=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE 2019 vol.3
(通算第11号)2019/01/21
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第11回 「PFF2016」

・Fuji…フジづくり 第11回「想像とさくらんぼ」

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

バックナンバーはこちらから
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第11回「PFF2016」

※(この原稿は、2016年に書いたものです。)

フィリピン・フロウ・フェスティバルに行ってきた。通称PFF。今年で4回目を数えるこのフェスティバルは、かっこよろしいフィリピン人のパウリーノさんが主催。来年以降は続くかどうか分からないとのことだがぜひ続いて欲しい。(筆者註:結局、PFFは2016年を最後に開催が途絶えている。)続けないとしたらどうするのだろう、と思って聞いてみたら、どうもアジアの国々(フィリピン、マレーシア、シンガポール、韓国…)が連合でEJCのようなひとつの大きなフェスティバルを開くかもしれない、という話も出ているようだ。(筆者註:こちらも、まだ実現には至っていない。)
まずは成田空港からマニラ、ニノイ・アキノ国際空港へ。ジェットスターを利用して、航空券と荷物の預け入れとで合計約3万円。5時間をかける渡航にしては随分安い。だがLCCのとりわけ安い便だけあって、23時を過ぎての到着。
本当は空港泊をしてもよかったのだが、どうも治安があまりよくないという情報を事前に得ていたので、市内へ行って1泊することにした。
空港の建物を出てタクシーを探す。
白タクシーは危ないし高い、と聞いていたので黄色いタクシーを探していたら、制服の男に止められた。
「どこへ行くんだ、パスポートを見せろ」と詰問される。黄色いタクシーを探している、というと、「セイムだ、白いのでいいだろ」と言う。しかもパスポートを見せたはいいが、大して中身をちゃんと見ている風でもない。
なぜわざわざそんなことで文句をつけられなくてはならないのか。もしや白タクシーとグルになって旅行者からお金をふんだくっているのかもしれない。どうも空港職員の汚職事件も絶えないというような噂があったので、そんなことを考えた。
きっぱりと「黄色い方が安いと聞いたので」と言って男を振り切って(それを聞いて、「なんだ、知ってるのか」とばかりに急に態度を変えてあっさりと行かせてくれたあたりも怪しい)イエローキャブに颯爽と乗ったが、結局このタクシーの運ちゃんにも、200ペソ(約460円)ほどが適正価格であるところを、700ペソ(約1600円)取られた。陽気に話しかけてくれて、あんなに優しかったのに。
なにはともあれタクシーでマカティ市というマニラ首都圏の中でも栄えている(そして治安の悪い)地域に着き、ホステルを探す。
ほとんどのフェスティバルアーティストたちが同じホステルに泊まっており、着いてしまえば安心のはずだった。しかしその肝心なホステルがなかなか見つからない。道のそこかしこにガードマンが立っていたので(この事実が治安の悪さを物語っている)道を聞いたら、MNLブティックホステルに行きたいのに、LMNなんとかレジデンスという心霊現象が起きそうな古びたアパートを笑顔で紹介され、(ちょっと影の薄い老人が、廊下で椅子に座り半笑いで目を光らせていた)いや、これじゃないよ、と訴えたのだが、まったく聞き入れてもらえず「開けてもらえるから、ノックしな!」と笑顔で言ってくる始末で(いや、親切に教えてもらったんですが)途方に暮れてぶるぶる震えながらひとつ路地を入ると、顔なじみのアーティストたちがホステルの前でピザを食べていて、ようやくほっとした。

ツアーではない海外旅行をした人ならご存知の方も多いと思うが、海外で(国内でも)安く泊まるときの定番がホステルである。
一人にひとつベッドが割り当てられて、バス・トイレは共用。だいたいキッチンが付いていて、自炊すれば節約にもなる。朝ごはんだけは出ることもある。B&B(Bed & Breakfast)と呼ばれたりもする。
国によって価格は異なるが、先進国でも、だいたい1000円~3000円が相場である。複数人でひとつの部屋を一気に借りたりすれば、ときには先進国でも数百円で泊まれることだってある。海外でホテルに泊まるとなったら1,2万円かかるのじゃないか、と思い込んでいる方にはぜひホステルを体験することをお勧めしたい。清潔さやサービスの度合いにはピンからキリまでありますが、慣れると楽しいです。

このホステルにはアーティスト以外にも他の参加者の多くが泊まることになっていた。その中でも一段仲のいいシンガポール人の友人たちが到着するのを心待ちにしていた。だが一人でぽつねんと何もせず過ごすわけにもいかないので、適当に暇そうにしているアーティストに声をかけて近くをぶらつくことにした。
アメリカ人のポイスピナー、ニッキー・エヴァーズが特によく行動を共にした人物だった。
彼の趣味はお茶だ。頭髪よりもヒゲの多い独特のヘアスタイルにいつでも柔らかな微笑をたたえて、話しかけると角の取れた、水のような声で返事をする。ポイのプレイスタイルにも特徴が出ていて、無理に道具に負荷をかけず、なるべく自然の力に任せるようなふんわりとしたポイの回し方が見ていて心地よい。同い歳だということもあって話題も事欠かなかった。

その日の夕方にはシンガポールから友人が到着し、わいわいと盛り上がって、次の日も一緒に街を見に行った。
天気は晴れでよかったが、気温は35度は常に超えているような暑さだ。湿度も日本の梅雨ぐらいの感覚である。とびきり暑い梅雨、というような最悪の組み合わせの中で、半袖半ズボンで歩いていても自然に汗は吹き出してくる。水分も体力もどんどん失われ、4,5時間街を歩いてからレストランに入る頃には、テーブルに肘をついたまま寝てしまった。
フェスティバル開始前日。観光を終えて帰ってきたホステルで、23時頃床につく。だが翌日は朝早いということと、冷房がガンガンに効いていたために、ろくな睡眠がとれなかった。
翌日の朝4時に出発する貸切バスでサンバレスというルソン島中部にある海沿いの町に向かう。バスの外観は日本のそれとさほど変わりはないが、乗り込んでみると、蛍光灯がまるまる抜けて機械がむき出しになっていたり、照明が中途半端に薄暗かったりする。エアコンは効いているのでその点悪くはないが、むしろガンガン効きすぎていて逆に寒いような気もする。狭いバスの中でそれぞれ思い思いに過ごしながら、(早朝出発だったためだいたい寝ていた)途中休憩所でヌードルを食べ、また身をちぢこませて睡眠をとり、約4時間半で到着。
受付のすぐそばにバスが止まった。参加者の多くが泊まるサークル・ホステルという名の施設の1階が受付として使われていた。ホステルと言っても開放感のある海の家を、そのまま宿にしたという風情の建物だ。木造、茅葺きで、空間にはハンモックがいくつも並び、窓などは一切なく、すべてが吹き抜けである。木の階段で2階に上がると、たくさんのクッションが並ぶ居間がある。ギターやウクレレ、ボードゲームなどが置いてあって、柱にコンセントが埋め込んであるので充電などをしながらくつろげる。
そのサークル・ホステルから歩いて3分のところが会場になっていた。アーティストはこちらにある家にみんなで泊まる。
会場は海からそのまま地続きの砂浜である。広くはないものの100人ほどの参加者のためにはかえってちょうどよい大きさだ。ハンモックもいくつか、ビリヤード台も置いてあり、練習に疲れた時は休める。歩いて3分で海に出られる。水は綺麗とは言い難かったが、ゴミが浮いているわけではなかったし、炎天下にしぶきを上げながら波と一緒に泳ぐのは気持ちが良かった。

必要なものはすべて揃っていた。シャワー、トイレも完備だ(水が出ないことは度々あったが)。確かに文句がないかといえば、ないことはなかった。エアコンが設置されておらず白と黒の扇風機が2台ぶいぶいと回っているのみで、3人でふたつのベッドに寝たのだが、タオルケットさえもかけず下着で寝てもまだ蒸し暑かったし、ある夜はベッドの上を毛虫が這っていた。朝は窓辺(窓ガラスは無く、網戸のようなものがあるだけだ)に雀が何羽も止まってちゅんちゅん騒ぐので勝手に目が覚めた。
しかし望みだせばキリがない。宿から一歩出るとすぐそこに、美味しいフルーツシェイクと料理を出してくれるバーカウンターがあった。目が覚めるとまずは1杯100円の新鮮で甘いマンゴーシェイクを飲む。夏休み初日の朝のような充足感である。昼間はビールを飲みがらハンモックにゆられ練習風景を眺めつつ、時々テレビの方に目を向けて映画を鑑賞し、まるで時間が溶けていくような感覚に身を委ねた。

フェスティバルのスケジュールは一応しっかりと決められていてウェブサイトにも掲載されていた。だが、それはほとんど守られなかった。
会場に到着してからすぐに近所の滝までハイキングをするというオプションがあっても、疲れきっていて誰も行かない。代わりに、会場で練習をしたり、机を囲んで話をしたりする。狭い会場の中で、100人足らずが3日間顔を合わせる。
初日の昼ごはんは、トシログという、肉と目玉焼きとご飯という組み合わせの簡単なご飯を食べた。本当は朝ごはんとして食べるのが一般的らしいが、いつ食べても美味しかった。というより、それ以外にあまり選択肢がなかったので、肉がスパムになったりソーセージになったりもしたが、これを食べるしかなかったのである。これ以外のフィリピン料理を食べることはなかったので、私は未だにフィリピンの伝統的食文化に対して疎いままである。

昼食の後にはワークショップが始まる。多くはポイ、スタッフ、武幻(ブゲン)、コンタクトジャグリングなどのいわゆる「フロウアーツ」のワークショップである。(私は実を言うと「フロウアーツ」の定義をよく知らないんだけど)別に気負ったものではなく、自分の好きなタイミングで好きな人のところに行って受ける。そこでニッキーのポイのワークショップに行った。具体的な技を通して、下半身を駆使してポイを回す技術を習う。ワークショップとひとくちに言っても様々で、準備体操からきっちりやってしっかり教えてくれる人もいれば、なんとなく自分の技術をシェアする人もいる。ニッキーはしっかりと教えるタイプの人であった。
ところで彼の出身国であるアメリカという国に関してなのだが、アメリカではポイなどのスピン系の道具は盛んなようで、野外で行われるフェスティバルも多い。レイブ、ヒッピーカルチャーなどとも結びついて、ジャグリングとはまた違った様相で人気を獲得しているのだろう。今回のPFFにもアメリカから二人のポイスピナーが来ていた。

夕方になるとサンセットビーチジャムセッションが始まる。文字通り、夕暮れにビーチでジャムセッションをする。
日が傾いてきた頃合いを見て、一斉に海辺に移動する。中には海に入ってしっかり海水浴をする人もいる。私もおもわず、短パンのまま海原に飛び込む。すると、どこからか地元の太鼓をたたく人たちがやってきて、そこからジャムセッションが始まる。火のついた松明が立っていて、それを使ってスピナーたちは自分の道具に火をつける。まずポイスピナーが先陣を切ってファイヤーポイを回し始める。そのほかにも、ファイヤーフープ、ドラゴンスタッフなどといった道具も乱舞する。最後には、花火を振り回す女性も現れた。この時間がPFFの醍醐味であったとも言えよう。快適さだとか、清潔さだとか、品のある交流なんかをもとめてフィリピンに来たわけじゃないのだ。それにわざわざ海沿いの町でフェスティバルをやっているのだから、海で騒がずどこで騒ぐのか。

日もとっぷり暮れて、夜の帳が降りる。スピナーたちはみんな会場に戻り、今度はオープンステージが始まるのを待つ。参加者ならば、あらかじめ希望を出しておけば誰でも出場できるステージである。ファイヤーを用いた道具が多かった。特別見ていて感心するというほどのこともないが、フェスティバルの要点はみんなで楽しむことにある。これは出場する方が楽しむ場なのである。そういうわけで、ビールを傾けつつ隣に座る友達と談笑しながら、真面目なフロウワンドの演技や、光るカツラをかぶって狂喜乱舞する演技を、ゆったり見物した。

オープンステージが終わると、DJがターンテーブルを回しだす。ファイヤーサークルという名のイベントで、先ほどのビーチのジャムセッションのように、思い思いに音楽に合わせて道具を操る。もちろん参加は自由だ(他のPFFのどのイベントもそうであるように)。私は早朝のバスで出発したこともあって疲労感でいっぱいだったので、一足先にベッドに戻った。
音楽は夜中、鳴り止むことがなかった。

二日目。
シャワーも浴びずにぐったりと寝てしまい、朝起きたのは9時。暑くてなかなか深く眠れず、寝覚めすっきり、というわけにもいかなかった。だが日が昇ってからはとにかく蒸すので、陽光を浴びるや否や、はね起きてシャワーを浴びに行った。外に出てみるとほとんど人はいなかった。まだまだ昨日の騒ぎの余韻でみんな静かに横になっているようである。
主催者が持ってきてくれた朝食のサンドイッチ(ピーナツバター、パイナップル、ベーコンがひとつになっているもの。めんどくさいから全部一緒にしました、という風な印象を受けた。おいしかったけれど)を、朝一番で頼んだシェイクとともに頬張る。ワークショップは9時に始まる予定だったのだが、誰もいないので結局10時からに延期になった。
私自身が開催するワークショップも昼ごはんの後に予定されていたために、相方のゼンハオ(シンガポールの友人の一人である)が起きてきてから、一緒に案を練った。
おこなったのは「クリエイティビティ」についてのワークショップ。ひとつのボールに対するアプローチの案を出し合ったり、一人がポーズを取って、その中にネガティブ・スペース(空いた部分)を探し、そこを利用してジャグリングをするなど、簡単なゲームを通して脳みそを柔らかくする、というようなもの。
といってもこんなものを行うのは初めてで、また自分自身で実践しているアプローチでもないため、ことさらに実験的な内容になってしまったが、適当にみんな楽しんでくれた。
ワークショップのあとは、前日に引き続きビーチへと向かう。
今度は、みんなで道具を投げ上げて写真を撮る。ジャグリングではこれをビッグトスアップという。そういえばこれをやっている時にふと思ったのだが、GoPro(身につけることのできる、防水、防塵で小型のビデオカメラ)を持っている人の数がやたらに多かった。野外での撮影が多くなるジャグリングイベントにはうってつけなのである。画質も悪くないから、普段使いのカメラとしても使えそうである。
海外のジャグリングイベントに行こうと思っている方に申し添えておくと、しっかりとした、たとえば一眼レフのカメラなどは、よほど写真を撮ることにこだわりがある人、上手い人でない限りよしたほうがいい。めいっぱい楽しもうとしたら邪魔なだけである。といってGoProを買うほどではない、という方ならば、スマートフォンに防水ケースをつけていくのが一番いい。私はケースも付けていないが、まぁ大概なんとかなっている。なんといっても砂っぽかったり、水っぽかったりする状況でポケットから簡単に出し入れ出来て、扱いが多少粗雑でも構わないものでないといけない。

さて、撮影が終わるとすぐにガラショーの事前ミーティングがあった。といっても音楽を提出して、ライトはどうがいいとか言うだけで終わる。多少色がつけられて、あとは明るいか暗いか、程度の簡易な照明しか無かった。「明るくしてくれ」と言って済ませた。時間はどんどん押していたが、主催者側も特に慌てるでもなく1時間ほど遅れてガラショーは始まった。ニッキーが関与する団体、Flowartsfilms.comの映像が流される。このセッティングに予想外に時間がかかっていたのであるが、フロウアーツの意義や楽しみ方などを解説することを目指したそのビデオの中身は見応えがあった。少々長くて観客は少し疲れていた。
それが終わってパフォーマンス。
武幻、フープ、コンタクトジャグリング、ファイヤーパフォーマンスなど。道具のラインナップは昨夜のオープンステージと大差ないが、見せ方、道具の扱い方は各々、数段上である。特に最後のニッキーによるパフォーマンスは、飛び抜けてよかった。演技中に本人の心境や、ポイの哲学などを語るナレーションが入る。ニッキーの人となりが如実に現れている。回すスタイルもまさに「フロウ」を感じさせるもので、見ていて気持ちがよかった。
会場は浜と直結しているから砂が舞台を覆っていて、演者は皆地面に身体を付くたびに砂まみれになっていた。途中、MCの最中に別の人がホウキで陽気に砂やゴミを掃くのだが、ほとんど効果は無く、むしろ砂ぼこりを巻き上げるだけでみんな真っ白になっていた。また、演技中に、お構いなしに大きな野良犬が何食わぬ顔でぽてぽてと舞台を歩いて横切っていくこともあり、なんとも可笑しかった。これがフィリピンの海岸でやるフェスティバルである。

三日目。
あっと言う間にフェスティバルの終わりが訪れる。朝にはアイランドホッピング、という、島々を船で渡り歩くというイベントもあったのだが、これもやっぱり誰も行かないので中止。いったいあのスケジュールはなんだったんだ。
フェスティバル最後の1時間、ガラショーのスペースでゲームが行われた。だがもう体力も尽きて、わいわい騒いでゲームをする気分でもなかったので、ハンモックに横になって薄目でその様子を見ているうち、寝てしまった。砂まみれになりながらゲームを終えたみんなが帰ってくると、各々、荷物をまとめて、再び行きの時に使ったのと同じバスに乗ってマニラへと帰る。
帰りはなぜか、行きは2台であったはずのバスが1台になっていて、ぎゅうぎゅうになりながら疲れた身体を縮こませて眠った。帰り着いた頃には、もう、くたくただった。
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第11回「想像とさくらんぼ」

前回に続き、シュタイナーの幼児教育では、いわゆる既成のおもちゃがなく「自然の素朴さ、温かさ」を大切にしているので、おもちゃには自然素材が使われています。きれいな木ぎれや木の実、紐、布といった素材がたくさんあります。これを自分で自由に色々なものに見立てて遊びます。そして、自分たちで遊びを作っていくことで想像力をはぐくみます。室内の棚やお皿、机や椅子も全て木製です。
また、羊毛でできた人形は、人も動物も全て顔がありません。赤ちゃんに見立てた少し大きめのてるてる坊主みたいな見た目の人形(ぽぽちゃん的な)も、のっぺらぼうです。これも自分で表情を想像するためです。先生がハープを奏でながらやる人形劇なんかもありましたが、それも個々が想像でもって足りないとされる部分を補って見ていました。
クレヨンなどもロウでできたもので、細いものではなく、でかいMONO消しゴムみたいな形状のものでした。絵の具の時間も使っていたのは水彩で、赤・黄・青の三原色だけで、画用紙の上で混ぜて他の色を作ってました。

あと生活のリズムも大切にしていました。同じ生活のリズムの繰り返しが、子どもに「今日も同じだ」という安心感をもたらすそうです。幼稚園では、毎日ほぼ同じ時間に同じことをし、同じ曜日に同じことを繰り返してました。今でも良く覚えているのは、お散歩で公園近くに行った際に、ビワが落ちていてそれを剥いて食べていたことです。散歩の度に今日も落ちていないかとか考えていました。

そして、幼児期の子どもが一番吸収しやすい学びは「大人の真似をすること」だそうです。大人の行動を観察し、そこから考え方や価値観まで読み取って学んでいるそうです。実際、自分たちが遊んでいる横で、先生は刺繍などの針仕事をいつもしていて、それを見てたり、やらせてもらったりしてました。7歳以下の子どもは、頭で記憶する能力はまだあまり育っておらず、言葉で何か教え込むことはあまり意味がないと、シュタイナー教育では言われています。

また、シュタイナーなどの自主性を尊重する教育を「オルタナティブ教育」と総称しますが、その特徴として、個別で評価を付けたり、競争したりしません。なので、普通の幼稚園や保育園では運動会などがあると思いますが、うちにはありませんでした。その代わり小さなお祭りのようなイベント行事を行っていた気がします。そこの催し物の一つとして、木製のトラックの形をしたおもちゃの荷台にさくらんぼを乗せて、紐で繋がれた棒を勢いよく巻き取り、自分のところに到着したら食べれる。というようなものを3人くらい並んで一斉にやっていたのを覚えています。それが唯一、レースっぽいというか、競争っぽくは見えますが、やってる本人にとっては「順位」よりも「さくらんぼ」みたいな感覚でした。ただ、自分は何回やっても一番早くさくらんぼを手に入れてました!(笑)

by Fuji
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

今週もいつもの連載陣がお休みだったため、埋め草で、以前編集長が書いたままお蔵入りになっていた原稿を出しました。
パソコンの中から見つけてきて、久しぶりに、京浜東北線の車内で読み返しました。
その中で僕は、毛虫の這うベッドで寝ていたり、砂まみれになりながら演技をしていたり、新鮮なマンゴーシェイクを朝から飲んでいたりしました。そこで車両を見回して、乗客の顔を見る。駅のベンチに座っているおじさんを見る。僕自身が今、日本の電車の乗客、という文脈の一部となっている時、かつてフィリピンで火を振り回していた、なんてことは信じられないなぁ、と思いました。
それでは、また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

○電子メールマガジン「週刊 PONTE」2019/01/21

発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)

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