週刊PONTE vol.88 2020/07/20

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.88 2020/07/20
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第72回「#1000daysofdiaboloがつなげるもの」
・Fuji…第88回「200突破」
・ハードパンチャーしんのすけ…日本ジャグリング記 黎明編 第15回
・斉藤交人…釣り日記 ヘ
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第72回「#1000daysofdiaboloがつなげるもの」
Instagramで、#1000daysofdiaboloという企画を終えるところである。1000daysofdiaboloとは何かというと、1000日間、毎日ディアボロの動画なりなんなり何かをアップロードする企画である。
このメルマガが送信される今日でちょうど1000日目を迎える。
今日はその企画について、少し書いておく。
先に言っておくと、今これを書いているのはメルマガが出る4時間半前、7月20日の朝3時30分からなので、おそらく飛躍の多い「勢いのある」文章になってしまうと思うのだが、ご容赦いただけたら幸いです。
始まりは、シンガポールに滞在中英語でジャグリング練習の内容を説明する動画をインスタに載せるの、なんかいいな、と思ったので、それを始めたこと。
当初は何日間か、続く限りできればいいと思っていたのだが、初日にコメント欄で、「やったー、1000日Naoyaだ」と言ったイスラエル人の友人がいた。
それで、ただ、その何の気なしに発せられたコメントを実行してやろう、と思っただけのことである。
僕自身が意を決していきなり1000日に設定したわけではない。
友人が冗談で言ったことを「ノリ」で引き受けて今にいたる。
でも結果として、「よし、1000日やったるぞ」と、固い決意みたいなもので始めなくてよかった気もする。
「続けたら達成感があるはずだ」とか「1000日も何か続けたらきっと自分も嬉しいし、対外的にも『すごい』と言われるに違いない」とか考えてやると、つまり何かを得ようとして1000日間、というのは続かない。
僕だったら続かなかった。
ちょっとやる気が落ちてきて、続くか怪しいぞ、という時に、「でもやらなきゃ」と無駄にプレッシャーがかかって、でもその面倒くささを乗り越えられない自分をきっと見下すであろう周りの人を想像してしまって、嫌気がさして(ここが一番障害である)却って足が止まってしまうのだ。
はじまりの期待はなるべく低い方がよい。
僕が#1000daysofdiaboloで行う内容は少しずつ変わっていき、当初はぜんぶ英語で説明しようと思ったが、すぐやめて一発技集のようになったり、日記のように作用したり、ただアイデアを紙に書いたりした。
一回、苦し紛れにラーメンの画像を載せたこともあった。
紛れてもなかった。
終始テキトウだった。
でもそれがよかったのです。
よかったんです、テキトウで。
さて、僕はこの企画で何を得たか?
技が上手くなったかというと、謙遜ではなく、ほとんど進歩はない。
初日に思いついた技をやったけど、見事に全然できなかった。1000日も練習期間があったのに。
むしろ技術的にはやや退化しているんじゃないかという気すらする。
でも、内容にかかわらず、1000日が近くにつれ、いろんな人がコメントをくれた。
すべて「1000日もうすぐだね!」「楽しみだ」「よく頑張った」「すごいね」という主旨のコメント。
たぶん、みんながみんなしっかり動画見ていたかというと、絶対そんなことないと思うんだけど、でもそれでも、そこにすごくささやかだけど、「祝福すべき空気」のようなものが生まれている。
これは、僕自身もなんだか人ごとのようで、むしろ一緒になって「いいねいいいね」と祝いたいと思う。
ただ僕がだらしなくディアボロを1000日続けていただけなんだけど、とにかくみんな盛り上がってくれている。
でも、今回大事だったのはそこだと思う。
このプロジェクトを通して、みんなが乗っかれるリズムが生まれたということである。
そのリズムに途中から乗ってきてくれた人も、途中で外れた人も、初めから最後まで乗ってくれた人もいた。
しかしとにかく「1000日間、リズムを作りきった」ということにほんの少し、意義があったと思う。手前味噌でこんなこと言うのもじつに恥ずかしいですが。
でも、たしかにそこには一つ、#1000daysofdiaboloを軸にして僕が語れるストーリーがあるんです。
いっとき熱心にいいねをしてくれたけど今はもう連絡もつかない人もいる。
ずーっといいねをしてくれる人もいる。
ほとんどいいねなんかつけないんだけど、実は見ている人とかもいる。
人の流れを、目には見えないのだけど、感じる。
実際のビデオ内容の変化のリズムも面白くて、この日数のあたりではここにいたなぁとか、この辺、相当疲れてるなあとか、この辺、絶好調だなぁ、とか、この辺、なんか、急に別人になった、とか、いろいろある。
で、再び言うけども、その活動を通して、大勢の僕が好きな人が、ささやかにつながっている。
規模と価値は全然違うけど、みんながみる映画を作ったのと少し似ている。
#1000daysofdiaboloは、「ジャグリングがつなげる」企画だった、ということなのである。
…はっはっは。
さ、最後ちゃんと締めよ。
Instagram:Jugglernao
https://www.instagram.com/jugglernao
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☆勝手にPM!
【Weekly PM】#22:視野とユーモア
ダサさが淘汰されるコミュニティが僕はどうも昔から苦手です。
でも、苦手なんだけど、憧れもあります。
たとえば、ストリートダンスの世界とかさ。なんか、髪型とかちょっとダサいだけで、すごく言われそうじゃん。いや、勝手なイメージなんだけど。
なんとなく「見下されるんじゃないか」と。怖くなる。
でも、馬鹿にされるから必死でその感覚をヒリヒリと磨く世界にはやはり憧れがある。
まあそれはいいとして、グローバルなプロダクトの生産レベルでユーモアがあるのって、たしかに素晴らしいな。憧れちゃうよな。
多くの人を巻き込んでいるにもかかわらず、徹底的に自分が思う美や面白さのビジョンを他人にも要求して、追求できる人ってのはすごいよ。
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第88回「200突破」
相変わらずマスクはコツコツつくり続けてます。先月のレンタルスペースでは62枚売れていました。受注も含めればもっと。今月はそこまで売れそうにもないので、これからは質の良い生地で徐々に柄も減らし、セレクトした種類で製作していこうかとも考えています。多様な柄、サイズ、価格で提供するのに1人での手作りではいろいろ限界があるので。ただ、つくりはじめて2ヶ月経ちましたが、合計で200枚以上はつくりました。
ちなみに、手持ちのボードゲームも200個を突破しました。地味に増え続けていますが、お気に入りリストに入れているボドゲもだんだん減ってきたので、購入もおさまっていくと思います。ただ、積んでいるだけでやっていません…。やる人がいないのと、ずっと精神的ストレスでそれどころではなかったので。また楽しくできる時がくればいいんですけどね…。増えるだけのボドゲを見ていて、虚しくなってきます。
ボドゲは基本ネットで中古や安い物を探して買っています。ただ、いつもの購入店が「発送までの目安としてご注文受付日より1-21日(概ね12-14日)」って、長過ぎ…。国内なのになぜここまで長いのか不思議です。先日、メールが来たのでやっと発送されたかと思いきや「お客様の御注文を本日出荷する事が出来ませんでした」…。正直その丁寧さはいらなかったと、逆に笑えてきます。実際に注文から3週間くらい待って、先日商品が届きました。まだ残り1つ発送待ちです。
今は仕事のストレスよりも、同時期にすれ違いで生じた人間関係の方が心に大きな穴を開け、自己嫌悪や人間不信に陥ってます。その気持ちがある事でどうしても前に進む気力を失い、何もする気が起きなくなってしまっています。こんなにも弱く、臆病だったのかと自分が嫌になります。そして、楽しさを感じても、逆に虚しさを感じてしまいます。
何気なく生きていることへの不満足感から、やりがいや生きがいを求めていた時もありますが、改めて考えると、そう生きているだけでも恵まれた環境で不自由なく生きていたんだなと考えさせられました。基本的に口に出すことへのリスクを過剰に気にしてしまい、悩み事は自分の中に閉じ込めてしまう性格なので、家族を含め他人への相談もしません。読者の方々には申し訳ありませんが、唯一こうして文に書き起こす事で気持ちを吐き出しています。
ただ…今は虚無感にさいなまれ、生きるのに疲れました。うん、疲れた。
どっかで、生きがい拾わないと。
by Fuji
あっ、青木さんのインスタ「1000days of ディアボロ」
今日で1000日おめでとうございます。そして、お疲れ様でした!
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◆日本ジャグリング記 黎明編◆ 文・ハードパンチャーしんのすけ
第15回
ジャグリングは、かつて大道芸とイコールであった。
今でこそジャグリングの在り方は多様になっているものの、世の中の認識、さらには多くのジャグラーにとっても、かつては
ジャグリング=大道芸
でした。ジャグラーの技術向上に伴い、その認識は徐々に変わって行くのですが、その過程では多くのジャグラーのもがきがあったように思います。
「本当のジャグリング」を知ってもらいたい。
正確にはいつからかはわかりませんが、2000年頃からでしょうか、その気持ちがジャグラーの中に芽生えてきたのは。
その前史として、ジャグリングが大道芸であった時のことを数回に分けて書きます。
毎度のことではありますが、ここに書くことはあくまでぼく個人の印象であり、一面的な見方である可能性を頭の片隅に置きつつお読みください。
ぼくがはじめて「ジャグリング」を見たのは、やはり大道芸でした。その時にはすでに、マラバリスタの練習やらテレビでジャグリングは見ていたので「はじめて」と書くと正確ではないのですが、感覚としてはやはり、はじめて、なのでした。マラバリスタでは、新入生歓迎として、毎年春、野毛大道芸を皆で観に行っていました。当時はマラバリスタ関係者が何組か野毛大道芸に出演していましたから、応援の意味合いもあったのかもしれません。
はじめてみる大道芸的にショーアップされたジャグリング。大道芸人のネタを真似してジャグリングする先輩たちを見て、それまで正直「?」という感じだったのですが…うん、これは面白い!そりゃ真似したくなるわ。キレのあるジャグリングや、笑いに数々、観客を巻き込む展開。
魅了されました。
「牛飼い小出と牛くん」(今のダメじゃん小出さんですね)、デビット・クレイパッチさんが、その時は特に印象に残っているかなぁ。名前は忘れてしまったのだけれども、3ボールのクローをやたらキレ良くやる芸人さんが印象に残って、以来、クローは好きな技になったり。あの時間が、ぼくにとって大道芸の原点だったのだな、と改めて思います。
さて。当時、マラバリスタにはどんな大道芸人がいたのか。そんな話は、また。
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◆釣り日記◆ 文・斉藤交人

ジャグラーたるものTシャツは重要だ。群雄割拠する練習会で自分がどこに属するか旗幟を明らかにするのはコミュ障に残された唯一の自己主張だからだ。
そしてジャグラーが着ているTシャツはたいていしわしわである。
ほぼ全てのジャグサーでチームTシャツを作っている。これはそのサークルに属する人だけが手にすることのできる身分証明証や通行手形の役割も担っているのだ。どこかのサークルに遊びに行く時にも、さりげなく出身を示すことができる。これで健康保険や免許証の代わりもできるようになれば、マイナンバーよりも役にたつのは明らかだ。
このくらい大切なTシャツだからみんなその扱いには十分に気をつけている。大切なので、だいたいジャグリングの道具を入れた袋に一緒に入れて持ち運んでいる。ときには、道具が傷つかないようにカバーの代わりにしてくるんでいたりもするのだ。とても大切だ。
夏場のジャグラーのTシャツは練習が終わるころに絞って水分がしたたるほどになっている。一部の猛者はそのまま歩いて乾かしたりする。すこし気をつける人だと制汗剤などでなんとかする。どちらにしても、替えの服を持ってきて着替えたりして、Tシャツはカバンにしまうのだ。
それほど汗をかかない季節はしぼる手間がないので、そのままカバンにしまう。このときどうやってしまうかといえば、丸めてしまうのだ。これはずぼらなのではなくて練習で疲れて気が回らないのだ。きっとそうだ。
Tシャツがしわしわなのは、練習熱心の証なのである。洗ってないとかそういう問題ではないのだ。

◆寄稿募集のお知らせ◆
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800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
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投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-晴れた日に自転車で初めて長距離を走りました。思ったより速かったです。やはり。自転車は。
-眠いとろくなことがないですね。目を開けているのに、ものすごく努力を要します。(今)
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
<END OF THIS ISSUE>
発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)
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