週刊PONTE vol.117 2021/02/08

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.117 2021/02/08
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングの雑想 16.Object Episodesを聴く (4)

・ハードパンチャーしんのすけ…日本ジャグリング記 青春編 第10回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆ジャグリングの雑想◆ 文・青木直哉

16.Object Episodesを聴く (4)

Object Episodes 4 2020年11月15日公開

Object Episodes 4

いよいよ、結構具体的な話が出てくるので面白い。この回は、かなりの部分ジェイが喋る。
マイケル・モーションが「ジャグリングで、ミケランジェロと比肩される存在になりたい」と言った話。ジェイが、フランスのサーカス学校リドでジャグリングを教えた時、生徒たちが「そもそもジャグリングを前提とすること」を受け入れてくれず、衝突ばかりで全然うまくいかなかった話。ジェイのメンターともいえるイヴァー・ヘックシャー氏が、芸術一般についての膨大な知識と造詣をバックにした提言。(「投げている途中で大きさの変わるものを使ったジャグリングとかどう?」「木の部屋で、木の道具を使ったジャグリングをしなよ」などといったもの)

「ジャグリングを固有のアートフォームとして追求するとはどういうことか」について、ジェイの考えが様々な角度から語られる。

このエピソードを聞いて、彼のジャグリングにより合点が行くような気がした。
ジェイ自身も、キャリアの初めはアメリカ王道の「ジャグリングとコメディを合わせたエンターテイナー」という文脈の中で育ってきている。
そこから抜け出すため、ただ純粋にジャグリングをジャグリングとしてアートフォームとして究める、ということについて人一倍実践と考察を重ねてきた。

ジェイは、「あらゆる素材、色、重さ、大きさ、重心などを持った道具が置いてある、カタログみたいな部屋が欲しい」と言っていた。
たとえば一つの技について、それをいろんな道具で試してみることこそが、ジャグリングをジャグリングとして、表現の可能性を探っていくことだ、ということなのだ。
一般的なジャグリングの見方からすれば、例えばカスケードを、オレンジ色のボールでやるか、真っ赤なボールでやるか、ということに違いはないと思うだろう。
でも、もしそれがガラスの玉だったらどうか、もしそれが柔らかいキューブだったらどうか、濡れたボールだけが低く投げられるカスケードだったらどうか、など、とにかく道具自体の細かい違いを勘定に入れると、そこには膨大な、まだ探られていない部分がある。

「そんなこと考えたってしょうがないじゃない」と思われる向きもあるだろう。
実際、ジェイ自身も、このアイデアをエリックに話そうと思ったときは、怖かった、と言っている。「馬鹿じゃないの、そんなこと考えるのも時間の無駄だよ」と言われるのではないか、とおもったそうだ。
しかしエリックの答えは、こうだった。
「ああ、芸術学校に行けば、実験用の素材のサンプルがたくさん用意されているのと同じようなものだね」

ジェイにとってもこれは衝撃的だった。
そうか、これは、全く変な考えではなかったどころか、芸術の世界では、むしろ当たり前と見なされていたことだったんだ、と。

この4番、非常にいいエピソード。

最後10分くらいで、音楽家のブライアン・イーノの話が紹介されるのだが、それもいい。
ジョン・ケージが出てきて、「なんでも音楽だ」となったけれども、でも「なんでも音楽」と言ってしまったら、もうそれ以上その分野が発展する余地ってなくなってしまうではないか、と。
だから、「なんでも」ではなくて、あくまで自分がジャグリングをジャグリングと言える条件を明らかにして、そこからジャグリングをおこしていくのだ、と。

ここまで細かい議論が、きちんとアーカイブされているっていうのはとてもいい。
ジェイとエリックが二人で行う、ボリューミーなワークショップ、という趣である。
これからも折に触れてこのエピソードは聞く気がするなぁ。
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☆勝手にPM Jugglingを紹介するコーナー☆
【Weekly PM】#51:ビーンバッグ試作中!
https://pmjuggling.com/blogs/weeklypm/20210207
「動画紹介のコーナー、試しにはじめてみます!」
(記事本文より)
ただ自分で動画を見るのではなくて、それを一言添えてお勧めする人がいて、その上で見るのって、軸が二つできていいですね。
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◆日本ジャグリング記 青春編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ
第10回

(前回までの話)
日本ジャグリングDAY第1回はこんなでした。

2002年3月23日に第2回日本ジャグリングDAYを開催しました。
今回も当時の記事から振り返りましょう。

まずは、前回に続き、加藤邦道さんのサイト「Going One Way」の練習日記から。
https://www.7131.jp/cgi/view_diary.cgi?item=200203

”代々木公園で行なわれた日本ジャグリングDAYには最終的に60人ぐらいが参加したと思う。知らない人も大勢いてなかなか盛況だった。16:00過ぎに陽が差してきてから日没までジャグって最後にビッグトスアップ。”

1回目の参加人数は正確にはわからないけれど、前回より参加人数が増えてたのかな。
特筆すべきはその参加者で、竜半さんをはじめ、当時の大阪勢が日本ジャグリングDAYに来ていました。

竜半さんのサイト「ドラゴンの挑戦」にも当時の記録が残っていました。
http://fine.tok2.com/home/ryuhan/ngrjug/jugreport3.html

”日本ジャグリングDAYは、JJFとは違い、すごく和気藹々、それから、のびのびとした雰囲気でできました。途中、雹が降って来たりしましたが、こんなときでも、屋根の下でジャグってしまう皆さんはさすが。というか、この雹に寄って、うまい具合に、ジャグラー同士の交流が出来たと思います。練習するだけじゃなくて、こういう、交流の時間があるといいのかな、と思いました。”

竜半さんの記事を見ると、当時の関東のレベルが垣間見えたり、関西との違いの記述があったりでこれまた面白いです。
当時、ジャグリングのイベントは稀でした。「集まる」ことが楽しい。日本ジャグリングDAYは、それを発見した時期かもしれません。
さて、そんな日本ジャグリングDAYですが、この回を最後に開催しませんでした。「代々木公園になんとなく集まって練習する」というのが定番になったこともあるでしょうし、ジャグリングの流れも少し変わって行きました。
2002年は、矢部亮さんがIJAのジュニア部門のチャンピオンに輝いた年であり、東京都の大道芸ライセンス「ヘブンアーティスト」が始まった年でもあります。ジャグリングをただひたすら楽しんでいたアマチュアジャグリング界とパフォーマンスがじわじわと軌道を重ねて行きます。
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-編集長コメント-
紹介されていた竜半さんの記事、とてもいいなあ。2002年のジャグリングの、記憶が新しい中で書かれた記録。なんかこう、「噂には聞いていたあの…」みたいな距離感。途中、僕もメンバーのYDCが出てきますね。若かりし頃の桔梗ブラザーズも出てくる。加藤さんのHPも、やはり、まめだなぁ、としか言いようがない。すごいなぁ。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-暖かくなってきて非常に嬉しいですね。バイクに乗りやすいです。

-5クラブ、全然練習できませんでした…。来週はできるかな。

また来週。

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発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)

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