5月4日(土)

 朝10時から「投げないふたり」の収録。都合よくこの日が空いたのでよかった。時間はあるのだが、毎日、サーカス学校を見に行ったり、友達に誘われたりで、油断するとすぐ一週間なんか、経ってしまう。

 マーヴィンとジュリーはいつもテレビをつけている。今日は「スターウォーズの日」(May 4th を”May the force be with you”とかけてる)で、定期的にスターウォーズのニュースが流れる。そういえば昨日は、オーストラリア式のフットボールについてマーヴィンがいろいろ解説してくれた。「僕はカナダ出身なのにオーストラリアルールフットボールを日本人に解説してるなんてね」と言っていた。

 ここ数日喉が少しガラガラしていたんだけど、ついに今日、熱っぽくなってきた。そもそも、ニュージーランド旅行から帰ってきたばかりのマーヴィンが、風邪をひいたんだ、と言ってずっとゴホゴホしていたのである。だがジュリーは、「コンベンション行ったり毎日いろんなことしていろんな人と会ったから、誰かからもらっちゃったんでしょう」と真面目な顔をしてキッパリ言っていた。その横で、マーヴィンがゲホゲホと咳をしていた。

 ぐんぐん熱が上がっているのを感じながら、ベッドでポッドキャストをアップロードする。なんとか終わって、パソコンをベッドに置いたまま寝た。2時半ごろ、起きて下に行く時には、ずいぶんスッキリしていた。お父さんに解熱剤をもらって飲んでいたおかげもある。セロリとコーンのスープを温めてくれて、それとチーズサンドを食べた。サクサクして美味しい。

 その後もしばらくベッドでゴロゴロしたりしていたらあっという間に夕飯の時間になった。少し寝ていたと思う。すこいお腹もゆるくてトイレに入ってたんだけど、マーヴィンがコンコンとノックして「シキ、行くかい?」と言うので、シキという名前の日本食レストランに行くことになった。正直、体調はよろしくないのだが、せっかくなので行きたい。車で家から15分ほど走って、シキに着く。車を降りたら、ただ寒い、というのではない、悪寒がした。ブルブル震える。が、なんとか会話はできる。駐車場から歩いて3分、中に入る。暖かい室内にいる分には大丈夫。メニューを見ると、色々と日本料理の名前が並んでいる。僕はニクウドンを食べることにした。ジュリーは、お魚のベントウの他にみんなでシェアするようにゴイザーとヘアルマァキを頼んでくれた。だいぶ肉厚の中華風餃子と、居酒屋で出てきそうなような感じのちっこいカボチャ入りの春巻きが出てきた。日本で見るものとは違うけれど、なkなか美味しい。僕が美味しそうに食べていて、アサヒのマルエフの黒を飲んでいるマーヴィンは嬉しそうだった。マーヴィンはシーフードテパンヤキを食べている。いつもこれなんだよ、と言っていた。それもなかなか美味しそうだった。

 お会計は、僕が払おうとしたんだけど払わせてくれなかった。でもちらっと見ると、140ドル(1万4000円)を超えていて、ひええ、と思った。インターネット上で色々情報を見ていても、ほんの5年前くらいまでは、安いところに行けば600円程度でもご飯が食べられたみたいで、僕がメルボルンで気に入ってもう2回行っている中華屋も13.5ドル(約1,350円)で安い部類だし、うーん、これは、お世話になっていなかったら1ヶ月なんてとてもいられたもんじゃないよな、と思う。ありがとう、マーヴィンとジュリー、そしてサイモン。レストランを出て車に戻る途中、悪寒は頂点に達し、体をギュッと抑えていないと歩けないぐらいになる。僕はもう搾り出すように声を出してたんだけど、2人は僕の具合が悪いことに気づいていないみたいだった。8時半に家に着いた瞬間、ベッドに入らないと死んじゃいそうだ、と思って、シャワーも浴びず、歯だけ何とか磨いて電気毛布をオンにして布団に潜り、だらだらと汗をかきながら何度か起きたり寝たりを繰り返して、夜を過ごした。■