週刊PONTE vol.166 2022/01/17

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.166 2022/01/17
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…投げないふたり Season2 第3回「好きがひろがるとき」

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

◆ジャグリングの雑想◆ 文・青木直哉
投げないふたり season2

第3回「好きがひろがるとき」

東京駅の向かいにある大型書店・丸善本店。その3階に、小綺麗なカフェがある。
青木はレモネードを、大吾さんはサイフォンで淹れたコーヒーを飲みながらの対談。
大きな窓側のカウンター席からは、電車が往来する様子が見える。

青木直哉(以下N) 今日は、昔どんなジャグリングが好きだったか、という話から始めたい。

板津大吾(以下D) なおくんはどう?

N ジャグリングを始めた2006年ごろは、ナンバーズジャグリングを普通に好きで見てたなぁ。トーマス・ディーツとアイヴァン・ペセルが一緒に作ってたビデオとか好きでした。ヴォヴァ(・ガルチェンコ)とかもまだまだ現役だったし、まぁ、他にどんなジャグリングがあるのかもよく知らなかったし。

D EJCのビデオは?

N ああ、そうですね。2007年ぐらいにYouTubeで公開されたEJC2006のコンタクトジャグラーのコンピレーションビデオが好きだった。あれを観てコンタクトジャグリング始めましたよ。Matt Hennem さんというのがいてねぇ、実に格好いいジャグリングをするんですよ。

D コンタクトジャグリングで言うと、自分は”IN ISOLATION”(2006)にやっぱり影響受けたよ。あれは、ちょっとジャグリングに飽き始めていたジャグラーの心を刺激したんじゃないかと思う(笑)。

N DVDを2019年のEJCのフリーマーケットで買ったけど、まだ観てないな……。

D そうそう、ウェスが出した”Expectations”(2008)っていうビデオあったじゃん。これを観た時も衝撃だった。ドキュメンタリー的というか、ウェスの衝動が切り取られている感じでさ。ジャグリングシーンとしても転機だった可能性はあるかなと思う。この作品以降、なんというか、ビデオ合戦みたいなのが始まったというか……。でも自分にとってこのビデオの何がよかったのか今考えてみると、それはスウェーデンの景色とか、気配とか、そういうものだったんじゃないかなとも思う。こういうところ行きたいなって憧れたよ。

N うん、それまでのジャグリングビデオとはちょっと違う質感でしたね。編集の仕方とか含めて。ピーポットビデオとかの流れもあるんでしょうね。

D トーマス・ディーツとかWJFに出るようなジャグラーがナンバーズジャグリングのような「技術」で見せてきたものがあって、そのさらに先で何を見せられるんだ、これ以上の面白さってなんだろう、っていうのの、ひとつの答えだった気がする。

N なるほどね。なんか、DOCH(スウェーデンのサーカススクール、現SKH)に入って以降のウェスのビデオの作り方に影響されている人は多いと思う。日本でも世界でも。まぁ、僕もあの「北欧スタイル」にはやっぱり憧れましたよ。無駄に短いセクションをリピートする感じとかね。

D 思ったんだけど、なおくんが外国のジャグリングに関心ある感じと、外国語が好きなのって、関連あるの?

N (しばし考える)どうだろうなぁ。欧米にいつか行ってみたい、っていう憧れは人より強かったかな。ジャグリングは、モチベーションのひとつではあった。高校生の頃から、海外のジャグラーとはたまにやり取りしてましたよ。セリアナっていうオランダ人のディアボリストに、YouTubeでメッセージを送ったことがあって。他愛もないことだったんだけど、ちゃんと返信もくれてね。いつか会ってみたいな、って思っていたら、その5年後には、オランダに行ってその人の家まで案内してもらってました(笑)。ミッフィーの作者のディック・ブルーナさんのアトリエの向かいに住んでて、ディアボロいっぱい飾ってあった。

D いやあ、すごいなぁ。

N EJCにも結局「一生に一度でも行けたらいいな」って思った4年後くらいからほぼ毎年のように行ってますしね。外国語学習との相関性はかなりあると思う。実際に使えるっていう現場を体験してるし。

D なるほどねぇ。……なんかさ、海外のジャグラーの動画ってさ、何がいいんだろうね。

N あの、もう単純に、Tシャツとか似合うよなー、っていうのは思う。

D いや、それ、実は自分も全く同じことを考えてたんだよ(笑)。欧米のジャグラーってただTシャツ着てジャグリングしてるだけでサマになるんだよな、って。こっちが言おうと思ってたけど、なおくんの口から出てきた。

N うん、まぁ「洋服」を何も考えずに着た時には「洋」の人の方が確実に似合うだろうな、っていうのは日常的に感じる(笑)。でも、そこで日本には日本なりに折り合いのついた格好の良さってあるんだ、っていうのを示したのがたとえば、山村佑理くんかなと思ったりもする。

D 佑理くんがシーンに与えた影響は大きいよね。自分もめちゃくちゃ影響された(笑)。

N うーん、なんかこうして振り返ると、入手できるビデオの変遷もあるけど、自分の好みもずいぶん変わっているかな、っていう感じもするな。そもそも今ジャグリングのビデオ、あんまり見ないし。

D なんか思うのは、初めのうちは、7ボールとかの動画見るだけでも、「一体7ボールできるってどんな感じなんだろう」と思ったりするじゃん。ジャグリングとの関わり方だって、ただ技を練習するだけで面白い。でもだんだん、実際にできることも増えていくから、やっぱり感覚は変わるよね。3つのディアボロを回せるってどういう感じなんだろうとかも、もう分かるじゃん。だから、だんだん自己探求の方に寄っていくのかな、とも思う。

N ああ、そうだなぁ。僕もなんだか、動画とか数多すぎちゃって、逆にシャットアウトしたい感じですからね。それで、とりあえず確固として向き合うことができる一つのものが、「自分」なので、「ジャグリングへの関心」が、自分とジャグリングとの関係、っていう、なんていうか、深い部分に入っていきますね(笑)。

D そうだねぇ、数少ない情報を求めていた昔とは正反対だ。

N 本当に。

D そうそう、でも昔のいいものを探すのもいいな、って思う。それこそ、いつの時代も変わらずいいジャンル・オブ・グッドを探す、みたいな。自分が目黒陽介さんのディアボロの演技を昔見た時も衝撃を受けたけど、なんか、その時にそれを見た、っていうのも大事だなと思っていてね。とにかく、自分のことと共鳴するのが大事なんだよな、って思う。今の世の中での盛り上がりは関係なく、自分の心と共鳴するものはたくさんあるんだろうなって。それは自分の仕事の上でも考えることだよね。

N いやー、そうですねぇ。マイケル・モーションとか、ジョン・ギルキーとか、いつ見ても、ずっといいしなぁ。最近亡くなってしまったジョセフ(Joseph Viatte)の作品も本当にいい。なんかこう、いつになっても振り返った時に「いい」と思えるものって、土台がない頃に考え抜かれて作られたものだ、っていう感じもする。

D ああ、それはあるね。ジャグリングが拡がる時に立ちあえるっていうのはいいよね。それで、ジャグリングっていうジャンルの拡がりもなんだけど、最近は個々人のジャグラーが、自分の好奇心に従って自分のやりたいことをやっている感じもあって、その拡がりにも関心があるな。

N そうですねぇ。PONTEはそういうものを肯定していく存在でありたい。まぁ、とにかく今はこういう対話を続けていきたいかな。
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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
小走り
https://note.com/daigoitatsu/n/nd454f218d570
「自然と小走りで移動していて、この忙しさは楽しいなと思う。」
(記事本文より)
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-対談のSeason 1 をまとめた本が徐々に形になってきました。

-先週の後記で書いていた新潟県十日町市船坂で、雪かきを手伝った古民家ゲストハウス、最高でした。こちら(http://guesthouse-yamaneko.com)猫が7匹いました。

-やまねこは、この村の暮らしを守っていきたい、という想いで営業されています。まずはその暮らしを知るところから、ということ。まだ3日間しかいなかったので僕自身は暮らしの詳細について何も言えませんが、とりあえず、毎日豊かな温泉に入って至福でした。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (PONTE)

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