第6便 (2018/11)クイーンズランドが誇る伝説のジャグラーTerry The Great

PONTEをご覧の皆さん、どうもエクストリーム芹川(@Exseri)です。ワーホリ×ジャグリングin Australia 第6便ということで、今回はブリスベンで出会ったサーカス歴25年、生きる伝説ジャグラーの”Terry The Great”(以下テリーさん)にインタビューしてきたので紹介します。

テリーさんとの出会い

私がオーストラリアに来て半年が経った頃、ブリスベンで2か月に1度開催されているファイヤーフェスで、5ファイヤートーチを投げている人を見つけました。当時、ブリスベンで5クラブが投げれるのは自分だけだと思っていたので驚きでした。彼がパフォーマンスをすると会場の全員が注目し、拍手が沸き起こっていたのを覚えています。技術はもちろん、明らかに見せ方が上手く、リズミカルに動く様子を見て、ただ者ではないオーラを感じ取りました。とても面白い人で、ジャグリングのことを語り出すと止まりません。

テリーさんのショー

テリーさんのショーの様子。どこか神聖さを感じます。

彼の車には常に道具がぎっしり詰まっており、いつでもパフォーマンスが出来るようになっています。何度か一緒にバスキングをしたのですが、次々と見たことのない技やネタが飛び出てきて驚きました。ディアボロのトリックは熟練を感じさせる安定感で、すぐにストリートが観客で埋まってしまいました。コンタクトボールやハットを使ったバランス技が、ストリート上とは思えないくらいにハイレベルで、人間は極めればこの領域に達することが出来るのか…と衝撃を受けました。

テリーさんの経歴

オーストラリア、クイーンズランド南部のサンシャインコースト出身。1994年、12歳の時に一輪車のショーを見て感銘を受け、弟と一緒にジャグリングの練習を始めました。8か月の練習の末、一輪車の上で3クラブカスケードが100キャッチ続くようになったそうです。そして、僅か3年後の1997年にはシドニーで開催されたディアボロコンテストで1位になります。当時、オーストラリアではYoho!というジャグリングショップがディアボロを販売しており、とてもポピュラーだったそうです。その中でもテリーさんは数少ない3ディアボロが回せるプレーヤーだったそうです。その後、幾つものディアボロ大会にて優勝し、タスマニアで開催されたAustralia national contemporary circus festivalへの出場権を得て、サーカスの道を歩み始めたそうです。翌年の1998年にはIJA championsipsのJunior部門に出場します。演目は3、4クラブに1、2、3ディアボロ、そして一輪車の上で5クラブをやっていたそうです。IJA公式ページには、彼が6クラブを12キャッチした記録も残っています。たったの4年でここまでのジャグリング技術を身に付けていたということに驚きです。

1999年からは地元のサンシャインコーストの隣町にあるNoosa Art Theatreにてショーを行うようになります。弟のSimonと二人でショーを行うこともあったそうです(彼は2004年に東京で開催された一輪車の世界大会で2位になっています)。それから現在に至るまで、オーストラリアの様々なサーカスツアーに参加し、ショーをする生活を送っているそうです。

テリーさんの自慢の技

ショーの中で行っている技だと、一輪車の上でハットを鼻に乗せてバランスを取りながら3クラブカスケードをする技が自慢だそうです(私はまだやっているのを見たことが無いのですが、彼のスキルを見ていると可能だと思います)。過去にはスティルトに乗りながトーチを5本投げたり、一輪車の上で7ボールや6クラブを投げたりしていたそうです。

テリーさんの尊敬するジャグラー

テリーさんに尊敬するジャグラーを聞くと、長いキャリアということもあって、私の聞いた事の無いサーカスアーティストが沢山いました。

まず、Haggis McCloudとSergei Ignatovの二人がテリーさんにジャグリングの技を教えてくれたそうです。Sergei Ignatovは1980年代から活躍していたジャグラーで、Youtubeで検索してみると白黒の映像が出てきました。古いサーカス映像でよく見る、恐ろしく高い技術力です。この人達から直々にジャグリングを教わっていたということにも驚きでした。また、テリーさんはEnrico Rastelli(1896-1931)というサーカスアーティストをとても尊敬していて、映像を見て技や動きを研究していたそうです。その他にも、Anthony GattoやSean McKinney、Toby Walker、Kris Kremo、Charlie FryTony Firebougなどの有名なジャグラーにも会ったことがあるそうです。IJAの大会では矢部亮さんにも会ったことがあると言っていました。ジャグラーの他にも、Michael JacksonやDavid Copperfield、Michael Flatley、が〜まるちょばのダンスやマジックを見てとにかく研究し、動きを学んだそうです。ストリートパフォーマーの中で尊敬しているのは、オーストラリア出身のThe Space Cowboyというバスカーで、体を張る芸が好きだそうです(彼は剣飲みのギネス記録保持者)。

テリーさんの次の目標は?

数々のサーカスショーにてパフォーマンスを行ってきたテリーさんですが、まだ達成していない目標があるそうです。それは、豪華客船の中でツアーをしながらショーをすること。シドニーとクイーンズランドを結ぶ船の中で海賊のコスチュームをしながらパフォーマンスがしてみたいと言っていました。凄く似合いそうです。過去に数回日本に行ったこともあり、90年代に代々木公園でバスキングのショーを行ったこともあるそうです。また日本に行ってパフォーマンスがしてみたい、とのこと。

まとめ

テリーさんとブリスベンのバスカー達で写真

最後に、テリーさんにジャグリングとは何かを聞くと、「Juggling is life(ジャグリングは人生)」と即答されました。彼にとってジャグリングのテクニックを高めることは、自分自身を高める事だそうです。25年経って十分なスキルを身につけた今でも、まだまだ練習することが大好きだそうです。会話していてもすぐに帽子でバランスを始めてニコニコしている様子を見て、本当に芯からエンターテイナーなんだなあと思いました。自分はまだまだジャグラーとして若手ですが、テリーさんと話すことで、ジャグリング・サーカスの歴史を知る楽しさに気付きました。

筆者とテリーさんのパッシングの様子

Terry the great (instagram)