7月31日(水)

 諸事情でオープンステージの当日ミーティングにもう一度向かう。あたみ、マーヴィンなど見知った顔。みんなに挨拶をする。

 用事が終わって、今度はキャンプサイトに戻り、EJAのボードミーティングに参加した。水分補給用にと大きいグラニータ(かき氷のようなもの)を買って会場であるレネゲードテントに入ると、二十人ほどの関係者が輪になって自己紹介をしているところだった。EJAの組織運営に関わっている人や、各国の代表者が多く揃っている。僕はそこに座って、どうも、一昨日から日本を代表して連絡先になりました、などと言う。

 十五歳の頃から憧れていたEJCに少しだけ深く関わることに、僕はワクワクする。歳を重ねるにつれて今までと違う楽しみ方をするようになった。今回のEJCの日本人の参加者を見渡してみると、ほとんどみんな僕より年下である。EJCの参加は八回目だ。日本人の中でもかなり多く参加している。

 ミーティングの内容は、EJAの総会が実際にどういう手順で進んでいくのか、という話だった。それと、実質年に一度しかないこの機会で顔合わせをするという意味もある。

 ミーティングといってもそれほど堅苦しくないもので、各々がどのようにEJCに貢献できるか、ということについて相互に確認し合うような時間だった。スロヴェニアの代表は子供を連れてきていて、僕はその子と遊んでいた。ミーティングが終わると、どこからともなく二十枚ほどのピザが現れて、みんなで食べた。

 今日は、オープンステージを見る以外特になんの予定もない。と言っても、毎日予定なんてないようなものではある。一度会場に戻り、スーパーの前にあるカフェで文章を書くことにする。ガラァオとパステル・デ・ナタを注文して座った。ジムにいると、人に会う。人に会うと話をしてしまう。落ち着いて何か書くには、カフェにでも行くしかない。ポルトガルでは物価がそれほど高くないから、カフェで一息つくのも気が楽だ。

 一時間ほどで、そろそろオープンステージが始まる時間になったから、誰か一緒に観に行く人を探しに行った。一人で見てもつまらない。アニでもいないかなぁ、と思いながらスーパーを出たら、目の前にアニがいた。ちょうど練習を終えて一息ついているところだった。汗がすごくて、一回着替えてきていいかな、というから僕はアニを待った。その間、目の前で男の人がオレンジ色のクラブでフロー感のある魅力的なジャグリングをしていた。ぼーっと見ていたら、なんだか絵にしたくなってきたから、リュックから筆ペンとハガキを出して、その人の姿をスケッチした。帰ってきたアニは、この人は私の古くからの友人なんだ、と言った。名前はダーン。絵を渡したら喜んでくれた。

 オープンステージに並ぶ。開演二十分前にはすでにたくさんの人が並んでいる。今日は日本からジュンヤさん、あたみくんが出る。他に、エマというフープジャグラーも出る。エマとアニと僕は8年前に一緒にシンガポールで同じ舞台に出演したことがある。

 アニが隣でオープンステージを見ているこの感じ、ああ、戻ってきたなぁ、と思う。ふと隣を見た時に、なんだか、お互い歳もとったなあとも思う。

 オープンステージが終わると、僕は一旦レストランに食事をしに行く。昂汰くんと待ち合わせた。いつも通りの、肉とパンとライスとじゃがいも。僕も今日はビールではなくて、コーラにしておく。昂汰くんは、お酒が飲めないわけではないが特別飲まない。

 どこかのタイミングで日本人が多く集まる機会を設けたいと思っていたので、今日にすることにした。そこで、みんなで飲みながら話せるように、ビールをたくさん買おうと決めた。しおんさんとも合流して、三人でスーパーへ。こちらはビールの値段がとにかく安い。コーラと同じか、それ以下の値段で瓶ビールが買える。しおんさんが、足りなくなってもあれやし、いっぱい買っていきましょう、と二百ミリリットルの三十五本入りを買う。それでも、十五ユーロくらい、つまり二千五百円ほど。これは嬉しい。

 ジムの外の窪みになっているスペースにちょうど誰もいなくて、十人で集まっても大丈夫なくらいの余裕があったので、そこに腰を下ろし、徐々に人が集まるのを待った。カイト、さうすくん、しばたくん、砂原くん、中田くん、優弘、しおんさん、昂汰くん、と、むしろ日本ではこんなメンバーで集まることはないだろうという面々だった。しおんさん以外みんな年下で、しかも十歳以上も離れている人もいて、ちょうど僕が初めてEJCに行った時の年齢に近い。実に、歳って自然ととっていくものだなと思った。