週刊PONTE vol.150 2021/09/27

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.150 2021/09/27
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉/板津大吾…PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙 第14回「JJFのこと」

・ハードパンチャーしんのすけ… 日本ジャグリング記 舞台編 第12回

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

◆PM & PONTEのジャグリングセッション または瓶に詰めた手紙◆
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉
第14回「JJFの思い出」

今週はリモートで対談。
JJF(ジャパン・ジャグリング・フェスティバル)開催が間近に迫る(10/9,10)。

青木直哉(以下N)
JJF2021がもうすぐですね。

板津大吾(以下D)
残念だけど、今年は練習会がなくなっちゃって、チャンピオンシップとゲストステージだけだね。

N
初めて行ったJJFっていつでした?

D
大阪の…2005年?

N
僕はまだジャグリング始めてないや。

D
その年のチャンピオンシップは「空きがあったら当日券が買えます」ということだったんだけど、結局買えず、見られなかった。

N
えー、そうなんだ。1人で行ったんですか?

D
いや、近所の友達と2人で。なんか、4ディアボロハイトスが少しできる、みたいな同世代の人がいて。

N
え、当時で! すごいな。

D
今はもう疎遠になっちゃったんだけどね。僕らをつなぐ「ジャグリング」という綱が、当時の2人を大阪に…。

N
ふふ(笑)。

D
予選は体育館でやってたね。本番は見てないけど、予選の一部は見た記憶がある。

N
今じゃ考えられないな。全部ビデオ予選だから。

D
そういえば、当時広幡さんがやっていた「ジャグリングなんでも道場」ってすごくよかったと思うんだよね。

N
ありましたね。どんなでしたっけ?

D
いろんな珍しい道具を試せたり、初歩的なジャグリングを教えてくれたり、初心者でも気軽に入れるコーナーだね。上手い人の輪には入れないけど、こっちで適当に道具を触っていれば時間を過ごせる、っていうのがとてもよかった。

N
なるほどねー。

D
人によってはさ、ジャグラーがいっぱい集まるJJFに行ったはいいけど、体育館で時間を過ごすのがなんとなく難しい場合もあると思うんだよ。自分がそうだったから(笑)。

N
たしかにね。

D
だからね、PM Jugglingで初めてJJFに出店した時から、頭には「なんでも道場」のイメージがどこかにあって。なんというか、無意識に参考にしていると思うんだよね。

N
えーっ、そうだったのか。確かに、PM Jugglingのブースではいろんな道具が雑多に気軽に試せますもんね。

D
そうなのよ。ああいうのが救いになる人も、中にはいるんじゃないか……と希望は持ってるんだけど。なおくんが初めてJJFに行った時はどんな感じだった?

N
僕は2007年の静岡が最初。16歳の時。高校の同級生1人と一緒でした。デビルスティックが上手なオオノくん、っていう友達。彼とももう疎遠だなぁ。もうジャグリングはしてないだろうな。

D
そんなもんだよね。

N
初めてのJJFは、ネットでしか見たことのない憧れの人に会えて、すんごく楽しかった。「ジャグリング練習日記」を書いていた西村さんとも会えたし。ジェイともちょこっと話した。

D
話したんだ!

N
「サインください」って言って終わりだけど。正直どんな人なのかもよく知らなくて、行く前にYouTubeで調べて、あ、有名な人なんだ、って認識したくらいで。

D
まさか7年後に彼を卒論の題材にすることになるとは知りもせず……。

N
ホントにね。初めてのJJFは、7ボールや3ディアボロを生で目撃した最初の機会。海外ゲストよりは、そっちの方が衝撃だった。

D
「初めて見る」っていう体験も、当時のJJFにはいっぱいあったね。JJFに行くと、見たことのないものが見られる、っていう感覚があったね。

N
うん。そういう意味では僕にとっては、2008年の神戸がピークだったな。KOMEIさんがダグルスタイルを初めて披露して、チャンピオンシップで優勝した年。感激してうっすら泣いちゃったな。あとは、JJFを理由に地方まで出かけるのが楽しかったなぁ。

D
そうねえ、自分は「旅行」の部分はそこまで重点ではなかったけど。でも2006年だっけ、東京で、ドイツ人ジャグラーのトーマス・ディーツに会えるって時はもう、めちゃくちゃ興奮しちゃった。大スターに会う気分だったよね。

N
当時ナンバーズジャグラーと言えばまず名前が上がる人でしたもんね。今でも現役だけど。

D
こんなビデオカメラ持っていってさ、ずっと撮ってた。「あれがトーマス・ディーツか……」って。

N
いいなあ(笑)。

D
体育館に荷物を置いておくゾーンがあるじゃん。そこから出られなくてさ。

N
え?

D
いや、あの、特に上手い道具もないし、友達もいないから、なんか練習スペースに混ざれなくて。だからずっと荷物置き場に立って、ゲストのジャグリング撮ったり、全体を観察するだけのジャグラーになってた。

N
ふふふふ(笑)。

D
昔は、板橋にあるジャグリングショップのナランハに行くだけでも緊張しててね。店に向かう前にまず駅のトイレに入って、呼吸整えてから行くぐらいだったよ。今思うとなぜ緊張してたんだろうな。

N
今とはいろいろ違いますね。

D
けど未だに、JJFに行く時は緊張するよ(笑)。なおくんの場合は逆に、「日本のジャグリングイベントで大興奮していた」っていう様子を想像するのが新鮮。

N
それは……そうかも(笑)。

D
当時、ジャグラーの友達はいたの?

N
JJFにも、YDC(横浜大道芸倶楽部、野毛で大道芸を練習する人たちが集うサークル)の知り合いはいましたね!

D
その辺から自分とは出発点が違うなぁ。

N
けど今みたいな海外の経験なんてゼロだし、高校生だし、起こることにいちいち驚いて、揺さぶられてましたよね。2007年に見たジェイの演技とか。道具をぶん投げて、緞帳とか照明にぶつけまくってて。「Jayが怒り狂っていたが、あれは本気だったのか」と当時のブログに書いています。怖かったな。

D
ジェイ、変わってない(笑)。

N
2007は、ジャグリングしながら街を練り歩くパレードも楽しかったし、2008では、ウェスと一言だけ交わしたのが印象的だった。”Where is Tempei?”(荒川天平さんはどこ?)って聞かれて、「多分あっちだと思うよ」って返したんですよ。……いや、無理やりこっちが”May I help you?”とか話しかけたんだったかな? それだけですごい嬉しかった。

D
そんな時代もあったのね。

N
「ウェス来るぞ、ウェス来るぞ……」と思いながら、頭の中で英語のセリフ繰り返して、構えてた。

D
やや下って2014年からは、自分もPM Jugglingで出店したけど、その一角でPONTEとしても出店してたね。

N
しましたねー。初めての経験だったな。あの頃はすでにEJCにも2回行ったあとだったから、完全に感化されてた。店番をろくにしないで、ブースの前でカホン叩いてたり、ウクレレ弾いてたり、好き勝手に振る舞ってたな……。あの年はイタリア、シンガポールとかから来たジャグラー友達も多くて、ゲストのエティエンとも一日中一緒にいて、気分は海外イベントだった。

D
でもその辺りからなおくんはゲストのアテンドしたり、自分はワークショップの統括したり、運営側として参加することもあったね。

N
そうだなぁ。「サインください時代」とか、「観察ジャグラー時代」と比べるとまるで変わりましたね(笑)。

D
振り返ると色々出てくるね。

N
特に2008年までの興奮はなんていうか、青春だったな。今では、ジャグリングイベントも増えて、インターネットでもいろいろ見られますね。けどしかし。「ジャグリングの世界そのもの」を初めて知って、「こんなスゴイもの、あったのか!」と感じる興奮は、今の時代でも変わらずあるでしょうね。

D
そうだね。今までジャグリングとは関係なかった人にも、そのワクワクの一端を届けるようなことができたら、お互いすごく嬉しいよね。

N
ね。だいごさんは道具を売ってるから、その点、かなり大きな役割を果たしてますね。PONTEも、そういうきっかけのひとつになれたらいいな。

……今週は、以上。

-編集長が泣いた、KOMEIさんJJF2008チャンピオンシップの演技→ https://youtu.be/kGxGyaSWWkM

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
つくることと、送ること
https://note.com/daigoitatsu/n/ne5de08183b6f
「最近あまり仕事ができていなかったのもあり、道具が立体的に立ち上がっていく様子に安心感をおぼえる。」
(記事本文より)
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◆日本ジャグリング記 舞台編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ

第12回

「堀の外のジャグリング」(2006)の準備が始まりました。
舞台をつくる時
・舞台側
・客席側
の二つのチーム、そして、それをまとめる人間が必要です。まぁ、今だから言えることですが。当時はほとんどわからず、手探りで進みます。

この時期、ぼくは大道芸を中心に活動し、同時にインプロ(即興演劇)も行っていました。その中で、公演に参加させてもらい、客演としてジャグリングなどをしたり。舞台公演をつくることを現場で感じたことが、自分で舞台公演をつくる上で、とても勉強になりました。

そんなことを踏まえて、出演者(舞台側)、裏方スタッフ(舞台側・客席側)を決めて行くのですが…

それぞれに協力をお願いするにあたり、「どんな公演をするのか」を明確にしないと話ができません。そこでタイトルを元にした公演の方向を決めます。

「堀の外のジャグリング」は、大道芸のジャグリングを越えることを念頭においていました。そして、オムニバス公演の形を取ることにしました。
そこで
「ひとつの道具で10分以上のジャグリングを演じる」
ことを、出演者のひとたちに課します。
3分から5分程度ならば、当時の大道芸でも音楽に合わせて披露されることはありました。けれども、10分以上のものになると、ただ技を見せるだけでなく、演目としての「流れ」が必要になってきます。そういう観点でジャグリングを見せているひとは、ぼくの周りでは知る限りおらず、堀を越えて行くには、良い課題だと当時思ったのです(そして、その難しさも実際に行って感じます)。
この趣旨に賛同してくれた7組のジャグラー(+ゲスト2名)が出演になりました。
ちなみに出演者は(敬称略)
・Chie(デビルスティック)
・マジカルTOM(ディアボロ)
・鶴岡アキラ(クリスタルボール)
・ひぃろ(ハット)
・目黒陽介(ディアボロ)
・SOBUKI(クラブ)
・矢熊進之助&江草啓太(デビルスティック)
合わせてゲストとして、パントマイムのじぇーむす今川(編集部註:文字化けしてしまうため、やむなく波線であったところを「ー」に変換しました)、そしてピアニストの江草啓太が出演しました。
この辺は、後日稿を改めて。

さて。
舞台は出演者だけでは幕が開きません。
次は、舞台を動かしてくれるスタッフ集めです。

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☆編集長コメント☆

「ひとつの道具で10分以上のジャグリングを演じる」と言っても、今はそこまで突飛なことに聞こえません。
この15年で、技のバリエーションは増えたし、見せ方の参考になるものも増えた。
逆に言うと、今「ジャグリングだけで堂々と見せ切る」ことが普通に聞こえるのは、まさにこういう、しんのすけさんの活動しかり、先達の方々の試行錯誤が下地になっているに違いない。
世界を見渡せば、ジャグリングだけを見せる作品、って当時でも当然たくさんあったと思うのですが(例えば、ガンディーニ・ジャグリングは1992年からカンパニーとして舞台作品を発表しています)日本はたった15年前でも、「舞台上でジャグリングをする」ことにかけてはまだまだ未開拓だったんですね。
それが今、世界でも有数のジャグリング大国のようになっており、ヨーロッパの「サーカス」とは全然別で、独自の方向性も生み出しています。

◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-欠かさず寄稿してくださっているしんのすけさんが先日、誕生日を迎えられました。ワーワー。

-PONTEのメルマガ「週刊PONTE」は150回を迎えました。ワーワー。

-先週紹介した商品「FLIKCUBE」。その開発秘話が公開されました。一般向けに書かれていますが、ジャグリングの少しディープな部分にも触れています。ルンルン。 https://note.com/aoki_tent/n/nd9aa3707d1c8

-Misakiさんが最近「コラージュ」の概念とジャグリングを引きつけています。これじゃん。Instagramの投稿も必見。
note: https://note.com/misakifukuda/n/n61164497ae19
IG: https://www.instagram.com/p/CUIJC6mv5BF/?utm_source=ig_web_copy_link

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (PONTE)

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