週刊PONTE vol.73 2020/04/06

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.73 2020/04/06
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第64回「ジャグリング旅行スケッチ/ベルギー、ブラムとの時間」
・Fuji…フジづくり 第73回「断捨離できない中」
・中西みみず…ピンとくるくる通信「気になっているジャグリングの本、3冊を注文した」
・きんまめ…デビステのてんぷら 64本目 「何かあったときだけ現れるとFacebookみたいになる」(メルマガ第58回)
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第64回「ジャグリング旅行スケッチ/ベルギー、ブラムとの時間」
ベルギーの首都ブリュッセルでの滞在を終え、友達のブラムの家に来た。
ブラムと会ったのは日本。もともとは南アフリカで生まれた彼だが、アジアを旅していた頃に日本にも来て、その時にたまたまイベントで会ったのだ。2013年の話。ジャグリングもうまいが、何より人柄が良い。いつもニコニコとして、落ち着く声で話しかけてくれる。
もともと彼の家に泊まる予定ではなかった。ただうっかりこの日の宿を取り忘れていたので急遽、そういえばブラムはベルギーに住んでいたな、ということを思い出して、連絡を取ったら「いいよ」と言ってくれたのだ。
ブリュッセルでの用事を終えるころ、ブラムは真っ赤な車で迎えに来てくれた。そのまま2人で家の近所のバーに行き、お酒を飲んでから寝た。
朝起きて窓の外を見ると、遠く広がる平原には雪がうっすらと積もっていた。柵の向こう側では、小豆色の服を着たポニーが2頭、だらしなく佇んでいる。雪が降って落ち込んでるみたいにも見える。昨日の夜ビールを飲みながら、確かにブラムが「明日は寒くなるみたいだよ」と優しい声で言っていたが、ここまで寒くなるとは思わなかった。その前にはブリュッセルで、上着なしで過ごすくらい暖かい日もあったのだ。
雪だねぇ、とブラムの部屋に行くと、一足先に起きた彼は、タトゥーのデザインを濃いペンで紙に描いていた。ブラムはタトゥーのアーティストなのだ。シャワーを浴び、親切で上品なお母さんに挨拶をして、パンとコーヒーをいただいた。手作りのお菓子もあった。二人はオランダ語だか、アフリカーンス語だかで話している。次の目的地で僕を待ってくれているアシュテル君に連絡を取り、ブラムのパソコンを借りて鉄道のチケットを印刷し、スーツケースを持って外に出た。ブラムの真っ赤な車にも雪が積もっていた。最寄駅である無人のロンデルゼール駅まで送ってもらい、ブラムとはお別れをした。どのみち彼とは、夏のEJCで会うことになっていたのだ。だから、またEJCで、とお互い軽い気持ちで挨拶をした。
凍えそうな寒さの中、文庫本を読みながら電車を待った。
こういう時、一人で旅をするのは寂しいもんだよな、と感じる。そしてSNSで人と繋がることについても考える。なにかを「シェア」することは救いなんだと思う。嬉しいこともシェアしたいし、寒いね、とかもシェアしたい。「幸せは2倍、苦痛は半分」みたいなことである。それでも、僕はひとりで内省的になったりするのも嫌いではないから、なるべくひとりの時間はひとりでいるようにしている。そしてこういう時間に得た気づきは大切にしたほうがいい、とも思っている。特に旅先では、日本で普通に暮らしていると気がつかないようなことに出会ったり、思い至らないようなことに思い至ったり、大事だと思っていなかったことを大事に思うようになったりするので、そういうことは、ひとり旅の醍醐味でもある。
電車の中ではポストカードを書き、ブラムが持たせてくれた手作りパウンドケーキを頬張った。車窓からは寒そうな景色がずっと見えている。ロンデルゼールから目的地のゲント・ダムポートまでは、途中の中心駅で乗り換えて、1時間ぐらいだった。
電車を降りて、僕はアシュテルの家を目指した。
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※今回は、2018年3月に、ベルギーに行った時の話です。当時の日記をひさびさに読んでいたらなんだか懐かしくなったので、大幅に加筆修正して掲載。
☆勝手にPM juggling の記事を紹介するコーナー☆
[Weekly PM]#7:楽しさはいろいろ
https://pmjuggling.com/8677/
そろそろ外出を控えるのにも慣れてきました。
ですが、もうこの「家にいてなんとか日々を暮らす」という体験の感覚は、のちのちも忘れないでしょう。
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第73回「断捨離できない中」
ものづくりしていると物がどんどん増えるから、大変です。
特に自分の場合は何かひとつに集中して、ものづくりしているわけではないので、道具やら素材で部屋があふれかえっています。今は必要でないものも、いつかつかうのではないかと残している細々としたものがたくさんあります。
一応、素材やパーツなどは小物ケースに入れたり、収納棚に入れて保管しているのですが、そのケースもどんどん増えてしまいます。あとは、レザークラフトでいうと、レーシングポニーや菱目打ち機といった大きめの道具なんかもつくったりしているので、普段はつかわないけど地味にスペースを圧迫するものも多々あります。
最近は常に部屋の片付けをしていて、スペース確保に取り組んでいます。ついでに模様替えもしているのですが、限られた部屋の中で荷物の移動をしていると、常に足元は小物や段ボールだらけで足の踏み場も無くなってしまいます。キリがないくらいに物があふれかえっているので、少しやっては飽きての繰り返しでなかなか思うように進みません…。整理しながら不要なものもたくさん捨てているのですが、減ってる気がしない。(笑)
ついでに、ボードゲームもたくさん仲間入りしてきたので、その保管スペースを確保するために、押し入れにあった4つの本棚を部屋に出し、その空いたスペースに段ボール5、6箱分のボードゲームを衣装ケースやラックに入れて、整理するという作業を先日済ませたところです。まだCoroの生地とかもたくさんあるから、その置き場を今度は見つけないと…。
夜はなんとか、人ひとり分の寝床を確保してから寝てます。(10日目)
by Fuji
ヨコハピ(横濱ハッピーターン)
【Instagram】https://www.instagram.com/yokohamahappyturn/
Juggle Pack
【Instagram】https://instagram.com/jugglepack_official?igshid=v5fjxithzxrv
【HP】https://jugglingponte.com/2019/07/19/jugglepack-project-about-to-begin/
PM Juggling 「otomodama」持ち運び用の巾着ケース 製作 by Fuji
https://pmjuggling.com/product/otomodamaset/
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◆ピンとくるくる通信◆文・中西みみず
「気になっているジャグリングの本、3冊を注文した」
最近、日本のジャグリングの「歴史」みたいものを振り返ってみたいなと思っていろいろ調べています。
特に90年代からゼロ年代の前半。日本のジャグリングイベントやショップ、サークルができはじめたその時。今みたいにYoutubeやTwitter のようなインターネットがなかった時代。
そこから20年間で成長してきたものとそうでないもの。そこにはどんなジャグリングの可能性が眠っていたのか。
そんなことを思いながら手始めに3冊の本を今注文して待っています。やっぱり、本だなー。
## 1. 日本ジャグリング協会発行のジャグリング雑誌「Shall We Juggle?」
日本ジャグリング界の初期はどんなかんじで何を考えていたのだろうかと気になり、創刊号あたりのバックナンバーをいくつか注文しました。
最近は年に1 回程度のペースでJJFの特集を組んでいますが、昔はけっこうハイペースにいろんな話題を扱っていたようです。オンラインでも実はちょくちょくみれる情報があってジャグリングクラブ設立マニュアルとか編集後記とかみてます。たのしい。
Shall We Juggle?
https://www.juggling.jp/swj/backnumber.html
## 2. 雑誌「科学朝日/朝日新聞社」発行「大道数学者ピーター・フランクルのすべて」
振り返ることの参考にジャグリング年表をみていました。そこに「ボールジャグリングの仕方やサイトスワップの解説が恐らく雑誌では初めて本格的に説明された」と書かれていて、確かにそうなのかもなと思い買ってみました。1994年の本。
ピーター・フランクルはジャグリング、大道芸というイメージを世間に大きく普及させました。ただ、それだけでなく中嶋さんを筆頭とする数学コミュニティを通じたジャグラーの育成も重要な点です。その上で、ナランハ(ショップ)、JJF(イベント)、マラバリ(サークル)といった日本のジャグリングコミュニティのインフラが整っていきます。
そんな日本のジャグリングのはじまりに、どのように「ジャグリング」が教えられていたのか。非常に気になります。
日本ジャグリング界年表
http://www.chansuke.net/jugpal/JugglingHistory20070108_2.pdf
大道数学者ピーター・フランクルのすべて<特集>
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I3874520-00
## 3. 数学セミナー 2017年9月号 特集: 戸田盛和とおもちゃの数理
こちらも数学関連ですが関西について。京都の老舗ジャグリングサークルであるドーナツの先輩、松浦昭洋さんが寄稿しているみたいなので買ってみました。本自体は最近のものです。
松浦さんは金魚鉢のような球体の容器のなかでボールをジャグリングするという先進的な演技で日本人初のIJAファイナリストになった方です。
そんな松浦さんは今は数学の研究者でもあり、ジャグリングと数学を絡めた知的で楽しい登壇をしています。(ロマンティック数学ナイト等)
ピントクルもジャグリングを深めていく中で「つみき」との相性の良さ(公演「つみきねてぃっく」)に気づいたりしたので、本のタイトルにもある「おもちゃ」と「数理」というのは関心を唆られます。
数学セミナー 2017 年 9 月号 特集: 戸田盛和とおもちゃの数理
https://www.nippyo.co.jp/shop/magazine/7508.html
〜曲面との戯れ II ~ 転がりのもたらすリズムとは?~
https://live.nicovideo.jp/watch/lv303564022#31:00:00
どれもいつ届くかなとわくわくしています。そういえば、僕がジャグリングをはじめた当時もナランハで買った入門書が知識の源だったなあ。
情報に均一的かつ即時的にアクセスできるWebとは、やっぱり本は異なるなと再認識しました。そのへんのことも含め、本でつながるジャグリングの可能性を考えてみるのもありですね。
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
64本目 「何かあったときだけ現れるとFacebookみたいになる」(メルマガ第58回)
もとより自宅至上主義を掲げていたほどなので、個人的にはあまり影響がない。行きたかったイベントもないので悔しさを奥歯ですり潰すこともなく、平然と家で本を読む。電子書籍に移行したことで、本屋にすら行かず手元の操作で読みたい本がすぐ読める。仕事の方も、直接影響を喰らうような業種でもないので作業の激化あるいは急激な不振ということもなく、とはいえ在宅勤務に切り替えられるような業務でもないので以前と特に変わらない。なんなら気乗りしない花見が社会のムードで勝手に中止になって、下手な嘘をつかずに済んだ。
ままならない日々だが、3つの密でカスケードするくらいの気持ちでいたいものである。
引きこもりらしく11月から1月にかけて短編を3つ書いて、別々のところに応募してみたところ、1作が入選していた。光文社文庫主催のショートショート公募で、もともと応募するつもりはなかったのだが、思いついたワンアイデアと勢いだけで書ききり、その結果、3秒くらいで考えた単語「ウテンポヌスの地図」というタイトルになってしまった。ウテンポヌスってなんだかわからなくて我ながら怖いが、ポンテという文字が入っているので縁起がいい。入選作は以下よりどうぞ。
https://yomeba-web.jp/ss/ss-offer/
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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。出版社の公募だったので、よくよくは書籍収録とのことです。マジかよ。好きなジャグラーは特にいません。
デビステのてんぷら冊子版:https://kinzokumame.booth.pm/
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◆寄稿募集のお知らせ◆
週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-ひさびさにみみずくんが寄稿をしてくれました。日本ジャグリング協会の発行する『Shall We Juggle?』のバックナンバー、一部がウェブで読めるとは知らなかったです。不覚。こういうものを読むと改めて、いまでは些細に思えることでも、きちんと記録を残しておきたいなと感じます。
-そしてきんまめさんも帰ってきてくれました。やはりてんぷらがあるとメルマガ全体の味がガラッと変わりますね。嬉しい。
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
<END OF THIS ISSUE>
発行者:青木直哉 (旅とジャグリングの雑誌:PONTE)
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