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週刊PONTE vol.5 2018/12/10

=== PONTE Weekly ==========
週刊PONTE 2018 vol.5
(通算第5号)2018/12/10
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PONTEは、ジャグリングを通して人と人を「つなぐ」雑誌です。
おのおののジャグリングとの向き合い方や、考えていることを読むことができます。
週刊PONTEは、毎週月曜日jugglingponte.comが発行しています。
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◆Contents◆

– 青木直哉…ジャグリングがつなげるもの 第5回「欧州ジャグリング紀行2018 memory no.5」

– Fuji…フジづくり 第5回「革をもとめて -完結- 編」

– 板津大吾…たまむすび 第4回「朽ちるもの」

– 中西みみず…ぴんとくるくる通信 第2回 「最初の一歩、劇場に応募する」

・寄稿募集のお知らせ

・編集後記

バックナンバーはこちらから
https://jugglingponte.com/?page_id=2847
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◆ジャグリングがつなげるもの◆ 文・青木直哉
第5回「欧州ジャグリング紀行2018 memory no.5」

イスラエルのシャイ

あなたは、イスラエルの人に会ったことがありますか?
イスラエル人って、いったいどんな人たちなのだろう。何語を話すんだろう。だいたいイスラエルってどのへんの国だっけ。
…などと、具体的にイスラエル人と知り合う前は、僕も実に曖昧な知識しか持ち合わせていませんでした。

シャイは、イスラエル人だ。
シャイに初めて会ったのは5年前。それからEJCで毎年会っている。今年のフランスのコンベンションにも、シャイは来ていた。
シャイは全然シャイではない。
人の顔を見ればとにかく喋りだす。
眼の彫りが深く、少しだけつり上がっている。
髪は短く整えて、あごに同じくらいの量のヒゲをたくわえている。
ハットジャグリングと呼ばれる、帽子をたくさん使ったジャグリングをする。
シャイは外国語を学ぶのが好きだ。僕が知らないような英語の言い回しをたくさん知っている。トリノのサーカス学校に行っていたから、イタリア語も話せる。今はフランスに住んでいてフランス語も話せる。ヘブライ語(イスラエルの公用語)も、それと似たアラビア語だって話せる。
自分で公言しているけど、「言語おたく」なのだ。
そして僕も、ことばを勉強するのが好きだ。

フランスのコンベンションで、僕はカナダ人のボブが建てたテントカフェ「キャバレー」の中でくつろいでいた。するとシャイがふらふらと現れて(例のごとく)話しかけられ、日本語の話になった。日本語には3種類の文字があるっていうが、どうなってるんだ。
それで僕は、日記を書きつけていたノートに50音表を書いてあげて(「ら行」を抜かしていたので、あとで平然と「これもあるね」とか言って付け加えた)説明した。これとこれは音だけしか持たない。これは複数の音と固有の意味を持つ。こっちはもともとお経を読むために開発された文字で、外国語を輸入するとこれで書く。
ふむふむ、と聞きながら、シャイは時々質問をしてくる。
そのうちブラジルから来たアルベルトや、カフェのマスターのボブ、名前も知らないフランス人の女の子も混じってきて、みんなに日本語のレッスンをしてあげた。
たまたまそれが日記帳だったから、僕の手書きの長い文章も載っていて、それを見せながら説明する。この「朝食」ってのは、「朝(あさ)」「食べる」からブレックファストって意味なんだぜ、などとリアルな文章の中から抜き出して説明する。アハァ〜、とみんなも得心。
シャイは素直に喜びを表すタイプではないので、「なるほどね」とクールに頷いた。

ある時こんなことを聞かれた。「漢字とカタカナで自分の名前を書きたいんだけど、どう書いたらいいのか。まずカタカナは、『シアイ』でいいのか?」という。
ふむ。まず「シアイ」じゃ別の単語になっちゃうよ、と言った。「シャイ」が一番いいでしょう。
「なるほどね。ちなみに、Shaiはヘブライ語で『プレゼント』という意味なんだけど、漢字の方はどうすればいい?」
僕は少し考えて、思いついた単語を実際に紙に書いてあげた。

「謝意」

シャイはやっぱりクールに「なるほどね」と言って、それを自分で大きく紙に書き写して、満足そうにしていた。

(第5回へ続く)
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◆フジづくり◆ 文・Fuji
「革をもとめて -完結- 編」

どうも、Fujiです。
前回早めに浅草橋に到着し、下見をしていたら、時刻は13時。駅前まで行ってやっと青木さんと合流。そのあとは一緒に浅草橋駅周辺の革屋さんを回りました。

『And Leather』(浅草橋本店)→革ひもやチャームの数は一番!カット革やハギレも豊富。(浅草橋店)→激安アウトレット革ハギレを多く取り扱ってるのが特徴。店主はちょっと癖のあるおじさん。(浅草橋西口店)→ハギレサイズから大判サイズ、定番革からクロコダイルやサメなどのエキゾチック革まで豊富な品揃え。(浅草橋駅前店)→いろんな色と質感のハギレがたくさんある。加工革(型押し・箔・プリント)が他店に比べ多い。『アビチレザークラフトABC』→アウトレットの革や値段も品質も高めの革を取り扱っている。

今回行かなかった店で以前行ったことのあるお店だと『タカラ産業株式会社』→1Fは大量の革、スウェード。高品質のオリジナル栃木レザーも有り。2Fは染料や刻印が充実。『STYLE LEATHER CRAFT 浅草橋店』→既製品が壁一面にレイアウトされ、アクセサリー制作にうれしいチャームやターコイズも大量に揃えられている。特に女性にオススメのお店。

と、お店をひと通り見て回ったあとは近くのカフェ・ベローチェでひと休みしながら、小会議。いろんな革を見てどの種類が自分たちのもとめている革なのか。そして、つかう人の手に馴染みやすく、丈夫で永くつかい続けられるケースに相応しい革がどれなのか、真剣に話し合いました。その後、第一候補に挙げていたお店で10分悩んだ結果…お互いに一番いいと思った牛革を一枚買いました。一枚。一枚と言っても牛一頭分の一枚です。とてつもなく大きいです(笑) カーテンやカーペットにできそうなくらい。自分にとっては思いきった買い物でしたが、その分本当にいいと思う革に巡り会えたと思います。ちなみに自分はこの日12店舗革屋さんを回りました…。

実は現在、別のボールケース製作にも取り組んでいて、その企画や試作、更にはPONTEのプロジェクト関係の作業が立て込んで『OMUSUBI』製作に手が付けられていませんでした。ひと段落したらLeather Ball Holder『(NEW) OMUSUBI』も製作開始しようと思っているので、気にかけてくださっている方はもうしばらくお待ちください。せっかくいい革を買いましたので!

4回にわたり革の話を読まされ、だんだん飽きてきたと思いますが、安心してください!今回で終わりです(笑)
楽しく読んでくださっていた方も、飛ばして大吾さんの「たまむすび」を楽しみに読んでいた方(自分)もありがとうございます!また革について話す機会もあると思いますが、その時まで。

次回からはまた違った話題で書いていきたいと思います。

by Fuji

(第6回へ続く)
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◆たまむすび◆ 文・板津大吾
第4回「朽ちるもの」

PM Jugglingというプロジェクトでものづくりをしている板津です。ここでは僕が体験してきたジャグリングの良さや、そこから学んだことなどをつづっています。

先日、ジャグラーの山村佑理さんが運営する盛岡のジャグリング・ダンススタジオtasseに行ってきました。tasseは11月にストアを備えて本格オープン。それに合わせて、販売用の道具を共同開発でつくらせていただいたのです。

その製作の打ち合わせのなかで「使い古したときにかっこいい道具」っていいよね、という話になりました。山村さんいわく、あらゆるものに、なじんで、朽ちていく過程があるとすると、ジャグリング道具には朽ちるの部分がないですよね、と。まさに、と思いました。ジャグリング道具は衝撃を受け続けるためどうしても消耗品で、数十年使い続けることはむずかしい。使い続けて味が出てきたと思ったら、突然、壊れて終わりがきてしまいます。

では、朽ちることができる道具に必要な要素はなんでしょう。ひとつは、最初から朽ちるところまで想定した構造(素材、デザインなど)であること。そしてもうひとつは、修理、手直しができることかなと思います。最近ではジャグラーの宮野玲さんが紙から道具をつくっていますが、これは画期的なことだと思います。なぜなら、道具として朽ちていく構造であり、さらに、宮野さん自身が修理し続けられるからです。同じように、ジャグラーの鈴木拓矢さんは、木製のリングや棒を手づくりし、それを使い続けています。そんな2人のジャグリングは、やっぱり、魅力的なのです。道具との歩みが、ジャグリングをより豊かにしていると感じます。

まずは身近なところから。普通の人の生活になじんで、願わくば一生、大切に使い続けられるジャグリング道具が増えるといいなと思います。使い込んだ自分だけのストーリーがある道具は、ジャグリングの楽しさをさらに広げてくれるはずです。

(第5回へ続く)

PM Juggling

手作りのジャグリング道具のお店。
プロも愛用する、こだわりのボールやリング。

top

ジャグリング・ダンススタジオtasse

https://uutasse.tumblr.com/

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◆ぴんとくるくる通信◆ 文・中西みみず
第2回 「最初の一歩、劇場に応募する」

おはようございます。中西みみずです。Juggling Unit ピントクルの代表をしています。京都でジャグリングの実験場『秘密基地』を運営したり、作品をつくったりしているひとです。(*1)
前回は『秘密基地』をなぜ、東京のこまばアゴラ劇場でやるか、ということについて書きました。今回はそのための最初の一歩、劇場に応募するということについて書きます。

こまばアゴラ劇場は単なる貸し館ではなく、劇場がラインナップを選んでいます。
そこで今回応募の段顔で、2つの質問に答える必要がありました。
・公演の企画内容について
・活動方針とこれまでの活動経歴について
ふと思いました。今までジャグリングの中で文章、(特にこういうことをします、という宣言のようなもの)、で評価され選別されるということはあまりないなと。
ジャグリングの場合(主にそれは大会やコンテストの予選)はすでに完成している演技を、映像かなにかで見てもらい、それが評価されます。また、私にとってこの演技はこのような意味があるのだ、という「語り」が評価対象になるものもあまりないなと思いました。

実は、僕は企画の内容を言葉で説明して外部の文脈で選考されるというのは初めての体験でした。ピントクルは自主公演ばかりをやってきたからです。
正直、文章を整理整頓して他人に伝える作業が僕は苦手です。
そこで、2つの質問を、ピントクルのメンバーから別の形に置き換えて僕に質問してもらうことにしました。
例えば、1つ目の質問、公演の企画内容について。
・なぜこの企画をするの?
・そもそも、なんでこの企画を応募するの?
・この公演をする前とした後では一体何が変わるの?
そして、それらの質問に答えていくなかで前回書いたような「ジャグリングと演劇の交流を開始する」ということを軸に文章を組み立てていきました。
また2つめの質問である活動方針、活動経歴についても同様で、ピントクルの目的って一体なんだっけという問いを軸に、こちらは「継続的な活動の場をつくる」ということを中心に書きました。

僕は作品を創作するうえでは、できるだけ自分のなかで問いを消化しきるプロセスに多くの時間をかけます。そしてそれが自分の作品の質にとって良いのでは、と考えています。
しかし、一方、企画の質をあげるためには「対話」が多く必要だなとこれを契機に感じました。そもそも、良い企画を作っていくうえで、どんなプロセスをとるべきなんだろう、なんて初めて考えたりしたので、とても良い経験になりました。実際の選考に関してなにがどう影響したかはわからないのですが。
今後、ジャグリングの活動をするなかで言葉を使って「自分を語る」機会が増えるのではないでしょうか。そんな方達の参考になれば幸いです。

*1
ちなみに@rijin1230609というアカウントでtwitterやってます。
https://twitter.com/rijin1230609

(第3回へ続く)

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◆寄稿募集のお知らせ◆

週刊PONTEに載せる原稿を募集します。
800字以内でお書きください。
編集長による査読を経たのち掲載。
掲載の場合は、宣伝したいことがあればしていただけます。
投稿・質問は mag@jugglingponte.com まで。
締め切りは、毎週金曜日の23:59です。

◆編集後記◆ 文・青木直哉

だんだんこのメールマガジンを発行するのが習慣になってきました。
読者の方からも「毎週月曜日に読むのが習慣になっている」という声を聞くようになってきました。
ちゃんと届いているんだなあ、と嬉しい気持ちになります。ありがとうございます。
発行する方も、実は毎週「出さなければいけない」ということは、決して楽ではないですが、おおいに励みになることだったりします。ある種の強制力なしに、自分の意志だけでこういったものを毎週続けるというのは、却ってきついかもしれません。週末になり、「さあ、読者が待っているし、準備しなきゃな」と思う時の気持ちは、わりに素敵なものです。
人間はなににおいてもリズムを気持ち良いと思う性質がある、という話を最近どこかで読みましたが、受け手だけではなくて、送り手にとってもそういうことってあるみたいです。
そして自分にとってちょうどよいリズムでものごとを進められている時というのは、けっこう満ち足りた気分になります。
ちょうどよい量と感覚のリズムをいくつか自分の中にうまく作ることは、機嫌よく生きていくコツなのかも。
また来週。

ご意見、ご感想、コメントは mag@jugglingponte.com へ。

<END OF THIS ISSUE>

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<参考>
紙のPONTE最新号発売中です。
https://jugglingponte.com/?p=2813

ジャグリングの郵便箱(青木はここで毎日文章を書いています。)
https://note.mu/jugglernao

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○電子メールマガジン「週刊 PONTE」2018/12/10

発行者:青木直哉 (書くジャグリングの雑誌:PONTE)

電子メール info@jugglingponte.com

HP http://www.juggligponte.com

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