週刊PONTE vol.144 2021/08/16

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.144 2021/08/16
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第8回「修行がしたい」

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第5回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆ 
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉
構成・青木直哉

第8回「修行がしたい」

今回はオンライン通話。

青木直哉(以下N)
コロナも大変なことになってきましたね。

板津大吾(以下D)
ほんとにね。

N
とりあえず、ピザ回しドットコムのリニューアルオープンおめでとうございます。注文来てます?

D
うん、ぼつぼつ。以前とはサイトの方向性が少し違うけど、改めていろいろとやりたくなってきた。やっぱり前に安西水丸さんの展示を見に行ったの、すごくよかった。核さえあれば、あとは楽しめばいいんだ、って思えて、ピザ回しのことを考えるのがまた楽しくなってきたよ。

N
PMもPONTEも、お互いに手応えがあっていいですね。SNSで見たけど、僕とだいごさんのジャグリングの文章を刺激にしてくれている人もいるみたいで、嬉しい。

D
嬉しいね! 動向を見てくれているんだな、とはっきり感じる人は数人いるよね。その数人だけで、もう安心感がある。

N
昔のジャグリングのインターネット掲示板とかブログを思い出す。だいたい恒常的にコメントしてるのは数人でね。こちらとしても刺激になる。

D
そうだね。

N
ところで先日、渋谷PARCOでやってた、はしもとみおさんという彫刻家の展示(※)に行ったんですけど。ここ数年で見た展示の中でも一番衝撃的だった。見たあとしばらく、展示のことで頭がいっぱいでした。作家のアトリエを再現しているコーナーがあったんですよ。実際にアトリエから持ってきた家具も展示されてて。その家具にことばがたくさん貼ってあったんです。彫刻十ヶ条とか、生活の心構えとか、細かい理論とか。これを見ることで、気持ちがいい方向を向いているかどうか、日々確認してるんだろうなぁと思って力を感じました。生半可じゃない。作品は可愛い。でもそれは表層だけで。もっと深く、「いきものが生きているってこういうことだ!」という感覚を見据えて作ってるから、躍動感とか、本物の動物みたいな愛らしさが実現するんだろうなと思った。カッコいいですよ。

D
へえ。

N
Instagramライブもアーカイブあったから見てみました。そこでも芯のあることを言ってました。視聴者からの質問に答えるんだけど。それがまた、信頼のおける受け答え方で。猫のデッサンとかもさささーっと描いちゃうし。惚れちゃったなぁ。

D
今度やる吉祥寺の展示も見に行きたいね。

N
僕も誠実な日々の鍛錬をやりたい。だいごさんは修行をしたいな、と思うことありますか。

D
やっぱり毎日のnoteが修行かな。今は、自分に向き合うのに適した時期だよね。でも一方で、外に出ないと始まらないこともあるな、とも感じてる。Webサイトの更新作業だって、カフェに行ってやる方がうまくいくんだよ。家だと延々考えちゃう。でも、周りの席に人が座ってるのを見渡すと、「どうせ画面の中で起きてることだし」って踏ん切りがつく。

N
いる環境によって仕事への取り組み方って全然変わりますよね。

D
でも、家にこもって自分と向き合うというのも、繰り返したくはないけど、忘れたくない感覚ではあるな。また外に自由に出られるようになったら、これはこれで懐かしく思い出されるんだろうね。

N
そうですねぇ。

D
そういえば、オリンピックの閉会式にジャグラーが出ていて、話題になったよね。

N
出てましたね! 狭い世界だし、みんな知り合いでしたね(笑)。嬉しかった。

D
けどSNSとか見ていると、全体的には閉会式そのものがちょっと不評な感じもあったよね。それぞれの要素の出し方というか。

N
日本の魅力をアピールする機会にこれを出すのはどうなんだ、というような論調もありましたね。

D
でも、出ているジャグラー自身はベストを尽くしてるわけでさ。これはもう、そもそも国とか、オリンピックとか、外部に過剰に期待する気持ちが、不毛な可能性があるな、と思ったよ。

N
うん。分かります。

D
自分の話だけど、ちょうど普段の生活でもそんなことを感じてて、人と暮らしていると、不満を感じることもあったりする。家事の仕方とか、タイミングとかさ、それは当然、お互いにね(笑)。でも、大事なのは、他人に何かを期待したり求めたりせずに、自分でやる気持ちだなって。みんな忙しいし、考え方も違うんだし。全部自分ごととして、自分の快適さに少しでも近づくように、自分でやるのが一番だなって。

N
理想の環境は、自分で作るしかないんだな。やっぱり修行だ。

D
そうね。修行の時代かもね(笑)。

N
なんか、はしもとさんに触れて、僕は、書く文章までパッと変わっちゃったんですよ。ロールモデルがあることで、安心して自分がいいと思うものを追求できるようになったというか……。圧倒的で、行動をいっぺんに変えちゃう力があるもの、って時々出会います。それで思ったことがあって。たぶん人が持っている能力って、それほどには差がないんですよ。ただ「精神がそれをどう抑制しているか」でしかないんじゃないかって。本来自分にはこういう文章が書けたんだけど、今まで、心がその発動を邪魔しちゃってたんじゃないかと思った。

D
おおー。なんか、それを解放してくれるアートっていう見方はすごくいいな。

N
先日、目黒陽介さん(※)がオンライン対談で、「現代サーカスとはなんですか」と聞かれて、「作品に問いがあること」と言っていて。さすが、端的で鋭いなって思った。個人的な世界でとことん深く掘り下げたときに、逆説的に他人に訴求する力があるものになるんだと思う。はしもとさんについて言えば、たぶん、自分のことにしっかり取り組めているから、周りに優しくなれるし、どんどん自分の知っていることを贈与できると思うんですよ。修行をきちんとやっているから、他の人たちもばんばん土俵に呼び込んじゃえるっていうか。

D
自由を手に入れて、人に優しくなるためのジャグリング……。

N
そうそう(笑)。でも、ひとりでの修行もそうだけど、何かまた共同プロジェクトにも取り組みたいですよ。「自分の道具をつくる」とか。で、そういうことを「しぶく」アーカイブしていきたいです。

D
しぶくね。今度また集まれるときに、やろうよ。

N
やりましょう! 励まし合える人がいると、心強いな。

-渋谷PARCOでやってた、はしもとみおさんという彫刻家の展示… 「LIFE はしもとみお彫刻展」。現在、公式サイトで展示の様子を全部見られる、デジタルツアーもできます。
-目黒陽介さん… ジャグリング&音楽集団「ながめくらしつ」主宰。文中のオンライン対談とは、世田谷パブリックシアター主催『悟空 〜冒険の幕開け〜』の関連企画として行われたもの。

……今週は、以上。

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介するコーナー☆
それぞれの鍛錬
https://note.com/daigoitatsu/n/n817a220e284b
「自分はオリンピックにはまったく関わっていないけども、関わりのある人がイキイキと活躍しているのが見られる、それだけでうれしい。文化というのはこういうものなんだなあとも感じた。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第5回

承前。
初期ヘブンアーティストを語る時に欠かせないひとがいます。大道芸フェスティバルを数々手掛けてきた橋本隆雄さんです。ヘブンアーティスト以前からフェスティバルをつくり、2014年には「ひたち国際大道芸」のプロデュースで芸術選奨文部科学大臣賞芸術振興部門を受賞しています。「野毛大道芸」に関わる他、「三茶de大道芸」や前述の「ひたち国際大道芸」のプロデュースをしていました。

橋本さんは、ヘブンアーティストプロデューサーとしても関わります。ヘブンアーティストの提案も橋本さんが都知事へ進言したとか……(要出典)。
ヘブンアーティスト設立には、3つの視点があるかと思います。
・海外へ向けた観光資源
・国内向けの文化政策
・若手の育成
詳細は書きませんが(これらを書くだけで長い連載になってしまう)、今の文脈で取り上げたいのは「若手育成」の側面です。

橋本さんは、ヘブンアーティストが立ち上がって以降、あちこちで新たなフェスティバルを立ち上げる他、ヘブンアーティストイベントやヘブンアーティストを活用した外部イベントにも関わって行きます。ヘブンアーティストが社会的に注目された時期、たくさんの問い合わせが事務局にあったようです。
その中で、自身が注目した若手に積極的に活躍の場を与えて行きました。
ぼく自身が使ってもらった最初には
「一年は使ってやる。それ以降どうなるかはお前次第だ」
と。
実際、その1年は、橋本さんが関わるフェスティバルやイベントにほぼすべてと言っていいくらいに出演させてもらいました。
ひとがたくさん集まるフェスティバルから、ひとが全く通らないような場所でのイベントまで、あちこち経験させてもらいました。それは今まで行ってきた大道芸やステージパフォーマンスを行うのとは全く異なる感覚でした。何も分からず大道芸の世界に飛び込んだぼくは、本当に貴重な経験と、パフォーマーとして活動する上での土台をつくることができました。

橋本さんの目にとまった一人に目黒陽介さんがいます。これはとても大きな出来事であったと、今、強く感じます。(続く)
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-猫が飼いたくて仕方ありません。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

発行者:青木直哉 (PONTE)

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