スクリーンショット 2019-01-07 2.11.57

ジャグリングがつなげるもの 欧州ジャグリング紀行2018 memory no.22

 サン・ミゲル島の空港は、小さかった。日本の小さい地方空港(徳島とか)ぐらいの大きさである。ロビーを出ると、僕たちよりも前に到着したジャグラーたちが大勢待っていた。
 ここからは送迎バスが出るので、その到着をみんなで待っているのだ。中には知っている顔もいた。ああ、やっぱりEJCは違うな、と思う。とにかく人数と、いる人達のバラエティが違う。
 空港から会場まではバスで20分ほどだった。到着時点では夜だったので、全く外の景色は見えない。いったいここはどんな場所なのだろう、とワクワクした。写真で見た限りでは、あじさいが咲いていたり、緑の山並みが見えたり、あとは、海にはクジラがいる、というイメージもあった。別にここからクジラが見えるというわけでもなかろうが、ともかく、自然がいっぱいということはわかっているのだ。

 会場に着くなり、畜産を営んでいるところの、あの穀物と土と畜糞が入り混じった匂いがした。ほうほう、と思ってあたりを見回したいところだが、やっぱり暗いので何も見えない。 
 会場に着くと、また、たくさんの知っている顔があった。その中には、毎年ステージを仕切っているポーラもいた。もうなんだかんだで6年の付き合いになる。いやはや。
 僕はポーラが大好きなんである。いつもまるで親戚のお姉さんのように、「よく来たね」とか「来年も待ってるからね、ステージの席は確保しとくからね」などと言ってくれる。そして、乾杯のためのビールの瓶をガシャガシャ運んできて、豪快にガパガパ開けていく姿も、男気があってホレてしまう。そういえばポーラは、僕がEJCに行きたいと思うきっかけになった2006年のEJCの様子を収めたDVDの中でも映っていたよな。その時のことを思い返すと、彼女と今こうして友達でいるのは実に不思議な感じだ。
 「ここねえ、この会場の窓はオーシャンビューなのよ」と言った。
 そう、今年の会場の体育館は大きな大きな窓があって、そこからは外が一望できた。これは、朝が来るのが楽しみだな、と思った。
 他には、ノルウェー人のジャグラーたち、ベルギーのジャグラーたちなど、こちらもずいぶん長いこと交流のあるヤツらがすでにたくさんいた。
 やっぱりね、この感じなのである。
 普段は忘れている。日本で、普通に働いて、まぁ時々ジャグリングはして、それでも特に外国の空気と触れることのない生活をしていると、たくさんのジャグラーたちと自分に接点がある、ということをどんどん忘れていってしまうのだ。しかしこうしてEJCに来ると、一気に、思い出す。自分がいかにもっと大きな世界と触れ合ってきて、人々と交流を重ねてきたか、全部思い出すのである。
 それは、他人に出会う、ということよりも、「そうだった自分」に改めて出会う、という、そのことの感動のほうが、よほど大きい。
 みんなが「ナオー、元気かよー」と抱きしめてきてくれるところにいると、僕は「別の自分」になれる。「本当の自分」ではない。僕は日本で働いている時の自分になんら不満はないし、なんなら、今現在では、こっちの方をいわゆる「本当の自分」だと思っているくらいだけど、まぁ、こうして他人を通して自分を知る、ということは、自分と似たような境遇の人たちしかいないところでは、決してできないことなのだ。

 かくして、体育館にいた知り合いたちと、思う存分挨拶をしてから、僕は自分のテントをたてに向かった。