月別: 2015年4月

京都 ピントクル、シンクロニシティ、ギア

先週末京都に行ってきました。ジャグリングユニット・ピントクルの公演「LIMITED」が主な目的。gateという、劇団をメインとしたオムニバス公演のシリーズ。その中にジャグリングの公演が入ってくるというところが今回の(青木の)見所。

会場は京都駅から二駅の四条駅から歩いていける、KAIKAという小劇場。小さすぎず大きすぎず。舞台袖はなく、出演者は、客席の後ろか、舞台の鉄の重そうな引き戸を開けて入ってくる。
今回のラインアップは、「LIMITED」「森に行く」「アゼルバイジャンは雨だから」という3作品。

LIMITED。
床には開演前からいくつものオリジナル道具が置いてある。木の枠だったり、木の箱だったり、本をかたどったものだったり。ジャグリングボールも出てくる。ピントクルの得意技、開演前に、使い道の分からない道具がたくさん散らばっているという演出はいつもおもしろい。「扱うもの」と「舞台装置」として、道具がハイブリッドに機能している。「未知の道具」は、期待感を持たせる。それだけに、使い方も面白い時は熱狂の渦だが、いまいちおもしろくない使い方をされると、ちょっとがっかりする。
出演は山下耕平、宮本浩市、中西一史というピントクルの3人で、静かなシーンが多かった。黒板に文字をひたすらに書き続ける、黒板に交互に文章を書いていくような、コミュニケーションツールのLINEを彷彿とさせるようなゆったりとした演出や、静かに、木の枠の様々な組み合わせ方を見せるなど。あまりに長いので寝ている人もちらほら。それをどうとらえるか。私は、こういうふうに退屈になるやり方はいかんのじゃないかなと思いました。
純粋なジャグリングのパートもあり。同じ振り付けを、立ち位置を変えて、合間合間に合計6回、同じ音楽で行われる、というもの。音楽が自作だったようなのだけど、これからもこのスタンスで行くのだろうか。衣装が学生服で、まぁそれも効果的だったかというと別にそんなことはなかったと思うのだけど、そこからのインスピレーションか、チャイムを基に作った音楽が使われる。ううむ。ちょっと、ダサかった。
演劇と並列して観たため、ジャグリングには根本的に、セリフがないのが普通だということを改めて感じる。LIMITEDの公演では、本をかたどったものを宮本、山下の2人が複雑に受け渡しながら、読み上げて、その内容がだんだん重層化し、なんだか変な内容になっていく、というシーンもあり、そこは、ジャグリングとセリフが混ざることもできるんだな、というこれからの「種」を感じた。そういう部分は、ぜひ「サークル的な、技術志向」に凝り固まって、行き詰まっている人に見せたい。視界がぱっと開けて、おもしろいものを作り出す人が出てくる…かも。
また、「京都俳優ラップの会」、という半分冗談で組んでいる俳優ラッパーのパフォーマンスもあって、まぁ別にそれ自体は普通だったのだけど、図らずも、「即興のおもしろさ」に触れられました。「相手から何が出てくるのか」わからない緊張感、ジャグリングにはあまりない文化で、そのあたりをジャグリングジャムセッションが担いはじめている。即興の緊張感を、うまいことゲーム性として遊び方に組み込んでいく姿勢が、ジャグリングにはあんまりなかったし、それがジャムセッションのいいところなのだなぁ。

諸々の巡り合わせで、乗越たかおさんの『どうせダンスなんか観ないんだろ!?』を今読んでいて、ジャグリングがいかに「整理されていない」、「多様化が進んでいない」文化であるかということを思い知る。まだまだ若いんですね。いやー、本当に、知らないことしかないなー。多様化というところではピントクルがもっともっと挑戦し続けて、その先駆けになってほしい。ただ多様化すりゃあいいってもんでもないのだけど。
今回のピントクルの公演には正直ぴんとこなかったけれど、ピントクルはそんな青木の勝手な感想に負けず精一杯やっていってくれる団体だと信じているので、これからも期待してます。
公演を観た後は、大道芸人二人組、シンクロニシティに会いに行く。初めて会話をしました。末吉さんはPONTEのことをいつも気にかけてくださって、うれしいです。また近いうちに京都に行って、シンクロニシティがやっている24時間オープンの練習場所にお邪魔してみたいと思っています。もちろんその節にはお酒も。
そういえば京都にはギアがあるじゃないか、と思って、ギアも見に行く。ちょうどシンクロニシティがいたところの近くだったので、当日券、B席で。席、一階席の端っこでしたが、そんなに悪くなかった。
舞台セットが、質が高くてよかった。プロジェクションマッピングも、実によくできていて高揚する。ストーリーや、ちょっとした間の長さは気になりましたが、あれはなかなか面白いですね。日曜日で、ほぼ満席でした。

そしてピントクルメンバーの家に泊めてもらい、お酒を片手に感想を言ったり、夢の話をしたり(寝る時に見る方)、人間観やら(ははは)、映画の話をしたりしました。
青木は最近全然主体的にジャグリングをしていないから、こんなのにごちゃごちゃ言われてたまるか、とか思われたかもしれない。自分自身がそういう「申し訳なさ」みたいなものを感じないよう、こっちもせいぜい足をいろんなところに運び、本を読み、映画を見て、ジャグリングして、公演を見て、考えて、雑誌作って、勉強しようと思うのだけど、まぁ、息を長くしないといけないですな。

劇団アカレンガ    ジャグリングとミュージカルの融合への試み

「劇団アカレンガ」という劇団が、PONTEに一通のメッセージを送ってきてくださいました。
「ジャグラーの方に、この劇団のことを知っていただき、参加していただけたら」
とのこと。
劇団アカレンガは、 ミュージカルを専門としてアマチュアが集まって活動をしている団体で、2010年に、ジャグリングを取り入れた舞台『アリスの国のアリス』を発表。
現在、2015年末に同演目をさらに磨いた形での再演を予定。
そのためのオーディションが行われるのが、本年5月。
一般募集はすでに多数の応募があるため、ジャグラーは、個別に連絡をしていただき、別スケジュールでオーディションを行いたいとのこと。
連絡先は記事最下部に記載。
alice-0355 alice-1245
写真提供:劇団アカレンガ(photo by 福田写真)
 
PONTE青木のもとにも2010年の公演DVDを送っていただき、拝見しました。
ミュージカル自体は、みなさん楽しそうで、作り上げるのにかけた時間、本番の緊張感、終わった後の達成感、きっと全ての色々なものが思い出に残る素敵な公演だったに違いないと思いました。
ただジャグリングの部分について率直な感想を申し上げると、やはりどうしてもジャグリングとミュージカルを組み合わせるとジャグリングの部分が「ジャグリング」として立ってしまって、劇のプロットの流れを止めてしまっているように感じました。
ダンスや、単に身体の動きというのは、感情を表す延長として誰でも自然にもありうることで、嬉しくて飛び跳ねる、とか、くるくる回ってしまうとかありますが(くるくる回る人はあんまりいないかもしれませんが)嬉しくて思わずボールを3つ投げてしまう、ということは少し想像しづらいような気がします。
場面転換中にジャグラーが出てきて演じる、という部分もありましたが、それがジャグリングとして十分鑑賞に耐えうるものであるがゆえに、逆に、なぜジャグリングが唐突に挟まれるのだろう、という印象もありました。
ジャグリングの「技」、特殊技能としての側面、「ジャンルとしての個性」がかえって邪魔になってしまっていると感じました。
それでもこれは、劇とジャグリングを組み合わせようとする人達誰しもがぶつかっている課題で、もっと多くの意欲的なジャグラーを巻き込んでいき、単純に今までのジャグリングをそのまま取り入れるのではなくて、舞台の上でやるのにより適した形を探っていく場でもあったら面白いだろうと思いました。
劇団アカレンガの今後が気になります。
 
代表の辻野さんにお話を伺ってみました。
 
 
劇団アカレンガ代表:辻野良信さん    インタビュー
 
どのような経緯でミュージカルにジャグリングを取り入れてみようと思ったのでしょうか。
 
今回の作品(『アリスの国のアリス』)はたいへんエンターテイメント色の濃い作品です。また、ファンタジー色も強い作品です。舞台表現を通してお客さんをいい意味でいかに驚かせるか、ワクワクさせるかを考えた中、ジャグリングのハラハラ・ドキドキ感が作品のカラーにマッチするのではないかと考えたからです。
 
私の娘がジャグリングと関わっている関係で、何度かジャグリングを見せていただく機会を得ました。それぞれの道具についてさまざまな技術があり、光らせる演出など美的効果も面白いジャグリングはいろいろな可能性を秘めているのではと感じました。
 
ジャグリングを取り入れてみて、良かったところを教えてください。
 
ジャグリングの道具は人間ではできない動き、光、スピード、リズム、浮遊感を持っています。たとえば光るボールがくるくると回っているだけで、お客さんは何とも言えない不思議さ、まさに異次元の国をイメージしたようです。それは作品のイメージとよくマッチしていたと思います。
 
逆に、前回の公演で、課題だと感じたところは具体的に、どこですか。
 
ミュージカルの要素として重要なダンス、歌との有機的な結びつきを作ることがたいへん難しかったです。物語を運んでいく中でお客さんはそのストーリーの流れに意識が向かいます。たとえばたいへんうれしいことが起こる場面になり、思わず歌ってしまう、踊ってしまうという流れはお客さんの中にすんなりと入っていきますが、ジャグリングはその部分で違和感を感じさせてしまうことがあったと思います。そこをいかに解決するのかが一番大きな課題だと思います。
 
現在具体的に、求めている「ジャグラー像」はありますか。
 
一言で言えば、「ミュージカル俳優」として舞台に上がっていただきたいということです。その人の(あるいはその人が演じるキャストの)個性の一つとしてジャグリングの技能がある、という形で舞台に立っていただければと思います。場合によってはジャグリングの場面は多くないかもしれません、短いチャンスの中でお客さんを「おおっ」と思わせる技術を披露できる方あるいはそのことに挑戦する意思のある方、歌やダンスもみっちりと練習していただける方を求めています。
 
では最後に、次回公演へ向けての抱負をどうぞ。
 
劇団アカレンガは創設10年目を迎えようとしています。紆余曲折の中、昨年12月の公演では700席のホールをようやく満席にすることができるようになりました。おかげさまでたくさんの素晴らしいスタッフ・講師に囲まれて活動ができるようになっています。全員がアマチュアでしかもオリジナルミュージカル(シナリオも音楽も)の劇団が少しずつ大きな流れを引き寄せ始めています。次回公演はキャパ1200の大きな舞台です。しかも2回公演です。どれだけたくさんのお客さんを楽しませ、暖かく豊かなメッセージをお届けできるか、スタッフ一同楽しみながら企画、運営を進めております。ぜひ、お力添えをいただければと存じます。
 
ありがとうございました。
 
(2015年4月20日)
文責:青木直哉 Aoki Naoya
◾︎
 
劇団アカレンガ公式ページ http://www15.plala.or.jp/ACALENGA/
連絡はこちらacalenga@gmail.com

ヨコハマ大道芸を見る、くるくるシルクDXとうつしおみ。

4月18日、普段は都内でやっている会議を、ひょんなことから桜木町で行いました。しかし天気もよくて、こりゃあ中に籠もっているわけにもいくまいと、会議を鮮やかに終わらせて、歩いて町を散策。ヨコハマ大道芸をやっていたので、そのまま見に行くことにしました。

IMG_0022-0.JPG

   限られた時間の中、選んだのはくるくるシルクDXうつしおみ

「ジャグリング」という狭い分野に絞って雑誌を作っている身として、常々「ジャグリングを中心に楽しんでいる人」の目線に立ってものを考えてしまうことが多いです。ジャグリングを縦に、下に掘り下げていくのか、横を見渡してみるかのどちらか。
ジャグリングの些細なことにとらわれて、時々ジャグリング以外のことと、ジャグリングとの関係を忘れてしまうことがある。

最近フランスに行っているYuri君とSkypeで話す機会があったのですが、彼は「ジャグリング・ジャム・セッションでうまく行かない人の要因のひとつは、『ジャグリングをする自分を見せる』ということに慣れていないからですよ」と話していた。いざ何か芸をして生きていこうと決めた人ならば当然のように分かっていることなのだろうけど、改めてハッとした。この間インタビューをさせていただいたボンバングーさんも、「お客さんは技なんか見ていない、あなた自身を見ているんですよ」ということをおっしゃっていた。あれだけの技術を持っているボンバングーさんだからこそ、説得力のある言葉です。(5月20日ごろ発売のPONTEに掲載予定です)  それで近頃「ジャグリングをする自分を見せる」ということについて考えていたところへ、くるくるシルクDX,うつしおみ、ともにジャグリングを取り入れている演技者たちを見て、共通点を見つけた。それは、無理に飾ろうとしていないところ。
くるくるシルクは、しゃべるときには、愉快な格好をしていても、子供だましのようにしゃべろうともしないし、うつしおみも、無理に仰々しくせず、いつも通りの目黒さんと長谷川さんでした。ただ、芸を見せる自分である、というような態度で演技をしている。
その上で、あくまで圧倒的な一筋の芸で観客を「納得させる」感じがあります。
ああ、今自分がくるくるシルクを見て楽しい気分になっているのは、この人たちの技がすごいからではなく、私を前にしてやっていることの中から、「この人たちのこと」を見ていて、それが好きだから楽しいんだなぁと思ったし、うつしおみを見て驚き、みとれてしまうのは、まさにこの人たちが、あくまで「自分たちのやること」によりそって演目を作っていて、なるべく他の外部的な要素を入れないようにしているからだろうなぁ、と思いました。

うつしおみ、くるくるシルク共に、来週4月25,6日(土、日)の野毛大道芸にも出演予定です。

(文:青木直哉)

2015年 3・4月号発売&寄稿募集のお知らせ

お待たせいたしました、大幅に遅れながらも、2015年4月6日本日3・4月号の発売です。今回は今までに増して、雑誌らしい仕上がりとなりました。

PONTE2015年3-4月号

(画像をクリックでご購入ページへ)

まず巻頭の高校生特集。鈴木仁、武倖平、高橋優弘の三人をインタビュー。今をときめく旬なジャグラーです。特別に、5シガーボックスダイヤモンド、ピンボールスタイル、クラブアルバートのこつも教えていただきました。他にも、地方で活躍する高校生へのインタビュー、これからが楽しみな高校生へのインタビュー、かつて高校生だった人へのインタビュー、などなど、盛りだくさん。

そしていつもの連載は、いつも通り。ですが、内容はどんどん、自分たちの方向をゆくものとなっています。そいそいはもはやピザ回しではなく、ピザのことで書いております。

PONTEは、より「考える」雑誌を目指して、刊行を続けていきます。

続いて販売について。
新年度より購入方法の見直しを行い、登録なども不要、お買い求めがより簡単になりました。また送料体系が変わっております(全国一律200円)ので、ご注意ください。本体価格は、変わらず1000円です。
http://store.jugglingponte.com/
よろしくお願いいたします!

そしてもうひとつ、お知らせです。
次号から寄稿コーナーを設けて、ジャグリングについて何か言いたいことのある方を応援していきたいと思っています。

まずは次号5・6月号に向けて、2000文字以内で募集します。

テーマはジャグリングに関係のあることなら、なんでもOK、自由です。締め切りは、4月17日(金)までとします。今までに書いたものがあった、こんなテーマで書いてみたい、など、なんでもござれの乱闘コーナーの予定です。到着した原稿は、編集長の査読を経て、掲載の可否を決定いたします。4月18日頃までに、掲載の可否を折り返しメールいたします。掲載する場合は、連絡ののち、誤植、内容のチェックを入れます。また編集長が一番はっとした文章には、掲載誌と、粗品を進呈しようと思っておりますので、ジャグリングに関する文章を奮ってお寄せください。

フォーマットはプレーンテキスト形式の添付ファイルで、
「タイトル」
「掲載して欲しい筆者名」
「2000字以内の内容」
を入れてください。
また、掲載された方全員に、掲載号の電子版を贈呈いたします。

タイトルを「(筆者名):PONTE寄稿」とし、以下のメールアドレスまで投稿してください。
jugglingponte 【あっと】gmail.com
(【あっと】を@に変更してください)

以上です。

ジャグリングで書く、楽しさのために。

書くジャグリングの雑誌:PONTE編集長 青木直哉
平成27年4月6日