週刊PONTE vol.140 2021/07/19

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.140 2021/07/19
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第4回「やる気が出ないとき」

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第1回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆
話し手・板津大吾(PM Juglling)& 青木直哉
構成・青木直哉

第4回「やる気が出ないとき」

今回は夕方にLINE通話。

青木直哉(以下N)
昨日からテーマを考えていたんですが、やる気が出なくてなんにも思い浮かびません。そこで今回のテーマは「やる気が出ないとき」。

板津大吾(以下D)
やることが多すぎるんじゃないの(笑)

N
うーん、そうかも。やる気なさすぎて朝からずっと本を読んでました……(『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ ハヤカワ文庫)。だいごさんは、ジャグリング道具を作るやる気がないときってあります?

D
うん、あるよ。というか逆に、やる気って基本は、ないよね(笑)毎日、同じボールが出来上がっていって一個ずつ並んでいくのだけ見ていてもね。それだけだとさ。
だからいろんなことを混ぜてる。製作しながら、YouTubeで気になる動画を流したり。今は海外旅行に行っている人の動画流してる。頭は夢想しつつ、手元では作業。
でもジャグリングの練習でも、いろいろ混ぜるのって有効だよね。本当はボールの練習が主なんだけど、あえてディアボロが横にあるとボールが続けられる。自分は仕事上別にディアボロ触っても明らかなメリットはないんだけど、他の道具もあるから飽きずにボールジャグリングもできる。

N
よくわかる。僕もひとつだけをずーっとやる、ってできない。

D
だからひとつの道具で突き抜けて上手い人ってすごいよ。先週も話したけど、上手い人がいつも近くにいる、みたいな環境なのかな。その人にとっての「当たり前」が違うというか。でもジャグリングじゃないけど、なおくん、よく英語とか喋れるな、って思う(笑)勉強していても、やる気が全然続かないよ。なんか、できるようになる人は「例外」なんだろうなー。

N
いや、「やるしかない」状況を作ったというのはありますよ。英語で授業をする学部で大学の数年間を過ごしたので。少なくとも英語に触れない日はなかった。けどもちろん、挫折する人もいた。あんまりにも周りとの差を感じちゃうと、なにかを続けるのって嫌になりますよね。これも先週と繋がるけど、何か上手くなる上で一番いいのって、ちょっとした前進に充実感を感じることだと思う。それを感じられる環境をなるべく長く保ち続けないといけないよなぁ。

D
その観点から言うと、自分なりに勝手にやるのは、やっぱりいいね。でも一方で、例えば「片手で2個」を自分流でやっている人がいるとするじゃない。そのやり方がジャグラーの標準からするとちょっと違うんだけど、っていう時、どこまで言うのがいいのか、塩梅が難しいよ。本人はすでに楽しんでるわけだからさ。逆にイラッとさせちゃうかもしれないよね。下手したら辞めちゃうかもしれない。

N
「こっちのほうがいいですよ」とかやたらに水を差すのもね。けど、すごいあとになって「実は……」っていうのも、「早く言ってよ!」ってなりそう(笑)でもその人なりのやり方で何かが開花する可能性だって充分あるわけだし。いやー、学校の先生とかも大変だよなー。「教育界」にはすでにいろいろ方法論があるんだろうけど。

D
ところで日本の人って、いろんな道具を持ち出してきて、勝手に自分でやるのは得意な国民なのかな、と思ったりするんだけど。

N
どうだろう。むしろ僕は、一般的にはある程度標準化されている方が落ち着くという人が多いんじゃないかと思う。「これがいわゆる標準です」っていうのをどこかに求める場合が多いっていうか。……けど、わかんないや。一般化はできないな。ジャグリングだったら、受容の歴史とかも関係あるだろうし。

D
模倣が得意な感じはするよね。

N
しかし本当に今日はやる気が出ないな。なんだろう、自分で思い描いているリズムで生活できていない時って、どんどんやる気が失われていきますね。「こういう質感のことがしたい!」と思ってるのになかなか実現できないと元気なくなる。まぁ、「本を読む」とか「映画を観る」っていうのはせめてそれを解消するための、簡易的な手段ですね。他人が作った想像世界に入る。自分でイチから想像の世界をこさえる元気がない時は、そっちにとりあえず逃げちゃう。だからこそ、ちょっと頑張ってやる日課って、いいと思うな。自分の調子に左右されない、自発的な行動のリズム。だいごさんのnoteもいいですよね(※2021年1月12日から毎日更新中。下記参照)。

D
そうね。なおくんは毎日絵を描いて(※)想像の実現をしている感じはあるよね。気になってたんだけど、あれってどういうプロセスで描いているの?

N
まず一本の線を引きたいように引いて、それから、過去の記憶と照合して、ピンとくるものになんとなく似せて描きます。ここにこういうのがあったら心地いいな、って、好ましいリズムを写しとる感じ。これ、生活に対しても言えることだと思う。自分が心地いいリズムの生活を具体化したい、っていう欲がある。このメルマガも、そういう意味では、リズムになってて、悪くないな。

D
いやいや、悪くないどころか。とてもいいでしょ。

N
ᕕ( ᐛ )ᕗ♪ 今日のキーワードは、「リズム」ですね。ああ、ちょっとだけやる気出てきた。コーヒー淹れて、頑張ろ。

……今週は、以上。

-青木の絵は、ほぼ毎日ここで発表しています。https://www.instagram.com/jugglernao/
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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介するコーナー☆
夏の日の素材探し
https://note.com/daigoitatsu/n/n55dce65f30fc
「自転車を漕ぎながら、埼玉に住んでいた頃、つくりたい道具を思いついては、自転車で市内の島忠へ向かっていたことを思い出した。なんとなく今日のような猛暑の夏の日のイメージだ。10年くらい経っても汗かきながらシャコシャコ自転車で素材を探しに行くのは変わってなくて、なんか笑っちゃうし、これが好きなんだよな、と思ったりもした。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第1回

日本ジャグリング記 舞台編、スタートです。
以前「黎明編」「青春編」の二つの連載をPONTEにて掲載させてもらいました。そこでは、1995年くらいから2005年くらいまでの日本のジャグリング事情をスケッチしました。
もう少し先のことを書きたいな、と思い、今回「舞台編」をスタートします。
「日本ジャグリング記」と銘打って書く内容にしては、より個人的な事柄になり、「日本」と冠をつけるのは……とも思いつつ、その点ご了承ください。

これから書くことは、最近サーカス学会から発行された「サーカス学」第2号に寄稿した「日本ジャグリング舞台公演の始まり」のサブテキスト的な内容になります。
・サーカス学会:http://societyforthestudyofcircus.org
・「サーカス学」第2号:https://www.facebook.com/CIRCUSGAKKAI/posts/613110493411653

本連載では、サーカス学で詰め込みきれなかった、自分に起きたことを書きます。
今はぼく自身が舞台を制作することからほどよく離れ、記憶もそこそこ残っているので、そんなバランスの下で書けるのは今しかないかもな、と思い書いていく次第です。
お付き合いいただけたら幸いです。

舞台は、おおよそ2005年から2012年。
IJAでの日本人ジャグラーの大躍進があり、そこからジャグラーによる舞台公演が立ち上がってゆく最初の期間です。
2006年6月、「リアルジャグリング」「堀の外のジャグリング」、二つのジャグリング公演が東京にて開催されました。
アマチュアジャグラーが生まれた流れの中で、ジャグリングの有料公演は、その時まで京都大学のジャグリングドーナツによるドーナツライブが唯一? でした。実際、このドーナツライブから現在も活躍するプロジャグラーが数多く生まれていて、「お金を取る舞台公演をつくる」というのは、ジャグリングで食べてゆくひとを育てるのに大切なことだなぁ、と思ったりもします。

「リアルジャグリング」「堀の外のジャグリング」がそれまでと異なったのは、プロパフォーマーが主体となってのジャグリング公演であったことです。
プロってなんだ、という話になりますが、この時期は、徐々にジャグリングの「プロ」がアマチュアの文脈から育った時期でもありました。
次回は、そのあたりを掘り下げていきます。
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☆編集長コメント
日本ジャグリング記が再開! 今度は「舞台」にフォーカス。個人の記憶では、いろんな公演があったよなあ、と思い出すことはたくさんある。でも客観的に振り返ると、ジャグリングの舞台公演の歴史って、そういえばまだまだ浅いんですね。しかしその記憶がしっかりあるうちに、こうしてことばで残していただけるのはすごく有難いことです。どんなふうに語られていくのか、とても楽しみ。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-横浜では梅雨が明けちゃいました。大体全国的にも梅雨は明けたようですね。外練習でも開始したいですが、まぁ暑いっすね。

-僕はてっきりこのメールマガジンは2019年にスタートしたんだと思い込んでいましたが、2018年の11月からですね。

-このところそうめんばっかり食べています。いよいよこの季節がきた、という感じがするね。

-そうそう、あと鼻血が毎日止まりません。多い時は日に5回も6回も出ます。困る。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)

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