第74回「蛍の光と習得について」

桜木町のカフェから出るときに「蛍の光」が流れた。
「ほーたーるのーひーかーあり」と歌いたくなった。
店員さんがびっくりするから歌わなかったが、なんで俺この曲覚えてるんだろ、と思った。
人間は「ただ無意識に触れること」を繰り返すだけで簡単に何かを覚えてしまう。

その「繰り返す」のスパンは、一週間何度も、ではなく、3、4年コンスタントに、というスパンである。
「もっともーっとたけもっと」とか、「あぐらぼーくじょーう」とか。
もっともーっと役に立つであろう英語のフレーズよりも鮮明に頭に残っている。

勉強にしてもジャグリングにしても、成し遂げられない一番の要因は「途中でやめてしまう」ことに尽きるんじゃないか。
やり方の質ばかり気にして、却って「イヤになる」。
短期間で成果をあげようと頑張れば頑張るほど、あとに続かなくなる。

気合を入れすぎてしまうと続かない。
ふみ読む月日は、重ねるだけでいいんだ、という楽な気持ちで延々と取り組む方がいいんだろう。
「蛍の光」の丸暗記は、「プレッシャーの無さ」がなせる業だったのだ。
現代には蛍光灯が有るから、毎日ふみを読むのもちょっと楽である。

文=青木直哉


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