週刊PONTE vol.39 2019/08/12

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.39 2019/08/12
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第29回「EJC2019特別編! 2」
・Fuji…フジづくり 第39回「EJC2019に来ました!」
・きんまめ…デビステのてんぷら 38本目 「部屋と老いぼれと私」(メルマガ第32回)
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第29回「EJC2019特別編! 2」
世界最大のジャグリングフェスティバル、EJC in イギリスが終わり、エディンバラに移動してきました。
最終日前日にPONTEと PM Jugglingとして出していたお店を終える時間に、出店者3人で座談会をしました。その様子です。
あおき(以下A):
EJC2019でお店を出した感想は。
だいご(以下D):
よかったんじゃないかな! 商品が売れるか売れないか、予想が全然つかなかったたけど、無事にほぼ売り切れで。
ふじくん(以下F):
大成功じゃないですか。とくに、一昨年に比べれば(笑)*1
以前に学んだことを生かせたなと思います。PM Jugglingと組み合わせての出店もよかったですよね。ボールとの相乗効果で、ケースの方も売れたし。
ところで、Coro*2 は、生成の帆布で作ったものよりも、PM Jugglingのロゴをイメージした緑色の方がよく売れましたね。そのほうがヨーロッパの人の好みなのかなあ。
D:
個人的には緑色が好きで、それが売れたのは嬉しい。生成はシンプルすぎるのかなあ。ぱっと見で買うのは、インパクトのある色付きの方がいいのかも。
A:
まさやんがデザインした皿、INNE(インネ)も売れましたね。
D:
もう、余っているのは1枚だけだよ。お皿が6枚、オリジナルのスティックは持ってきた11本が全部。
F:
スティックは安いから、買いやすかったでしょうね。
D:
ウェスもお皿を買ってくれたよ。
A:
嬉しいですねえ。
F:
日本人のジャグラーにも買ってもらえました。
A:
実地販売はそもそも日本でもめったにしないしね。
ところでだいごさん、6年ぶりのEJCはどうでしたか。
D:
ガラショーを見ないとまだ全体については言えないけど、概ね、よく整備されていた感じがするね。2013年のフランスの時の方が、よりワイルドで、野ざらしな感じ。あと、ジムがちっちゃかったね。開催がイギリスだから、人数もすごいことになると思ったんだけど、そうでもなかった。
F:
逆に、会場やトレーダーズブースの周りやすさはありましたね。
D:
出店者の自分たちには有利だったね。
F:
しっかり練習したかった人はどうだか分からないけど。
(お客さん来る)
D:
あ、いらっしゃいませ。
(しばし商品の説明をする)
D:
…こういう、会場では起こりえないコミュニケーションが起きてるのもいいな。
A:
PM Juggling のことを知っていたよ、という人も多かったですね。
D:
それが不思議なんだよね。なにで知ってるんだろう。
A:
まぁとにかく、こうやって決まった時間にやることがあるっていうのはいいですよね。
D:
うん。まぁとはいえ、昼間の、会場の様子も気になるけどね…。*3
A:
EJC、また来たいですか?
D:
来年も来たいけど家族次第かなあ。でもこれだけ手応えがあるなら、やっぱり来たいよ。
F:
来たいっちゃ来たいですけどねえ。それまでに、持ってくれば売れる、っていうところまで知名度を上げたい。今まででわかってきたニーズに答えられるものを出したい。
A:
一度物を売る味を占めちゃうと。なにもしないで帰るのは、っていう気分になっちゃうよ(笑)

*1 EJC2017でも、PONTE名義で出店をしていました。その時は、本革のボールケースOMUSUBIと、Tシャツを販売。
*2 PM Jugglingのボールを収納するために開発されたケース
*3 毎日2時から6時までお店にいました。
☆PONTEのツイッターアカウントで、イギリスの旅を実況中。
https://twitter.com/jugglingponte
☆EJC日記をこちらで書いています。
「ジャグリングの郵便箱」
https://jugglingponte.com/category/mailbox/
☆新しく、Juggle Packというプロジェクトを立ち上げました。詳細はこちら。
https://jugglingponte.com/2019/07/19/jugglepack-project-about-to-begin/
Juggle Packは
「ジャグリング道具のしまいかた」を
考えるプロジェクトです。
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◆フジづくり◆文・Fuji
第39回「EJC2019を終えて…」
9日間あったEJC が終わりました。ブースは1日4時間開場されていて、そのうち7日間開かれてました。Juggle Packのケースも初日以降は思いのほか順調に売れて、たくさんの方が買っていってくれました!
今回はPMボールの入った「Coro」セットや「巾着ケース」、ボールホルダー「omusubi」、ディアボロスティックケース、ディアホルダーのほか、試作品で持っていったものもいくつか売れました。日本人の参加者の方も数人買ってくださったり、お客さんの中にはcoroセットを気に入ってくれて、別日にもう1セット買いにきてくれた方もいます。 
そして、なかでも個人的にとても嬉しかったお客さんがいました。
ドイツのお父さんと小学生くらいの娘さん親子がブースに足を止めてくれたんですが、娘さんがPMボールを気に入ったらしくずっと眺めていて、お父さんと相談していました。お父さんの方から商品について聞かれたので説明をしたら、優しくウィンクをして、娘さんにも説明をしてくれました。
ただ、しばらくしたらお父さんはその場を離れて、立ち去っていきました。娘さんは1人ブースに残り、5色のボールの色を眺めていました。ドイツ語でよくわからなかったのですが、雰囲気からして「好きなボールを3色決めておくように」と言われたか、「他のブースを見てくるからここで待ってて」と言われたのかなと思いました。きっと、Coroも親子で気に入ってくれてはいるんだろうけど、高いから買わないか、ボールだけ買ってくれるかなと考えてました。
そのまま見ていると、娘さんはテーブルの上でボールを転がしながら色を選んでいる様子でしたが、しばらくして手元に白色・桃色・水色の3色並べてそのまま動かなくなりました。沈黙の時間が流れてしまったので「この色が好きなの?」と聞いたら、微笑みながら小さくうなずいてくれました。その後すぐにお父さんが戻って来て、娘さんとしばらく話した後、1人で悩みながら選んでいた3つのボールを買うと言ってくれました。しかも、Coroのケースも2色あるうちの1色選んで、セットで買ってくれたのです。期待はしていなかったのですが、自分のつくったCoroも選んで手に取ってくれたのがとても嬉しかったです。
ただ、それだけではありませんでした。お父さんがリュックの中に手を伸ばし、財布を出すのかと思いきや、出てきたのはお父さんのものとは似つかわしくない可愛らしい財布でした。それを娘さんの手に渡し、彼女自ら財布の中から£40という大金を出し、Coroのセットを買ってくれたのです。自分はこの光景を見て少し泣きそうになりました。
お父さんが買ってあげるものだと思っていたら、まさか子ども自らお小遣いを出してCoroのセットを買ってくれるなんて思ってもいなかったからです。その気持ちだけでお金以上のものを得られた気がするのに、さらにお金までもらうのに引け目を感じてしまいました。サービスであげてしまっても良かったんですが、ただ、それがお父さんの教育かもしれないし、自分で買うからこそ大事にして、練習にも励んでくれるのかなと思い直しました。
そして、最後にCoroと一緒に親子で写真を撮らせてもらい、彼女はボールを抱えながらお父さんと帰って行きました。
この家族に限らず、買ってくれた人たち一人ひとりにエピソードがあります。それはその場に自分たちが居合わせていて、話をしながら、買うまでの過程をともに過ごしていることが大きいです。今回の出店でもいろいろと気付かされたことがあるので、さらに頑張ってつくっていきたいという励みにもなりました。
お越しいただいたみなさん、ありがとうございました!
EJCが終わり、列車でさらに北上して、今はエディンバラにいます。
by Fuji
「Coroを買ってくれたドイツの親子」
https://jugglingponte.com/wp-content/uploads/2019/08/img_0198.jpg
「こんなにもたくさんの人がケースを買ってくれました!」
https://jugglingponte.com/wp-content/uploads/2019/08/img_0199.jpg
他にも物販の様子などはインスタで公開してます。
Instagram: jugglepack_official
Juggle Pack
https://jugglingponte.com/2019/07/19/jugglepack-project-about-to-begin/
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
38本目 「部屋と老いぼれと私」(メルマガ第32回)
私の知る範囲、そこそこの規模の大学ジャグサーは毎年各々サークルTシャツを作製していた。納税、労働、オリT。最終的にせいぜい部屋着にしかならないのに、背負わされた義務のようにオリジナルTシャツは生み出されていく。
毎年恒例という惰性で作られ、仲良しごっこで連帯購入、そんなサークルTと一線を画すのが、老害ポロシャツなのである。つまり、不必要だけど作りたいという作製者と、不必要だけど欲しいという購入者の、2つの熱いエネルギーが縦糸となり横糸となり、老ポロは編み上がるのだ。
老ポロを作ろうと思い立った私は、即座に老害ポロシャツ作製委員会を発足した。美術班(私)がポロシャツのデザインを考案し、営業部(私)が購入希望者を募り、業者に発注。会計(私)が入金確認したら、完成したポロシャツを全国各地へ、物流部門(日本郵便)が鋭意配送。ちょうど夏休みだったので、パティオやドーナツ、じゃぐなぎといったサークルを訪ね、購入者に老ポロを手渡しする運び屋もやった。老害なのに、青春18きっぷで旅をした。
デザインは一応ジャグリングをモチーフにしているが、背中に大きくあしらわれた「老」「害」の2文字が(良い意味で)悪目立ちするので、他ジャンルの人でも着やすいし、誰が見ても、あ、この人は老害なんだな、というのがわかりやすくなっている。毒蛇が、いかにも毒ありますよという奇抜な柄をしてるのと同じ原理なのである。(念の為、毒蛇で検索してみたら、意外と地味な見た目ばかりでアテがはずれた。)
サークルTシャツが部内で完結するのに対して、老ポロの需要は津々浦々に分布する。Twitterでの波及もあり、北は北海道、南は沖縄まで、70着を超える老ポロが列島縦断して届けられていった。
老害の支持基盤は厚く、購入者はジャグリング界隈に留まりはしない。フォロワーであるマジシャン関係の方々や、ジャグラーでもなければフォロワーでも何でもない人が「老害」というキーワードで老ポロの存在を知り、買ってくれたりもした。老害にジャンルの国境はないのだ。
多数の引き合いを受け、生地色、プリントカラー、サイズを取りまとめて発注。あとは納入を待つだけ、と一息ついていた頃に業者から一本の電話。
「一点確認させていただきたいことがございまして」
え?なんだろう。やっぱ老害とか不穏なことが書かれたシャツは作れないのか?別の業者探さないとダメ?なんて思っていると、
「御注文の中に、黒い生地に黒のプリントのものがあるのですが、問題ないでしょうか?」
 
業者の心配も無理からぬことだが、これは遊び心で自分用に作製したサイレント老害ポロシャツ。普段は無地の黒ポロだが、牛乳を浴びせられると老害のプリントが浮かび上がってくるという、自己主張が弱いんだか強いんだかわけのわからないシロモノなのである。毒蛇は意外と地味な見た目なのだ。
ちなみに、白生地に白プリントのアルビノパターンも存在し、おわかりの通りこちらは珈琲をぶっかけられると発動するギミックなのである。
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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。投稿者の方からは、私がジャグリングに出会い、現在に至るまでの壮大なストーリーも読みたいとのご要望も頂いておりますが、そちらはいつか時間をかけてぼちぼち書いていきたいと思います。好きなジャグラーは特にいません。
◆寄稿募集のお知らせ◆
週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-エディンバラにたどり着いてすっかり安心してしまって、発行が少し遅れてしまいました。失礼いたしました。
-エディンバラ、街が本当に中世の姿のまま残っていて、実に綺麗でござる。
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
<END OF THIS ISSUE>
発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)
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