していたお店の隣では、ギギというフランス人がファイヤー道具を売っていた。なので、ギギとはよく喋った。彼も今年のEJCに来るらしい。
昼の3時から行ったワークショップでは、カスケードや、簡単な応用技を教えた。割に人が集まってくれて、僕たちからボールを買ってくれた女の子も来てくれた。
昼食も朝と同じ中華屋さんだったので、夕飯には、少し外に出てみることにした。会場から15分くらい歩いたところで、大きな中華屋さん(やっぱり)に入る。どれぐらいの量が来るかもわからず頼んだが、野菜一品、肉のおかず一品、ご飯くらいが妥当だろう、と思い、ランダムに頼んだ。サトイモと何かの野菜を炒めたもの、そして鶏肉とじゃがいもの料理が出てきた。ご飯は、2元(約32円)で食べ放題。ううむ。美味しかった。
帰ると、間もなくショーが始まる。暗雲が立ち込め、雷が山に落ちる中、ファイヤーガラが始まる。火を使ったパフォーマンスがひっきりなしに繰り広げられる。土砂降りになるのではないかと心配したが、受付をしていたグオズという女の子が、「雨季じゃないもん、大丈夫だよ」と言っていた通り、ほとんど雨は降らず、無事に全てのパフォーマンスが終わった。
毎日、ショーが終わると、別のスペースで、真夜中までファイヤージャムセッションがあった。焚き火を前に、火を使う道具でジャグリングをする。DJもいて、様々な曲をかけてくれる。

フェスティバル自体の規模は小さいから、中にいても「何もすることがない」時間はたくさんあったのだが、特に何も考えずに、人と話したり、適当に会場の中を歩くのは、ゆったりしていてよかった。何より、遠くに見える山々や、会場のお花畑を見ているのが、心地よかったのだ。

(後半に続く)

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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第25回「中国・大理から帰ってきて」

先週は約一週間、DALI FLOW FEST(大理フロウフェス)に参加するため、中国に滞在しておりました。個人的にはもっと近いように思っていましたが、実際に行ってみると会場までは飛行機、新幹線、地下鉄、タクシー、徒歩と…半日以上かかって到着しました。中国の広大さを身にしみて感じました。(笑)

会場では、ステージパフォーマンスを見たり、ワークショップに参加したり。そして毎晩のようにファイヤーパフォーマンスも。我々2人は同時に物販ブースも構えて、CoroやPONTE T-シャツなども販売していました。そして、ボール初心者向けのワークショップを2人で開いたりもしました。

Coroセットは事前注文があったものを持っていったら、ジャグラーのお父さんが娘さんへのプレゼントとして買ってくれたものでした!受け渡し後、親子で写真も撮らせてもらい、おまけで付けた缶バッチも娘さんは嬉しそうに胸元に着けてくれていました。

また会場ではいろいろな人とも知り合いになれました。現地の人や日本に留学したことのある台湾人、日本人も在住している人を含め何人か知り合えました。そして、フランスと中国のカップルも多く、フランス人がたくさんいました。

中国人の舒(シュー)さんという方にはフェス終了後に、観光案内やお家に泊まらせてもらったりもしました。そのお礼にCoroセットなどもプレゼントして喜んでもらえました!

自分は中国の日差しにやられ、重度の日焼けをして帰ってきました。首なんてまさに日焼けによる火傷です!でも1週間でいろんな出会いや経験をして、いいお土産になりました。EJC (イギリス開催)に行く人もちらほらといたので、今から夏が楽しみです!

by Fuji
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
24本目 「いたるお菓子で抹茶合わせ」(メルマガ第18回)

休刊挟んで前回は、抹茶合わせのお菓子について語らせてもらった。日本独自の風味として、確固たる地位をもつ抹茶味。コンビニやスーパーで見かける市販のお菓子で、抹茶と組み合わさたことがないものはほぼない。パイの実も抹茶味が出ているし、もちろん鈴カステラも抹茶味がある。銀のエンゼル、金のエンゼルで名高いチョコボールでも2017年に抹茶味が発売されたが、抹茶に合わせにいきすぎた結果、中身がピーナッツではなくほろにがカカオクリームになってしまい、それはもはやチョコボールではなく別のお菓子では?という事態に陥った。抹茶合わせでうまく出会うには、軸が勝手に動かないことがマナーでありルールなのであった。

さて、お菓子にまつわるルールといえば、夜の10時以降は食べちゃダメ、とか、300円まで、とか、兄弟で分けて余った分はママにあげる、とかメジャーからローカルまで多様を極めるが、なんと言ってもその食べ方、これに一家言持っている人は多い。

一般に、食べ方におけるマナー、というと堅苦しい印象をまとう。フランス料理では、スープを飲む時ズズッと音を立ててはいけないとか、箸使いについても渡し箸だの刺し箸だのねぶり箸だの、NGパターンのエレクトリカルパレードにより箸の挙動は通行規制でがんじがらめなのである。また、左手は汚れているので右手で手づかみで食べるというのも、信仰によっては非常に厳然たる掟として存在している。
筆者が父からよく言われていたのは、イタリアでスパゲティをズルズルすすったら殴られるから気をつけろ、ということだった。そんなことを言うわりに、イタリア旅行になんて連れて行ってくれたことはないので、杞憂の極みである。
食べ方のマナーには、これをしてはいけないこれは失礼にあたるこれは見た目が悪いこれは縁起が悪いこれはなんか知らんがあかん、と禁則事項が多すぎるのである。だから堅苦しい。

これに対して、お菓子を食べるときのマナーは、「こうしてはいけない」ではなく「こうして食べると良い」というマイルドな縛りなのである。いや、正確に言おう。「こうして食べると良い」ではなく、「こう食べてしまう」のである。理性に律せられるのではなく、人間の根源的な衝動というか欲望に突き動かされているので、マナーというよりは傾向に近いのかもしれない。

一般の食べ方のマナーが、ドブ川に架けられた細い板を右にも左にも落ちないようにおっかなびっくり渡っているのだとすると、お菓子の食べ方のマナーは、風が吹く方に花が咲く方に心が行きたい方向に道草しながら歩くようなものなのである。

まあ長々と語ったが、久しぶりにオレオを食べたけど、外側のクッキーを取り外して食べてしまったよ、ということが言いたかったのである。

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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。抹茶に合わせに行きすぎてアイデンティティ喪失のチョコボールですが、その後ちゃんと中がピーナッツのものも発売されたので安心してください。好きなジャグラーは特にいません。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-忙しさ自慢みたいになってしまうが、しかし5月最初の一週間は非常にバタバタしていた。一週間の中国滞在から帰ってくるなり翌朝、中野へ。タップダンスのフェスティバル、TITFに出演。タップダンサーたちがバックでリズムを刻む中一緒になってジャグリングをする。なかなか面白い経験でした。次の日も朝早く起きて、中国で着た一週間分の服を全て洗濯する。色々と溜まっていた仕事もし、実家に帰って次の日に使うものをとってくる。夕方から日銭稼ぎの別の仕事をする。夜になってから支度をして、次の日も朝早く、友人の結婚式でジャグリングをした。僕はディアボロを披露。新郎新婦には、二ヶ月くらい練習の期間をもうけて、ジャグリングをしてもらった。新婦が投げたボールを新郎が受け取ってカスケードをする、という簡単なもの。ゼロからだったし、二人とも、フラフラ一週間中国に行っちゃったりする僕と違ってきちんと毎日のようにお仕事をしている忙しい人なので時間もそれほど取れず、どうなるか少し心配だったが、蓋を開けてみれば、大成功。よかったよかった。
そして野暮用で次の日は小田原へ。この原稿は、小田原で書いている。
このあとは、静岡で行われているストレンジシード静岡、というストリートパフォーマンスフェスティバルに行く予定。
ここ4年くらい友人であり、ファンでもある渡邉尚さんのショーも見られるようである。楽しみだ。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)

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