週刊PONTE vol.186 2022/06/20

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.185 2022/06/20
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉… ジャグリングで書くこと 第6回 Don’t think, just do

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆ジャグリングで書くこと◆
第6回 Don’t think, just do

今週も思い浮かぶことをそのまま書いてみます。書く前は、ああ、書けそうにないな、と思います。でもとにかく書き続けることが大事です。漫然と書いたっていい、ということではありません。書くという行為で満足を得るには、まず書くという行為を立ち上げないといけないから、書きます。書かれたテクストをひとまず目の前におくと、やっと、書くことがスタートラインに立ちます。「書きたいんだ」とただ思っていても、文章は出てきてくれません。とにかく、下手でいいから何かを書き始める、ということで、具体的な方策が立てられるようになります。そこから話が始まります。
喜びもそこから始まります。芯から温まるような喜びに到達するまでは、長い道のりです。でも時間で勝ち得たものは時間に負けないはずだ、と信じて、時間をかけて書くしかありません。失敗を重ねながらただ進むだけです。
僕は、毎日絵を最低一枚は描く生活の中で、そのことを強く感じています。まずはなんでもいいから線を一本引かないと始まらない。描くことの喜びもそこから始まります。とにかく机に向かって、紙を置いて、ペンを持って、いろいろな拡散する思考を断ち切って、もうやるしかない、と観念して、線をピッと引く。それがすべての始まりです。そして一枚、自分が「作品」と呼べるもの、呼びうるものを、まず完成させる。それがボツだなぁ、と思うのなら、また次の作品のスタートを切る。その繰り返しです。百枚に一枚くらい、これは素敵だ、と自分でも心から思えるようなものが描けたりします。一日一枚だなんて、量はとても少ないですが、何かを描いている、ということはまた、微かな自信にもなります。

ついさっき、久しぶりに5ボールを投げました。ボールの感触が好ましいと思いました。5つも投げているとそれなりの運動になって、それも好ましいと思いました。ボールを投げなければ発見できない感情でした。ボールの重みを感じることもまた楽しかったです。
僕はジャグリングをいきなり始めることが多いです。発作的に、今やりたい、と思ったらそこでジャグリングをします。余計なことを考えないで、ただジャグリングをし始めます。本当は、堅実に上手くなるためには、プランを練って、そのプラン通りにコツコツと練習する、みたいなことが必要なのでしょうが、ジャグリングに関しては、なんだか僕はそれが苦手です。
ともすると、ジャグリングをすることが億劫だ、と思うことがあります。よくあります。これはつまり「めんどくさい」ということです。めんどくさいということは、元をただすとそれはすべて恐れです。始める前に考え過ぎてしまって、その大きさに畏怖してしまう。それは、ジャグリングのことをよく知っているだけに、余計に考えてしまう、ということもあると思う。

最近映画の『トップ・ガン マーヴェリック』を観ましたが、そこで主人公のミッチェルが「Don’t think, just do」と言っていました。考えないで、動け。小難しく考えてしまっていつまでも行動できない時はこれに限ります。とにかくコックピットに入って、操縦桿を動かす。時間は常に過ぎているし、環境は常に変わっていくから、考えている間に、自分の欲も変わっていきます。そうこうする間に、ジャグリングをしたいという気持ちがなくなります。だったらその前に、さっさとDoするしかない。
書くことについて言えば、書くことはどうしても頭の運動だと思ってしまうので、ついつい書く前になんだかんだと考えてしまうのですが、実は逆です。とにかく頭に浮かんでいる情景をそのまま言葉にする、ということが近道です。これは書くべき文章の目的にもよるのでしょうが、でも、何を書くにしても、とりあえず、書くという行為を続けるには、思い浮かぶ情景をそのまんま言葉にする、というプロセスがどこかで必ず要ります。同時に、そうやってラグなしでほいほい文章を書いていると、嘘をつきづらいというか、逆に素直な、いい文章がするっと出てきたりします。あんまり頭を抱えて悩んでも、いい文章が出てくるとは限りません。

でも、そうは言っても、色々考えてしまいます。逆に、色々考えてしまうからこそ、わざわざ僕は、「考えないで書くことが大事なんだ」と自分に言い聞かせているわけです。
もっとなんでも、思いついたままにできたらいいのに、と思います。僕はこのところ、自分の出足が遅いことにうんざりしています。なんでもかんでも、事前に色々と考え過ぎてしまうところがあるから、結局やらないでいることがたくさんあります。

それは、毎日ものを書いていないからではないか、ということを思いました。
今僕は、文章を毎日書いているわけではありません。noteに毎日連載をしていた時は、頭がずっとフル回転していました。これをやりたい、あれをやりたい、ということが泉のように湧き出ていました。きっと、朝のうちに思う存分思考の解放がうまくできていたから、心も体も満足していたんだと思います。それで、その満足を安全基地にして、他のことへの挑戦がうまくいっていたんだと思う。そう、人間は、とにかくまず満足する、ということが必要です。
何かを表現する、ということは、まず何よりも自分がそれを楽しむために存在するのであって、人がそれをどうこう評価することというのは、その楽しみの一部でしかありません。まずは自分が、中にあるものをありったけ外に出すために、表現、というものが存在します。
僕は5ボールを投げて、その運動性にとにかく満足を覚えました。全然体を動かしていなかったんだけど、5ボールという表現によって、体を動かせた、というただその満足が大事です。
というか大体、5ボールジャグリング、というのは、言葉で規定された記号でしかなくて、本質はもっとぐにゃぐにゃしている感じがあります。「5ボールジャグリング」という言葉でくくられている世界は、思っているより、ずっと豊かである、という気がします。僕はもっと、そういう言葉で規定された記号からも解放されたいとすら思う。別に記号で生きていることが問題だというのではないですが、現実について語っているようで、実は記号について語っているだけだ、ということが往々にしてあるので(逆に、人間は言葉を使って記号以外のことについては語れないのかもしれないですが)それを意識することは大事だと思います。だから、時々は、「Don’t think, just do」の精神で、ただDoすることで、普段は使っていない脳の部位を使ったり、体の部位を動かしたりするのもいいだろうと思います。
まぁこういうふうに書いたからと言って、すぐにジャグリングをする自分が変わっていく、ということでもないのですが、書くこと、というのは意識の変成にとても大きく関わってくることです。だから、やっぱりこうしてジャグリングについて書く、というふんわりとしたテーマの中で文章を書くことは、何かしら体の運動に関して与える、いい効果もあるだろう、と思います。

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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
ホームと遠出
https://note.com/daigoitatsu/n/ncf2169e0b4fd
「すこし前までは、道具をつくりながら移動ができたら理想だな、そんな方法はないかなと考えていた。でもいまはもう、自分のなかにそういう気持ちはほとんどなく、ホームでの活動を大事に考えていることに気がついた。」
(記事本文より)
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◆寄稿募集のお知らせ◆

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編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-新刊『ジャグラーのぼうけん』、60冊が売り切れました。また追加で10冊仕入れています。嬉しいペースです。馴染みの居酒屋で隣になった人にもよく売れます。
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また来週。

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