週刊PONTE vol.110 2020/12/21

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.110 2020/12/21
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングの雑想 9.新しいことを「自分でやり始める」効能について

・ハードパンチャーしんのすけ…日本ジャグリング記 青春編 第3回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆ジャグリングの雑想◆ 文・青木直哉
9.新しいことを「自分でやり始める」効能について

横浜美術館で開催されている展覧会「トライアローグ」を見に行った。
横浜美術館、愛知県美術館、そして富山県美術館の3つの美術館に収蔵された作品によって、20世紀の美術の流れの一つを振り返るもの。この展覧会で取り上げられていたピカソ、エルンスト、ミロ、クレー、マグリットなどの作品は好きで以前から折に触れて見ていた。
今回、自分でボールペン画を毎日描くようになってから、初めて作品を生で見た。

自分でも絵を描いていて、次はどういう描き方をしようか、と考えている状態で他の画家の絵を見ると、今までとは全く異なる視点で作品と対峙していることに気づく。この絵も、かつて生きていた人が(あるいはまだ生きている人が)描いたんだな、と、まず人をおもい、そして、なんでこういう風に描こうと思ったんだろう、ということを自然に考える。

絵画を対象として、そのものを楽しもう、というより、同じ絵を描く者として(なんて言い方もなんですが)その背後にいる人のことを、対等な目線で見るようになる。
彼らが使っていた手法について知るにしても、「史実」についての知識を得ている、というよりは自分が再現しうる手段の一つとして知識を得ている気分になる。

自分がそのゲームに参加する側にいるとき、関心の持ち方は大きく変わる。「その絵画をどのように見るか」ということの、客観的な、歴史的な意義みたいなものは(全く意味がなくなるとまでは言わないが)後退して、代わりに目の前にある「絵画」や「彫刻」という、先人の残した具体的な物質から、何を抽出して自分の作業に活かすか、という自分にとっての明確な理由が生じる。

なんだか、これからは絵を見るのも今までに増して楽しくなりそうだ、という予感がしている。
最もらしい理由づけなんかますますいらなくなるのである。
新しいことを「自分でやり始める」のって、こんな効能があるんですね。

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☆勝手にPM Jugglingを紹介するコーナー☆
【Weekly PM】#44:忘れている体験
https://pmjuggling.com/blogs/weeklypm/20201219
「小学生くらいの頃に純粋に好きだったものが、大人になっても、ジャグリングの活動に変化して続いているんだなと思う。」
(記事本文より)
青木の場合は、ぬいぐるみ遊びです。
たくさんお話を作って、テープに録りためていました。
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◆日本ジャグリング記 青春編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ
第3回

(これまでの話)
掲示板に「小平ジャグリング倶楽部」と題して投稿したら、ジャグラーが多摩地区でも見つかったよ。

最初のひとが来てから数週間経つと、ぽちぽちと連絡が来るようになり、何ヶ月かしてじわじわと参加メンバーが増えて行きます。
人数が増え始めた頃は、公園での練習が多かった気がするけど、実際どうだったかな…。
体育館を予約するには団体登録が必要なのですが、まだ団体の体を成していない我々は、団体予約が入っていない時に、それぞれが個人利用という形で利用するしかなかったのです。まぁ、公園で練習するのって気持ち良くて、これはこれで好きなんですけどね…この感覚が後に別イベントに繋がって行きますが、それはまた後日。

だんだんとジャグリングクラブらしい雰囲気ができてきます。
クラブならば、ホームページをつくりましょう! と、参加者のひとりがウェブサイトを立ち上げてくれました。これでいっそうジャグリングクラブらしく!
ぼく個人の思惑を越えて(…というか、前回書いたように、あるのはちょっとした好奇心だけだったので、そもそも思惑なんてなかったのだけど)、参加している個人の力を活かしあいながら、とんとんと物事が進んで行く感じは、今から思うととても愉快ですね。今だから美化されて思い出されているのかもしれないけど。
けど、ひとつ言えることは、当時あまり知られていなかった(「ジャグリング」という言葉もきちんと言えるひとは多くはなかった)ジャグリングを一緒に楽しむひとがいる―そんな喜びに溢れていていました。だからか、クラブに来たメンバーは、クラブに対して前向きであったように思いますし、それがクラブが発展して行く原動力になりました。

そう、小平ジャグリング倶楽部、発展して行くのです。それは、たくさんの人数が集まるという意味よりも、活動の幅が広がる、という意味で。
そもそもこの辺りから、以前に増して、クラブの所属意識は薄れていったように思います。周辺のクラブとの交流が生まれ、練習会を頻繁に行き来するようになっていくのです。
(続く)

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-編集長コメント-
ジャグリングそのものの普及もそうですし、「ジャグリング」という言葉の認知の度合いも、この頃、結構鰻上りだったんだろうな、とふと思いました。
なんでも、何かを発見しつつある時、というのが一番楽しいですね。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-「YANA」というジャグリング雑誌が手元に届きました。フランスのフロランス・ユエットさんと、日本のフクダミサキさんが共同で作った(他にもいろんな人が参加した)エモーショナルなジャグリングをセレブレートする、とてもクールな雑誌です。なんか、これがあることで救われる人がたくさんいるだろうな、と思います。僕がお手伝いしている横浜にある本屋・生活綴方でも取り扱ってもらうためにチョコチョコと動いています。

YANA
https://www.yanamagazine.com
本屋・生活綴方
https://tsudurikata.life/

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)

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