週刊PONTE vol.183 2022/05/16

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.183 2022/05/16
===========================
—————————
PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
—————————

◆Contents◆

・青木直哉… ジャグリングで書くこと 第3回 自由の具体性

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

—————————
◆ジャグリングで書くこと◆
第3回 自由の具体性
文・青木 直哉

 今月末、5月28日に、青木が書いた小さな新作本が発表されます。『ジャグラーのぼうけん』(生活綴方出版部)という本です。東京は下北沢のイベントで、手売りもする予定です。その翌日、5月29日には、東京の文学フリマというイベントでも販売します。基本的には、横浜にある本屋・生活綴方という書店での取り扱いですが、PONTEのウェブショップでも売ろうと思います。
 その本の中で僕は、なぜジャグリングを始めたのか、なぜ海外に憧れたのか、そして、実際に海外に行ってどんなことを体験したのか、という話を書きました。その話を書いたことで、「ジャグリングの在り方」の幅が少し広がったような気がしました。
 「今のジャグリングの在り方は狭い!」というような世の中への不満があったというのではありません。もっとジャグリング界に貢献したい、というような思いもありませんでした。むしろ、自分自身を助けたい、という思いがありました。
 ものを自由に書ける、ということは、救いになる行為です。書きたいことを、自由に書くことができる。本の中で、何を言ってもいいんです。もちろん、出版されて、本になる以上そこに制約はありますが、今回の本に関しては、かなり自由に書きました。推敲もかなりしましたが。
 いや、この連載だって救いの一つです。なんせこれは僕が主催して、いわば1人で勝手にやっているものですから、何を書いたっていいわけです。よく評価されるかどうかはまた別の問題ですが、はっきり言ってしまえば、この連載については、僕自身が何より楽しむことができる、というのがとても重要で、それ以外は副次的な要素である、と言っても差し支えありません。それが文章の第一義でもある、と僕は本気で思います。ジャグリングもそうかもしれません。何より自分が楽しむこと。

 僕は、自分が関わってきたジャグリングの姿について、それを物語にして間接的に描き出すことで、そのジャグリングが正当に存在する権利を与えている、というような感覚があります。僕にとってジャグリングに関して一番心地が良かった思い出、心が動いた思い出について文章にすることで、それが存在していることがはっきりと認められるような感じがあります。
 わかっているけど、言葉にできていないこと、はいっぱいあります。それは認識するのが難しいです。「問題ないよ」とかも、実際に言われるのか言われないかで随分違いますよね。ただ一言言ってほしい、ということって世の中にはいっぱいあると思います。

 僕のケースでは、自分の理想のジャグリングのその周辺について、「文章を書く」という形で安心感を与えています。人によっては、実際に理想のジャグリングをすることで、自分の理想のジャグリングをはっきりさせる人もいます。それも素敵です。憧れます。でも、それだけがジャグリングとの関わり方ではないはずです。もちろん、自分の理想のジャグリングを実際に「する」ことができるのが「いいアーティスト」ということなのかもしれません。でも、ジャグラーがアーティストである必要性はないし、とにかく自分がやりたいようにやればいいはずですよね。
 自分に嘘を付かずに好きなことを表現すれば、確実に自分の好きなジャグリングに対する理解は、深まります。「それが他人にも受け入れられるか」までは分かりませんが。

 やはり自分が好きなように書ける場所を、息をするように文章を書ける場所を持つ、ということは大事だなと今思いました。根本的には、この世界は自由で、自分が好きなようにやっていいんだ、と恒常的に思えることがすごく大事です。人はそういうふうに、心の底から思わなければいけません。なんだか、僕らは、ついつい、「これを責任もってやらないとどうしようもない事態をひき起こしてしまうんじゃないか」という恐怖にすぐ支配される気がします。全然感じる必要のない恐怖に怯えていることが、とても多いんじゃないか、という気がします。
 なんでいきなりこんなことを書いているのかというと、ちょうど昨日、友人と話していて、仕事のストレスの話になったからなんですね。その人は、少しずつストレスが溜まって、不眠だったり、そのほかいろんなことがあって、ユーウツな気分になっているようでした。
 僕は嫌だなぁ、と思いました。側から見たら、さっさと逃げ出せばそれで終わる話なんです。でも当事者からしたら、どうも「そう簡単じゃない」ように見える。
 これは、恐怖の連鎖が原因である、と思いました。その人の職場では上司がちょっと嫌な人みたいで、まぁ普段はいい人なんだ、と言っていましたが、とにかく、その上司も怯えているんですよね。社長がちょこっと何かを言うと、それはすぐ是正すべきじゃないか、と思ってしまって、そのスムーズな遂行が妨げられる事態が発生すると、パニックになってしまう。それで、部下にも強くあたったり、理不尽な目に合わせたりするわけです。
 こういうことがあった時、もちろん僕の友人は、その上司からストレスを受けているわけですが、でもかといってその上司を断罪すれば済むのか、というと、そうじゃなくて、システムそのものに何かおかしいところがあるよ、と言わざるを得ません。だから、もうとりあえず個人の対処としては、逃げるのが一番いいと思う。
 僕はそういう不自由さが大嫌いなので、ひょいひょい逃げています。むしろ、逃げた上で、幸せに加担していく生き方をしていきたいと思っています。よりいいことをするために、逃げるための術を身につけていっている、というのかもしれません。
 ええと、なんでこんな話をしているのか。
 まぁ、ジャグリングの自由さのことに話を戻します。
 僕がここで、「ジャグリングとの関わり方は自由なんだ」というシンプルな言明をしたところで、それは本質的に「ジャグリングとの関わり方の自由さ」を言い当てたことにはなりません。
 ジャグリングとの関わりを、たとえば文章にしたり、たとえば映像にしたり、たとえば商品作りという形で表現したりと、それを縦横無尽に具体的な形にすることで、初めて「ジャグリングとの関わり方の自由さ」が目に見えるものとして立ち現れます。
 僕としては、こうしてジャグリングについて書く、と言っておきながら全然ジャグリングと関係ない話をし始めたりすることが一つの自由さでもある、ということです。
 いやはや、話の流れがよくわからなくなってきました。
 本当は今週はまた色々と忙しかったので、メルマガは休刊にしようかと思っていたんです。でも、書こうと思えば書けるな、ということを思って、なんとなく書き始めて、ここまで書いています。果たして、「毎週続けること」って必要なんでしょうか。いいえ、必要ではありません。でも僕はここで、ちょっと、「まだそこにありもしない恐怖」にまた怯えているわけです。「もし休刊したら、ずるずると休み続けて、終わってしまうんじゃないか」とか。でもそうなったとて、僕は困るんでしょうか。困らないんですよね。週刊PONTEが終わっても、別に僕は困りません。他の人も多分、あんまり、困りません。
 それでも僕はこうして、うーん、とちょっと唸りながら原稿を書いて、なんとか3000字くらいは書いてやろうか、と思って書いているわけです。
 これこそ、僕がさっき言ったような、「会社レベルで発生するシステムの窮屈さ」の根源でもあるような気がしています。それを、自分自身に向けてやっちゃっているような気もします。
 今この文章をあんまり続けてもしょうがない気がしてきたので、今週はここでやめましょう。ちょっと疲れているのかもしれません。でも、いいんです。疲れている自分でもいいんだ、と思うこともまた、大事です。ちょっと疲れた時には、ジャグリングしなくたっていいし、何もしなくたっていいはずなのです。それこそが自由なジャグリングとの関わりです。
—————————
☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
単行本の地図
https://note.com/daigoitatsu/n/nd72d82ba7f28
「ついに3時半前に起きてしまった。」
(記事本文より)
—————————

◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-というわけで、新刊『ジャグラーのぼうけん』、発売日が決まりました!今月末5月29日が正式販売ですが、おそらく28日に下北沢BONUS TRACKというところで手売りで先行販売いたします。お時間ある方はぜひ。

-イベント詳細については、こちらの「本屋・生活綴方」アカウントをフォローすれば流れてくるはずです。よろしくお願いします。→ https://twitter.com/tsudurikata

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

発行者:青木直哉 (PONTE)

Mail info@jugglingponte.com

HP http://www.jugglingponte.com

Twitter https://twitter.com/jugglingponte

Instagram https://www.instagram.com/jugglingponte

これまでのメルマガアーカイブはこちら。
https://jugglingponte.com/weekly/archive/

メールマガジンの解除はこちら。
https://jugglingponte.com/weekly/unsubscribe/

========== PONTE Weekly ===

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です