週刊PONTE vol.32 2019/06/24

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.32 2019/06/24
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週刊PONTEは、「書くジャグリングのメールマガジン」です。
人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉…旅について 第1回
・Fuji…フジづくり 第32回「製作準備中のため、エディンバラの話でも」
・きんまめ…31本目 「Interviewer’s Take-Out: ジェミニさん(1)」(メルマガ第25回)
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
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◆旅について◆ 文・青木直哉
第1回
「旅とジャグリングの雑誌」という名前にしてから、ロクにそれについて触れていない。「旅」について何回か書いてゆきます。
僕自身が憧れている、というか、好きでいる「旅」とはなんなのか。
これを言葉にして誰が得するのだろう、ともおもうのですが、ひとまずこの言葉についてきちんと考えてみたいな、という思いがあります。
僕は今までにけっこうたくさんのところに行ってきました。
アジアだけでも、台湾には10回以上行っています。一番身近に感じる国です。韓国にも3回だったか4回だったか行っているし、シンガポールにも4回か5回ぐらい行っているし、中国にこの間行ってきたし、マレーシア、フィリピン、ミャンマーなんかも行きました。
アメリカにも行ったし、初め訪れた異国は(実は)カナダだし、ニュージーランドにも3年くらい前に行きました。
ヨーロッパで言えば、イタリアで1年くらい生活していたことがあって、その最中にまぁいろんなところに出かけました。スロヴェニアだの、イギリスだの、デンマークだの、スウェーデンだの、フランスだの。その後も毎年のようにヨーロッパに行っていて、思いつく限りあげると、ポーランド、スペイン、マルタ、ドイツ、チェコ、フィンランド、オランダ、ベルギー、ポルトガル、ノルウェー。挙げていない国も含めると30カ国ぐらい行ったような気がします。
その中でジャグリングの関連で行った国は、20カ国弱だと思います。
フェスティバルがあったり、仕事で呼んでもらって行ったり、ジャグラーの友達に会いに行ったり、理由は様々でした。
随分と遠いところに、たくさん行ったものだな、と思います。
こういう風にして、僕は旅を重ねてきたのか、と思います。
しかし、僕が面白いな、と思っている「旅」は、単に距離の遠いところに行くことだけだとは思いません。
先日フランスから来ていたジャグラーのエティエン君を家に泊めている間、確かに沖縄に行ったり北海道に行ったりもしたのですが、横浜で一緒に寝起きしている間も、なんだか僕は「旅」をしているような感慨がありました。
それはどういうことなのだろうか。
そのこころは、遠い人と通じようと努力する意識を伴った時間である、ということなのではないかと思います。
遠くに行くことは、それだけ自分の「知った範囲」から遠ざかることなので、その分多くのことを知るのに頭がフル回転するし、また自分の欲しいことを伝えるのにも、普段に比べてより多くの労力を伴います。だから自然と、「なんとかして通じよう、目の前にあるものを感じ取ろう」と必死になります。
そのぎゅっと詰まるような濃縮された時間が、僕が「旅」と呼びたくなるような時間です。
たとえば僕がツアーなんかを申し込んだとして、ガイドさんにつきっきりで、なんとなく決まったものを見るような「旅行」をしたとしたら、それは僕が普段「旅」だと思っていることの感慨とはずいぶん違った印象になるだろうな、と思います。(もう長いことそういうツアーみたいなものに参加したことがないので、詳しくはわかりませんが)
一方もちろんそういうのはそういうので、楽しんじゃうんだろうな、とはおもうのですが、僕が生涯をかけて(と少なくとも今は思っている)続けるべきだと思っている「旅」は、とにかく自分自身から遠く隔たった人やモノと、通じ合ってやろう、なにか、身体で理解してやろう、と思いながら行動する「旅」です。
そういう意味で言えば、外国語を聞いたり読んだりするのが好きだ、というのも、この意識の範疇に入るのだろうと思います。
だって、あの外国語たちは、すべて、それぞれに話者たちの間では、完全に意味が通った、いわば世界を捉えるすべとして唯一(とも限らないけど)の手段であるわけです。
僕は、そういう「自分が知り得ないと思っていた別の世界」が、少しずつ自分の身体の感覚に近づいてくる感じがすごく好きです。
(第2回に続く)
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第32回「製作準備中のため、エディンバラの話でも」
気づけば夏のEJCに向けて、そろそろJuggle Packの準備もしていかなければいけなくなってきました。あと一ヶ月ちょっとあるんですが、まだイギリスに行くんだという感覚がありません。
先月、中国に行ったばかりではありますが、イギリスはそれと比べるとはるかに遠いです。ヨーロッパに行くのは一昨年のEJCぶりになります。その時は開催地のポーランド以外にも周辺国をぐるっと回るかたちで約一ヶ月行っていました。
ただ、今回はイギリスにとどまり、EJC (ニューアーク)後は北上してスコットランドのエディンバラで行われる「エディンバラ・フェスティバル」に参加してきます。
調べてみると、エディンバラ・フェスティバルは、エディンバラで開催されるすべてのイベントを指し、一般的には毎年夏に行われる「エディンバラ・国際フェスティバル」と「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」とを合わせたフェスティバルの総称だそうです。
ただ、この二つは主催者も形態も全く別物。毎年同じエディンバラの街で開催される芸術祭でも、別個の催しを別々のスタッフや参加者で行っていて、開催者同士の間でもそれなりに対抗心があるそうです。
元祖であり、正統派ともみなされている国際フェスに対して、誰でも参加ができる非常に門戸の広いイベントがフリンジみたいです。でも、観る側にとっては、その伝統芸とコメディ芸が両方同じ場所で観れるので、2倍の楽しみがあります!ちなみに、コメディアンとして有名なMr.ビーンもこのフリンジ出身だそうです。(笑)
帰国直前はロンドンの方にも行く予定なんですが、時計台で有名なビッグ・ベンは現在、改修工事中みたいです。(笑)
by Fuji
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
31本目 「Interviewer’s Take-Out: ジェミニさん(1)」(メルマガ第25回)
7週連続でお菓子の話をしている。ちなみにその前は2週に渡り待ち合わせの場所の話をしている。どうなっているのだ。
ということで、ジャグリング成分補給のため先週末はWJD in Osakaに赴いた。
驚くことに、7年ほど前に上げた筆者の動画を知っている今の学生さんが声をかけてくれたりした。中でもピルエット(九工大ジャグサー)所属のハムハムくんという方は股下技に傾倒してしまっており、変な方向に向かわせてしまって申し訳ないなとか思ったりした。
ピルエットは個人的な印象だがスティッカー率が高く、想像では部員の8割は棒叩いている。スティッカーの巣窟、メッカ、聖域で自分の動画が参考になっていたかと思うと、なかなかに感無量である。 後日、ハムハムくんの動画を漁ったら、股下技どころかデュアルも普通に上手い人だったので、ピルエットスティッカー勢の土壌の豊かさに感服し打ちのめされたのであった。私もデュアル頑張ろう。
さて今回のWJDで一番の感動体験は、ジャグリングサークルBack Barのジェミニさんがいらっしゃっていたことであり、筆者学生の時以来の邂逅、勝手に楽しくなってきたのでインタビューのようなことをさせてもらった。もちろんジェミニさんから週刊PONTEへの掲載OKももらっている。
ご存知の方も当然いると思うが、ジェミニさんはあまりこういうイベント事に来るイメージの人ではない。upしてる動画の背景のほとんどが、あの謎の遊具のある公園だし、そこに他のジャグラーが写っていた試しもない。もしかしてWJDは毎年来ていたりするんですか?
「まさか(笑) 今回が初めての参加です。学生の頃は練習場所に行けば誰かしらいたのでわざわざ外に出なかったんですが、今は土日の公園練のみで。そうしてるとだんだん、自分の他にジャグリングなんてやってる奴いるのかなって気持ちになってくるんですよ(笑) 今日はきんまめさん含めスティッカーをたくさん見れて安心しました」
だいぶ追い込まれた思考をしていたようだ。大丈夫、スティッカーはいなくなるどころか着実に増えている。なんならジェミニさんみたいにバックサイド系の技を練習してる白テープの人も散見された(注: 名札テープの色が白はジャグ歴1年、黄色が2~9年目、10年以上は赤)。ジェミニさんは最近はどんな技をやっていますか?
「相変わらずバックサイドを使った技ばかりです。バックサイドのデュアルもだいぶバリエーションが増えてきました。最近習得できそうなのは、ワンハンドスティックのバックサイドとフロントサイドの両方でプロペラをやるやつ、個人的にワンハンドDPと呼んでます。最初はセンターに触れるタイミングを同じにしていたんですが、それだと上手くいかず、フロントとバックサイドで半テンポずらすイメージでやり始めたら、あ、これはできるやつだ、という感覚が出てきました」
ジェミニさんはそう言いながら実際にやって見せてくれたが、確かに形になりつつある。まだヨタヨタと不安定な印象はあるが、むしろそれがデビルスティックの今の最先端を感じさせる。DIでバックサイドとフロントサイドを(アシンクロで)交互に入れ替える技を数年前見たときも、やはりそこに安定感はなかった。今となってはクライマーという名前でジェミニさんの名刺代わりの技となっている。ワンハンドDPが安定する頃にはまた次の最先端が不安定に萌芽していることだろう。
(次号につづく)
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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。私もデュアル頑張ろう、というところからが嘘です。好きなジャグラーは特にいません。
◆寄稿募集のお知らせ◆
週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-最近、仕事を一つ、やめる決断をしました。別に、そのあとの算段が立ったからではありません。ただ、一回離れてみたいと思ったのだと思います。その決断をした自分と、今キーボードを打っている自分とあまり統一性を感じられないので、どうしても「こういう考えなんじゃないか」というようなことしか言えないのですが。はい、でも、大丈夫みたいです。重要な決断をするとき、妙に楽観的になることがあります。まぁ、「いざとなったらこうすれば生きてはいける」みたいな選択肢が、山ほどあるという自信もまたあるみたいです。
-僕らは生きていくことを難しく考えすぎてしまうことが多いですね。
-きんまめさんみたいに、自由気ままになるのが一番です。
-そうそう、でFujiくんが書いているように、今年はEJC2019 in UKのあと、エディンバラに行ってみようかと思っているんです。イギリスは、あまりちゃんと回ったことがないので楽しみです。
-一個一個の決断に対して、その失敗、成功にこだわらないのが楽しく生きるコツかもしれないな、と思います。
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)
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