週刊PONTE vol.148 2021/09/13

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.148 2021/09/13
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第12回「うけとる、わたす、くりかえす」

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第10回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉

第12回「うけとる、わたす、くりかえす」

神奈川県大和市桜ヶ丘にある新刊&古書店「冒険研究所書店」に行った帰り。この書店の店主は、何度も北極に赴き、冒険をしている荻田泰永(おぎたやすなが)さん。
帰りがけ、相鉄線に乗り、大和駅前にある文化施設「SIRIUS」の下にあるスターバックスで対談。

板津大吾(以下D)
あー、ラテアートが見たかったのに、紙カップで頼んじゃった……。冒険研究所書店、よかったね。

青木直哉(以下N)
まだ開業して3ヶ月ぐらいのようだけど、独自の世界観がありましたねぇ。居心地良かったな。極地の冒険に実際に使ったソリとかウェアとか、展示してあって。荻田さんにも会えましたね。

D
ね。著書の『考える脚』をつい最近読み終えたばかりで「わ、本人だ」と思って緊張しちゃった(笑)。結局2時間も滞在したね。自分は古本を5冊も買ったよ。本を一度にこんなに買ったのは初めてかも。

N
数冊は僕がおすすめして手に取ってくれたやつだ。(机に積んだ5冊を見ながら)なんか、自分の本棚を見てるみたいで嬉しいな……。この『ボクの音楽武者修行』は、特に思い入れがある。内容もいいんだけど、6年前に友人からもらって、一時期カバンにずっと入れてた。カバーも中身もぼろぼろだけど、モノとしての愛着がある。本はいいなぁ。

D
PONTEが初めて紙の雑誌になった初期の頃も、モノであることに意味がある、って言っていたよね。

N
そう、ジャグリングに興味がない人にもとりあえずポンって渡せるのがいい。モノは渡せるんですよ。所有という概念に関しても、僕は、「自分のモノ」っていうけど最近は、「たまたま自分のところにあるだけ」って捉えるようになってる。特にメルカリでものを売るようになってからかな。実感として強くそう感じるようになった。ぐるぐる回る循環の一部でしかないな、って。メルカリは革命的な意識改革サービスですよ。

D
ただのお小遣い稼ぎじゃあないね。

N
そう(笑)。「お金」っていうものに対する考えも変わってきた。これはUber Eatsの配達しているからかなぁ。お金は、人に感謝したいときに使える便利なもの、っていう程度の認識になってきてる。必要なだけ自分がサービスを提供して、人から感謝されて、次に僕が誰かに感謝したい時の糧を得る、っていうイメージで。

D
キャッシュレス化も進んでるし、お金の感覚はこれからどんどん変わっていきそうだよね。

N
本の話だと、本、あんまり読まないで次の人に渡しちゃうこともあるな。けど実体としてそこにあるだけでもう、ひとつの楽しみだからいいかな、って思う。河原で石ころを拾って、しばらく部屋に置いておくのとあんまり変わらないんですよね。ただ、本は人が作って人が売るものだから、貨幣をやり取りしてから持ってくる。感謝する対象が自然なのか、人なのか、っていう違いだけ。

D
なるほどなぁ。自分はさ、あまり本を買わないんだよね。『考える脚』も電子版で読んだ。やっぱり紙の本だと増えたら置く場所がないし、って思っちゃう。でも、それはそれで縛られているのかもしれない……。

N
とはいえ僕も部屋狭いし、あんまりいっぱいモノ持ちたくないので、図書館でも本借りますけどね(笑)。

D
うんうん。あ、そういえばさ、今、PMボールとかとは別のラインで、やっぱり自分なりに凝ったボールを作りたいな、って思ってるんだよね。もし売り出すとしたら一個あたり、普通のボールよりもだいぶ高くなるかもしれないし、売るのかどうかもわからないけど。

N
おー、どんなやつですか?

D
ビーンバッグって生地ありきだから、生地にこだわることになるかなと思う。編み物とか、いいよね。ミシンで作ると場所を限定されるけど、編み物ってどこでもできるじゃん。

N
確かに。いいですね。何かその道具で具体的に想定しているジャグリングとかもあるんですか?

D
んー、というよりは、それを持つことでテンション上がるだろうな、って思うんだよね。そりゃ、エスニックファションのお店とかに行けば編んだお手玉みたいなのが置いてあったりもするけど、でも、それとは違う、もっとこだわったボールがあったら気持ちいいだろうな、って思うんだ。最近、道具を作れるのはアドバンテージだなって思い直しててさ。こんなにジャグリング道具を作ってる人って自分の他にいないんじゃないかと思うと。

N
その通りですよ。いないですよ、そんなにジャグリング道具ばっかり作ってる人(笑)。それはぜひ見たい。そのボールによって、大吾さんが考えてることが目に見えてわかりそう。
あの、これ僕の話だけど。インスタグラムで描いた絵を毎日投稿していたら、「欲しい」と声をかけてくれた人がいて、売ったことがあるんですよ。もともと、売るつもりはなくて、でもとにかく「俺はこういうことを考えていますよ」って語るような気持ちで絵を発表していたんですよ。そしたら向こうから「欲しい」と言ってくれる人が現れて。それでこちらも嬉しくて、渡す、っていう。一番気持ちのいいやり取りだった。

D
そういう仕事のあり方はいいね。この間、映画の『めがね』を見たんだけど。かき氷スタンドを出す女性が出てきてね。食べた人は、お金じゃなくて、自分なりの形でお礼をするだけなんだよね。これでいいじゃん、とも思ったよね。なんか、やり取りのイメージとして。

N
うん、感謝する人とされる人がお互いにはっきり分かるっていう感じはいいですね。……さて、今日はこんなところかなぁ。帰ったらまとめよ。

D
大変そうだけど、よろしく。この対談も、別に一銭にもならないけど、よくやってるよね(笑)。もう、仕事だね。

N
本当に。実際、この大吾さんとの毎週のやりとりは、自分にとって大切な仕事だ、っていう思いでやってる。これこそやっていて嬉しい仕事ですよ。

D
自分も、作りたいボールを作る、っていうことがとても大事な気がしてきた。

…今週は、以上。

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
できた!
https://note.com/daigoitatsu/n/nea45cb1900f4
「ジャグリングをやっているのである程度わかっているつもりでいたけど、何かができた瞬間っていうのは、あんな表情になるくらいうれしいのだ。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第10回

初めてのジャグリング公演に向けて、会場が決まりました。
まずは、公演の名前を決める必要がありました。
ジャグリングの公演をしたい! から、その気持ちを具体的にする段階です。公演のコンセプト、公演に関する思いを形したからこそ、この後に続く公演たちへの道ができました。

当時、「本当のジャグリングを多くのひとは知らない。知ってもらいたい。」という意識が、ぼくにはありました。
多くのひとが知っているのは、バスカーやクラウンのジャグリング。当時のジャグリングの本丸をそのようなジャグリングとするなら、これからつくっていきたいのは、そこから外れたジャグリング。言うなれば、「大道芸のジャグリング」という城があった時、そこからはみ出した、城のお堀の外のジャグリング……ということで、周りのひととなんやかやと話して、「堀の外のジャグリング」と命名しました。
ネーミングにまつわることでいうと、同時期に開催されたジャグリング公演が「リアルジャグリング」と銘打たれた公演であったことから、「本当のジャグリングを伝えたい」というジャグラーの気持ちは、この時期に飽和点に達していたのではないかと思います。2005年のIJAメダルラッシュは、ジャグラーの心を大いに刺激し、公演という形で二粒の雫を生み出したのです。

当時は、ジャグリングに特化した公演は皆無と言ってよく、そこに新しいジャグリングの世界をつくるぞ! と、意気込んでいた矢先。
「堀の外のジャグリング」公演の発表を行う数日前に、「リアルジャグリング」の告知が流れてきました。しかも、「堀の外のジャグリング」開催のちょうど1週間前に開催されるとのこと。その知らせが入ったのは、2005年の年末か、2006年年明け早々のことだったと思います。

今思うと、とても小さなことなんですが、当時はこのちょっとした差が悔しかった……正直、すごく悔しかったなぁ(負けず嫌い)。しかし、この時に感じた悔しさがあるおかげで、公演を続けられたのかも、とも今は思います。

さておき、アマチュアから始まったジャグリング史の中で、商業的な意味でのジャグリング公演の歴史が幕を開けたのです。

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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-「堀の外のジャグリング」については知っていましたが、名前がついた経緯が面白い。

-上で紹介していますが、PM大吾さんの息子が自転車に乗れるようになったnoteのエピソード、とてもいい。僕は、小学校に上がる少し前くらいだったか、補助輪をつけた自転車で街を疾走していたら、近所の子に笑われて、恥ずかしくてその日にすぐ補助輪をとってもらった思い出があります。恥ずかしい、とか、悔しい、というのは乗り越えるための燃料ですね。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (PONTE)

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