4月5日(金) コツを掴むとき

 5時半起床。昨日の夜22時にキムチチゲを作って食べて、ややもたれ気味。少し眠いが、意を決して起きる。キッチンでお湯を沸かし、コーヒーを飲む。よし、スタート。

 昨日のYDCで起きたことについてもう少し書いておく。とても嬉しいことがあったからである。ディアボロ3つのハイトスの重要なコツを掴んだのだ。

 昨日は、1個のディアボロを使うことを中心的に練習するつもりであった。ただ一応3つディアボロを持ってきていた。そこで、演技について考える合間に、休憩のような感じで、一緒に練習しているけんとに「つまらない練習でもしますかー」と言って3つ取り出し、練習をした。単純な技術練習で、ドリルを解き続けるみたいな作業だから、つまらないと思っているのである。3ハイトスは、断続的に10年近く取り組んでいるけど、やってもやっても全然進歩しない。だが最近になってついに、まともに取り組もうと意識して訓練している。

 ディアボロを3つ回す。ゆっくりと全体の軌道を大きくしながら、上にあげていく。3回投げたあたりで、ディアボロ同士がぶつかって落ちてくる。もう1度最初から。3つ回すところからいちいちやり直さないといけないので、山の上まで大きな岩を運んでは落ちてしまうのを繰り返す、シーシュポスの神話のような気分である。

 ふと、5ボールのカスケードが安定していないのに7ボールに挑戦し続けている人、というイメージがよぎった。単純な反復練習をしていると、頭の中が暇なので、パッと今やっていることとは別のイメージが浮かぶことが多い。そーか、そりゃできないわな、と思いなおす。ここは急がば回れ、ちゃんと2ディアボロのハイトスに戻ろう、と決める。考えてみれば、僕は2個のハイトスも、ほとんどまともに練習したことがないのだ。人によってディアボロの技系統の好みは違って、僕は最初からハイトスにあまり興味のないタイプの人だった。ボールジャグリングでも手元でごちゃごちゃとやる方が好きだし。高く投げるより、細かい動きの方が好き。

 でも豪華客船でもしパフォーマンスすることになったら、と思うと(別にいまその予定があるわけじゃないんだけど)そんなこと言っていられないので、黙って2個のハイトスをやる。するとどうだろうか。5分ほど2つのディアボロを投げていたら、突然、俺、右側の空間を全然使ってないじゃん、とはたと気づいたのである。投げ上げた時に、頂点をなんとなく意識しているんだけど、その時、左側にやや寄って投げている、ということに気がついたのだ。そーかそーか、これだったのか、と思って、しばらくその右側の空間を使うことを意識して投げる。あきらかに今までよりも楽になっている。そして次第に、2個じゃ足りない、という気分になってくる。これは、3つもいけるんじゃないか、という予感がしてくる。

 そこで3つに切り替えて、先ほど2つでやっていた時の感覚を思い出しながらやる。すると、なんと、今まで必ず起きていた問題が、起きなくなった。ありゃまぁ。別に特訓に特訓を重ねた、というのでもないんだけど、ただ本気で習得してやろう、という意思だけがあったので、何かの習得に必要なのって、やってやるぞという気持ちだけなのかもしれない。

 そのあと気分がとてもよくて、片手でやるディアボロ、なんていうのもちょっと研究してみる気になったり、実に満足のいく練習セッションであった。できることを延々とやる気持ちよさもあるし、できないことがついにできるようになる気持ちよさも、やっぱりある。■