週刊PONTE vol.146 2021/08/30

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.146 2021/08/30
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第10回「ニッポン・ジャグリング探検隊」

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第8回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆ 
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉
第10回「ニッポン・ジャグリング探検隊」

横浜市の新市庁舎にあるスターバックスで対談。みなとみらいの象徴的な建物のいくつかが一望でき、広くて気持ちのいい空間。
古代から現代まで概観する、神奈川県立歴史博物館を見てきた帰り。
二人とも「探検に関する本」にハマっていることから話が始まる。

青木直哉(以下N)
大吾さんはなんで探検本が好きなんだと思いますか。

板津大吾(以下D)
小学生ぐらいの頃に見た「グレートジャーニー」っていうテレビ番組の影響はあるな。探検家・関野吉晴さんの旅のドキュメンタリーでね。人類がアフリカから南米まで移動してきた道程を、逆から辿るんだよ。それが好きだった。でも今思うと、関野さんの「くせ者」感もすごいね(笑)。いろいろと大義名分があったと思うんだけど、たぶん本質的には、ただやりたいからやってるんだよね。

N
うんうん、冒険家そのものの魅力もありますね。僕は「異常な旅行」に惹かれているところが大きいかな。

D
異常な旅行って?

N
なんだろう、日常が完全に断ち切れる旅行。

D
なおくんのエッセイを読んでいると「自分はいったいここで何をしてるんだろう」って書いているときがあるよね。それに近い?

N
そうかも。ある夏に、バイト休んで45日間ヨーロッパで過ごした時とか、感じたな。フィンランドのサーカス学校に泊まったんですけど。夜中にマットの上で日記を書いてて「普段の生活を離れてここにいても、誰も困らないんだ」って強烈に感じた。で、「一体何やってんだろう俺」って思った。暗い部屋で、ひとりで。

D
それがジャグリング紀行のピークっていうか、おいしい部分な気がする。

N
まぁあと、日本の都会で日常を過ごすと、全部うまく行っちゃうから。予定とか無意識に立てちゃって普通に遂行できちゃう。遂行できなかったら、謝るのはサービスを提供する方だったりして。そうじゃない世界を感じたい。

D
なおくんがポッとどこか行っちゃうのは、予定を立てちゃう自分との闘いなんだ。

N
極地冒険とかに比べたらずいぶんスケール小さいですが……(笑)。そうかも。

D
何があるのかよくわかんないのがいいんだね。

N
なんか、流れで生きてる人っていますよね。ぽんぽん住むところ変えたり。僕の好きな芸術家の猪熊弦一郎(※)なんか、戦争が終わってパリに戻ろうと思ったら、その途中に寄ったニューヨークが気に入りすぎて、そっちに20年ぐらい定住しちゃってる。野心で、っていうよりは、その場の成り行きで人生ができあがっていく様子を読むのも好きだな。漂流者の話とかもすごく興味ある。ジョン万次郎(※)とか。

D
でも、なおくんも、ジャグラーの家にいきなり行って、普通になじんだりしてるよね。自分だったらなじめないな、って思うけど、なじんでる様子を見聞きするのは楽しい。

N
あ、そうですか(笑)。あとなんか、生きてたら、守られていないのがデフォルトなんだ、って折に触れてちゃんと思い出したいですね。

D
そういや今日博物館で、弥生時代の家の模型を見たじゃん。広い森の平原みたいなところに家が点在してる。あれいいな、って思った。自然との闘いはあったんだろうけど、好きな時に走り出せる。今の東京だと、5mも行ったら道路があってさ。「走りたい時に走り出せない」みたいなことは、結構大きいストレスなんだな、って思ったね。

N
いやー、それはそうだなぁ。……ところで、関係ないけど、大吾さんってジャグリングやってなかったらなにしてました?

D
え? なんだろう、小さい頃はゲームデザイナーになりたかったな。ゲームの世界は好きだった。あまり学校も好きじゃなくて、逃げたいというか、自由になりたいって思いがあったんだよね。トイレの壁に、マチュピチュのポスターが貼ってあってさ。座ってそれを見るたびに、こういう世界だってあるんだ、って思いを馳せてて(笑)。最初はゲームとかで逃げてたけど、それがジャグリングになった、って感じかな。

N
……なんか、大吾さんのジャグリングって、ちょっとねじれてると感じること、ある。

D
うん、ねじれてるのよ(笑)。

N
いろんな人がいろんな理由でジャグリングやってるんだな。……って思うと、なんかもっと地方にも出かけて、ジャグラーとの交流もしたくなってくる。

D
いいね。なんか、他のものと結び付けてもいいね。

N
普通に、温泉とか巡るのも込みでもいいな(笑)。各地のジャグリングの事情を、自分の脚で行って、肌感で知れたら面白いな。なんたって、僕ら、東京、横浜のジャグリング事情の一部しか体験として知らないから。どういう人がどういう風にジャグリングを楽しんでるのか、知りたいな。

D
いやー、ジャグリング全国巡り、したいね。

N
したい。

-ジョン万次郎…1841年、当時の土佐から流され漂流。アメリカ船に拾われ、米国へ。英語や学問を身につけて10年ほどで帰国、その後通訳、英語教師として活躍している、幕末の重要人物。

-猪熊弦一郎…昭和を通して活躍した洋画家。香川の丸亀駅前には「猪熊弦一郎現代美術館」がある。とても魅力のある美術館。

……今週は、以上。

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
秘密基地
https://note.com/daigoitatsu/n/n45e608fb50fb
「今もなんとなく、現実から逃げつづけているような気がしないでもない。ジャグリングに取り組むことで、1人きりの場所を確保するような感覚だ。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第8回

舞台編と掲げつつ、ここまでジャグリング舞台公演について触れずに書いてきましたが、ここからが舞台の話です。お待たせしてすみません。
そして、「日本ジャグリング記」と称しつつ、ここからは極めて個人的なことになります。2012年くらいまでの総論は、先日「サーカス学」第2号に寄稿した「日本ジャグリング舞台公演の始まり」をお読みいただけたら幸いです。
http://societyforthestudyofcircus.org
(…リンク貼りましたが、現在第2号の情報はないですね。infocajapan@gmail.com までお問い合わせください。)

では。


「ジャグリングの舞台をやろう!」
確か2005年の12月の朝。

ぼくは、ジャグリング舞台公演をする夢をみたのです。
それまでも「照明がある十分な環境でジャグリングショーを、自分のショーをしたい!」と思い続けていたのですが、それがついに夢にも現れたのです。

それまでは、なんとなく誰かから舞台に誘われることを待っていました。
けれども、その夢をみた時に思ったのです。

待っても時間が過ぎるだけで、いつチャンスが来るかわからない。
もう待っていられない。
ならば自分でつくるのがはやい。

海外からジャグラーやサーカスカンパニーが招聘されて公演を行うことは、当時もありました。日本人のパフォーマーが公演をすることもありました。けれど、「アマチュアジャグラー」から大道芸人になったぼくがイメージする「ジャグリング公演」はそこにはありませんでしたし、既存の枠組みに入って行くイメージもわきませんでした。
だから、ぼくはジャグリングの舞台公演をつくろう、と決意しました。
今思うと、この何かの弾みで思いついたことを実行したことは、ぼくの人生を楽しくしてくれました。この時のおれ、えらい。

余談。
当時、ぼくは10年以上に渡って村上春樹を愛読していました。
出典は忘れましたが—–
村上春樹が小説を書いたのは29歳の時だったそうです。それを踏まえて、様々な事例を引きつつ、「29歳になした仕事が人生に大きな影響を及ぼす説」をエッセイに残していました。
奇しくも、ぼくが舞台公演を決意したのは29歳。
そのエッセイが記憶に残っていて、舞台をやろうと思うぼくを後押ししたのでした。

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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-しんのすけさんの文章に、29歳のことが出てきます。今年30歳になる年ですが、僕も、現在29歳です。

-旅をするなら自転車でしたい、と思っています。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

発行者:青木直哉 (PONTE)

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