週刊PONTE vol.45 2019/09/23

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.45 2019/09/23
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第36回「ちょっとした台湾旅行記」
・Fuji…フジづくり 第45回「ハットも持ち運べるのか」
・きんまめ…デビステのてんぷら 44本目 「隣人203号」(メルマガ第38回)
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第36回「ちょっとした台湾旅行記」
台湾に出発する前日、週刊PONTEの読者にはおなじみの、きんまめさんの家に泊めていただいた。2週前のメルマガでも書いた通り、きんまめ家は神戸にある素敵な家である。(今はもうない)関空までフェリーで行きたかった、それも、正午の国際線に乗るので、10時には空港に着きたい、というわけで、9時のフェリーに乗りたい、そのためには、朝8時ごろには出なければ、というので、少し早く起きて、丁寧な朝ごはんまでご馳走になって、家を出た。駅まで送ってもらった。本当にきんまめご夫妻は優しくて、また会いたくなってしまう。たぶん10月ぐらいに会いに行ってしまう。
神戸三宮(だったか、なんだか、とにかく神戸空港につながっている駅)まで行く。そこから、少ない乗り継ぎ時間の中、電車とフェリーのセット券を、窓口で買う。
フェリーが好きである。あるところからあるところに行くのに海路の選択肢があると、可能ならばそれを選びたくなる。去年淡路島から帰る時は明石市までのフェリーに乗った。ほんの十数分の旅だが、しぶきを上げて進む船に揺られて場所を移動するのは豊かな経験だ。
関西国際空港に着くと、まずチェックインを済ませ、早めに搭乗ゲートに行った。関西から台湾に向かうのは初めてである。ことさら特別なことはないのだが、「旅は、どこからどこを結んでもいいんだねえ」ということを実感を伴って感じる。搭乗後、約4時間で台北に到着。
台北には来慣れていて、特に困るようなことはないと思っていたのだが、現地通貨を手に入れるのにちょっとしたトラブルが発生。最終的になんとかなったのだが、時間がないので宿に荷物を置かずに、直接ジャグリングバトルの会場に向かうことにした。
ジャグリングバトルは、忠孝復興という駅の近く、C-LABという施設で行われた。文化センターである。いくつか建物があるうちの、ジャグリングバトルが開かれる建物を見つけ、入ろうとするとシンホーが出てきた。「マイフレーン」と言って、ハグしてくれる。シンホーは、彼女のヨウヨウと一緒にこのイベントを開催している台湾人である。「そこにある赤と白の紙を取ってね」と言われる。あとでイベントに使うんだそうである。シンホーは忙しそうに中に入っていった。
会場に入ると、場内はすでに熱気を帯びていた。音楽が流れ、照明が舞台を賑やかに照らし、サーカスアーティストたちがウキウキと踊っている。知っている人影を見つけた。サギ、というイスラエル人の青年である。向こうもこちらに気づいて、両手を大きく広げてニコニコとこちらに近づいてきた。EJCぶりだねえ、と言ってハグをする。他にも、ホワイトアスパラガスで有名な谷口界さん、青宙ノートくんなどもいた。台湾人の知り合いもたくさんいる。
ほどなくして始まる、ジャグリングバトル。一応ここではジャグリングバトルと書いているけれども、実際には、ジャグリング以外にもブレイクダンサーが出ていたり、トリッキンの人が出ていたり、いわゆる「ジャグリング」とはまた違ったタイプのものを扱う人、たとえば虹色のビョンビョンするおもちゃスリンキーや、バスケットボール、なわとびを扱う人がいたりもする。
そんな異種格闘技戦のごとく行われた、台湾のジャグリング・バトル、Ting Koo Ki(ティンコーキー)。DJが音楽を鳴らし、制限時間内に技を繰り出しあって、観客が上げる紅白の紙で、勝者の判定をする(紙はここで使った)。
この「バトル」文化は、完全に台湾が一番先を行っているな、と感じる。ジャグリングをやっている人たちに、体育大学出身の盛り上げ好きの人が多いとか、主催側の、人を集める能力が高いとか、いろいろあるのだろうが、とにかく、観客もアーティストも一体となって、ワイワイ楽しめるイベントである。
ジャグリングバトルを制したのは、日本人の青宙ノートくん。昨年も優勝しており、これで二連覇。しかし同時に、このイベントでは勝ち負けはそこまで重要ではない。「これぐらい、バリエーションがあって、プレゼンテーションの仕方もいっぱいあるのがサーカスの世界なのだ、と伝えたい」と主催のシンホーとヨウヨウは言っていて、そういうところがまた好感が持てる。バトルが終わって、打ち上げがあるというので、僕もいそいそと参加することにした。イベントに直接関わった訳ではないけれど、友達なんだから、いいじゃないか、と素直に打ち上げだろうがなんだろうが参加できる、ということ。こういうところも、好きである。いいもんです。
それで、近所にある海鮮が有名なお店で、イベントを作り上げた人たち、そしてアーティスト何人かと一緒に、ご飯を食べて、お酒を飲んだ。1年ぶりに会う人たちもいて、とても愉快な夜であった。
さて、今回台湾に来たのは、このイベントが一応メインの目的であったのだが、実際には、僕は友達に会いにも来ていたのである。次の日は、サギのホテルで待ち合わせをして、一緒に泊まっていたスウェーデン人のヒューゴも一緒に、一箇所だけ目的地を決めたら、あとは街をひたすら歩いた。その次の日は、ディアボロのお店に行って、午後からは留学時代の友達にも会った。
これまた愉快な夜を過ごし、深夜の便で日本へ帰った。
今回の滞在は、なぜだかわからないが、ますます台湾が身近に感じる旅だった。
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◆フジづくり◆文・Fuji
第45回「ハットも持ち運べるのか」
今週はJJFに向けてマルチケース巾着の製作を進めつつ、EJCで売り切れてしまったPMカラーのCoroをつくってました。
あと、同時進行でハットのキャリーベルト製作に時間をかけてます。
というのも、今年のEJCで日本人ジャグラーから道具の持ち運びについて意見を聞いていたところ、ハットの持ち運びが大変だという意見を聞いたからです。ハットはかばんの中に入れても、形状のせいでどうしてもデッドスペースができてしまいます。あとは手に持つか、かぶるかになります。ただ、ひとつならまだしも複数個となると、かぶれません。いや、かぶることはできますが2つ3つ頭にハットをのせて歩いているのも変に目立ってしまうと思います。かと言って、片腕に抱えた状態で持っているのも疲れると思います。
ということで、ハット専用のキャリーベルトをつくってみることにしました。袋の中に入れるようなケースではなく、ハット自体の形状に合わせて本体も見える仕様にしました。これなら、ちょっとした移動の際に肩から掛けて持ち運べるようになり、両手が空いた状態になります。なんなら他の道具も扱えます!
たまたまひとつハットを持っていたので、それに合わせて調整を繰り返しながら製作を進めています。
今は、肩掛けベルトの長さ調整と2つ以上のハットがしっかり固定できる仕様にするのに奮闘中です。
(神戸のジャグま!の様子もインスタに載せたので、ぜひ!)
by Fuji
「Juggle Pack」
【Instagram】https://instagram.com/jugglepack_official?igshid=v5fjxithzxrv
【HP】https://jugglingponte.com/2019/07/19/jugglepack-project-about-to-begin/
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
44本目 「隣人203号」(メルマガ第38回)
ジャグマの流れで青木編集長が我が家に泊まった一週間後、引っ越しをした。引っ越しと言っても同じ市内で移っただけなので、日本列島がちょっと身じろぎした程度のことである。
5年前に神奈川から神戸にやってきたのを1回目の引っ越しとすると、今回が4回目にあたり、幾分引っ越し慣れしてきた感がある。
間取り、日当たり、水回り。家賃、沿線、築年数。部屋選びの条件は挙げだすとキリがない。加えてジャグラーであれば、ドロップ音を気にしなくていい一階の部屋や防音性などプラスアルファの要求が出てきたりする。
しかしこんな条件は些末なことで、住む場所における最も重要な要素は、なんと言っても”隣人”である。実際に住んでみないとわからないという難儀な要素であり、物件の隠しステータスとも言える。
つい先日まで住んでいた場所もなかなかに主張の激しい隣人が真上の階におり、思い返すと神戸に住み始めてから多様な隣人模様があった。
私が神戸で暮らしを始めたのは、壁の薄さに定評がある某マンスリーマンションの一室だった。おとなりの203号室の男性は20代半ばくらいのサッパリ爽やかな人で、週末になると彼女がたまに遊びに来るのである。
ある日、その2人が喧嘩をしていた。珍しい。決して罵声が飛び交うような激しい喧嘩ではないのだが、涙声の女性の声と押し殺したような男性の声が聞こえてくるのである。押し殺してる声が聞こえてくる、壁の薄さなのである。
悶着は10分ほど続いた。その後、玄関のドアが閉まる音と、小さくなっていく足音。
お、追いかけろ!早く!と部屋に残っているであろう男性に向けて薄い壁を隔てて念じたが、ついぞドアを開ける音は聞こえてこなかった。声は届くが思いは届かない部屋なのであった。
その後2人がどうなったかは誰も知らない。と言いたいところだが知っている。男性が電話で謝罪して、無事仲直りすることができたのだ。
もちろんこれも壁越しに聞こえたのである。
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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。書き終わってから思いましたが、隣人どうのこうのの話というか、シンプルに壁が薄いという話なのでは?好きなジャグラーは特にいません。
◆寄稿募集のお知らせ◆
週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-寄稿者には800字で頼んでいるが、編集長の原稿は長くなる。
-寄稿したい方は、いつでもご遠慮なく。
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
<END OF THIS ISSUE>
発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)
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