週刊PONTE vol.152 2021/10/11

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.152 2021/10/11
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第16回「オレたち道具族 – JJF2021チャンピオンシップ感想」

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第14回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉

第16回「オレたち道具族 – JJF2021チャンピオンシップ感想」

10月9日(日)に行われた、JJF CS(チャンピオンシップ)を観た帰り。どこもお店がやっておらず、ぶらぶらと歩いて代々木公園まで行って、コンビニの食べ物をつまみながら話す。

青木直哉(以下N)
JJF CS、良かったなー。大吾さんも僕も、案の定、始まる前に少し緊張してましたけど(笑)。いざ会場入りしたら、昔から知っているジャグラーも思ったよりたくさんいたし、話もできたから楽しかったな。

板津大吾(以下D)
そうだねー。

N
久々の JJFはどうでした?

D
やっぱり生で見るジャグリングっていいなぁ、っていうのが最初の感想。一番初めの、ポイの高橋由季乃さんの演技が始まった時、感動しちゃったよ。ああ、始まったなぁ、って。演技前のコメントの「女子個人部門存続、守りました」っていうのも、グッときたしね(青木註:高橋さんが舞台に上がらなかった場合、出場者がゼロだったため)。

A
生でジャグリングを見るっていうことの魅力ってなんなんでしょうね?

D
なんだろう、一個言うと、ジャグリングって、道具の音が聴こえるものなんだ、というのがあるね。動画だとこれは一切聞こえてなかったんだな、ってハッとした。些細な音だけど、クラブの質感とか、ディアボロ柔かそうだな、とか分かるよね。演技前にディアボロを置く音とかでも。

N
確かに。たとえ舞台上で離れて見ていても、ちょっとしたことで感じる臨場感はあるよなぁ。早送りもできないし(笑)。

D
ひもが長いなぁ、とか、ボール意外と小さいな、とか、そういうことを五感で感じるもんなんだなって思い出した。

N
演技の最後、音楽が鳴り止んでいるけど、最後の技を決めるために、みんなで静かに見守ってる時の道具の音とかね。

D
緊張感あるよね。ジャグリング道具って、人が操ってるんだよな、って思うよ。そうそう。なんか自分はさ、優勝したまさひろくんの演技見てる時なんか、手に汗握っちゃって、動悸が止まらなくて(笑)。

N
まるで自分が舞台でジャグリングしてるみたいな気分になっちゃいますよね。同じ空間で、一回限りの挑戦を目の当たりにしてる、っていう面白さはやっぱりジャグリングのひとつの醍醐味だな。

D
まさに。

N
なんかあと、いつもは運営、取材、出店に関わっているからそれも頭の片隅にありながらの観覧だけど、今年はただの参加者だったから、観ている時の気持ちは違った。

D
イベントもないから疲れてないしね。

N
そうそう、割と心身万全な状態で見られた。それも新鮮だった。

D
あとは出場者の人たちみんな、やっぱすごくいい意味でジャグリングバカというか、「あんたら好きねぇ」みたいな感想が素朴にあるよね。

N
わかるわかる。なんか、いや、語弊を恐れずにいえば、「こんなニッチな道の追求にこんなに時間をかけたなんてなぁ……」っていう呆れのようなものが、JJFの本質ですもんね。たとえば延々とクロスした腕でシガーボックスをやるxkさんなんか、もう、変な方に突き抜けててむっちゃ面白い。「あー、これこそ俺の知ってるJJFだ」って思って終始ニコニコしてた(笑)。同時に、これを見て興奮してる俺自身も、やっぱりジャグリング大好きなんだなぁ、って久々に確認できた。

D
あんな身体に悪そうな姿勢でよくやるなぁ、とかね(笑)。本当にすごい。ディアボロの人がものすごく繊細に制御する感じとか、もう、みんな道具に触れること、操ることに偏愛がある、「道具族」なんだなぁ、って思ったよ。自分も、チャンピオンシップに通るような人たちとは方向は違えど、このあたりを軸に繋がってるんだろうなぁ、と思った。

N
そうですねえ。

D
あとは、なんかジャグリング関係ないんだけど、トイレ行く時に、すれ違うジャグラーにいつどうやって挨拶しようか、とか考えてこわばっちゃう感じも久々に経験したね(笑)。

N
むはははは(笑)! ……あー、けど、周りを見ていて、もう本当に、世代は変わったなと思ったなぁ。20歳前後の人たちの価値観を大きな柱にしているのが、JJFなんだな、って思った。出場者もほとんど歳下だしね。

D
それはそうかもね。

N
受賞式の時も結構アツいドラマがあってね。僕らもいわば「ジャグリングの青春」をJJFで過ごしたわけだけど、それがこうやって流れていくんだな、なんか、これ自体もサークルみたいというか、新しい世代の受け皿としてつながっていくんだなぁと肌で感じて。

D
まぁ、一方少しさびしい気もするけど、けど、いつまでも若い人と同じ感覚でいることもおかしいしね(笑)。けど、JJFは、ある意味そういう「JJF」っていうクラシックな形として、いつまでもあるんだな、って思って安心するよね。そこに何年経っても、古参の人たちもそれなりの距離感で笑顔で参加しに来て、「元気してる?」って確認しあってる感じも、すごくいいね。

N
うん。改めて、ジャグリングとはずっと関わり続けたいな、って思ったなー。こちらもこちらで、馴染みの顔がまだあると「あ、まだジャグリングに関わり続けてくれてる」みたいな安心がありますしね。また僕らは僕らで、全く新しいコミュニティを作れたらな、とも思った。なんか、こういう同志が集まれる場があるって気持ちいいことだなーって思えたから。

D
きっとJJFが生まれた時も、そういうふうに思った人たちが、ゼロから集まりを立ち上げたんだもんね。

N
うん、まさにね。みんなが顔を見られる距離で集まれるっていいもんだ。

……今週は、以上。

-ビーンバッグ製作記 https://note.com/daigoitatsu/m/m9f260c83e48b

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
長い目の妄想
https://note.com/daigoitatsu/n/n1454de02c7d0
「本当に長い目でみると、もしかすると、あと数年-5年くらいで、僕の道具づくりは一旦完成するような気もする。あとはこのジャグリングというもので、楽しく、いろんな関わりをつくれたらいいな、とも思う。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第14回

「堀の外のジャグリング」(2006年公演)(以下、堀ジャグ、と表記します)で課したルール
”一つの道具で10分間の演技を披露する”
について。

結果を先取りすると、このルールは公演のクオリティとしては機能しなかったように思います。
実際、当日来場した加藤邦道さんは、
”斬新な企画はいいと思うけど、各芸人がそれを消化しきれていないのもまた事実だった。10分という、1種目としては長い時間をもてあましていた(ように見えた)。結果を出すには同じテーマで多くの経験を積む必要があるだろう。そうして初めて「堀の外」に出られるのだと思う。

と残されています。
- Going One Way 2006/6/24の記事より
https://www.7131.jp/cgi/view_diary.cgi?item=200606

一方で、PONTE編集長が、週刊PONTE vol.150 2021/09/27
https://jugglingponte.com/weekly/ponte-weekly-vol150/ にて
“「ひとつの道具で10分以上のジャグリングを演じる」と言っても、今はそこまで突飛なことに聞こえません。”
とコメントしたように、今やジャグリングを(で)表現するひとたちにとって、このハードルを超えるのは当たり前のようにすら感じます。
ジャグリングに携わるひとたちの表現力の深まりと広がりが、うれしく、楽しい。

さて。
そんな現状を踏まえて、堀ジャグの背景について、もう少し書きます。
ジャグリングを舞台に乗せたい、という思いとともに、そこには先行する舞台芸能としてのマジックとの関わりがありました。

少し遡り2004年くらいまで、ぼくはマジシャンの村上正洋先生に師事していました。
先生が亡くなる前の一年ほどマジックに関わることになります。それっきりマジックと関わることはなくなりましたが、先生から芸能について学んだことは、ぼくの芸人としての生活に大きな影響を及ぼしました。

印象深い言葉の一つは(正確ではないかもしれませんが)
「10分の芸なら、技があればできる。
30分の芸なら、演出があればできる。
1時間の芸なら、物語が必要だ。」
です。
ちなみに、同種のことは、藤山新太郎先生の「そもそもプロマジシャンというものは」にも書いてあったので、芸能を突き詰めた時に大切な考え方なのだと思います。

この言葉が、堀ジャグに繋がって行きます。(続く)

◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-ジャグラーセバスちゃん氏が、過去(2001-)DEEP JUGGLING というサイトに投稿していた動画をまとめて Youtube に公開しています。かつて「JJF2021のチャンピオンシップ」と、セバスちゃん氏が築き上げた「DEEP JUGGLINGの世界」という2点は、20年という時を超えてすごく密に繋がっているんだ、という直感がガツンとあって、なんか、ちょっと興奮している。 https://www.youtube.com/watch?v=gTlRoqoMKA8

-しんのすけさんのマジックの先生のことば、シンプル、かつ、深い。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (PONTE)

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