=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE 2019 vol.2
(通算第10号)2019/01/14
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの Weekly 第10回 「旅について」

・Fuji…フジづくり 第10回「シュタイナー教育と自分」

・板津大吾…たまむすび 第7回「ものを売る楽しみ」

・きんまめ…10本目 「竹富の海老といふもの食べけり」(メルマガ第4回)

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

バックナンバーはこちらから
https://jugglingponte.com/e-zine
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第10回「旅について」

さて、何を書こうか。

今回は、変則的に、海外の話ではなくて旅という一般的なトピックについて書いてみます。

京都に1日だけ行ってきました。
本当は、ジャグラーの渡邉尚さんとパートナーの儀保さん、一緒に練習をしているギヨームとリサに会いに行ったのですが、その日だけ運悪く全員が全員、京都におらず、あらら、となってしまいましたが。
仕方がないので自分一人でひたすらに街を歩き続けました。
まず京都の駅から伏見稲荷まで南方向に歩きます。京都には何度も行っていますが、まだ伏見稲荷には行ったことがありません。
いや、しかしびっくりしましたねえ。日本人は僕だけなんじゃないかというくらい、周りには外国の人しかいなかった。中国系の人が5割、韓国の人が2割、欧米系の人が2割、よくわからない人たちが5分、残り5分が日本人。びっくりしながら歩いていたら、スペイン人の女性と話が始まって、(向こうから話しかけてきた)一緒にいたスペイン人男性、そして日本人の男性の3人組と、一緒にお稲荷さんを降りてきました。話しやすかったので、そのまま一緒にカフェに入る。
その後は、京都大学付近にある進々堂という僕のお気に入りのカフェを目指して、ひらすら歩きました。いったん西に行ってから、東に向かう。たぶん合計4,5時間歩いたでしょうね。電車も、バスも使いませんでした。というより、そういう旅をしてみよう、という覚悟で来ていたので、わざと歩いたんです。

僕は今、地球の形を少しずつ知ってみたいと思っています。それは、どこどこの国に行った、とか、どこそこの何は食べたことがある、とかそういう、他人に、単純な言葉で伝えられる ”fact” 以上のことを身体に意識的に取り入れたい、という意味です。自分の身体が、地理を識っている、自分の舌が、味を識っている、というような感覚を持ちたいと思っています。あとは日本のことを、立体的に把握したいな、とも思っています。それは、脱インターネット検索、ということでもあります。歴史を勉強する、ということでもあります。景色や、気候や、植生を、実感を持って想像できる、ということでもあります。「どこか面白いところを知っている?」と外国の人に聞かれた時に、身体の実感からオススメを出せる、ということでもあります。外的な情報をあくまで補助的に使用して、自分の身体に「豊かな第一次情報」の貯蔵庫をつくりたい。そしてその経験則から、知らない土地でも、自然体で面白く旅ができるような体質になりたい、と思っています。

今までジャグリングのイベントに参加することを一番の目的として数多く旅をしてきました。
今は、上で述べたようなことを考えながら、サーバー上やガイドブック上にある、誰でもアクセス可能な世界を参照できる力を付けるのではなく、「自分の身体に宿った世界」を形作る旅をしてみたいと思っています。
ジャグリングは、あくまで、きっかけ。
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※昨年夏のヨーロッパジャグリング紀行はこちら。基本的に毎日更新中。
https://jugglingponte.com/category/festivals-and-events/essays/eurotrip2018/
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第10回「シュタイナー教育と自分」

先週の子どもの頃のエピソードを話したついでに、自分が通っていた幼稚園についても話しておきたいと思います。前回の記事を読んで、少し気になった方もいたかもしれませんが、自分はシュタイナー教育というものを取り入れた幼稚園に通っていました。思えば、今の自分を構成する要素として一番影響力があったのは、幼児教育で受けた「シュタイナー教育」かもしれません。

シュタイナー教育とは、オーストリア出身の哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱したもので、自身の教育理念を実現しようと1919年にドイツで学校を創立したのが始まりです。シュタイナー教育では、知性だけでない子どもの心や体、精神性をも含めた全人教育を目指し、教育そのものが「芸術行為」であると考えられています。芸術には日常と精神を調和的に結びつける力があり、芸術的なものに触れると、人の感情は高まり、感覚が対象に集中し、喜怒哀楽の感情とともに取り入れた知識が定着しやすいからだそうです。そして自由な意思で動いていける人間を育てることを目指しています。

ここでは、自分が受けていた、とてもユニークな教育環境を具体例を交えて2週ぐらいで紹介したいと思います。
例えば、幼稚園の内装は、薄ピンク色のカーテンに、木のおもちゃや椅子、羊毛で作ったふわふわの人形など。基本的に既成のおもちゃはなく、テレビやCD、キャラクターものも一切ありませんでした。

幼児期は、健康な「からだ」をつくることが一番大切な時期とされ、手足をたくさん動かして遊ぶことが、からだの発達につながり、思い通りにからだを動かす経験を繰り返すことで、意思や想像力の発達にもつながります。テレビやゲームは、どうしても一ヶ所をじっと見ることが多くなり、大量の情報を一度に浴びることで「あたま」が忙しくなり過ぎてしまうという理由から、この時期にはあまり相応しくないとされています。
現に、家で観ていたアニメのキャラクターの鳴き真似を幼稚園の昼食中にしたところ、ポケモンの「クラブ(カニみたいなの)」はバレなかったのですが、忍たまの「ヘムヘム(犬)」の鳴き真似は速攻で怒られました。(笑) 音楽や歌も、CDで流すのではなく、先生が鉄琴やハープを使って演奏していました。

部屋の薄ピンク色のカーテンは胎児の頃の母親のお腹の中をイメージし、木製のおもちゃに囲まれた温かみのある環境は、子どもに安心感を与えます。
こうした環境で、自分のペースでゆっくり成長することが大切だと考えられていました。

by Fuji
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◆たまむすび◆ 文・板津大吾
第7回「ものを売る楽しみ」

PM Jugglingのかたわらで、ピザ回しドットコムというサイトを運営しています。2008年にたまたまテレビでピザ回しを見て、ジャグリングの視点でピザ回しを開拓してみたら楽しそうだな、と思ってつくりました。実はこちらのほうがPMよりも先です。ピザ回しの練習道具であるゴム製の生地の販売を中心に、技に名前をつけて載せたり、有志で練習会を開いたりしています。

そんなピザ回しドットコムの活動を通じて、思いもよらず得られた一番のもの。それは、リアルな人とのつながりでした。

初期の練習会は、埼玉の桶川市や和光市といった都心ではない場所で開催していました。アクセスがあまりよくないにも関わらず、サイトで道具を購入して情報を見てくださった方が、道具を買ったからには上手くなりたいと熱意をもって足を運んでくれました。まったく来ないことも覚悟していたので、ちょっとした驚きでした。

参加者はピザ職人さんをはじめ飲食業の方も多く、いままで自分が関わることがなかったような方々と出会いました。大学を卒業したばかりで就職もしておらず、一般的な社会人経験がなかった僕にとっては、そんな参加者との交流から学ぶことは多かったです。もはやピザ回しは関係なく、僕と一緒にタップダンスを習ってくれた方もいたりして、楽しかった。練習会を通じて出会い、いまなお、家族ぐるみで交流が続いているピザ職人さんもいます。

ネットの力、そして、道具というものの力は、こうして人のつながりを生んでいくことができる。それを合わせたネット販売という行為は、とてもわくわくするものだと知りました。そんなピザ回しドットコムでの経験は、いまの軸であるPM Jugglingの活動にもつながっています。道具の販売というとお金目的なイメージが先行しますし、もちろんそれも間違いではありません。でも僕にとっては、未知の人とつながるコミュニケーション手段でもあるのです。

PM Juggling
https://pmjuggling.com/
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
10本目 「竹富の海老といふもの食べけり」(メルマガ第4回)

前回までのあらすじ

謝罪に彩られた平成の世の散り際に、筆者の謝罪の念が唸りを上げて読者に放たれた。PONTEの発刊間隔は指数関数的に伸びたと書いたが、事実誤認の不適切表現だったのだ。己の浅薄さに打ちひしがれた筆者は、年末年始の連休を使って沖縄は竹富島へと旅立つのであった。

先週は休載しまして、沖縄に旅行に行ってきました。ハンモックに揺られ、チャリを漕いで海に行き、人気の少ない砂浜で凧を揚げました。竹富島は島民350人程度で、信号がなく、一回りしても10kmぐらいのスケール。八重山そばを食べたり、ハンバーグを食べたり、珈琲パフェを食べたりした。

ある日の宿の晩御飯の話、くるまエビが3尾ボウル皿に盛られて出てきた。車もそんなに走ってないのにくるまエビとはこれいかに、とか思ってるとエビがビビビ!と震える。怯む筆者。コイツら生きているのである。大きさにして、およそレディースのスニーカーのNIKEのマークくらいのサイズであり、まあまあデカい。新鮮なエビをセルフでどうぞということらしい。
意を決し、首の付け根に手をかけて、グキュッ、と捻って取りはずす。足をもぎ、殻を剥き、そのまま醤油にチョチョッとつけて食べたら、なんとまあ弾力が凄い。首を落とされてなおその身が死に抗うかのように、歯を押し返してくる。
残りのエビを手にかけることを日和ってそのまま放置していたら、エビ側からアクションをしかけてきて、ビビビ!ビビビ!ビョーン!とボウルを跳び出して、隣のすき焼きの小鍋に自らダイブ。非常に活きと物分りが良かった。私も見習いたい。

旅先のエビと言って思い出すのが、以前台湾の屋台でやったエビ釣りである。ヨーヨー釣りと同じシステムで、水に弱いコヨリの先にJの字の針金が付いており、水の中のエビを引っ掛けて手元のボウルに入れていく。しかし、コヨリが案外水に強く、ゲームバランスが崩壊、たいして採る気はなくても結構採れてしまう。コヨリの残機数も豊富なので、ボウルにエビが物理的に入らなくなるまで採れる。そしてこの海老、大きさにしてメンズのスニーカーのNIKEのマークくらいのサイズであり、デカい。なので4, 5匹も採ればボウルが溢れる。
採れたエビはそこの店主に頼むと、茹でてくれるという、日本では馴染みのないサービスがある。隅に置いてあるティファールのケトルのようなものにエビをブチ込んで、スイッチを入れる。茹で上がって赤みを呈したエビを、金魚を入れるビニール袋みたいなのにギッチギチに詰めてくれる。茹でたてのままおいしく頂いたが、総じて衛生観念とかはないと思う。日本は見習わなくていい。

竹富島でエビを食べた日は、不思議とすぐお腹がくちくなり、ご飯のおかわりもしなかった。台湾屋台の茹でエビではそんな感じではなかったのに。もしかして、自らの手で絞め殺して食べた命だからだろうか。頭をもぐ時に指に伝わってきた、エビのブルブルという振動が、触覚経由で満腹中枢を刺激したのだろうか。やはり実感覚としてものに触れると、得られるものが桁違いになるのだなぁ、とかいろいろ考えたが、晩飯前に島の売店で買ったパッサパサのサーターアンダギーを食べたせいだと思い至ったのだった。

そんな年末年始でした。今年もよろしくお願いします。

きんまめ: ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。ついにジャグリングもPONTEも関係ない話を書いてしまった。書くジャグリングの雑誌ですが大丈夫なのでしょうか。好きなジャグラーは特にいません。
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◆寄稿募集のお知らせ◆

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800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

今週は、なんだかみんな、少しジャグリングからずれたことを書いています。
青木の方針で、文章を書くからには「自分に発見がある」ということが、書くことの第一の意義である、ということを意識しているせいか。
それでは、また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

○電子メールマガジン「週刊 PONTE」2019/01/14

発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)

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