4月14日(日)

 韓国語の試験TOPIK Ⅰを受けに行く。カブに乗ってみなとみらいの方へ。どういう気分になるかわからないから一応ジャグリング道具も持っていく。少し時間があったのでドトールでコーヒーを飲んでぼうっとする。目の前にはせっせとTOPIKに向けて復習している人がいた。多分午後のⅡの方を受ける人だと思う。本に書いてあることが難しい。僕は特に何にもしなかった。受からなくてもなんでもいいと思っている試験なのである。むしろ、別に実力もないのに受かってしまうことの方が問題だと思っているくらいだ。僕が目標にしているのは、韓国語であるていど意思疎通ができるということ。だから、変に実力以上のことに受かって慢心しては困るのである。試験はあくまで、目印としてそこに置いているだけ。

 会場はみなとみらい学園というところ。とても綺麗で気持ちが良かった。会場に入ると、受験者のほとんどが女性だった。まさかこんなに女性だらけだとは思っていたなくてびっくりした。アイドルのコンサートに来たかと思った。でもよくみるとわずかにおじさんとお兄さんがいて、でもシラスに混じった小さなカニくらいの割合であった。

 あんまりよくわからないことも多かったが、試験はとりあえず終わり、楽しかったので満足した。2級に受かっていてもおかしくないけど、受かっていない方がいいような気がした。これぐらい簡単なことはスイスイ理解できて、時間なんか20分ぐらい余っちゃう状態が理想だなぁ。キツキツだった。僕の斜め前に座っていた小学生2年生くらいの女の子は、さっさと読解試験を終えてふにゃふにゃと動きながら周りを見渡していて、監督官の男の人に「試験中は前を向いてくださいね」と注意されていたんだけど、あれくらいでありたい。まぁ、まだまだ修行ですね。

 試験終わったら、ささっと移動してマークイズの上で長崎ちゃんぽん食べる。人でいっぱい。食べて下に降りる途中で、全然知らなかったんだけど古着屋がいくつか入っていたのに気ついた。衣装になりそうな服をしばらく見てみたけど、やっぱり今自分が持っているものだけでいっか、という気分になった。衣装は最後の最後でもどうとでもなるし、というか、「衣装を揃えなきゃ」みたいに漠然と考えることは僕にとってはよくない気がした。もう、自然体でいい。

 カブに乗ってみなとみらいを出て、いいコンポジションを見つけたら写真を撮る、という「コンポジションハント」をしつつ家の方面へ。

 そういえば、髪を切るなら今日が最後のタイミングの可能性もある、と思って髪を切る。先月見つけた「ゆうちゃん」というお店。1人で経営していて、でもそんなに忙しそうではなくて、僕が行ったときも誰もいなかった。ドアを開けるや「いらっしゃい」と支度をしてくれる。とにかくこの人、切るのがスピーディなのである。そしてうまい。感じも良くて、値段も1,300円と安い。最高。

 バイクのガソリンが少なくなっていることに気づいたので、ガソリンスタンドに行く。給油している最中に、そのまま近くの公園に行こう、と思い立って、岸根公園までカブを走らせる。休みなので人がいっぱいいたが、広い公園なので場所はある。シートを敷いて荷物を置き、ディアボロを回す。音楽を部分ごとにABリピート再生しながら細かく詰める。といっても、一度の練習で取り扱えるのは一箇所分か、よくて二箇所分である。

 音楽も少し編集する必要があったので、公園で編集したんだけど、これがとても気持ちいい。もっと外で仕事をしてもいいなと思った。今はちょうどいい季節だ。虫もいないし。僕の後ろで、宴会をしている家族の子供がずっと「ラーラポート、ラーラポート」とキューピーのたらこのCMのリズムで歌っていた。スペースはいくらでもあるのに、わざわざディアボロをしている僕の方に近づいてくる子供もたくさんいた(別に僕の方を見るわけではない)。落ち葉がたくさん積んであったからかもしれない。危ないので避けるんだけど、向こうは全然気にしてなかった。

 この公園では、バドミントンしている二人組も、キャッチボールしている三人組も、駆け回っている犬も、家族の宴会で歌ってる子供たちも、ディアボロやっている僕も対等にいて、僕はそれが心から気持ちいいなと思った。オーストラリアってこんな感じかな、とふと思った。気持ちよく晴れていて、広い芝生で遊んでいる。こういう気分のジャグリングが一番好きだから、そういう気分のディアボロが見せられたらいいなと思った。どういう技か、じゃなくて、どういう気分か。何度でも、毎日でも確認していいことだけど、僕はジャグリングが特別うまいわけではない。シーンを背負って立つ必要は全くない。むしろ、僕なんかが、シーンを背負って立てると思っていることの方が思い上がりである。こんなんじゃダメだ、というのは、裏を返せば「こんなんじゃない自分になれるはずなんだ」ということである。でも、こんなんじゃない自分を志向している時、それは常に今の自分を否定しているということになる。それはあんまりだ、と思う。僕は小さいころ遊んでてそんなこと思わなかっただろう。ジャグリングだって同じだ。これは遊びなんだ。最高級の遊びなんだ。だから、まぁほどほどにうまい、くらいの自分をもう隠しもせず、よく見せようともせず、ただ自分なりに精一杯の遊びを見せていければそれでいい。

 3時間外でジャグリングしていて熱中症みたいになった。バイクで家に帰ってシャワーを浴びた。まだ外は明るくて気持ちが良かった。■