月別: 2016年4月

第98回「いつも旅行の前である」

38度を超す熱を出してふにゃふにゃしていましたが、やっぱり文章を書かなきゃ、と思ったらみるみる熱が引いてきたので(やる気ではなく薬のおかげ)ただの近況報告ですが、書きます。

やたらに旅行に行く前に限って風邪を引いています。

前回ニュージーランドに行ったときもそうでした。
なんだったか忘れましたが、とにかくゲホゲホしながら飛行機に乗ったのを覚えています。
現地に着いてもしばらくコンコンしていましたが、しばらくしたら治りました。

そのときはなんとかなったからよいのですが、今回は結構ギリギリまで高熱を出していたため、今日の夜の便までに完治するのか怪しいところであります。
行き先がフィリピンであることもあって心配じゃないといえば嘘ですが、まぁ死にそうになっていない限り行きたいと思います。

ちなみにこれを書いてるのは夜で、平熱に戻ったかと思ってぐーすか寝ると次の朝熱が上がっている、というサイクルをここ数日繰り返しているので、明日の朝(つまりこれの公開時)がドキドキです。

無事フィリピンに行けたら、レポートをお届けしようと思います。

第97回「『5個の玉を投げ続ける』という発想 『カスケード』のシニフィエに想いを馳せてみる」

改めて5ボールカスケードの軌道をGIF画像で見て、これは素晴らしいなぁと思った。
たぶんジャグリングを見たことのない人が、いきなり5ボールカスケードを見せられるとこれくらい感動するのだろうなぁ、と瞬間的に想像した。(僕にもそういう時があったはずなのですが、もはや覚えていません。初めて食べたラーメンの味を覚えていないのと同じくらい残念なことです)

「5ボールカスケード」を、ミルズメスとか、リズミカルなボディスローとか、パズル系とか、5ボールバッククロスとか「ジャグラーならば知っている」文脈のなかで相対的に位置付けてしまうとたいしたことではないように感じてしまう。(昨今は特に)
だけどその「所与」をなるべく取り除いてそれそのものを眺めてみれば、結構ワクワクする質感が立ち現れてくる。それは、「5つの物体を常に投げ続ける」というなかなかに驚異的な行為である。
「俺は5個のボールを落とさずに投げ続けることができるんだ」と口に出して言ってみる。なんだかちょっと可笑しくなってくる。
皆さんもぜひ自分のできることを言ってみてください。電車で読んでいる方も、前の座席の人の目をみつめながら言ってみてください。

本気で文脈のことについて忘れてみると、意外なほどに、「カスケード」が、全く違う行為に思えてきませんか?

最近はジャグリングを目にする機会も増えたし、教材も山ほどあるし、ジャグラーを囲む環境は「文脈」にあふれている。
だけどジャグリングに触れたことのない人が初めてジャグリングの5個の「カスケード」をみるとした時、感じる質感は絶対にジャグラーのそれとは違う。(当然ですね)
この人は、いったいどんな練習をどれぐらいしたら5個なんか投げ続けられるようになったのだろう、というようなことを思うだろう。

もちろん文脈に浸っていれば、誰しも「門外漢」への想像力を欠いてしまうものだ。
しかしそれを超えて「内輪の外」ときちんと向き合える人というのは、すっごく素敵だなぁ、と思う。
「わぁ、すごい」と自分が思った時の感覚と大事に向き合うということでもあるからである。

「カスケード」ということばで万国共通のものを了解できるようになるというのは、ジャグラー間の伝達や、教える際に便利で、素晴らしいことだ。
ただし一旦それを脇に置いて「カスケード」ということばが指し示しているそのものの質感のことを思ってみると、自分が「カスケード」と呼んでいる時の感じとは、また随分違ったものになっていることに気づく。

文=青木直哉


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第96回「文化の出身地についての考察 ジャグリングに国籍はあるのか?」

「文化の国籍」について考えた。

けん玉は日本の玩具であったが、インターネットの効果もあってか、世界中に広がっている。
いまやけん玉は「Kendama」というオープンソースになり、ヨーロッパ、アメリカでも盛んに技術を競う大会が開かれているほどだ。

そのとき、けん玉は日本のおもちゃだ、ということは意識されていないかもしれない。
確かに日本の文化として基本的には広まっていると思うのだが、ことさら「Kendama=NIPPON」が誇張される必要もないだろう。
いや、けん玉が日本のものだ、と頑なに主張するのを嫌がる人さえいるかもしれない。
私は気にならない。(まぁ、どっちでもいい、というのが本音ですが)
だが日本のものだということをあえてヨシとしない人もいる。
(最近知ったのですが、日本に特に発達したあり方として、『けん玉道』という言葉もあるようですね。こちらを参照)

しかしけん玉が日本から始まった、ということは揺るがない。
それはなぜか。
「けん玉をする」という行為(の名称)には、強制的に「けん玉」というオブジェクトが含まれているからだ。
そしてそれは、ある特定の形状をした物体を指す名詞であって、自然界に頻出するような容体ではない。
だから人工的なものだ。ゆえに一定の出身地を特定しうる。たとえそれが日本ではなかったにしても。
「液体」とか「平面」とか、絶対に国籍を持ち得ない普遍的なものではないのである。
(液体の発祥地はエジプトである、とか、ここ数年の台湾の平面は非常に良質だ、とは言い難いですよね)

つまり「けん玉」という、極めて具体的で特徴的なオブジェクトから発生したコミュニティが、けん玉愛好者の集まりなのである。

さてここで「ジャグリング」ということばを見てみる。

「ジャグラー(=ジャグリングをする人)」という定義には、オブジェクトが含まれない。
先ほどの例で出したような、いわば「液体」とか「平面」とかと同じように、「物体」を「器用に操る」というのが基本的な定義となっている。
物体は変数 x で、何に置き換えても、つまり、国籍とか時代とかに関係なく、「ジャグリング」は発生する。
「ジャグリングをする」という行為は、まさしく動作そのものを以って定義される。
ジャグリングとは、f(x)の「”f”unction=式」のほうのことなのだ。

となるとジャグリングには国籍はないはずである。
物体とそれに関わる人間が存在すれば、どんな国でも「ウチではジャグリングが昔からおこなわれている」と宣言する権利があるからである。

しかし、しかし、である。
それでも、「ジャグリングってどこの国のものなんですか?」と聞かれることがある。

ジャグリングをしている方からすると、変な質問だ。
「ジョギングってどの国のスポーツなんですか?」と聞かれているような感じがする。
「ジョギングというのは、19世紀にエストニアの人々が最初に近代的な形にしたと言われていてね…」とはならない。
走りゃあジョギングなのだ。
同じように、投げりゃあジャグリング、それでいいはずなのである。

それでも、それでも、である。
一方で「ジャグリングってどこの国のものなんですか」と聞く理由もなんとなく分かる。

まずもって”Juggling”という言葉が英単語であることがひとつ。
わざわざ日本語話者の間でさえ「ジャグリング」というカタカナ語を用いている、ということは、その語に付随する概念がなんらかの形で輸入されてきたことを示している。
そして、ジャグリングで使われている道具は、なぜかなんとなく大体において人工的であることも理由の一つだろう。
クラブなどそれが顕著で、明らかに外国から入ってきた感じがする。シゼンじゃない。
そして、物体だけではなくて、技術体系に国籍を求めることもできるからだろう。
「お手玉」と「ジャグリング」は違う、と考えている人は、たとえば上記のような「ジャグリングの国籍」を問題にするだろう。
「ジャグリング」といったら、西洋で培われた技術体系を用いてモノと対することが基本だ、と主張することも可能である。

いずれにせよ。
「ジャグリング」という語には、かように、国籍を付与されているのかいないのかよく分からない、ちょっとヘンなところがあるのである。

言葉遊びであるといえばそれまでだ。
だが「ジャグリング」という呼び名と付き合っていかねばならない以上、こういうことに関心を寄せてみると何か発見があることもあろう。

ジャグリングとは何か、と議論する前に、まずこういうところをひととおり「そうね」と思っておかねばなるまい。

文=青木直哉


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第95回「フィリピン・フロウフェスティバルとシンガポールのボーンファイア・フェスティバルに行きます」

縁あって、4月末から5月初旬にかけて開催される今年のフィリピンフロウフェスティバルに、編集長がガラショーのパフォーマーとして行けることになりました。

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こんなものを作ってくれる

東南アジアでは、なんとなくフロウアーツ(ポイやメテオ、コンタクトジャグリング、フロウワンドなど、ふんわりと『浮く』質感を持ったジャグリング、というくらいの意味でしょうか。明確な定義ってあるのかなぁ)が流行っているような気がします。
もちろん欧米でも盛んなのですが、なんとなく個人的な印象として特にアジアで「しっくり来ている」感じがする。

ヒッピー、レイブの文化との結びつきがあったりするので、インドなど「東洋の神秘」的な部分との親和性が高いのかもしれません。
しっくりくるとかどうとかは別にして、上手い人は国籍問わず各所にいますけれど。

例によって、紀行文も書くつもりです。
先日のニュージーランドの文章もまだ書き上がっていないのですが、気長にお待ち下さい。
発表の場所は未定です。

そして、6月には同じような理由でシンガポールに行くことになりました。

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こちらのボーンファイア・フェスティバルは、主催者の方と以前から交流があり、今回は10周年で、特に大きなイベントにする、ということで、いろいろと話している間に私も参加できることになりました。

またこの旅行の最後に、渡邉尚さんと一緒に、ミャンマーの国技「チンロン」も取材してくる予定で、いやはや、楽しみであります。

生きているなぁ、と感じます。

文=青木直哉


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第94回「けん玉のバラエティとジャグリング道具の選択肢の乏しさについて」

こんな動画を見ました。

けん玉が世界で流行っています。
もはやジャグラーならば割と知った事実だとは思います。
実際にこうやって楽しんでいる人をまじまじと見てみると、この人たちにも「同じ道具を通した連帯感」のようなものがあるんだなぁ、と思います。

興味がわいたのでKendama USAのホームページを見てみると、けん玉って今、いろんなデザインがあって、むしろもはや道具選びが楽しい、というようなところがあるんですね。

ジャグリングだと、実用性で選ぶことが多いような気がします。
もちろん色とか、デザインとか、多少は気にしますけど、なんだかんだで少ない選択肢の中で特に不満を持たずに選んでいる人が多いんじゃないかという感じがします。

けん玉になぜこれほどバリエーションができるのか考えたのですが、たぶんもう規格が決まっているために、あと工夫できることが外見に絞られてくる、というような事情もあるのかもしれません。(ま、でも、ジャグリング道具でも同じか…)

ジャグリング道具の色、サイアクだよね、とジェイ・ギリガンが長らく発言しています。
スケートボードとか、たとえばあんなにカラフルでいろんなものがあるのに、マジでなんなんだよこの色、と、本気で愚痴をこぼしています。
(ジェイって、ちょっとスティーブ・ジョブズを彷彿とさせるんだよね)

みてくればっかり気にしているのは邪道だ、と考える人もいるでしょう。
けど、けん玉の多様な「コレクション」の幅をみていると、もっとジャグリングをファッションアイテムとして楽しむ方向性があっていいんじゃないかな、という気もしてきます。

持ち歩き方ひとつにしても、ぴったりの大きさのケースを作るとか、いろいろ考えられるはず。
そういうプロジェクトを立ち上げるのも、面白そうだな。

文=青木直哉


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【PONTEレポート】2016年3月30日(水) ナコタ・ラランス ネイティブアメリカンフープダンス・ワークショップ (JP)

【PONTEレポート】2016年3月30日(水) ナコタ・ラランス ネイティブアメリカンフープダンス・ワークショップ (JP)

取材・文・写真=青木直哉

2016年3月30日、シルク・ドゥ・ソレイユの演目TOTEMでプリンシパルダンサーを務めていたこともある、 ナコタ・ラランスさんのワークショップに行ってきました。フープダンサーAYUMIさんに声をかけていただいたのがきっかけ。
AYUMIさんはフープ東京の代表で、以前PONTEでも取材したことがあります。

「ネイティブアメリカンフープダンス」?
ナコタ・ラランスさんは、ネイティブアメリカンフープダンスの名手。
といっても、それってなんだろう、というのが正直なところでした。
実際にナコタさんによるデモを見ると、技巧をバリバリ見せるようなタイプではなく、フープとともに、大地を踏みしめながら舞う、という印象の踊り。
ナコタ・ラランスさんの父スティーブ氏に話を聞くと。
スティーブ氏
「ネイティブアメリカンの伝統で、葦を編んだ輪を使う踊りがあった。
もともとは「癒し」をもたらす儀式だった。各々の部族で、似たような伝統がある。
モダンなネイティブアメリカンフープダンスはここ20年ほどで発達したもので、それまでは踊りそのものが忘れられていたんだよ」

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(下)赤いチョッキがスティーブ氏。ワークショップ後のトークセッションで。
つまり、最近になって「再発見された文化」だとも言える。
アリゾナ州フェニックスにあるハード博物館(1929~)では、1990年から毎年フープダンスの大会が開かれているのだという。
開始当初は20人だった競技参加者も、昨年は86人が参加したと言います。
今は、スティーブさんとナコタさん、子供達にも熱心に教えているようです。

 

ナコタさんのバックグラウンドとワークショップの中身
ナコタさんは、4歳から今までずっとフープダンスをしている。(現在26歳)
マイケル・ジャクソンのビデオに触発され
スティーブ氏「ビデオが擦り切れるほど見ていたね」)
ヒップホップやブレイキンも習得し、今ではそれらを組み合わせたスタイルで踊っています。
 ワークショップでは、ネイティブアメリカンフープの基本的な動作をレクチャー。
1本に始まり、2本、3本とだんだん数を増やしていき、最後には「世界」の形を作るところまで。
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これが「世界」
多くの形にはモチーフがあり、(ワシ、水蛇、馬、人生など…)それについてスティーブ氏は
「フープは、人々、四季、自然といった世界のあらゆる美しいものを象徴している」
とのこと。
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これは水蛇(=ワニ)

スライドショーには JavaScript が必要です。

参加者は女性のフーパーが圧倒的に多かったです。

他に東北の郷土芸能「鹿踊り(シシオドリ)」の踊り手、アニメーターの方、スピナー、ジャグラーが何人か、総勢20名でした。
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アニメーター 山本美佳さんとラランス親子
特にアニメーターの山本さんは、ナコタさんの大ファンだということで、彼をモチーフにした圧巻の絵を描いて持ち込んでいました。

 

21世紀のパフォーミングアーツ
伝統から出発しつつも、様々なものを取り入れていくその姿勢は、ジャグリングと似ているところがあるな、と思いました。
しかしネイティブアメリカンフープダンスには、「精神性」が色濃く残っている。
聞いた話だと、大会に出るにはネイティブアメリカンの血を何かしらの形で引いていなければならないのだとか。
もちろん見かけ上のパフォーマンスとしてこのダンスを行うことは誰にも可能で、ナコタさん達もまた、自分たちの踊りを我々日本人と共有することを楽しんでいましたが、一方で「ネイティブアメリカンのアイデンティティー」としてのフープダンスの姿も垣間見えました。


【お知らせ】

AYUMIさんが特集されたPONTEです。
ハード博物館公式サイト http://heard.org
Pueblo of Pojoaque Youth Hoop Dancers(ラランス親子も教えている)

第93回「ひきつづき大道芸 KOMEIさん」

昨日もヨコハマ大道芸が行われていましたが、私は、そのそばのJICAの施設で行われていたKOMEIさんの大道芸を見に行きました。

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Daggle KOMEI

雨と、特に風が凄まじかったせいで、ヨコハマ大道芸のほとんどの演目は中止になっていました。
室内でやるのかと思いきや外で演技。
一体何を考えているんだと思いましたが、実際見てみると強風の中ほとんどの演目を、そつなくこなしておられました。素晴らしい。
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バランスまでこなす
しかしやはり天候には勝てず、(そもそも人通りが少ない)観客が少なめ。
私と、たまたま一緒に来たディアボリストの青宙ノートくん、そして歩いていたらたまたま出っくわした、くるくるシルクのブルーさんと、他何人かのためのようなプライベートなショーでした。
しかしKOMEIさんは決して気を抜くことなく、本気で楽しませてくれる。
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あとで本人も苦笑いしつつ「いや、楽しかったです」と語っていました。
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その後挨拶をしてまた仕事に戻ろうとするもあまり気分が乗らず、(気圧のせいとか、あるんじゃないかと半ば本気で思っている)本屋をうろついたり、メールなどの返信、そしてちょっとだけ書きものをして、帰宅。

【お知らせ】
全然関係ないですが、編集長の青木直哉、今月末フィリピンのフロウフェスティバルに出てきます。
詳細は以下をチェック。といわれても。

文=青木直哉

第92回「ヨコハマ大道芸」

昨日、ヨコハマ大道芸を見てきました。といっても用事もあったため、あまりいろいろと見るつもりはなく、ハイジャグラーズとうつしおみを見て、移動中に目に止まったくるくるシルクなどを見て、終わり。

 naoyaaoki-2016:04:16highjugglers
HIGH JUGGLERS
ハイジャグラーズ。ジャグリングの世界でよく知られたパフォーマーたちが一堂に会した様子は壮観でした。
このメンバーが集まったらこういうものになるのかな、とある程度予測して行きましたが、割とその通りの感じのものになっていました。
豪華であることには間違いないのですが、欲を言えば、オムニバス的なものから一歩進んでもう一味新しいもの、あるいは互いに絡みのあるものが見たかった気もします。(ジャグラーを空に上げるという案の活かし方が若干中途半端だった感が否めません)
技術は確かに日本屈指でした。しかし良くも悪くも、というか、個々の演技の色が強くそれで成り立ってしまうので、一旦終わったあと、全く違う色の次の演者が出てきて、気持ちがなんとなく切り替わってしまい感情移入しづらかった。全体を通してのドラマが少し欠けていたように思います。
地方からもメンバーが集まっていて、それぞれが忙しい中、合同での稽古時間は取りづらかったのかもしれない、と察せられました。
ケントカイトをジャグリングイベント以外で見たのは初めて。
ベテランが集う中で、緊張しただろうなと思います。
naoyaaoki-2016:04:16utsushiomi
うつしおみ
うつしおみは、相変わらず二人が「いる」という感じがして、とてもよかったです。
木製の家具が置いてある、オーガニック志向のおしゃれなカフェにいるような居心地のよさを感じます。
以前にも書いたことがあるのですが、この二人も、そしてくるくるシルクも、自分を無理に隠したり、大きく見せようとしたりしていないところが大好きです。
naoyaaoki-2016:04:16crucrucirque
くるくるシルク
総じて、フェスティバルそのものに観客が比較的少なかったような気もします。
野毛大道芸のほうが盛り上がるのか、はたまた土曜日だったからか。
また、見ているほうもすっかりなじんでいる感じがするというか、大道芸を見慣れている方が多かった印象。
(これは別に今に始まったことではない)
大道芸フェスティバルに出てくるパフォーマーも、結構固定されている印象があります。
優れたパフォーマーの母数は国内だけで考えたらそう多くないわけで、当然です。
同じ歌を何度も聴きたくなるように、お決まりの演目に浸りにくる、という見方がある一方で、私はなんだか、もっと新しいものをガンガン観たいな、という気がしました。

文=青木直哉


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本日、ピザ回し練習会が代々木公園で行われます。雨天中止。
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第91回「熊本の地震と私との距離感」

 

熊本県で大きな地震がまだ続いており、心配です。
被害のない地域に住んでいても、おそらく知り合いや親戚の方などが近くにいる、という方も多いでしょう。
ニュースを聞いた瞬間には、正直に言えば「自分のところでなくてよかった」というような気持ちを持ちました。
こんなことは、熊本で今被災されている方々からしたらとんでもない一言に聞こえるのは承知ですが、それでも、何人かの九州の友人に安否を尋ねたのちに「今の所自分にはあまり関係がないな」と判断した。
この地震は、私の立場としては、ニュースが流れさえしなければ知りもしなかったことです。
ニュースをみたところで「わあ、ひどい」と思いつつも、のんびり夕飯を食べている。
どこからが「自分に関係のある」出来事なんだろう。
台湾で起きた地震はどうだろう。
ブリュッセルのテロはどうだろう。
シリアの難民の惨状はどうだろう。
宇宙飛行士に何か起きたらどうだろう。
地震が起こる一方で今、全国の病院で、難病と闘っている人がいる。
自分がしたわけでもない借金に追われて苦しんでいる人もいる。
就職活動で本気で悩んでいる人もたくさんいる。
福島の地震があった時私は1500円を赤十字経由で寄付した、という経験がありますが、その時、一体この1500円という中途半端な距離感はなんなんだろう、と思いました。
惨状がメディアで流されることにより「関与しておかないといけないんじゃないか」という気分になったので「とりあえず何かした」というような感じだった。
しかしそういう関わり方というのは無関心よりも却って悪いんじゃないか、という気分になった記憶があります。
「よし、これで私は、慈善を果たした」というような気分。
でも何より自分に関係があるとすれば、悲劇的な事態というのは「次は我が身」である、という事実かもしれない。
関東地方もやはりいつ地震が来たっておかしくない。あと30分後に来るのかもしれない。
起こるまでは誰も何も知らない。
そのことが、「今自分の身には起こっていないこと」への態度を不安定なものにさせます。
少なくとも地震の被害、というのはもはや、すっかり安心して「傍観」できる距離感ではない。

文=青木直哉

第90回「ejcfan開設」

前々から言っていたのですが、ejcfanという名前のサイトをついに開設いたしました。
PONTEのトップページから、またはこちらで飛べます。
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世界最大のジャグリングフェスティバル、EJCについての情報ページです。
かかる費用、行き方、そういう実際的な情報に加えて、今年のオランダではどういうものがあるとか、周辺国で行ってみるならこの辺とかいいんじゃないかとか、ぼつぼつと毎週金曜日にまとめていく場にしたいと思っています。

昨今流行らない掲示板もあります。
あったら便利だろうなと思ったので作りました。
ぜひ適当にお使いください。

日本からの参加者も年々増えていて(たぶん)話を聞くことも多くなり、いつかは行ってみたいと思っている方も多いと思います。そんな方の参考のために作りました。もちろんただただ海外のジャグリングに興味がある方にも、何かしら面白い部分はあると思います。
ぜひ、時々覗いてみてください。

文=青木直哉