週刊PONTE vol.7 2018/12/24

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE 2018 vol.7
(通算第7号)2018/12/24
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PONTEは、ジャグリングについて考えるための居場所です。
週刊PONTEでは、人とジャグリングとのかかわりを読むことができます。
毎週月曜日、jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

・青木直哉…ジャグリングがつなげるもの 第7回 「欧州ジャグリング紀行2018 memory no.8」

・Fuji…フジづくり 第7回「帆布、帆布」

・きんまめ…デビステのてんぷら 8本目 「略称問題(2)」(メルマガ第2回)

・PONTE君…PONTE君のおはなしコーナー(仮)

・PONTEの記事紹介

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

バックナンバーはこちらから
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◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 文・青木直哉
第7回「欧州ジャグリング紀行2018 memory no.8」
(no.7はこちら)

フランス最大のジャグリングコンベンション、ABDD最終日。ほんとにほんとの最終日は、帰るだけ。前日に4時まで起きていたから、起きたのは10時頃。のっそりテントから出て、最後のシャワーを浴び、テントをたたむ。お別れの挨拶をしに、知っている人を探しに行った。このあと2週間後に開催されるEJCに参加する人は、「またEJCで」。「また来年ね」という人もいる。アニもそのうちの一人。カフェをやっていたボブも、このコンベンションでずっと一緒に過ごしていたハットジャグラーのシャイと、ダニエラも。
会場をあとにして、アメリカ人のデヴィンと一緒に駅まで歩いた。デヴィンはフランスのサーカス学校で勉強をしている。日本の文学が好きだ、と言うので、三島由紀夫や、川端康成、大江健三郎など、僕もろくに読んでいないような作家の名前をたくさん出した。『芽むしり仔撃ち』が好きなんだ。『蠅の王』みたいだよね、なんて言われて、僕としても感心しないわけにはいかなかった。電車に乗ったら、今度はこっちが「コミュ障」という概念について話した。デヴィンはアメリカ人ながらとても物腰柔らかで、非常に日本人的な感性を持っている気がした。いや、こんな言い草が浅はかなのはわかっているのだが、それでも僕はそう感じたのだ。こういうアメリカ人に会うことは少ないな。小柄なデヴィンは、うん、うん、と優しくうなづきながら話を聞いてくれた。
30分ほどでリヨン・パール・ディウー駅に着く。僕はボクダンに連絡しなければならなかったし、デヴィンも次の電車まで時間があったから、スターバックスに入った。デヴィンは店員さんに向かってフランス語で話していた。デヴィン、と言っても聞き取ってもらえないから、アントナン、というフランス名を名乗っていた。アントナン、ね。僕はナオ、と名乗る。
wi-fiを使ってボクダンに連絡し、デヴィンと15分だけ話をして、彼は学校があるトゥールーズに向かう。ここでお別れ。次会うのはいつだろうか。

僕はボクダンの家まで、地下鉄で行く。
それほど遠い距離ではなかったし、とてもアクセスのいいところにあった。
家についてドアを開けると、ボクダンは日本語で「おかえり~」と言って迎えてくれた。中には、大きな木琴があった。それほど広いとは言えないが、日当たりがよいし、1人が暮らすには十分な大きさだった。「サーカスアーティストは収入が安定してないと思われてるから、なかなか家が借りられない。この部屋を見つけられたのは、本当、ラッキーだったよ」と言う。
ひとまずシャワーを浴びて、一緒に外に出た。空はしっかりと晴れていて、気持ちが良かった。途中でリヨンに住むエティエンや、お兄さんのトマに電話をかけて、合流した。エティエンは、「近所の美味しいパン屋を通ったから買ってきたんだ」と言って袋からパン・オ・ショコラを出して、僕らにくれた。
4人で広場の芝生でぼうっとしていたら、エリックがひょこっと現れた。へーい、と言って、みんなとハイタッチをした。エリックはデフラクトやeaeoというカンパニーでジャグリングをしている。コンテンポラリーサーカスの世界では有名な人。ちょうど昨日から近くに住み始めたらしい。汚れた服を指して、今壁を塗ってたんだよ、と言っていた。

みんなとディアボロで遊んでいるうちに日が暮れてきた。夕暮れ時のこの空気。高台にあるこの広場からは、ローヌ川とその川沿いの家々を目下に望める。だんだん、フランス語で生活している人たちのリズムがわかってきた。この生活には、この言葉ありきだよな、という実感がある。大きい犬を連れてきて、ギターを弾き語りする若者、ビールを飲みながら語り合う若者、広場の隣にある家から出てきて、ゆっくりしているアフリカ系の家族。
だんだん何もすることがなくなってきた。丘の上のお城で、エチオピアから来たミュージシャンがコンサートをやっているという情報が手に入ったので、それを聴きに行くことにした。途中でポテトチップスやビールを買って、景色のいいところで立ち止まる。「ここがリヨンで一番眺めのいいところさ」とトマが言った。
頂上の会場に入るところでは、アルコールを持っていないか、チェックが入った。フェスティバルは無料で、ずいぶん混み合っていた。ステージではアフリカン・ミュージシャンが、テンテケスッテンとひたすら同じフレーズを、一本しか弦が無いギターのようなもので延々と弾き続け、それに合わせて相方が「ヘイヤレ〜〜」と何かのフレーズを歌っている。15分ぐらい、同じリフレインだった。二人とも執念のように笑顔で同じことをしていた。凄みがあった。エティエンもおもわず帰り道にメロディを口ずさんで喜んでいた。
夕飯には、タンドーリを食べることにした。彼らが言うタンドーリというのは、インド料理のタンドーリチキンを生地で野菜と一緒に巻いたもののことだ。いろんなソースが選べて、野菜と肉が摂れる。値段も安いから人気がある。エティエンが勧めるから、ピリピリソース、というのをつけて食べてみたのだけど、あまりに辛いので涙が出た。

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※先週言ったことを守れていなくてごめんなさい。やはりPONTEのホームページの方で載せることにし、媒体大移動をしておりました。メルマガとしての号数とmemory no. があっていなくてもぞもぞしますね。この旅行記が終わった時のことも考えてのことなので、ご了承ください。
(no.7はこちら)

(第8回へ続く)
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
第7回「帆布、帆布」

前回、帆布のボールケースを製作中とお伝えしました。
そもそも帆布についてよく知らないまま、お店で生地を見ていたら11号と8号の2種類を見つけました。帆布の生地は号数が小さくなるほど、生地の厚みが厚くなるようです。なので11号と8号を比べれば、8号のほうが厚い生地となるわけです。そこで、青木さんと二人で何度も触り比べてみた結果、ボールをいくつも入れた場合の耐久性や質感を考え、薄めの11号よりも、厚い8号を選びました。最後はお互いに「あ〜やっぱりこっちだ!」とほぼ直感的に厚い方がピンときたので、8号帆布でケースを作り始めることにしました。

調べてみると、新品の帆布特有のゴツゴツ感は、使い込んでいくとだんだんと柔らかくなり、馴染んでくるそうです。それは革に似ていると思います。さらに、濡れても水が浸透しにくいという特徴があります。これは濡れる事によって生地の目がつまり、水を通しにくくなるからです。通気性が良い上に、雨で濡れても中身が濡れない、火気にも強い丈夫な生地、それが帆布です。

また、色のバリエーションも豊富で、生地の質感のおかげかどれもいい具合の色味を出していました。カーキやネイビーは落ち着いた色合いで良かったです! ただ、やっぱりまずは自分でも直感的にいいと思った素材本来の色合いを手に取った人に知ってもらいたかったので、「生成(きなり)」色にしました。馴染みのない人に説明すると、「生成り」とは染色あるいは漂白される前の天然繊維の色のことで、主にベージュやオフホワイト、天然の麻の色です。漂白処理をしていないので、生地表面に植物の破片が黒いゴマのように残っていて、どこか素朴で飾り気のない、温かみのある自然な色合いが出ています。
そして、帆布の持つ生地の軽さや感じられるその温かみは、革製とはまた違った魅力を持ち、高機能な割に値段もお手頃なのが魅力的です。

by Fuji

(第8回へ続く)
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◆デビステのてんぷら◆ 文・きんまめ
8本目 「略称問題(2)」(メルマガ第2回)

きんまめ「では、始めてください」

デビステ派「まず、私からよろしいでしょうか。デビル-スティックのような、2つの単語から構成されている言葉の略称では、各々の単語の頭の文字を織り交ぜる。これこそが正統な略し方だと考えます。ポケット-モンスターだってポケットではなく、当然ポケモンです」

デビル派「アホか。ぷよぷよはぷぷっ言わんで、ぷよって略すやろ!」

デビステ派「ぷよで一単語なのか甚だ疑わしいですが」

デビル派「細かいことはええねん。デビルのええとこはな、3文字ってとこや!好きやろ?ジャグラーは3って数が」

デビステ派「昨今のデビステの主流はスティック4本です。いつからジャグリングをしていないんですか?」

デビル派「すんません」
きんまめ「すんません」

デビル派「ともかく、略すことの目的って短くすることちゃうんか?短いで、デビルの方が!」

デビステ派「短ければ良いと盲目的に信じているところが受け付けられませんね。であれば、究極的には『D』でいいということになる。それで伝わりますか?その呼称に一義的に意味が対応する範疇で、最短を極めんとする道程。その崇高な試みが辿り着いた終着点こそ、デビステなのです」

デビル派「アホらし。デビルって言葉はもっと自由や!なんてったって動詞にもなる!デ『ビ』ルって、マクドみたいに言うてみ。ほんならちょっとデビってこや〜、ってな、ええ塩梅やろ」

マック派「マクドじゃない。マックだ!」

Windows派「マックは画面の下でアイコンがポヨンポヨン跳ねてウザい」

きんまめ「静粛に!皆さん一旦落ち着いてください。この議論の間に、読者から予想を超える数の意見が届きました。その集計の結果をお伝えします。デビル派1名、デビステ派0名!」

デビル派「ほれみろ!」
デビステ派「サンプル数1で威張らないでください」

きんまめ「しかし、その意見者は、周囲にはむしろデビステ派が多いのではと感じながらも、その中で雨ニモマケズ風ニモマケズ、デビルと言い続けているといった主旨の陳述があります」

デビステ派「ほらごらんなさい!」
デビル派「サンプル数1ちゃうんか」

きんまめ「いずれにせよ、このまま侃々諤々の議論をしても平行線です。頭を冷やすためにも、ここで一旦休憩を挟みましょう」

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きんまめ KINMAME: ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。
最近はいくつかサメ映画を観ました。好きなエンドロールはジュラシック・シャークの。好きなジャグラーは特にいません。

(9本目に続く)
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◆PONTE君のおはなしコーナー(仮)◆ 文・PONTE君

テントで過ごすということ

PONTE君です!
最近、編集長に連れられて、いろんな国に旅行をしてるんだ。冒険の様子は、Instagramを見てね。目指すは、日本で一番旅行したゆるキャラだよ。Instagramには載ってないんだけど、温泉に沈められたり、何度もおいてけぼりを食いそうになったり、大変な目にあったよ!
ところでどっこい、ジャグリングのコンベンションでの「テント泊」について具体的な想像がつく人ってどれぐらいいますか? え?そもそもジャグリングのコンベンションの想像がつかない? まぁ、そちらは、「ジャグリングがつなげるもの」という連載の方をじっくり読んでいただくとして…。今回は、「テントで過ごすということ」についてお話しようと思います!

まず、コンベンションでは、どこにテントを立てるのか!
「Camping site」があるよ、と言っているコンベンションの場合、その会場には、テントを立てる野原があります。なので会場についたらまずそこを見つけて、自分のテントを張るんだ。
テントは、日本からだと自分で持っていく人もいるし、現地で買う人もいます。時々、コンベンション側がレンタルしている時もありますね。編集長は、アマゾンで4000円で買ったテントを自分で持っていってるよ。でも現地で買ったこともあるし、向こうの人に好意で無料で貸してもらったこともあるみたい。大きさは、1人用のものでもいいんだけど、何かと荷物が多いのと、探し物がしやすいように、1人の時でも、2~3人用のテントが最適かも。EJCなら、たとえば参加者の8割くらいがテント泊やキャンピングカー泊をしていると思うんだけど、中には、昼も夜もハンモックでぶらぶら寝ている人もいるんだ! この人たち、雨がしのげるところがなかったらどうすんだろう、とか思うんだけど、まぁ、その辺を細かく考えないのが、ヨーロッパのガサツなジャグリングコンベンションっぽくていいよね! ジムにテントを張って寝てるツワモノも見たことがあるよ! ほんとはダメだけどね! 生きていくにはそれぐらい力強くないとね!

では、テント以外に何を持っていたらいいのか? 寝袋、マットがあればどうにかなることが多いし、夏だとあったかいし、ほとんどのコンベンションは、山奥じゃなくて、近所にスーパーやレストランもある街の中でやったりするから、本格的な装備は全然いらないよ。洗濯のために、洗濯バサミがたくさんあると、何かと便利かな。けど、地域によっては夜、しんしんと冷えることもあるから、あったかい上着なんかがあると、それを着込んで寝ることもできて快適だね。

じゃあ、テントの利点は何か?
テント以外には、ホテル泊、ゲストハウス泊、友人宅泊なんかの選択肢があるよね。いずれにしても、室内で快適に過ごせるということだね。魅力的です。テントで夜寒い思いをしている時、僕はいつも、室内でピザをおいしそうに食べている平和な人たちのことを思いながら、寝袋のジッパーを深く閉めます。でも、テントのいいところは、会場が近くなるというところ、帰る時間を気にしなくていい、というところ、あとはやっぱり、お金が全然かからない、ということ! そして、いくら野外だからと言っても、それほど悲劇的なことになることは、あまりありませんよ。僕は、テントにしなきゃよかった、と思ったことは一度もありません。雨が浸水すると大変なことになるので、それだけは気をつけたほうがいいけどね…。
そして、テントに泊まって長期間過ごしていると、そうか、家っていうのは、必ずしも必要なものでもないのかもしれないなぁ、と悟ることなんかもできて一石二鳥! その気になれば、どこだって「寝るところ」だもんね。少ないお金でコンベンションも楽しめて、人生の大事な真理にも気づけるなんて、素敵なテント泊!

あっ、夢中で話してたら、もう6杯目のコーヒーがなくなっちゃった。今回は以上です!
また気が向いた時に、唐突な話題をいろいろと喋るから、ぜひ期待していてね!PON PON!(コーヒー代を払って立ち去る)

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PONTE君:PONTEのメインキャラクター。コーヒーが好きでたくさん飲むが、カフェインをものともせず、1日7時間以上必ず寝て、早起きしているそうです。冬で好きなことは、電車から降りた時に、はぁっ、とさりげなく白い息を吐くことだそうです。
そんなPONTE君が描かれたTシャツ、発売中です。こんな寒い時期にTシャツ、着ないですよね。そうですよね。ごめんなさい。これから沖縄に行かれる方や、練習中に着たい方は、どうか購入をお考えください。PONTE運営の大きな支援になります。ぜひ、PONTE君に旅をさせてあげてください。見せるインナーにしてもいいですね。
http://store.jugglingponte.com/items/2189103
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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆PONTEの記事紹介◆

エクストリーム芹川のワーホリジャグリング in オーストラリア
第6便 (2018/11(の分)) クイーンズランドが誇る伝説のジャグラーTerry The Great

https://jugglingponte.com/terry-the-great/

ゴーストキューブを自分で組み立てて遊ぶことができるキットが、キックスターターで販売中。作者のエリックさんに「ゴーストキューブ誕生の経緯」を聞きました。「現代のジャグラーである私が、一から道具を作るとしたら。」
https://jugglingponte.com/ghostkube/

◆編集後記◆ 文・青木直哉

ついにPONTE君が原稿を書いてきてくれました。今週は板津さんの「たまむすび」がお休みなので、ちょうどよかったです。PONTE君はあまりインターネットを使わないほうなので、ドアをノックして、直接便箋に書いた原稿をくれました。ありがとう、と言ったら、うん、とうなづいて帰って行きました。たぶんどこかにコーヒーを飲みに行ったんだと思います。手書きの原稿を写すのが大変でした。
青木の旅行記、Fuji君のものづくりの記録、きんまめさんの小噺、バラエティがあるのは、いいですね。もっと、いろんな方から原稿を集めたい。そして、僕ももっと、面白く読んでもらえるように、一生懸命頑張って書きます。いろいろと文章の所在が不明だったりしてごめんなさい。ホームページの方も、よりわかりやすく、多くの方に読んでいただきたいなと思って、試行錯誤をしています。
もとよりPONTEは、本当に右も左もわからない状態から、「でも、やめるものか」という執念のようなもので5年近く漕ぎ続けてきたプロジェクトです。まだまだ荒い部分があります。5年も経ったのになぁ、とも思いますし、でも、ふと、これから20年続くとしたら、そのうちの5年か、と思って、なんだ、まだまだ「初期」じゃないか、とか思ったりもします。いずれにしても、時間が経ってから嬉しく、懐かしく振り返ることができるように、いま、よりよくできるように頑張ります。

それでは、また来週。

PONTEを読んで、なにかが言いたくなったら、mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

○電子メールマガジン「週刊 PONTE」2018/12/24

発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)

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