週刊PONTE vol.145 2021/08/23

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.145 2021/08/23
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第9回「ジャグリングをまわる星たち」

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第7回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉
第9回「ジャグリングをまわる星たち」

川崎市、生田緑地の中にある、岡本太郎美術館へ。広かった。観覧後、駅まで歩いて喫茶「シャノアール」へ。パスタを食べ、コーヒーを飲みながら対談。

青木直哉(以下N)
今日は自転車で来たんですけど、派手に道を間違えました。3時間近く漕いでた。

板津大吾(以下D)
暑い中おつかれさま(笑)。

N
でもナビなしで、失敗しながら自転車で遠くまで来るのって、移動の実感があってよかったな。こういう一次情報を大事にしたい。

D
旅の本を読みたくなったりするのも、そういう生の実感を知りたい、というのと関係あるかもしれないね。

N
うん、そうですね。そういえば最近読んだ探検家ふたりの対談本(※)よかったな。まさに、「実感」のために探検してる感じがした。あ、大吾さんに教えられて気づいたけど、アートの分野で活躍しているジャグラーのMisaki(※)が、最近noteを書いていますよね。あれ、細々とでもいいから続けて欲しいな、って切に思う。

D
あれは本当にいいよね。視点も鋭くて。それぞれ役割があるんだなと思ったよ。自分は自分で、結局、アピールできるのは道具だな、って思った。なんか、最近自分の新しいリュックを選んでる過程で気づきがあってさ。自分は普段、買い物ってほとんどしないんだけど、なんか、絶対に必要じゃないものをこだわって買うのが楽しいんだよなって思って。ジャグリング道具にしても、生活に必要なものじゃなく、サブのものを提供してるんだっていう一歩引いた目線は大事なのかも。

N
PMが大好きで使ってくれるコアなジャグラーがいる一方で、ジャグリングをちょっとやってみようかな、っていう人の視点ってそういうものですもんね。けど包括的な活動をするのってなかなか大変だよなぁ。自分の考えていることを伝えたいとしますよね。それがメインの考えとは離れているほど、仲間はいないし、なかなか伝わらないのが歯痒かったりして。

D
それはね。

N
けど、それがメインから遠くても、良質なタネを1個ポッと撒くようなイメージで、離れたところに確実に撒いて、それがうまく中心にいる人たちの目に留まってくれれば。中心地と、その間に、大きな「空間=可能性」があるんだ、って感じ取れるものなんじゃないかっていう感じがしますね。
(紙に円を描き、そこから少し離れたところに小さな丸を描く。そのあたりに向けて中心から伸びる扇形を書く)

D
うんうん。

N
純粋に、ジャグリングの技術とか、オリジナリティとか、実技の方の世界を探索している人たちは、こっちの方を見ているわけですよね(中心の円の左側に、Wesなどの名前を描く)。左半分は左半分で、広大な空間が広がっている。でも実は、右の方にも同じぐらい広大な空間が広がってる。僕らが、実技のジャグリング、とかメインのジャグリングシーンをぐるぐる回る星だとしますね(先ほど描いたような小さい丸を、別の距離で他にも描く)。で、PONTEなんか、なんだろう、ちょっと外れてて、こっちの方にある(ちょっと右に描く)。で、これが、メインのシーンに近づいて行こうとすると、どうしても、引力で、同じ空間に引っ張られちゃうんですよ。だからいかに自分の衛星軌道を保ったまま、メインの人たちから観測してもらえるようにするか、じゃないかと思う。

D
いい図だなぁ(写真を撮る)。そう思うと、例えば(渡邉)尚さんなんかも、とても遠くの方を回ってるけど、存在感あるよね。

N
そうそう。ジャグリングからも確かに視界に入るようには回ってるんだけど、軌道は、そちらに「向かう」方じゃなくて、自分の軌道で回ってるイメージ。彼だったらどちらかというと、「生活」とか「身体」の周りを回っているんだけど、あまりに大きいので、ジャグリングの方からも見えている、っていう感じかも(笑)。

D
いや、これはとてもわかりやすい。自分のやっていることの立ち位置を知る目安にもなるな。これ、なんか名前つけたいね。

N
ジャグリングの宇宙だ。

D
ジャグリング・ユニバースだ。

N
ジャグバースですか。

D
そうなると、他にどんな星があるのかも知りたいね。

N
確かに。海外のジャグリングブログとかも探してみようかな。

-探検家ふたりの対談本…『地図のない場所で眠りたい』高野 秀行・角幡 唯介 講談社 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212434

-Misaki…Misaki Fukuda の名で活動をする、長崎在住のアーティスト。話に出てくるnoteはこちら。Misakiさんは実に、信頼のできる文章を書く人です。 https://note.com/misakifukuda

※対談中に描いた図 ( https://jugglingponte.com/wp-content/uploads/2021/08/jugverse.jpg

……今週は、以上。

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
思い出と食べもの
https://note.com/daigoitatsu/n/n59bc38c36f9e
「自分が韓国のジャグリングフェスティバルに行くのが好きなのも、なんだかんだ、好きな韓国料理でお腹いっぱいになれるから、楽しいものとして記憶されているような気もする。ジャグリングフェスティバルの質感と食べものの質感が混ざっているのだ」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第7回

承前。
ヘブンアーティストは、東京都によって実施された「テアトル・ド・リュー東京2001」と題された上野公園での大道芸イベントを決定打として制度がスタートしました。そこでヘブンアーティストプロデューサーとなる橋本隆雄さんが石原慎太郎都知事にプレゼンし、ヘブンアーティスト制度が実現したとか。

「テアトル・ド・リュー」は日本語にすれば「路上の劇場」で、その言葉からは寺山修司などの70年代を思い出したりするのですが、名前が示すようにフランスの影響を受けた言葉ですね。もっと言うと、フランスの「ヌーボー・シルク」から発生している流れです。「ヌーボー・シルク」も(確か)1960年代末に起こったものですので、時代の空気が、従来の枠組みを越えて行こうとしていたのでしょうね。
ヘブンアーティスト発足当時、関連イベントは、橋本隆雄さんの意向が強く反映され、ヌーボー・シルクの影響が色濃く出ていました。橋本隆雄さんが若手育成として声をかけるパフォーマーにも、ヌーボー・シルク的なものを規範とする空気がありました。具体的に言うと、しゃべりなどを重視するバスカーとしてのパフォーマーではなく、作品を重視するアーティストを求めていたように思います。

そのような方針の下、様々な活躍の場を与えられたひとりが目黒陽介さんでした。目黒陽介さんは、ヘブンアーティストを通して着実に「目黒陽介」を育て、やがて「ながめくらしつ」として活動をし、現在のコンテポラリーサーカスの演出家としての土台をつくって行くわけですが、それはまだ先の話。

ヘブンアーティストを機に、大道芸で「アート」なジャグリングを見ることがじわじわと増えていった一方、時期を同じくして、日本人ジャグラーの技術レベルは日々向上して行きます。ジャグリング新興国であった日本も(日本ジャグリング記黎明編で雰囲気を書きました)、注目を浴びる存在へとなって行くのです。

そうなってくると、本物のジャグリングを知ってもらいたいという気持ちがジャグラーに芽生えていきます。
これがジャグリング舞台公演の萌芽です。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-最近図書館に行くことが多い。著者が身を削る思いで苦労して書いて、それを編集者とのやりとりで表現から句読点ひとつまで磨いて、ようやくできた本が、いくらでも無料で読める施設がある、と思うと、素晴らしいなとおもって。まぁ、市民税払ってるし、もっといっぱい使わなきゃな、と。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

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