週刊PONTE vol.124 2021/03/29

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.124 2021/03/29
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングの雑想 23.「商品」が隔てる?

・ハードパンチャーしんのすけ…日本ジャグリング記 青春編 第17回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆ジャグリングの雑想◆ 文・青木直哉
23.「商品」が隔てる?

バイクのことばかり考えている。もう、それはそれは常にバイクのことばかり考えている。仕事をしている合間に、「だめだ、調べちゃダメだ、調べちゃダメだ」とよく言い聞かせているのだが、気が緩んだ瞬間に「エンジンオイル 種類」とか「リアボックス 自作」とか「カブ エンジン音」とか検索窓に入れてしまう。
今度、新しく125ccのバイクを買う。というかもう注文してあって、納車を待っている。以前は用もないのにわざわざ税金のかかる大きいものを家に増やすなんて非合理的だと思っていたぐらいだが、今では取り憑かれたように日々バイクの動画ばかり見ている。今これを書いている最中も郵便屋さんのバイクが家の前に止まってその音に聞き惚れている。
しかし僕はなんとなく、「商品」にハマるのってあんまりよくないんじゃないか、と思っているところもある。何かものが欲しいと考えるときに、まず真っ先に企業が作る商品を思い浮かべてしまうのは考えが足りないんじゃないか、確かに楽しいんだけど、何かそれは、楽しみを生み出す方法を外に求めすぎなのではないか、と思ったりする。
これはジャグリングにおいても考えることで、「道具を買うこと」がジャグリングに参加することである、と凝り固まって考えないように気をつけている。「ジャグリング」という単語をどう捉えるか、ということでもある。ボールでも、石でも、そのほかの野にあるものでも、器用に扱えばそれが「ジャグリング」だ、と捉えていれば、商品を買わずともジャグリングは好きなだけできる。逆に、商品を買ってから始まる「ジャグリング」の系統、文化、みたいなものもあるな、と見えてくる。ちなみにこれは、Object Episodesでも散々話されていることである(”definition of juggling”である)
新しい道具を買う、というのはいつでもワクワクすることなんだけどね。なんとなく、その道具そのものが自分に付加価値を与えてくれるような気がする。「専用のボール」と言われると、それでジャグリングが上手くなるような気もする。
ディアボロなどに関しては、そもそも買わなかったらどうやって参加するんだ、という話もある。これについて考えてみると、いわゆる「ディアボロのシーン」には、基本的に、常に「個人の力では作れないものの購買」が伴っている。実は大事なことかもしれない。
それが、ボールジャグリングとディアボロのシーンを分け隔てているようにも感じる。ディアボロをする時は、ディアボロに触れたこともない人とはかなり距離があるところで活動をしている感じがする。でも、自分の作ったボールでジャグリングをしている時は、なんとなく、ジャグリングなんか全然関係ないと思って生きている人の日常生活とも、かなり近接している感じがする。
だからこそ、ディアボロをやっていると、日常から離れていて、なんとなく特別な感じがして、かっこいい、ということもあるかもしれない。

いやはや、しかし結局この原稿も、バイクのパーツばっかり調べてしまって予定よりも数時間遅れて書き上がっていて、「キラキラした商品」っていいな、という思いもとても強い。
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☆勝手にPM Juggling(の板津大吾さんのnote)を紹介するコーナー☆
ビーンバッグ製作記 16日目 何をつくりたいのか、あらためて考えてみる
https://note.com/daigoitatsu/n/nb4406c009a79
「たぶん僕は無意識に、「人とつながるためのボール」あるいは「つながりを絶やさないためのボール」をつくっている、ともいえるかもしれない。」
(記事本文より)
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☆横浜でジャグリングの展示をします(2021年4月16日-5月5日予定)
東横線・妙蓮寺駅(横浜から4駅)徒歩1分にある「本屋・生活綴方」で、ジャグリングに関する展示をする予定です。
今決まっているテーマは「ジャグリングと生き方」なのですが、どんな内容になるかはまだ僕にもわかっていません。
が、きっと面白い展示になると思うので、ご興味ある方はぜひ。
制作の過程も毎日ブログに書いています。
https://fromsvankmajer.blogspot.com/search/label/ジャグリングの展示をつくる
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◆日本ジャグリング記 青春編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ
第17回

(前回)トレスパスがやって来た!

週刊PONTEを読んでいるのはジャグラーが多いと思っているので(実際どうなのだろう)、説明不要かもしれませんが…
ディアボロにバータックスという技がありますね。横のものを縦に。発想の転換が素晴らしく思いました。あれを日本に持ち込んだのが、トレスパス(だと思って思ってるのだけど、合ってる?>ディアボロに詳しいひと。)
トレスパスが来日したのは、2004年。
当時のヘブンアーティストプロデューサー橋本隆雄さんが招聘して、夏休み期間に汐留の日本テレビにて開催されていた「日テレArtDsaidogei」に帯で出演したり、その後に続く、橋本さんの秋の大道芸フェスティバルに出演しました。
この頃はとっても贅沢で、ジャグリングで言えば「Get the shoe」とか「ブランパブリック」とか、テクニックもさることながら作品として魅力的なジャグラーが招聘されていました。これらが連日、投げ銭のみで気軽に観に行けるってすごくないですか。
コロナウイルスの影響以前に、ここ数年は大道芸業界の景気はいまいち…この頃の贅沢さはとても懐かしい感じがします。

さておき。
ぼくはディアボロは性に合わず練習もろくにしないのですが、それでもトレスパスのバータックスは衝撃でした。ガツンとやられた。
以降、バータックスは爆発的に広がりました。その速度はものすごくて、ジャグラーだけでなく大道芸人の中にも広がって、1年2年であっという間に「必須技」のようになったような印象です。インパクトがあった出来事でした。
これだけ劇的に広がっていった技は、ぼくは他に思いつかないし、その瞬間に立ち会えたのはなんか嬉しいな、と思ったりもします。

2004年前後のこの頃、日本人のジャグリング技術が劇的に向上して行っただけでなく、表現としてのジャグリングが海外との交流が芽生えて行きました。ヌーボーシルクをはじめ、ヨーロッパのジャグリングというIJAとは少しニュアンスの異なるジャグリングが目に触れやすくなって行ったことは、以降のジャグリングシーンを考える上で大きな出来事であったように思います。

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☆編集長より
週刊PONTEは、結構ジャグリングをしない方も登録してくださっていたりします。
バータックスは今やディアボロの技術としては基本のようになっています。僕がディアボロを始めた頃は
昔はみんな、ホライゾン、エクスカリバー、とか呼んでいましたよね。僕はホライゾン派でした。
トレスパス来日時は僕はまだジャグリングをしていなかったのでわからないですね。しかし、間違いなく、ディアボロを縦に回す方法の発展に関する影響は最大だったんじゃないかと思います。『Planet Diabolo』というビデオでも、それについて本人の口から少し触れられています。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-またまた、発行が遅れてすみません。バイクのことばかり調べていたせいです。ちなみに買うのは「スーパーカブ C125」です。かわいいです。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)

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