朝6時半、10歳くらいの少年が公園でパイロンを置き黙々とサッカーの朝練をしていた。その背中はカッコよかった。負けないぞ、と思った。上手か下手かではなくて、やるかやらないかしか問題ではないんだ。僕はずっと身体を真剣に動かしたいと感じていた。だから踊ることにした。
僕は長いこと、ダンサーをやっかんでいたようなところがあった。身体だけ動かせばいいんだろ、道具が落ちる心配しなくていいんだろ、いいよな、観客だって好きなタイミングでじっくり見られてさ……。でも本当は、僕もそれをやりたいんだ、というただの羨ましさからくる感情だった。で、やりたいんだったら、やればいいのだ。その単純なことに全然気が付いていなかった。
バカだなぁ。
だから僕はジャグリングをしながら、ダンスもやることにした。でも、特定の、何のダンス、というわけでもない。こう動いたら意外で面白いかな、綺麗かな、と思うような動きを模索する、というただそれだけ。身体の動きを、見て面白いものにしたい、何なら動いている方も意外に感じて、面白いものにしたい、という目論見である。やってみたら、随分熱中してやれた。すごく久しぶりに、ジャグリング道具を持って動くのが楽しいな、と思った。これは、積極的に丁寧に時間をかけて、でも少しこっそり、解決してみたい問題である気がした。僕はこれなら、楽しい。
これは別に特別なジャグリングを作ろうとしているわけではない。ただ、身体が躍りたがっていたのをずっと無視していたから、それを叶えてあげる、というほうが近い。