週刊PONTE vol.163 2021/12/27

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.163 2021/12/27
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…Object Episodesを聴く(11)

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第24回(最終回)

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

◆ジャグリングの雑想◆ 文・青木直哉
Object Episodesを聴く(11)

OBJECT EPISODES 11
https://www.juggle.org/object-episodes-11/

プロのジャグラーとして、部屋に籠り、新しいジャグリングを作ったとする。しかし既存のマーケットでは、その新しいジャグリングは、古いもの以上の価値があるとは必ずしも見なされない。新しいジャグリングを作り続けて世の中に問うていくとしたら、その発表の場所は、自分で作り続けていくしかない。ジャグリングは、アート一般、パフォーマンス、他の職業と比べて、イノベーティブであることが職業としての有利さにつながりにくい。こんなエリックの考えを発端に、「プロフェッショナルジャグラー」であることについて広く話される回。「ジャグリングのプロ」として生きていくにあたって直面する、現実的な問題にまつわる対話でもある。

パフォーマンスをする以外にも、ジャグリングでお金を稼ぐ方法は増えている。Patreon、Kickstarter、といったクラウドファンディングサイトも充実している。ウェス・ピドゥンがビデオを有料にして、お金を稼いだことについても触れられる。
しかし、新しいジャグリングを切り拓き続けていくことや、日々の生活を継続していくには、どうしてもマーケットとの折り合いが必要である。具体例として、ヨーロッパの劇場で雇われたければ、画期的な3ボールを30分やるショーをやるわけにはいかない。代わりに、たとえばその3ボールのルーティーンは5分に収めて、別の見栄えのすることを盛り込むことが求められる。

1995年のIJAチャンピオンシップで、フランソワーズ・ロシェ(Françoise Rochais)が6本のバトンをジャグリングして1位を取り、ジェイは5クラブ3UPピルエットをやってのけて2位になった。対してジョン・ギルキー(John Gilkey)というジャグラーは、受賞なし。
彼の行ったジャグリングは、メイク、小道具をしっかり用意した上ではあるが、技術的には比較的単純なものだった(こちら https://youtu.be/J181XRiJ6X4?t=5668 後半の部分がとりわけ白眉)。しかしその年、彼はシルク・ドゥ・ソレイユの演目「キダム」での仕事を得る(ちなみにIJAでやった演目がそのまま使われている)。マーケットで売るには、ジャグリング以外の要素が要る、とはエリックの談。ジャグラーとして身を立てる上で作り続けるのは、新しいジャグリングそのものではない。作り続けていくべきは、マーケットで買われていくための「商品」なのである。エリックは、そのような中でジャグラーが作り出しているのは「観客との時間」だ、という。
ジャグラーがアーティストとして一貫してジャグリングを作り続けて生きている、「自分はプロのジャグラーである」という自覚は、もしかすると安定していると思い込むために作り出している、幻想のようなものなのかも、とジェイは言う。

ただ、本人たちもそれに自覚的ではあるが、このエピソードで語られていることは必ずしも他の人たちにも当てはまることではなくて、エリックとジェイそれぞれの経験に基づく考えでもある。それに、他のアートの分野ではむしろ当たり前のこととして語られてるかもね、とも言う。

おそらくエリックもジェイも、「純粋にジャグリングをジャグリングの技術そのものとして刷新していく」いうことに並々ならぬこだわりがある。そのために、それ以外の方法で自分の生活費を稼ぐことが、果たして「ジャグラーとして生きている」と言えるのか、ということに、より厳密になりたいのだろうと思う。

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
ひさびさの3人
https://note.com/daigoitatsu/n/ne182d8361bb0
「2人の話を聞いていて、来年はジャグラーの日常をもうすこし知りたいかも、と思った。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第24回

「日本ジャグリング記 舞台編」お付き合いいただきありがとうございました。最終回です。
このシリーズでは、2005年くらいから2012年までのことを、自分目線で書き綴りました。自分に寄った内容であったため、書かれていないこともありますが、この時期のおおよその雰囲気はすくえているのではないかな、と思っています。

「日本ジャグリング記」の連載は、コロナウイルスが跋扈し始めた頃、通常の活動ができなくなり、何かできないかな、と思い、はじめさせてもらいました。過去を振り返るのは、ぼく自身にとっては土台を見つめ直す良い機会となりました。もちろんブログなどで展開しても良かったわけですが、PONTEという締め切りのある場のおかげで書ききることができました。感謝。

歴史や積み重ねたものを残す良い点の一つは、これからをつくる土台ができることだと思います。一連の日本ジャグリング記シリーズ(黎明編 青春編 舞台編)を通して、これからのジャグリングに思いを馳せてもらえたら幸いです。

この先10年のジャグリングはどうなって行くのでしょうね。
思い返すと、このシリーズで扱った時期のジャグリング界は無いものだらけでした。だから、ちょっとしたことが「新しい」ものとなり得ました。
舞台編で扱った時期からほぼ10年が経ち、その間にジャグリングとの関わり方も多様になってきました。それぞれの好きとジャグリングを組み合わせて、いろんなひとが「ジャグリング」を展開しています。「今ジャグリング界に何が足りないのかな?」と時々考えるのですが、それを探すのが難しいくらい。
それでも、ジャグリングが好きなひとたちが「ジャグリング」することで、これからジャグリングの世界が豊かに広がって行くんだろうな、と漠然とした希望を抱いています。うん、そうなるでしょう。

ぼくはぼくで、自分の「ジャグリング」をしてこれからも生きて行きたいな、と思います。

最後に改めて、この連載の機会をくれ、好きに記事を書かせてくれた青木編集長に心から感謝します。

ではまたどこかで。
ありがとうございました!

◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-しんのすけさんは、PONTEのメールマガジンのVol.74から連載していただきました。Fuji君の次に連載歴が長いです。途中からは、このメルマガ、ほぼ青木としんのすけさんの二人三脚で、心強かった。しんのすけさんの寄稿がなかったら、もうメルマガは終わっていたかもしれない。本当にありがとうございました。

-そしてまたまた発行が半日遅れてしまいました。ごめんなさい。

-ジョン・ギルキーについて延々と調べてしまいました。90年代の記録を色々と見ていた。彼のインスタグラムも面白いです。ウェブ上で手に入るIJAの昔の記録、古いもので1970代のニュースレターなんかも読めたりする。非常に面白い。このメルマガも、50年後に参照される日が来るかもしれない。

-彼のインタビュー映像の古いものもあったんですが、そのキャラクターから想像されるのと随分違った話し方をしていました。とても頭の切れる人の話し方、という印象でした。

-ああ、海外のジャグリングの情報をもっと意識的に摂取したい。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (PONTE)

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