2月13日(火)

 目覚ましで6時起床。僕が起きるといつも猫がベッドの上にどどんと乗ってきて、匂いを嗅ぎ始める。まだ暗い。Tシャツを着る。洋服掛けには同じような色合いのTシャツが6枚かかっている。夜のうちに適当に1枚選んでハンガーにかけてある。パジャマを脱いでそれを着る。その上に同じく、ハンガーにかけてあるスエットを着る。昨日の夜に脱いで、姿鏡にかけてあるズボンを履く。靴下を履く。マフラーを巻く。リュックを持ってさっと家を出る。迷わない。もう朝はそこまで寒くない。

 6時10分開始。今日はディアボロから。オーストラリアのことが頭の中にある。どうワークショップをしようか、どう演技をしようか、と考える。で、未来のことを考えながら、朝のスッキリした頭でジャグリングをしていると、いいアイデア、いい言い回しが次々に頭をよぎる。これだ、と高揚した気分になる。メモをとる間も惜しい。頭の中では絶対うまくいくぞこれは、という自信に満ち溢れている。ディアボロと動き、という題のワークショップでこういう内容をやればいい。ラップしないで、どこまで動けるか試していくような内容だ。あとは、「自分を驚かす」という概念。いいぞ! ……湧き出すようにいいアイデアが流れ出している。でも、そのほとんどは忘れ去られる。今書いたようなことは、たまたま覚えていられたこと。でもその周辺に、99の思いついたことがあった。たぶんあったはず。あったかどうかも覚えていない。全部忘れる。そして、あとになっても覚えていたとして、実行に移してみたら、思っていたほどいいものでない、ということばかりだ。思いついた瞬間には、これで全部上手くいく、画期的だ、と思えることも、すべて、時間が経ってみると極めて凡庸な考えなのだ。それでも、身体を動かしながら何か面白いことを思いついた瞬間はおもしろい。

 さて、今日はバッククロスが人生で初めて5回続いた。明らかに上手くなっている。じわりと体の奥から喜びが込み上げてくる。15歳で初めて5ボールを20キャッチした時の、思わずひとりで笑っちゃった時の感覚を思い出す。嬉しい。練習して今までできなかった技ができるようになった、という実感は、忘れない。6時40分に上がる。■