週刊PONTE vol.52 2019/11/11

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.52 2019/11/11
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第43回 「移動とジャグリング道具(1)」
・Fuji…フジづくり 第52回「otomodama 巾着袋」
・板津大吾…たまむすび 第13回「PMラボ(?)へようこそ」
・じん…寄稿用紀行記 第3回
・きんまめ…デビステのてんぷら 51本目 「おさるの上梓」(メルマガ第45回)
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第43回 「移動とジャグリング道具(1)」
移動をするのが好きである。最近特に移動が増えた。人間は、定住生活よりも移動をしながら生きていた時間の方が長いだろう。…と、想像するにつけ、やっぱり移動している方がしっくり来るな、と思う。
さて、移動をする時に必ず問題になるのが、ジャグリング道具をどう持ち運ぶかである。旅の時はなるべく荷物を減らしたい。しかしいわゆる「ジャグリング道具」には、場所を取るものが多い。シガーボックスジャグラーなどが特によく嘆いているのを聞く。(中が中空のくせに我が物顔で顔を覗かせるのがなんとも解せないのだろう)まぁでもデビルスティックやクラブも大概だし、ディアボロも分解すればまだいいものの、分解せずにリュックにしまうと、質量の割に場所を要求してくるので、困っている人は多いはずである。
対策として、いくつか選択肢がある。これについて考える。
そもそもジャグリング道具を持ち運ぶかどうか、という論点がある。「ジャグリング道具」を持ち運ばなくていいのであれば、それで一挙に問題解決である。旅の最中はジャグリングをしない。暇になったら、本を読む。単語を覚える。スマホをいじる。潔く、ジャグリング、しない。いい風景の前でInstagramに上げるちょっとした動画を撮らない。だがジャグリング道具を持ち歩かないとなると、どこかジャグラーとしてのアイデンティティが薄れていくような気もする。
では「ジャグリング道具」を持ち運ばずにジャグラーでいつづけることはできないか。その場で手に入るものでジャグリングしてはどうか。「木の枝ジャグラー」になる。「砂利ジャグラー」になる。「服ジャグラー」になる。いっそダンサーになる。(そういう経緯でダンサーになった人は実際にいそうだな)あるいは「ジャグリング道具」と明確に定義されていない実用品を、あくまで実用品として持っていきつつ、ジャグる、という手もある。例えば「折りたたみ式ハンガージャグラー」になったとしたら、ハンガーを持っていけばいいだけである。
しかしこれはイマイチ魅力的に聞こえないかもしれない。それはおそらく、「ジャグリング」と一般に名指されて楽しまれているものはこーいうものじゃないからである。僕ジャグリングやってるんだね、と言ってヘアワックス・ジャグリングとかを見せられることはない。(あります?)「ジャグリング道具」ではないものを取り扱う場合には、楽しみ方が見出せるまでに時間がかかりすぎるからだろう。
では、わかった、とりあえず一般に「ジャグリング道具」と思われているものについて、どう持ち運んだらいいのか、考えてみよう。
(2)へ続く
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第52回「otomodama 巾着袋」
先週から製作し始めていた、新しいボールケースが完成しました。底が丸型と四角型の2種類のケースをつくり、PM Jugglingのだいごさんと秘密基地の演目で実際に道具を使用する福井さんの感想をもとに、最後は四角型に決まりました。
完成形に収まるまでに何度も試作を行いました。数センチ大きくしたり小さくしたりを繰り返して、なんとか理想のサイズになりました。今回はPM Jugglingのミニマルなボールが3つ入る用に製作した巾着袋ですが、最大5つはボールが入る余裕も残したかったので、送っていただいたサンプルボール1つでサイズの規格を決めるのは、なかなか苦労しました。
紐もさまざま種類の中から選び抜き、ループエンドはケースと同じ生地をつかって縫い付けました。そこを掴めばポイのような動きもできます!ミニマルなボールのためのミニマルなケースに仕上がりました。
こちらのケースはボールと同様に数量限定で展示販売される予定です。残りは受注販売となります。ひとまず本番までに注文分のケースを残りの時間でつくっていかなければいけません。これからつくるものに関しては、新しくつくったJuggle Packのロゴタグを付けていこうと思います。おそらくこのメルマガが配信される頃には完成していることでしょう。
先日、秘密基地のチケットも予約できたので、最終日の初回を観に行こうと思います。その足で、そのままビックサイトのデザインフェスタvol.50にも行ってきます!楽しみ!
by Fuji
「otomodama 巾着袋」
https://jugglingponte.com/wp-content/uploads/2019/11/otomodama.jpg
・ピントクル主催 秘密基地vol.10「otomodama」 福井裕孝
https://www.fukuihirotaka.com/otomodama
・Juggle Pack
【Instagram】https://instagram.com/jugglepack_official?igshid=v5fjxithzxrv
【HP】https://jugglingponte.com/2019/07/19/jugglepack-project-about-to-begin/
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◆たまむすび◆ 文・板津大吾
第13回「PMラボ(?)へようこそ」
先日、ジャグラーの友人が家に来てくれました。むかしPONTEの編集部員として、一緒に活動もしていた那須くんです。いまは朝という名前でいろいろと発信しています。那須くんは道具づくりもしていて、JJFでの再会をきっかけに、お互い意見交換しようということで、家にやって来てくれたのでした。
PM Jugglingの道具づくりの場所は、主に自分の部屋です。決して広くはない、ごくごく普通の部屋。メーカーなんていうと、いろんな工具がある作業場みたいな場所をイメージをされるかもしれませんが、僕の場合はそんなことはなく… 特徴といえばボールが入ったケースが山積みされているくらいで、傍から見たらたいした面白みもないだろうと、いままで人を呼んだりはほとんどしてきませんでした。
那須くんのことも内心ドキドキしながら迎えたのですが、そんな心配はいりませんでした。僕が過去につくったビーンバッグの試作をいろいろ触って比べることで、自分が求めていたボールの質感がわかったと、よろこんで帰ってくれました。一度は流したアイデアや道具が、思いもよらず人の役に立ったことがうれしかった。お互いの道具をたくさん広げて、並べてみることで、この素材とこの素材を組み合わせたらおもしろそうだとか、具体的な発見もありました。
那須くんの前に、長崎から、世界のジャグラーの写真を撮り続けているみさきさんも訪ねてくれていました。道具の素材や製作の様子を撮ってくれたのですが、これもまた、人の目で自分の普段の様子を見てもらうという、あたらしい体験でした。
そんなことがあって、こんな場所でも、なにかを得て帰ってもらえることもあるんだと、楽しさを覚え始めています。それならば、過去につくった道具を整理して、もうすこし色々な人に来てもらうのも楽しいかもしれないなと。日常の道具づくりの場所が、小さな、普通の部屋であることに、もっと愛着と自信を持とうと思いました。週刊PONTEの読者のみなさんも、東京に来られた際は、よかったら遊びにきてくださいね。
PM Juggling
https://pmjuggling.com
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◆寄稿用紀行記◆文・じん
第3回
16日の夜はサーカス学会ゼミへ。今回の旅の目的の一つ。くしゃまんべ(https://cafekmb.jimdofree.com/)という古書カフェに10人以上。個々のトピックは僕のテーマからは外れていたが、やっている人がいて、このような集まりがあるということを確認。
0時過ぎ新宿発の夜行バスで17日朝に帰ってくる。一週間ほどの旅の終わり。僕の生活へ帰っていく。
今、帰ってきてから少し経っても、何を得て帰ってきたのかはまだうまく言語化できない。いくつかの出会い(と出会わなさ)があったのも確かで、いくつか思ったことがあるのも確かだ。
行った場所や行ったことについていくら述べたって仕方ない。思ったことをいくつか、書く。
僕が旅先について一番初めにやることは、迷子になることだ。
思うに、僕にとって旅というのは、知らない町に行くというのは、誰かの「げんふうけい」を歩くことだった。
旅先で迷子になる、歩いて街を見る。迷子において行き先を決めるのは、現在地に立っている自分が感じる“触感”(hunch)だけだ。思考とはどこか別の自分の感覚に誘われる。重い荷物を引きずって身体で街を感じる。行き場所と居場所を探す。観光・旅(非日常)と生活(日常)が交じり合う場所。
芸術/芸能と生活の距離(または関係)をふと思う。前者が非日常で、後者が日常なのだろうか。大道芸人と観客の距離、ジャグリングと生活の距離。
地図上からは立ち上らない情報、景色、匂い、触感、また頭の中で自分の地図が出来上がる。僕の東京にはいくつかの街しかない。東京駅、アキバ、(埼玉県新座)、浅草、北千住、バスタ新宿。地理上の位置関係はなく、線路と所要時間で街同士はつながっている。
出会って、感じて、またピンが立つ。地図になる。
前に書いた文章を思い出す。https://note.mu/jin00_seiron/n/n8bd1360aa1d4
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【筆者について】
じん
Twitter https://twitter.com/jin00_Seiron
note https://note.mu/jin00_seiron
「ジャグリング論集」は『ピンクの猫』による最新のジャグリング基礎文献です。→ https://pincat.booth.pm/
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
51本目 「おさるの上梓」(メルマガ第45回)
コペルニクス的転落
ジャグラーという人たちは誰よりもたくさんボールを投げてはキャッチしてきた人たちである。しかしその裏では、誰よりもたくさんのボールを落としてきた人たちでもある。トスの数だけドロップがあり、ドロップの数だけ上手くなる。有名なJ POPでも、涙のドロップの数だけ強くなれるよと歌っている。アスファルトにも花は咲くけれど、そんな硬いところで練習してると道具が痛む。
お待たせいたしました。
文庫サイズ。16ページ。平綴じミシン製本。本文孔版印刷。冊子版デビステのてんぷらVol.1.0「コペルニクス的転落」堂々の完成である。いわゆるzineとかミニコミ誌のようなものだが、試しに自分で読んでみると、やはり、紙の本はいい。
せっかく紙の本にしたので、紙と印刷にはこだわらせてもらった。今回本文ページで採用した孔版印刷は、一般的なプリンターやオフセット印刷とは異なり、ガリ版の血縁的な印刷手法。印刷はズレるわ、カスれるわ、裏写りもするし、ヨゴレもままある、という一癖ある味が出ている。印刷が印刷なら紙も紙で、ゴワゴワのペラペラのザラザラというわら半紙チックなテクスチャーで、印刷の味が加速している。このハンドメイド感をぜひ堪能してほしい。
価格はジャグラーらしく投げ銭形式にしてみた(送料別)。つまり、投げ銭を入れずに帰ってもらっても構わないし、折りたたんでくれたら嬉しいのである。BOOTHの仕様上、ダウンロードコンテンツじゃない場合は最低価格が100円までしか下げられないようなので、ここをスタートにブースト機能で電子投げ銭していただきい。
また、人の命と同じように、在庫にも限りがある。今回の初版初刷で用意した分がなくなったら、重版時期も価格もどうなるかは未定。我々が死んだらどこに行くのかわからないのと同じなのである。生きている今を輝くため、欲しかったのに在庫切れにならないため、「善は急げ」「ZINEも急げ」でお買い求めるのが吉なのである。
下記からどうぞ。
金属豆製麺所:https://kinzokumame.booth.pm/
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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。お知り合いの方は直接ご連絡いただいても構いません。SNSでもメールでも口頭でも。好きなジャグラーは特にいません。
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◆寄稿募集のお知らせ◆
週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-板津さんの原稿は、先週もらっていたにもかかわらず、掲載し忘れてしまいました。今週代わりに掲載します。誠にごめんなさい。
-ちなみに僕もPMラボにピントクルのみみず君と一緒に行ったことがあります。本がいっぱい置いてありました。
-きんまめさんは本当に、何かをやるからには徹底的にやる人で、書いている内容は飄々としていますが、見ていていちいち気が引き締まります。がんばろ。
-Fujiくんが作っている巾着、かわいらしいですね。なんか、全然こっちの(Juggler Pack)プロジェクトを動かしていない。でも、今回からシリーズで書いている「ジャグリング道具の持ち運び方」というものが、繋がっていく気がしています。次回は、ジャグリング道具をどう持ち運ぶか考えると、不思議と自分自身のするジャグリングについて考えることになる、という話になっていく予定です。
-じんさんが寄稿してくださっている旅の話、考えてみたら、「旅とジャグリングの雑誌」というテーマにぴったりですね。そして、今これを書いていて気が付いたんですが、ずーっと下の発行者のところが「書く」のままでした。訂正しました。こういうのもちゃんとやらないとなあ。
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
<END OF THIS ISSUE>
発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)
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