週刊PONTE vol.27 2019/05/20

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.27 2019/05/20
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…編集長、いま日本にいる?

・Fuji…フジづくり 第27回「特注クリスタルボールホルダー、4つ完成!」

・きんまめ…デビステのてんぷら 24本目 (メルマガ第18回)

・中西みみず…『秘密基地vol.9』 運営者雑感

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆編集長、いま日本にいる?◆ 文・青木直哉

「旅するジャグラー」の編集長が、先週の出来事について振り返るコーナーです。1000文字前後で書いていきます。
最近PM Jugglingのほうで、「道具と人」に関する連載をしています。そちらに力を確保するため、(さすがに毎週何本も何本も無尽蔵にエッセイを書けないので)しばらくこんなことをしてみます。「エッセイが読みたいよ」という方は、手作りのジャグリング道具のお店「PM Juggling」のホームページで、人とジャグリングが織りなす話を楽しんでいただければと思います。隔週ぐらいで更新したい。
https://pmjuggling.com/category/essay/

-タイトルは、僕がよく聞かれるフレーズです。いや、1年のうち330日ぐらいちゃんと日本にいるんだが、「大事なときに日本にいない」と思われていて、こんな風に聞かれる。僕としては、嬉しい。嬉しいんだけど、「日本にいるよ」というと、期待を裏切っているみたいな気分になる。

-最近ベトナムに興味がある。というか、ベトナム「語」に興味がある。Youtubeで、ベトナム在住の日本人女性のチャンネルを見つけた。彼女が流暢なベトナム語を話すのを見て、触発された。僕が今住んでいるアパートの隣にはベトナム人が住んでいる。そこで、ベトナム語を少しずつ教えてもらうことにした。「私は日本人です」と言えるようになった。これからどうなるだろう。
aNcari room
https://www.youtube.com/channel/UCLmX_OViU8KVy8vPvlsvuOw

-金曜日はPM Jugglingの仕事。このところは毎週PM Jugglingのオーナーであるだいごさんの自宅付近まで行って、仕事をしている。仕事といっても、翻訳などをする以外、最近あった面白いことや、それぞれの進捗を、コーヒーを飲みながら(ゲラゲラ笑いながら)話すだけであるが。面白いっす。

-6月の中旬に、フランス人のディアボリスト、エティエンと北海道に行くことになった。もともと僕自身、北海道で行われるWorld Juggling Day2019 in Hokkaidoに行く予定だった。それが、たまたまその時期にエティエンも日本にいる、ということを知る。なので、一緒に行くことにした。先週、飛行機を取った。ひょっとすると、渡邉尚さんに会いに沖縄にも行くことになるかもしれない。というわけで来月は南北ダイナミックに日本を移動できそうで、楽しみである。
そうそう、エティエン君には、現在PONTEの新しいTシャツをデザインしてもらっています。6月には出します。
WJD2019 in Hokkaido公式サイト https://wjdinhokkaido.jimdosite.com
BASTON by Etienne Chauzy https://bastonetienne-chauzy.dpdcart.com

-先週の読書。
『ディープすぎるシルクロード中央アジアの旅』下川裕治(中経の文庫)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321708000336/

最近、道端で出会ったトルコ人と意気投合して、家に泊めた。そのためか、にわかにアジア諸国に興味が湧いてきた。そのトルコ人は、横浜駅の近くでブレスレットを売っていた。それを資金に、9ヶ月もヒッチハイクの旅を続けているそうだ。日本だけではなく、イラン、マレーシア、フィリピン、韓国など、たくさんの国を回ってきたという。初めて会ったとき、「日本の人はなんだか、冷たい」なんて言うので、僕は悔しかったから居酒屋に連れて行ったり、「すき家」のカレーを奢ってあげたり、できる限りのことをした。日本を好きになって帰ってくれるといいけど。

以上、先週は、日本にいました。

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☆PONTE Tシャツ再入荷しました☆
PONTE君が描かれた白いTシャツ、再入荷!これから訪れる夏にもってこいです。白シャツ党の皆様、いかがですか。ちまちまとしか入荷できておらず申し訳ないのですが、各サイズ、数枚ずつ入荷しております。ご注文はお早めに。
http://store.jugglingponte.com/items/2189103

☆中国紀行・番外編☆
「ジャグリングのエッセイ #3 温泉のお礼にボールをあげた話」
https://pmjuggling.com/7020/

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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第27回「特注クリスタルボールホルダー、4つ完成!」

2週間ほど前から製作しはじめている、特注のレザー製クリスタルボールホルダー(76mm用)がついに4つ完成した!時間をみつけてコツコツと作業していたので、思いのほか時間がかかってしまった。

なにをつくるにもそうだが、最初のかたち決めは一番時間がかかってしまう。特に自分の場合は「試作」(文字通り、本格的につくる前にためしにつくってみる)という作業があまり好きではない。頭の中でほぼ完成に近い状態まで構成をイメージしてから作業に取りかかり、ぶっつけ本番の感覚でつくるからだ。だからこそ準備に時間がかかってしまうのと、再度つくったときよりも最初につくったときのものの方がクオリティが高い仕上がりのときも多々ある。(笑)

2個目からは作業分けをしながら3つ同時進行でつくっていたが、見た目シンプルでも同じものをいくつもつくるには、手間のかかる設計になっていた。革を切ったり、穴をあけたり、金具をつけたり、麻糸で縫ったり…と、サイズを何度も確認しなければいけないので、工程ひとつひとつに気を遣う。特に、革に穴を開けてボタンを打ち付けようとしても、革に厚みがあるのでそのままでは取り付けられず、革を漉いて、薄くしてから打ち付けるという作業が地味に手間がかかった。(笑)

一応、来週その注文してくれたジャグラーの友人が、毎週自分が通っている練習場に遊びに来るらしい。もともと商品は送るつもりだったが、仕上がった商品を直接手渡せるとなると、はたして要望通りの仕上がりになっているか反応を見るのが楽しみになる!

by Fuji

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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
26本目 「コロンブスの煙草」(メルマガ第20回)

【装備型】
・とんがりコーンを指にはめる。
・ポテコやなげわも指にはめる。
・プリングルスでくちばしをつくる(2パターンあり)。

【分解型】
・キットカットを2つに割る(メーカー推奨)。
・アポロチョコレートのイチゴの方だけ食べる。
・きのこの山のチョコだけ食べて、カシュナッツ的なものにする。
・ポッキーのチョコだけ食べて、プリッツ的なものにする。
・コロンの周りを剥がして食べる。
・コアラのマーチの四隅を先にかじって食べる。
・チー鱈の鱈部分を剥がす。
・ピーナッツを半割して、爺さんの頭だけまず食べる(カリカリしている)。

【分解型亜種】
・たべっこどうぶつの印刷面を舐めて消す(ある意味では分解型と言える)。
・マーブルチョコレートを口の中で舐めて脱色する(白くなる)。

などが挙げられる。出るとこに出たら、食べ物で遊ぶな、という声が聞こえてきそうだが、リンゴをトスするのを咎めない皆様なら問題ないだろう。

さて、友人から教えられて衝撃を受けた食べ方がある。

それはコロンの食べ方。コロンとはサクサク生地のローラーボーラ的円筒にクリームが詰まったお菓子であり、筆者の食べ方は、前述の通り周囲の殻を少しずつ剥がしていくという陰険な手法だった。最後の一周を残し、クリームと一緒に口に放り込む。通常時のコロンよりも殻が薄くて、脆弱な歯ごたえになり、己の支配欲を満たすことができる(陰険である)。
友人に教えられたコロンの食べ方は、ドラマティックで独創的だった。まず、コロンをつまみ、口にあてがう(煙草のように)。そして、思いっきり吸う(煙草ように)。すると、中のクリーム部分だけが口腔内に飛び込んで来るのである。あとは、残った”吸い殻”をサクサク食べるのだ(ポイ捨てはダメ絶対)。

他に類を見ない内側から攻めるスタイル、自らの形状を活かしたギミック感、とてもお菓子とは思えない躍動感を兼ね備え、個人的には分解型の最高峰だと思っているので、未経験の方は是非。

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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。悲しいことが2つありました。ひとつは、金の鈴がなくなっていたこと。もうひとつは、それに誰も気づいていなかったこと。好きなジャグラーは特にいません。
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◆『秘密基地vol.9』 運営者雑感◆ 文・中西みみず

今月はじめ5/4-6に京都でオムニバス公演『秘密基地vol.9』がありました。(*1)
僕はこの公演を運営をするピントクルの代表という一面があり、またここで「503 Service Unavailable」という作品を演出した創作者という一面もあります。今回はこの公演の運営者としての雑感を書きます。

## 『秘密基地』の目的
運営者と書きましたが、やっていることとしては主に二つ。
こんな目的として、こんな演者を集めて、公演全体をこんなかんじに演出しようという企画という役割。
それと、来場した人が楽しめるように諸々の公演全体を運用する役割があります。
ちなみに、『秘密基地』シリーズの主な目的は

実験的なジャグリングの発表の場が少ない中で、それらを「する、見る、考える」場をつくる

ということ。
また、来場した人(出演者も)には、みんなのやりたいを詰め込んだ刺激的な作品をみて、ぼくも私もこんなジャグリングをやってみようと創作意欲が高まってもらえればなあと思っています。

## 公演期間を長くしてみる
今回は出演者として長崎から大橋昂汰(*2)さんを呼びました。そして作品を上演してもらうだけでなく、彼が作るボールの販売とワークショップをしていただきました。作品を見るだけでなく、実際に話をしながら作った道具を触ってみたり、技を教えてもらうことはこの公演意図に合うなと思ったからです。
そのような公演以外の企画を盛り込むために期間をいつもより長くしました。それが結果的に、副産物として他にも良い点を生みました。
例えば、スタッフさんともいつもより多くの時間を共有することで、照明や音響などの作品の演出面により密度の濃い話ができました。また、少し公演から離れて「ジャグリングを見るうえでの客席はどうあるべきか」みたいな面白い話題もありました。
オムニバス公演といえば1日で準備し、上演して終わりみたいなこともありますが、やはり創作という面ではお互いに刺激しあえる環境づくりが大事だと思っています。
そいえば、大橋さんが幻灯劇場さん(*3)と同世代ということもあり単純に仲良くなっていたのが、個人的に感慨深い気持ちになりました。

## ジャグリングと演劇
ジャグリング作品を創作する、という射程をより広くしたいなと思っています。
そのため京都で活躍する演劇の団体さんにもここ何回かは参加してもらっています。今回は幻灯劇場さんが「はじめてのジャグリング」という作品を上演しました。
「ジャグリングに必要なものはまずプリンターですよねー。」という軽妙な雰囲気で始まるこの作品。ここ何回かシリアスにジャグラーではない目線からの「ジャグリングとは何か」を追求した作品が多かった中で、演劇をあまり見たことない人でも見やすい雰囲気の作品となっていました。もちろん、ただ見やすいだけでなく、「ジャグリングと写真」をテーマにしていて、かつ、最後のシーンではジャグリングにある種挑発的な一面もみせ充実した作品でした。稽古場に出向き、演出の藤井さんと「ジャグリングって何だ」という話をしたのは印象深いです。
少しずつではありますが創作を通じて「ジャグリング」が広がっていくのは良いことだなと思っております。

## 運営と制作の一致、あるいは等価交換の外部について
さて、これまで僕の運営者としての雑感を書いてきました。ただ、最近は運営者と創作者の一面は切っても切れない関係にあるのではないかとも思っています。それに関しては哲学者東浩紀(*2)の影響を多分に受けています。それがもっともわかりやすく出ているのがゲンロンβ32「運営と制作の一致、あるいは等価交換の外部について」なんですが。
そのような点も踏まえて次回は『秘密基地vol.9』で作品を上演した創作者としての雑感を書こうかと思います。そのうちに。

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*1 『秘密基地vol.9』
Juggling Unit ピントクル主催 オムニバス公演『秘密基地vol.9』のこと。11月にはこまばアゴラ劇場(東京)で『秘密基地vol.10』があります。
http://juggling-pintcle.com/omnibus/

*2 大橋昂汰
長崎で活動するトスジャグラー。Kouta’s Storeというネットショップで彼のお手製の道具も販売しています。
https://koutaohasi.stores.jp/

*3 幻灯劇場
映像作家や俳優、ダンサー、写真家など様々な作家が集まり「祈り」と「遊び」をテーマに創作をする演劇集団。
https://gentou-gekijou.themedia.jp/

*4 東浩紀
株式会社ゲンロンの元代表。主に批評紙「ゲンロン」を出版している。ゲンロンβは毎月発行・配信されている電子批評紙。中西はピントクルの活動においてゲンロンの影響を多分に受けているとか。

☆宣伝☆

オムニバス公演『秘密基地vol.10』

出演:
aube
鈴木仁
田中謙伍
中西みみず
focus
福井裕孝
RoomKids & パ技ラボ

日程:
2019/11/14(木)-17(日)

会場:
こまばアゴラ劇場(東京)

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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-久々に中西みみず君が寄稿してくれました。今回の秘密基地は観に行けなかったのが残念である。でも次は東京でやるそうなので、行きやすくて助かる。(まぁ秘密基地を口実に京都に行くのは楽しいというのが本音ですけど)

-急にFuji君が原稿を「である」調に切り替えてきたので、何か心境の変化が合ったのかもしれません。本人に突っ込んでみたら、「変えてみました」としか返ってきませんでした。

-最近、ブレイクダンスの技のひとつ、ウィンドミルが少しずつできるようになってきました。一度できるようになると、そこから先、細かい調整のスピードはぐんぐん上がりますね。これ、外国語と一緒だ。

-そして、それに合わせて、身体の柔軟性が欲しくなったので、日々のストレッチを始めました。どれだけ「楽しむか」にかかってるような気がしている。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)

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