=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.170 2022/02/14
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆
・青木直哉/板津大吾…投げないふたり Season2 第7回「同じ風景、違う画材」
・寄稿募集のお知らせ
・編集後記
◆投げないふたり season2◆
話し手・板津大吾(PM Juggling)& 青木直哉
第7回「同じ風景、違う画材」
諸々の都合で、川崎市にある某アパートで対談。日が差してきて、部屋はぽかぽかとあたたかく、昼ごはんを食べた後なので少し眠い。
板津大吾(以下D)
この間描いていた風景(※)、よかったね。自分は、風景画の方が好きなんだよな。抽象より。
青木直哉(以下N)
どうもどうも。どっちも言われますね。抽象画の方が好きだ、と僕のアパートで隣に住んでるベトナム人の友人は言ってました。「想像が膨らむから」って。
D
でも、画面ではわからないことが、実物で見るとよくわかるよね。光にあたった感じと、手触りと……。
N
以前の対談(※)でも言ったけど、実際にさわれるくらいの距離が、絵は一番楽しいんですよね。偉大なものとしてガラス越しに見るだけだと、身体的に感じる喜びが薄い。
D
……なんかさ、ジャグリング道具ってそもそも触ってこそなものだから、ネット販売は向いてないんだろうとも思うよね(笑)。見た目は全部、白くて丸いボールでしかなかったりして。ネットで画像見ても、なかなか、違いはわかりづらいよね。
N
いやぁ、伝わらないですよね。15g違って、表面は少しマットで……とか書くことは可能だけど。大吾さんが作るボールのよさやこだわりみたいなものって、ひとたび道具を手にすれば、あ、これはなんか違うな、って肌で感じられるんだけどな。
D
でも逆に、自分の活動をネット販売だけで全部表現しようとしなくていいんだな、とも最近気づいた。活動っていうのは、それぞれ違う性質のある「ことば」なんだと思うんだよ。「ジャグリング道具の販売」はひとつのことばに過ぎなくて。別に表現したいことがあれば、他の手段を使えばいい。自分なら、noteもあるし。
N
なるほどねぇ。そう思えば僕が絵を描いてるのも、文章やその他のことでは表現できない思考を外に出すためかもしれないなぁ。
D
お、それ、最近読んでる『ブルーピリオド』っていう漫画でも、おなじようなこと言ってた。
N
おー。最近ハマってますよね(笑)。
D
読んでみてよ。
N
読みたいな。
D
あと、自分のことを表現するにあたっては、ある程度何かが抑制されていることも大事だと思う。
N
ふむ。
D
自分が学生の頃、授業とかは全然興味が持てなかったし楽しくなかったけど、ジャグリングは好きで。そこで、ジャグリングで何かしたい、っていう欲がかえって燃えた気がするから。
N
うん、たしかに、自分ではどうしようもないことがあった方が、表現すべきことはすっと出てくる。絵を描くときも、少し考え事がある時の方が、それから逃げるようにして、描画だけに集中したりする。それでスッキリしたりもしてね。
D
救われている部分もあるよね。
N
うん。大いにある。僕が毎日違う風景を描くのは、自分自身が、すぐに考えがコロコロ変わっちゃって、そのことを放っておくと何も成し遂げられないな、と思ってるからです。フワフワ飛んでいってしまう気持ちを、「即興で描く絵」という具体的な形で、その気持ちを定着させることで、せめて「いいもの」に昇華させている。それで、多少なりともわだかまらないようにしている……んじゃないかなぁ。たぶん。
D
なるほどね。なんか、なおくんの絵は、「こういう自分の性格の表現だ」って言われたら、さらに面白く見られるかも……。
N
うん、そうかも。それは絵に文章を添える、という形なのか、どうなるのかわからないけど、やってみたいな。でもどう伝えるかは、よく考えないといけない。まぁとにかく、あの手この手で表現するのが普通なんだ、と思うのがいいですね。
D
感じていることをいろいろな手段で伝える、ってことだね。
N
うん。「ジャグリングのスタイル」も、感じていること、あるいは感じたいことを表現する手段ですね。「フロウアーツ」(心地よい「流れ」を感じることを主眼としたスタイルのマニピュレーション)は、言葉に置き換えたら、「お経を読む」みたいな感じ、とか。たとえば。同じ発声でも、J-POPとお経とは、表現の意味が全然違うのと一緒で。自分が外に出すべき欲望があって、そのために必要とされるスタイルをみんなやるんじゃないかな。ジャグリングにおいても。描きたいと思った風景は、違う画材やスタイルで、色々試してみればいいんだ。
D
そうだね。一個に凝り固まり過ぎないのが健康的でいいかも。
※
・2022.02.04 https://www.instagram.com/p/CZiHEAaB2PL/
・第6回 いろいろジャグラー – 世田谷文学館「安西水丸展」を見て https://jugglingponte.com/weekly/ponte-weekly-vol142/
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☆PM Jugglingのnoteを勝手に紹介☆
ジャグリングサイト制作記 #8 限界
https://note.com/daigoitatsu/n/n5a55c5296cd7
「どんな活動も言葉みたいなもので、自分を表現する手段のひとつで、それは裏返せば、それぞれに限界があるということなのだ。何か1つの手段ですべてができるとは、思わないほうがいいのだろうと今は考えている」
(記事本文より)
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◆寄稿募集のお知らせ◆
週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。
◆編集後記◆ 文・青木直哉
-都合があって、2週間ほど前から「自分が一番面白く語れること」をしっかり書いてみようと思い、キーボードをぱちぱちし始めました。数日経ったところで、おや? と思って、一度パソコンを閉じました。首を傾げながら、天井を見上げました。1時間ほど経ったら、またパソコンを開いて、頭を抱えました。あれ? と思って、今度はセブンイレブンに行って、カフェラテを買ってきました。5時間ほど、数百文字書いては、むうう、と唸り、コーヒーを飲んで、また画面を睨み付ける、ということを繰り返しました。
-2日間経ちました。ピカピカ光るパソコンが悪いのかもしれない、と思って、リュックからノートを出しました。白いページに向かって、ボールペンで字を書きました。すると今度は、A4で1ページ半の文章が出てきました。かろうじて読めるぐらいの走り書きでした。そして、また僕は唸りました。気がついたら、目から涙が出ていました。書くことはおそろしいなと時々思います。
また来週。
PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。
発行者:青木直哉 (PONTE)
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