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週刊PONTE vol.21 2019/04/01

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE vol.21 2019/04/01
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第20回「だって、本当に来てくれるとは思わなかったからね」

・Fuji…フジづくり 第21回 「成長をそばで見届ける Coro 」

・きんまめ…デビステのてんぷら 20本目 「ビッグワン・ビッグバン」(メルマガ第14回)

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第20回「だって、本当に来てくれるとは思わなかったからね」

「じゃあ、日本に来なよ」
と言ったとき、僕はフィンランドで露天風呂に浸かっていた。

2018年の夏、フィンランドのロヴァニエミを訪れた。「サンタクロースの村」で有名なところだ。
僕がそこへ行ったのは「タイカ・アイカ」という小さなサーカス学校でパフォーマンスをするためだった。小さな学校とはいえ、一通りの器具は揃っている。メインのホールは天井がすごく高いので、ジャグリングでも体操でも、なんでものびのびと練習ができた。僕はそこのメインホールの中二階みたいな、段梯子を15本くらい登らないとたどり着けないようなところで寝起きして、4日間くらい過ごした。なんだか夜寝に行くのもサーカスみたいで、朝寝ぼけた状態で降りて、危うく3mくらい落ちそうにもなったが、楽しいところだった。
なぜそんなところでパフォーマンスをする機会があったのかといえば、それは数年来の友人、ラウリが誘ってくれたからである。ラウリ自身も演技をするから、なんなら一緒に行くかい、と言って、はるばるヨエンスーから8時間ぐらいドライブをしてロヴァニエミまで行き、しかも演目のラインナップに僕を入れてくれたのである。フィンランドでアクティブなサーカスパフォーマーはそれほど膨大な数がいるわけでもないし、ラウリの周りにいる人が自然と集まったから、ラインナップの中には同じく数年来の僕の友人であるマルクスと、その奥さんのエンマもいた。

マルクスとエンマは、つい最近結婚した夫婦だ。
マルクスはジャグリング、エンマは、エアリアル(※1)を得意とするパフォーマーである。髪を後ろに結んだ熊みたいなマルクスと、細身でキレイなエンマさん。見た目は対照的だがとても仲のいい夫婦である。どちらも、おとなしい性格なのでウマが合うのだろう。(もっともフィンランドでは、物静かな人がけっこう多いのだけど)

さて、タイカ・アイカには、オーナーがたっての希望で作ったサウナと、いわゆるドラム缶風呂のような、「パルユ」というものがあった。サウナはフィンランド発祥の文化で、いろいろなところでサウナに入ることができる。タイカ・アイカには、近代的なサウナがあり、関係者は誰でも自由に入れた。フィンランドのサウナは湿式で、部屋にある大きいドラム缶の中に焼いた石が積まれていて、そこにお湯をかけて発生する蒸気で部屋を温める。場合にもよるが、男女構わず一緒に裸で入る。じゅーんと上から熱すぎるぐらいの蒸気が降りてきて身体を温め、日本のサウナでは味わえない刺激的な快感がある。

そしてパルユは、まさに露天風呂。4人ぐらいが入れる大きさの釜が野外にあり、薪を焼いてお湯を沸かし、そこに浸かる。寒空のベンチ、パルユ、そしてサウナを行ったり来たりしながら、缶ビールを飲んでグダグダと喋るのがフィンランド流なのだ。

そんな中、マルクス、エンマと一緒にパルユに入っていたら、二人が「僕ら今度ハネムーンに行くんだ」という話をしだした。
そうかぁ、それはいいね、どこに行くの、と聞くと、「まだ決めてないんだけど、ヨーロッパのどこかに行こうと思ってるんだよね」と言った。
僕は、「せっかく一緒に一度のハネムーンなんだから、日本にでも来たらいいじゃない」と冗談で言った。
すると二人は顔を合わせて、しばらくして、「そうだねえ、日本ね…いいかもしれないなぁ」と、なんだか心が動いたようだった。
もし日本に来てくれたら、それは嬉しいなぁ、と僕は言った。

それは、全然社交辞令でもなんでもなくて、僕の根っからの本心なのである。
外国で散々いろいろな人のお世話になってきて、そうやって誰かにお世話になるごとに、その友達と、その国とを好きになってきた。だからもしマルクスとエンマが日本に来てくれて、それで一緒にご飯でも食べられたら、そしてあわよくば、日本を好きになってくれたら、それは申し分ないなぁ、と思ったのである。その時だって、マルクスとエンマは、僕がロヴァニエミから帰る日に、キャンピングカーでずーーーっと運転をして、ヨエンスーまで送ってくれた。車の中には、僕だけではなく、二人が愛情豊かに育てている、ビーグルか何かの混じった、小さな犬のヴァディックもいた。
だからいつか、お返しがしたいな、と思った。

さて、時計の針は進んで、半年後の2019年3月下旬。つまり、これを書いている数日前である。

マルクスとエンマは、僕の故郷の横浜に、本当に来てくれた。
本当に、彼らは、ハネムーンの行き先として日本を選んでくれたのである。
久しぶりに会うマルクスは相変わらず熊みたいに大きくて、エンマは細身で、ヴァディックはいなかったけれど、代わりに二人のセーターにはたくさんのヴァディックの毛が付いていた。

二人は桜を見たい、というので、横浜の海沿いを行き、桜並木を見つけてそこを歩いた。

嬉しかったなぁ。

二人は「フィンランドでは、北のほうではまだ雪が残ってるよ。こんなに日差しが強くて、まるで夏みたいだねえ」と言って、日光を思い切り浴びられることを心底楽しんでいるようだった。

(※1)エアリアル…天井からぶら下げられた布や輪っかにつかまって行う舞踊。

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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第21回 「成長をそばで見届ける Coro 」

昨日、缶バッジの完成品を確認しました!バッジはJuggle Pack、PONTE、PM Jugglimgの3種類をつくり、どれも可愛く仕上がってました。青木さんはもうカバンにつけていたんで、自分もどこかにつけたいです。特にフリーハンドで書いたPONTE君のフェイスバッジは良かった!

そして、昨日はしばらく滞っていたホームページづくりにも専念しました。これは青木さんが担当してつくってくれてたんですが、自分は隣でデザインや記載内容の確認をしつつ、お茶やコーヒーを飲みながら居座って、この記事書いてました(笑) 先日遠方の方から青木さんのジャグラー仲間が何人も来ていたので、そのお土産でフィンランドのチョコレートやイスラエルのお菓子、京都の八ツ橋を食べながら作業してました。

あと、最近では友人へのプレゼントで「Coro+」と称してワンランク上のサイズのCoroも製作してみました。72mmまで対応の3ボールポーチです。帆布の色もカットハギレをつかって桃色と紺色をつくってみたら、なかなか可愛く仕上がりました!
一人は教えてからしばらく経ちましたがジャグリング初心者で、最初と比べるとだいぶ上手くなった女の子への誕生日プレゼント。もう一人も初心者で、今日から小学校の先生になる男の子が、教えてから最近ボールを買ったので、そのボールをCoro+に入れてお祝いのプレゼントをしました!上手くなって生徒たちに見せるそうです。頑張って!!

初心者の人にスタートから持ってもらえるのはとても嬉しいことです!自分の代わりにその人の成長を、そばで見届けてくれている気がして…(笑)

by Fuji
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
20本目 「ビッグワン・ビッグバン」(メルマガ第14回)

Big One Trick、通称ビッグワン。ジャグてっくの学園祭パフォーマンスにおける、ネタとアイデアで構成されたエゴの小宇宙。「ジャグリングしなくていい」という悪魔の囁きに誘われた私は、技術を磨くことを手放し、コスパのいいオリジナリティを手に入れた。
ビッグワンで張り上げた私の声は、新たに誕生した星の産声だった。

ジャグらないパフォーマーは私の他にも現れた。目隠ししてピアノを演奏する輩(しかも女装して)だったり、三角関数の形態模写をする連中だったりが跳梁跋扈し、ビッグワンは血で血を洗うような、内輪を内輪で笑うような、世紀末の様相を呈していた。ジャグリングしたら負け。そんな風潮がビッグワンを支配していたのだった。

パフォーマンスのスラム街。演技の闇鍋。かかる状況に憂いた当時の執行学年が、英断した。なんとこの翌年から、ジャグリングをしないパフォーマンスはビッグワンへの参加資格無しと見なされ、「フリーパフォーマンス」という凡庸な名前の別枠で披露することとなった。2010年のことである。
ビッグワンで振りまいた私の笑顔は、散り行く星の最期の輝きだった。

ジャグリングサークルはやっぱりジャグリングをやろう、というこの大きな変革は、ジャグてっく史に刻まれ、後にビッグワン・ルネサンスと称されて、教科書に太字ゴシック体で載り、学生たちは先生に言われるがまま赤線を引くことになるのであった。

ルネサンス元年、私はビッグワンに出場した。そう、ジャグリングをしたのである。だが、もはや小道具無しでは生きられない身体になっていた私が披露したのは、キムワイプシガーボックス。(作者注:キムワイプをご存知ない方は、ティッシュと読み替えても話が成り立ちますのでご活用ください。)
しかし、メインの小道具はキムワイプシガーに非ず。本命は、シガーボックス(木製)にキリとミニのこぎりで穴を開けて、内側にキムワイプを仕込んで作製した、シガーボックスキムワイプである。キムワイプをシガーボックスに見立てることは多々あるが、シガーボックス自体をキムワイプにしてしまう試みはなかなか見られないのでないだろうか。

また、一応まともなデビルスティックのルーチンも盛り込んだのだが、これまでのビッグワンの演目に比べると、めちゃくちゃおとなしいルーチンだった。観客の肝を抜くには技術が足りなかった。悔しかった。悔しかったので、エンドラバーにバネを仕込むという、極めて地味な悪あがきをした。
ビッグワン当日に思いついたものの当然手持ちのバネなんかなくて、そこらへんにあった針金をペンに巻き付けることでわざわざバネをつくってエンドラバーに仕掛けるという突貫工事を、1人部室で作業した。素晴らしき小道具根性である。

ちなみに、当然同年のフリーパフォーマンスにも参加して、ミニ四駆で爆走したりもした。めっちゃ楽しかった。

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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。キムワイプを3つひっつけつつ、真ん中の箱からキムワイプを1枚抜く、「中抜き」という技を披露しました。好きなジャグラーは特にいません。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

-いつも「たまむすび」を連載してくれているPM Jugglingの板津さん。今度は、こんな素敵な記事をPM Jugglingで書いていました。韓国のジャグラーが、誕生日にPM Jugglingのボールを買って、ビデオまで作ってくれたそうです。いいですねえ。

出会いの積み重ね

-今週末はいよいよ徳島に行きます。以前も書きましたが、ジャグリングのフェスティバルに参加するためです。その前日に、京都に一泊するつもり。その1日は、意識的に「ものを見る」日にしたいと思っています。何かを作るときに必要なのは、過去に見たものの蓄積だ、と思うので、ですね、あの、いろいろ、意識的に見ないとさ、とか思ってるわけであります。

-今知りたいのは、印刷や、紙に関わる技術だ。印刷や紙に関わる技術の一体何を知りたいのか、それはまだ分からないのですが。何を知りたいのかを知るために、世の中にあるものをもっと見たいな、と思う。

-来週のメルマガでは、ついにJugglle Packのホームページをドドンと紹介できるんじゃないかと思っています。さてさて。

-シガーボックスをキムワイプにして中のティッシュを抜くって、なんかまさにきんまめさんの真骨頂みたいな感じがしますね。

また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)

Mail info@jugglingponte.com

HP http://www.juggligponte.com

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