4月11日(木)

 朝はとことんやる気がなかった。なんでだろう。とても眠い。昨日、和光市まで行って大吾さんとショーグンとジャグリングして、大吾さんの子供と一緒にサッカーに夢中になったから? 身体的疲労? 全くわからぬ。ベッドから出たのは8時ごろだが、とにかくやる気がないからインターネット見たり、本読んだりして過ごす。JJF(ジャパンジャグリングフェスティバル)関連の連絡でパパッとやるべきことがあり、それはすごいスピードで終わる。作業自体はできる。やれ、という要請があればできる状態なんだ。ただ、その「やれ」と言ってくれる他者が、自分の中にいない。そういう状態が、今日のやる気のない感じ。

 昼ごはんを作る気力もなくて、しょーがないから、最寄りのラーメン屋に行って塩とんこつラーメンを食べる。食べ終わったら石堂書店に行く。ミヤジマさんがいて、本を本棚に入れていた。こんちは、と言うと、いらっしゃいませ……わぁ! と漫画のキャラクターみたいにびっくりしてくれる。ミヤジマさんはいつもびっくりしてくれるので愉快だ。やる気がないので、ミヤジマさんに会ったら元気が出ると思って来たんすよ、と言ったら笑っていた。本当である。家系ラーメンの発祥の話と、白楽に美味しい家系ラーメンが二軒もある、という話をしたら面白がって店名をメモしていた。元気が出た。やる気は出ない。元気があるけどやる気がない、という状態。

 ミヤジマさんとの会話で「火に薪をくべる」という比喩が出てきた。仕事の進行が火だとする。薪をくべる、という行為は、実際に仕事に取り掛かることだとする。出勤時間があれば、やる気のあるないにかかわらず、その「出勤する」という行為が薪をくべることになる。でも特に時間に縛りのないフリーランスをやっていると、薪をくべるという行程を自分の意識で、腰を上げてやらないといけない。で、その薪をくべることができない時、があるのである。つまり消し炭を眺めてぼーっとしてる、みたいな時間がある。それが、やる気がない、ということかもしれない。

 一度家に帰って、Xでスペースを開始して、喋りながら絵を描く。でも、とにかく眠くて、30分経たずに、このままだとしゃべっている途中で寝てしまうな、と思って倒れ込むように、30分昼寝する。起きたら、また絵を描く。なんとか完成。やる気がないなりのものができた、という感じもするし、それがいい、という感じもする。これでいいじゃないか、とも思う。僕は満を持さない、ということばを手がかりに生きたらいいかもしれないと思った。満を持しちゃうと、その次に行くのに足が重くなる。だから少なくとも個人でやってることに関して、とにかく「満を持さない」ように気をつけて進める。そんなことを考えていたら4時になる。もうすぐYDCに行く日だけど、今日は早めに行って図書館で仕事しようかなぁ、と考える。が、突然、昨日大吾さんにもらったボールを入れるケースを作りたくなった。せっかくだから専用のケースを作ろうと思った。リネンの布があるのはわかっていたので、それを引っ張り出してきて、あたりもつけずにいきなり切って、縫い始めた。紐は、靴べらを引っ掛けるのに使っている太いひもをとってきた。うんうん。咄嗟に作ったにしては十分使えるものができた。そのままの勢いで、長いこと決着をつけられていなかった、友人のケントの新しい革小物ブランドのロゴを仕上げる。色々なファイルに書き出して送る。喜んでもらえ、ひと安心。YDCで会おう、と言って、僕もバイクで急いでYDCに向かう。この頃にはだいぶやる気が出ていて、むしろハイな状態になっている。

 YDCでは、決意した通り、いつもの曲でいつもの演技を練習する。最近考えた小技が色々あるから、それがどこかに入らないかな、と考えながらたくさん通す。とても楽しい。演技作っている時に楽しいと思えるのは久々かもしれない。やはりこういうのがいい。すでに全体の構成はできているから、それを微調整する。でも、それだけで全く違うものになる、という予感がする。そのまま、これはヴァータックス(縦に回すディアボロ)も演技作ろう、と思って、本当は今までにやったことのある演技をやる予定だったんだけど急遽、モンスターズインクの曲に繋げても違和感の比較的すくない曲を選んで、作り始める。これがまた、面白い。この曲なら、最近僕が得意としている、「じっくり動くヴァータックス」にも対応できるんじゃないか、といい予感。ケントと、久々に来ていたジャグラーのオシさんに見てもらいながら作る。やっぱ友達に見てもらうのが一番早いよ。そしてYDCにはいい意見言ってくれる人たちがたくさん来てるんで、それをどんどん利用すればいいのだ。なんだか、気が軽くなった。最近考えている小技をいくつか見せたら、ケントも、トヨシマさんも、面白がってくれた。頭の中の「観客」じゃなくて、自分の周りにいるジャグラーの友達が面白がってくれたら、それが一番じゃん。

 帰ってきて、ボールケースにロゴもつけてやろう、と意気込んで、これもさっさと試作する。頭の中にあるアイデアがすぐに目の前に現れるのは気持ちがいい。■