5月16日(木)

 目を覚ましてリビングに行くと、テーブルの上にカタリーナの赤いリュックサックが置いてあった。仕事に行くところだった。行ってらっしゃい、と言ってカタリーナを見送り、僕は猫を撫でにベランダに出た。今日は早く家を出て、近所のカフェに行ってみよう。じっくり絵を描いてから、また家に帰ってきてポッドキャストを収録しよう。

 支度を終え、家を出て「今日よろしくお願いします」と大吾さんにリマインドのメッセージをしたら、もう仕事場にいるから、少ししたらできるよ、と返ってきた。少し迷ったのち、先にやっちゃおう、と思って家に引き返す。

 リビングの机で、オーストラリア最後のポッドキャストを収録。ワークショップのことについてたくさん話した。一ヶ月の間、きちんと毎週漏らさずにポッドキャストの収録ができたのはとても誇らしい。そして、毎回ラッキーなことにWi-Fiのあるきちんとした環境で収録ができるタイミングがあったのもよかった。

 終わったら10時半。昨日買ってきた食材でお昼を作って早めに食べてしまうことにした。トマトソースのペンネ。少しボリュームが足りないのでサラミをもしゃもしゃ食べる。たくさん作って、夕飯か明日の昼食にするつもりで冷蔵庫にしまっておく。それから改めて家を出て、インターネットで見つけた仕事のしやすそうなカフェへ。

 メッカ、と名のつくカフェで、もと工場だった場所を改装したお店だ。あたたかい陽射しが入り、ゆったりと雰囲気のいいところだった。2時間以上滞在して絵を3枚描いた。

 今日は美術館巡りをする。カフェから歩いて駅へ、またフェリー乗り場の駅まで電車に乗る。歩いてすぐのところに現代美術館があるのでまずはそこへ。

 僕は美術館に行った時、まず売店に行くようにしている。そこで、なんとなく美術館の傾向が掴めたりするからだ。この美術館は、インド製のカラフルな鳥のピンバッジに「JAPAN」と書かれたものが2ドルで売っていて、これはなんかいいなぁ、と思った。展示の面白さはそこそこだった。それからまた歩いて、シドニー博物館、ニューサウスウェールズ州立美術館、また別の博物館、と周り、そこでカタリーナからスペイン語でメッセージ。夕飯作るわよ、と。電車に乗って帰った。どれか一つ選べと言われたら、オーストラリアの入植の歴史を語るシドニー博物館がいいなと思った。アボリジニの人々が証言ビデオが興味深かった。

 家に着いたら、カタリーナがベイクパスタを作っているところだった。パスタにチーズをかけて焼いた、グラタンのようなもの。ビール飲む? と聞くので、もちろん、と答え、二人で冷蔵庫に残っていた最後の瓶ビールを開けてパスタと一緒に乾杯した。■