ホゴノエキスポ2017レポート

大変遅れてしまいましたが、1月21日、仙台に行って、ジャグリングの公演を見てきたレポートです。

文責は編集長、青木直哉。昨年に引き続いて、二回目の参加です。今回は最後に、大事なお知らせもあります。

ホゴノエキスポとは

本郷仁一(まさかず)さん(=ホゴムラ名人)率いるホゴノプロフィスが、仙台において一年に一度行う、ジャグリングイベント。それがホゴノエキスポです。それほど大きなイベントではなく、主な対象は東北地方のジャグラーたち。ですが、中には筆者も含め、関東地方などから遠出してくる方々もいます。(詳細はこの記事この記事を参照。)

まずは昼行便のバスで仙台へ。新宿から仙台までは、およそ6時間で到着。仙台は、東京とは違って、ちくりとする寒さ。

まず稽古場を見学へ。この場所は、後日の交流会の会場にもなりました。稽古には大橋昂汰さんと、出演者の方々、結城敬介さん、その他関係者の皆さんがいて、通し練習中。流れる、穏やかな音楽。以前取材に来た時と比べて格段に進歩していました。本番前日なので当たり前なのですが、前回には見たことのない動きも多数。

長崎に住む大橋さんを招いての稽古。短い練習期間と、物理的な難しい条件に負けず、工夫して稽古をした跡が窺えました。

稽古を終えて反省会中。雰囲気は終始和やか。

ホゴノエキスポ・当日

次の日、ホゴノエキスポ本番。会場は、JR仙台駅から徒歩20分ほど、地下鉄の駅近くにある、仙台エル・パーク。開場より一時間ほど早く入って中を見学。今年は昨年のエキスポ会場の隣で開催。場所は少し小さくなっていたけれど、おなじみの顔ぶれがそろうのはいつもと同じでした。全国からたくさんの人を集めて盛大に開催するようなイベントではないですが、だからこその魅力があります。

まずは開会式。

左が本郷さん、右は結城さん。

午後12時からイベントは緩やかにスタート。各自で好きに練習をする時間を経て、まずは大橋昂汰さんによるワークショップ。

内容は、「ボールジャグリングのタイミング(高さ)の合わせ方」。

メトロノームを使用して、全員が投げるタイミングを合わせる。集団に振り付けをした時に、ボールの高さを綺麗に合わせるのに苦労した経験から生まれたワークショップなのだそう。確かに、ボールジャグリングではタイミングを合わせようとすると、自然と高さを合わせる、ということになります。正確に同じ高さで毎回投げること自体が、訓練の必要な技術であるため、実際に合わせられるようになるには時間がかかりますが、方法としてはすごく有効。単純なやり方で問題を解決する大橋さんの手法に唸らされました。このように指導に優れており、問題を発見してから解決するプロセスが鮮やかであるところにも、大橋さんの自分自身の能力を掘り下げる力が滲み出ている気がします。

 

Kota Ohashi workshop

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世界ハイパフォーマンス王選手権

休憩を挟んで、毎年恒例、世界ハイパフォーマンス王選手権

事前に申し込みをした出場者が技を競う大会です。とはいえ、内容は肩肘張らず、各自思い思いに好きなことをするものなので、司会進行の結城さんの進行もゆるく、演技内容も、全く毛色の違うものが次々に出てきます。

印象的だったのは、昨年、杏さんとペアで優勝した、コイン積みで有名なたぬさんが行った演技。まず演技のはじめに床に積んだコインを、くずさぬようにジャグリングをするというもの。惜しくも途中でコインが落ちて終わってしまいましたが、おもしろかったです。途中でなぜか杏さんも出てきました。

優勝はクラブが生きているという設定で芝居風のジャグリングを披露したせりかわさん。北海道からわざわざこの大会のためにいらしたということです。その日の午後にはまた北海道に帰られました。おおいに笑いました。演技中に、Wes Pedenからも電話がかかってくる。よく作られていました。

大橋昂汰監督作品、大橋昂汰ソロ

世界ハイパフォーマンス王選手権が終わると、ゲストステージ。

以前の記事でも紹介した、大橋昂汰さんによる振り付けの、集団ジャグリングパフォーマンス。今回大橋さんが監督をした作品は、全部で10分と少し。合計5人で、動きまわって、関わりあって、視覚的な面白さが満載でした。

舞台裏。これだけでも何が起こるのか、想像を掻き立てる。

出演者5人。

内容は、短期間の練習で仕上げたとは思えぬ、とてもよい仕上がりでした。

前半と後半で毛色が違って、前半の主人公は、小学生のはると君。子供を中心として、その周りの大人たちがいたずらをしてみたり、あるいはぐるぐると駆け回ったり。九州で子供達にジャグリングを教えている大橋さんの今までの積み重ねが、いかんなく発揮されている感じを受けました。

後半は、よりジャグリングそのものを使った、視覚的効果を駆使した内容。

幕で見えない部分を利用した、不思議な感覚の作品になっていました。

この演目で一番注目すべきは、大橋さんが東北のジャグラーを「振り付けた」というところだと思います。

現時点での日本のジャグリングシーンでは、客観的な見ためや全体の統一性、というよりは、自分自身の感覚的な気持ちよさや、自分自身の持つ技術の披露、といったものに重点のある演技が多かったりします(例外ももちろんたくさんあります)。

とにかく以前にも書きましたが、ジャグリングでは、一般的に言って、誰かを振り付ける、という発想がまだそこまで浸透していません。

ですが、振り付けるとなると、一気に「見る側」としての視点が作品に反映されやすくなります。

今回の演技を見て、大橋さんが振り付ける作品をもっと見てみたい、という気持ちにもなり、また他にも優れた「ジャグリング振付家」が何人も現れたら面白いだろうな、と思いました。

今回の公演は、その端緒としてとてもよいものに思えました。

そのあとは、大橋昂汰さんによるソロの発表。

ボールのみ、そしてボールとリングを用いての演技。

コンタクトジャグリングに使う大きめのボールとリングを組み合わせたりもしていました。

普段行っているさまざまな動きと、道具のコンポジションを、音楽に合わせて即興で発表する、というふうな印象を受ける演技でした。日頃から探求をおこなっていなければ出し得ない、落ち着いた、いろいろなパターンの連続は、見ていて心地がよかったです。

ホゴノエキスポを終えて/お知らせ

ゲストステージが終わると、イベントは終了。各自帰路につきます。

さて、仙台まで足を運べなかった読者の方々へ。

公演の中身は、まとめの動画の中でも少し映っています。

(8分17秒あたりから)

ですがこの度、

ホゴノエキスポで行われたこの集団製作と、その舞台裏大橋昂汰さんのジャグリング

そして他にも盛りだくさんの内容をパッケージにして、販売されることが予定されています。PONTEも関わっています。

舞台製作の過程や、そのあとも含めて、総括的に今回の舞台を堪能できる内容になるはず。

詳細は後日発表。

text= Naoya Aoki

Photos= Naoya Aoki

 

 

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