=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.147 2021/09/06
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第11回「ジャグリングの包みかた」
・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第9回
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
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◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉
第11回「ジャグリングの包みかた」
東京の目黒区美術館で、「包む – 日本の伝統パッケージ」という展示を見た帰り(メルマガ発行時点で終了しています)。目黒駅最寄りのスターバックスでの対談。岡秀行(1905-1995)というデザイナーが着目した、自然素材の「伝統パッケージ」をめぐる展覧会。岡は1950年代から、モダニズム全盛の時代にありながら伝統的な日本のパッケージに関心を持ち、収集していた。
板津大吾(以下D)
なにそれ? そんなラテアートみたいなのやってくれるんだ。
青木直哉(以下N)
スターバックスラテですよ。あっ、こぼれそう。さて、展示、どうでしたかね。挙げるとすれば、最後のセクションが特に面白かったですね。
D
「つと」のところね。ワラで編んだ入れ物がたくさん展示されてたね。
N
……そもそもなんでこの展示を見たくなったんだっけ?
D
やっぱり、メインビジュアルがジャグリングボールっぽかったからかな(笑)。
N
あとは、Misakiがインスタで取り上げていたからか。岡本太郎美術館に行った時もポスターがあったし、ちょうどタイミングが揃ったんですね。でも正直、ジャグリング的な関心とはちょっと遠かったかな。道具を持ち運ぶ方法のヒントになる、っていう視点はあると言えばあったけど。単純に、こういう包装がいいよね、っていうのは感覚として知ってるし、まぁ、岡秀行という人が生きた時代背景と、彼の関心のあり方を想像するのが一番楽しかったかな。
D
ポスターでは5個の卵をワラで丁寧に包んであるけど、ジャグリング道具はあまり丁寧に包む、っていう方向にはならないよね。そもそも、消耗品みたいに扱われているところもあるし、たくさん落とすもんね。
N
技が成功してバシーン! って叩きつけたりとかも今は普通にありますしね。逆に言うと、普段の道具の扱い方でジャグリングも変わるだろうと思う。
D
なおくんがディアボロキャッチするときとか、ちょっと(ふんわりした動き)こういう感じで取ったりしてるよね。
N
そうですね。なんか、ディアボロに優しくしたい(笑)。そうそう、剣道をしている友人が「どんなに疲れてても、道着をきちんと畳まないとものすごく怒られる」っていう話をしていたことがあって。……いや、あんまり関係ないかなぁ(笑)。けど、ものの扱い方って、思っている以上に精神との結びつきが強い気がして。論理的な説明はできないけど。ものに対する態度は、心の在り方としっかり結びついてて。心の在り方は、ジャグリングの挙動の精度とかスタイルにも繋がるはずだと思う。日常的にも、「理屈じゃないけど、なんか、やるのが憚られること」ってありますよね。
D
このマグカップだって、もし捨てる、ってなっても、そのまんまゴミ箱にポーンって投げたりはしないもんね。
N
そうそう、そういう感覚っていつどうやって身につくんだろう?
D
道徳観っていう広い話になるけど、小さい頃に見聞きする話の影響力って大きいんじゃないかな。子供と一緒にアンパンマンとか見ていて、「そんなことしちゃだめだよ」ってキャラクターが言ってると、「あ、これダメなんだ」とか感じ取るんだろうなと思うよね。逆に、パンチでバイキンマンを成敗して終わるのは教育上いいのか、みたいなことも真剣に言われたりするし。あとこの間、スパイダーマンの映画を見ていたんだけど、その中で高校生が結構過激ないじめをしているシーンがあったんだよ。これって冷静に考えるとちょっとすごいなと思って(笑)。やっぱりそれぞれのカルチャーで、見ているものって全然違うんだろうな、って思う。
N
食べ物をあからさまに粗末にしたりね。そういえば最近、ヤノマミ族っていうアマゾン川の流域に住んでいる人たちの喧嘩の様子をYouTubeで見たんだけど、面白かったなぁ。面と向かうんじゃなくて、二人とも集落の方を向いて、朗々とラップみたいに言い合うんですよ。ターン交代して。段階的にそれが場合によっては全面戦争に発展していくらしいんだけど。洗練されてるな、と思った。こういうのもこう、周りの人の様子を見て、無意識に身につけていくのかな、って思うと……。なんだ、全然関係ない話だな。ちょっといいですか。
D
うん。
※※※
N(お手洗いから帰ってきて)
そういえば最近ディアボリストの鳥居大幹(ひろみき)くんがnoteを書いているのを、大吾さんが注目していたじゃないですか。僕も読み始めてて。ああいうのを読むの、すごく嬉しい。こればっかり言っているけど、細々とでもいいから、続けて欲しい。
D
うんうん、彼のnote、とてもいいよね。自分の道具との関わりをああいう文章で書いている人は珍しいよね。書き続けて欲しいし、もっとこういうふうに書く人が増えたら嬉しいね。
N
どういうところが琴線に触れるんだろう? なんか、ジャグラーとして、っていうよりも、ジャグリングをやる「一人の人間」として書いてる感じがするのかな。ジャグリングだけに執着があるわけじゃない感じっていうのかなぁ。なんかこう、広いんだよなぁ。
……(しばし黙考)あぁ、なんか、「ジャグラーが世の中と関わっているのが見たい」っていうことか?
D
なるほどね。それは、なおくんが前から言ってた、「ジャグラーがジャグリングをしていないとき」よりももっと伝わりやすそう。
N
うん、なんか、ちょっとスッキリした。なるほどな。「ジャグラーが世の中と関わっているのが見たい」。あれ、そういえば俺、帽子どこやったんだっけ?
D
あらっ。
N
あー、さっきのラーメン屋に置いてきちゃったんだ。取ってきます……。
…今週は、以上。おそらく来週もあります。
-鳥居大幹さんのnote https://note.com/hiromikitorii
-ヤノマミ族の口喧嘩 https://youtu.be/gbbA0KphI1E
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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
夏季休業 4日目 包む展
https://note.com/daigoitatsu/n/na9b354a544ea
「包む展を観たあと、青木くんとカフェで対談。包む話から始まり、いきなり話が飛んで、ジャグリングと文章の話に。このジャンプがおもしろい。言いようのない共通認識を言語化していく作業のようにも感じる。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ
第9回
舞台をやろう。
ある朝目覚めて決意したぼくは「舞台をやる」ことがどのようなことなのか、まったくわかっていませんでした。
学生の頃に、一度大学の施設を借りて自主公演を行ったことがあるものの、その時は他のひとに任せっきり。ノウハウはまったくない。
あとは、パフォーマーとして関わったいくつかの仕事や公演で、舞台つくりの現場をみたくらい。正直、「舞台監督って怖いひとが多いよなぁ」と思うくらいのぼんやりとした印象のみ(舞台監督がいないと幕が開かない。そのために厳しさが必要であることは後に理解しました)。
けれども、やると決めたので、やる。
まずは会場選び。
周りのひとに聞いてみて、近所にある門仲天井ホールが良いのではないか、と。
今振り返ると、これが後まで続く大切な出会いとなりました。
門仲天井ホール支配人の黒崎八重子さんと会います。
前述のように、この時のぼくは舞台に関して何もわかっていません。
ホールとしてもジャグリングについてもわかっていません。今はどうかわからないですが、当時、ジャグリングの認知度自体低かったのです。練習場所として公共の体育館や部屋を借りるのも、理解を得られず貸し出し不可となる話をしばしば聞くような時代でした。なので、ジャグリングについて、あれこれと聞かれるのは当然のことでありました。なんやかやと説明しつつ、話が進み。
印象に残っているのは
「若い人たちが公演する時、みんな集客に苦労するのよ」
という言葉でした。
黒崎さんと付き合ううちにわかるのですが、黒崎さんは、文化を育てることに情熱を燃やし、若手を応援し、サポートしてくれるひとです。
ぼくが何もわかってなかったので、あれこれ不安というか、ぼくが何をやりたいのか疑問に思っていたのでしょう。そんな空気が漂う打ち合わせでありましたが、その底には応援の気持ちがあったのだろうな、と今になって思います。
なんやかやと、劇場が決まりました。
ここからスタッフ集めです。この時の目標は、「しんのすけ組と呼べるような、継続できる舞台公演チームをつくる」ことでした。(続く)
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◆寄稿募集のお知らせ◆
週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-しんのすけさんが、初めての舞台公演を立ち上げた端緒を書いています。折しも編集長は、横浜でジャグリングユニット・ピントクルの「フニオチル」という公演の手伝いをしたところでした (https://twitter.com/JugglingPintcle)。今ではピントクルのように継続的に舞台公演を企画している団体も珍しくない。今回、舞台を作り上げていく苦労を間近で見て、つまりこういうことが脈々と続いているんだな、と思いました。
-最近は、少しずつビハインドザネックカスケードを練習しています。あんまり気負わないジャグリングも面白いです。
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
発行者:青木直哉 (PONTE)
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