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第2便 ブリスベンのジャグラーが集うカフェ-THE-SIDESHOW-WEST-END

●はじめに

先月からワーホリジャグリングを連載させて頂いているエクストリーム芹川です。
私は2018年1月からオーストラリア第3の都市ブリスベンで暮らしています。
ブリスベンは亜熱帯気候に位置しており、年間を通して暖かく過ごしやすい街です。
アートも盛んで、街には美術館や博物館、歴史的建造物が沢山あります。
今回の記事では、私がブリスベンで出会った、地元のジャグラーが集うユニークなカフェ「THE SIDESHOW WEST END」を紹介します。

●どんなカフェ?

THE SIDESHOW WEST ENDはブリスベンの中心街からバスで15分程のWest Endという場所にあります。少し奥まっているので、知らない人は素通りしてしまうかもしれません。


手前がカウンター、奥が練習スペースになっています。倉庫を改装して作られており、天井が高いです。壁面はお洒落なペイントが描かれており、普通のカフェでは味わうことのできない雰囲気があります。中に入るとチャイの良い香りとエスニックなBGMが聞こえてきて、とてもリラックスすることができます。


カウンターで飲み物を注文すると、その場ですぐに作ってくれます。
カフェの従業員は全員ジャグラー。お客さんがいないときは奥で練習しています。自由な働き方からもオーストラリアらしさが伺えます。


私のお気に入りはグリーンスムージー。ライスミルクをベースに作られており栄養満点。暑い日に練習しながら飲むと最高です。

カフェ内でジャグリング関連の道具も販売しています。さすがFlow artの国というだけあって、スイング、ファイヤー関連の商品が充実しています。なぜかハンモックも売っていました。キャンプ場でくつろぎながらファイヤーを楽しむということなのでしょうか。

(天井が高くて練習が捗る)

奥の練習スペース。平日の午後2時~6時まで使うことが出来ます。ジャグラーだけでなくダンサーやアクロバットアーティストなど、様々なジャンルの人たちが集って練習しています。床がコンクリートなので傷つける心配もありません。地元の人たちはみんな裸足で練習しています。足の裏が強いのでしょうか。大型の扇風機が設置されており、暑い日でも快適に練習することができます。オーナーにお願いすると、スピーカーから好きな音楽を流せます。よく有名ジャグラーのBGMを流して、みんなで盛り上がりながら練習しています。

(Philによるコンタクトポイのワークショップ)

毎日、夕方から様々なワークショップが開催され、多くの生徒たちで賑わっています。
フラフープ、ポイ、子どもサーカス、ジャグリング、ドラゴンスタッフ、ヨガ、アクロバット、ズンバ、ソウルダンス…などなど、様々な教室が開かれています。
生徒のほとんどが初心者で、誰でも気軽に参加することが出来ます。複数のワークショップに参加している生徒もいました。
私はアクロバット教室に参加しました。バック転の習得を目指しましたが、身体が硬すぎて出来ませんでした。語学学校の授業とは違い、英語で実技を教わるという良い経験になりました。

●オーナーはどんな人?

カフェのオーナーはJaronとSmilie。2017年4月「Flow artを教える場所を作りたい」という理由でカフェをオープンしたそうです。

JaronはブリスベンにおけるFlow artの中心人物。Webデザイナーかつフォトグラファー、さらにファイヤーアーティストという多彩な肩書を持っています。内装の凝ったデザインや照明も全て彼の手作り。

Smilieはコーヒーとギターが大好きなジャグラー。10年前にダブルスタッフに出会いFlow artにのめり込んだそうです。現在はクラブジャグリングに熱中していて、いつもニコニコしながら練習しています。
オープンからたったの1年で沢山の人達がこのカフェに集まってくる理由は、彼らのカリスマ性、そして暖かさにありそうです。

●カフェはどんな存在?


カフェに来ていた人達に、「あなたにとってTHE SIDESHOW WEST ENDはどんな存在ですか?」とインタビューしてみました。

フープWSの生徒「家族同然。Smilieがお母さんみたいな存在。週に3回は来ている」
ポイWSの生徒「毎回来るたびに沢山の友達が出来る、最高のコミュニティー」
カフェで働いているBecca「このカフェには様々な国の人がやって来る。私はここで出会ったメキシコ出身の友達にスペイン語を教えてもらっている!」
オーナーのJaron「このカフェは従業員だけじゃなくて、ワークショップ先生と生徒、地元のジャグラーやアーティスト、みんなの協力が合って成り立っているんだ。だからユニークなことが出来るんだ。」

インタビューを通して、このカフェが人と人を繋ぐコミュニティーになっていることに気付きました。

●West End Fire Festival


2018年4月28日、カフェ近くの公園でWest End Fire Festivalが開催されました。2006年から続いている歴史のあるフェスで、当時からJaronが主催を務めているそうです。フェス当日、ブリスベン中のジャグラーはもちろん、大勢のサーカス関係者が集合しました。想像していたよりも参加人数が多く、「ブリスベンのジャグラーこんなにいたのかよ!」と驚きました。飲食の出店もあり、規模の大きさに気付かされました。第1便で紹介したメルボルンのSpinfestにもひけをとらない盛り上がりで、DJが流すお洒落なBGMの中Flow Artを楽しむことができました。

●まとめ

THE SIDESHOW WEST ENDというカフェは、ブリスベンのジャグラー達はもちろん、皆から愛されていました。私自身、このカフェが本当に大好きで、毎週通っています。そして、地元の人と沢山が交流できるので、私のワーホリにおける大事な英語の勉強の場になっています。もしブリスベンに来られる場合は、是非このカフェに来て、練習しながらコーヒーを嗜んでみてはいかがでしょうか。

【THE SIDESHOW WEST END】
349 Montague Rd, West End QLD 4101 Monday to Thursday 3pm – 8pm 
Some Saturdays 9am-2pm

HP http://sideshowhub.com.au/

芹川さんご自身のブログはこちら。

PONTE 2018 Spring (Vol.14) の紙版ができました。

PONTEの14号、「ブリュッセルのサーカスイベント特集」が、本になって出来上がりました。

全く同じ内容が、Web上でも読めます。(こちら

今回の紙版は、試験的に無料で配布いたします。
今のところ固定の配布場所は特にございませんので、編集長から直接差し上げるのが主な方法です。

編集長と会うことはないが、紙で手に入れたい、という方は郵送でご対応します。
(販売サイトの都合で、100円という価格を設定しております。ご了承ください。)
通常どおり購入画面からご注文できます。
送料込みで300円です。(他の号を一緒にお求めいただくと送料がお得です)

また、協賛してくださっているPM Jugglingでは、現在お買い物をされた方に、部数限定でPONTE vol.14を同封しています。この機会に、気になっていた道具を購入されるのもいいかもしれません。

2018年3月に行われた、サーカス会議の Fresh Circus と、サーカスフェスティバル Festival UP! を取材しました。
編集長が、西欧の「サーカス」の一端について、考えた号です。

どうぞ、お暇の折に。

編集長 青木直哉 naoya_aoki@jugglingponte.com

協力 / sponsors: PM Juggling, Visit.brusselsINCAM, Espace Catastrophe, CIRCO STRADA ,ésac

第1便 (2018/4) Spin Circus Fest 2018レポート

2018年1月18日~22日、オーストラリア第2の都市メルボルンにて開催されたSpin Circus Fest (Spinfest 2018) に無計画弾丸ツアーで参加してきたので、レポートしたいと思います。

Spinfestは、2010年より毎年開催されているサーカスイベントです。ジャグリングはもちろん、ダンスやヨガ、アクロバットなど様々なジャンルのパフォーマーが集まります。

チケット手配

以前からこのイベントの存在は知っていたものの、語学学校だけで精一杯だったため、よく調べもせず参加を諦めていました。

参加を決めたのは、既にイベントが始まって1日目の夜のこと。チケットは$250(全日参加・大人料金)と少々高めでしたがまだ間に合うと思い、速攻でチケットとメルボルン行きの飛行機を手配、翌日の語学学校は無断欠席しブリスベンからメルボルンへと飛び立ちました。

会場までのアクセス

メルボルンに着くと気温は45度。この日は特に暑かったそうです。

実はこの時、空港から会場までのアクセスが未定のままでした。Spinfestの会場は山の中にあるキャンプ場。公共交通機関は無し。最寄りのGeelong駅からは45km程あり、Uberを使っても片道$80、徒歩だと約10時間との表示。イベント初日と最終日はシャトルバスの運行がありましたが、自分は2日目からの参加なので使えず。

とりえあず運営のfacebookページにメッセージを送り、「このままでは最悪ヒッチハイクになるのでは・・・」とドキドキしながらGeelong駅へ向かいました。駅に着く直前、運営から「ちょうど今日来るジャグラーがいるから、迎えを手配するよ!」との連絡が。

駅前でクラブを片手に30分ほど待っていると、沢山のポイとスタッフを積んだ1台の車がやって来ました。迎えに来てくれたのはサーカス学校出身のDan。初対面にも関わらず、沢山話しかけてくれました。私の拙い英語力でも、共通の趣味があるおかげか不思議と楽しく会話ができました。会場までは車で1時間半、想像以上の山道を走りました。道中、カンガルー飛び出し注意の看板があり、オーストラリアであることを実感させられました。

キャンプの様子

会場の様子

会場はキャンプ場で、広場と小屋の中で練習が出来るようになっていました。
日差しが強く、とにかく暑いのでジャグラーはタープの下で練習していました。湿度は高くないので、日陰に入ると心地よく練習ができます。

広場の中央にはトランポリンやシーソー、空中ブランコが設置されており、アクロバットの練習をしている人も沢山いました。

小屋の中はステージが設置されており、主にゲストが練習用に使っていました。その光景は、これまで動画で見ていた海外のジャグリングフェスティバル。夢のような空間です。

会場

食事は会場内にあるレストランで朝昼晩、決まった時間にのみ食べることが出来ます。近くにスーパーやコンビニも無いので、時間を逃すと食べれません。メニューは3種類ほどから選べて、どれも美味しい物ばかりでした。

みんなで食事

宿泊

キャンプ場は自由に使うことが出来るため、各々でテントを持参してキャンプしていました。私はテントを持っていなかったため、ドームと呼ばれているコテージのような建物を使わせてもらいました。部屋の中は二段ベッドが4つあり、枕とシーツ、コンセントも完備されていました。日中と違い夜間は冷え込むため、持って行った寝袋を布団代わりにして寝ていました。

ドームの様子

トイレとシャワーは別の建物に設置されており、山の中にもかかわらず温水のシャワーが使えました。

参加者

男女半々くらいの計60人程度。殆どがオージー(オーストラリア人)で、メルボルン、シドニーからの参加者が多かったです。中には子供もいました。日本人は自分を含めて3人いました。

トスジャグラーは少なく、ポイやスタッフ、フープを持っている人が多かったです。

ワークショップ

ジャグリングやフープ、ウィップや逆立ちなど様々なワークショップが行われていました。

私が参加した中で印象的だったのは、ゲストのJoe FisherによるChuka ChuksのWS。中に砂の入った固いプラスチックボールを使い、リズムに合わせてジャグリングをするという物です。キャッチする度に音が鳴るので、リズムに合わせてキャッチするのですが、私はボール2つで精一杯でした。Joeは3つのボールを使いながら巧みにリズムを刻み、自在に音を出していました。彼はジャグリング以外にもドラムが叩けるらしく、音楽の才能にも溢れているようです。

その他にフィッシュテールのWSに参加しましたが、参加者のレベルが高く、「手を使ったフィッシュテールはみんな出来るよね」ということで、いきなり足を使ったフィッシュテールのレクチャーが始まりました。

ファイヤー&LEDジャム

こっちの人たちはとにかく火と光る道具が大好き。大抵ファイヤーor LEDの道具を持っています。夜になるとファイヤージャムが行われ、これぞflowといった感じの音楽がガンガン流れる中、枠の中で各々が自由にパフォーマンスを楽しみます。

最初はゲストパフォーマーなどの数名だけ参加していましたが、次第に盛り上がっていき、順番待ちの行列が出来ていました。私は一度もやったことがなかったのですが、「お前やってみろよ!」と火のついたトーチを渡され、ファイヤー初体験でパフォーマンスをしてきました。ポイやスタッフ、フープはもちろん、ウィップやファンなど日本ではあまり見かけない道具もあり、とても新鮮でした。

ファイヤージャムの後はLED ジャムが深夜遅くまで続きました。見ているだけでも飽きませんが、光る道具を持っていないと少しつまらないです。

ファイヤージャム

ガラショー

3日目の夜にガラショーが行われました。全体で10組程がパフォーマンスを行いました。

私は運営の方に誘ってもらい、トップバッターとして参加させてもらえることになりました。火飲みのカリスマとして知られているShade Flamewaterのパフォーマンスは、火をまるで道具のように自由自在に操っており、圧巻でした。フープジャグリングのカリスマEmma Hörnell は、とても美しく繊細にフープを操り、最後は5フープを投げるというダイナミックな演技でした。

一方、私のパフォーマンスは、内容はさておき、日本人であるおかげか大いに盛り上がりました。初めての海外イベントで、いきなりステージに立つという大変貴重な経験になりました。

ガラショー出演

サーカスオリンピック

4日目の日中には、ジャグリングやアクロバットからボトルフリップ、何でも有りの競技会が行われました。エンデュランスやコンバットはもちろん、ディアボロを飛ばして水の入ったバケツの中に入れる競技や、ポイを的のリングめがけて投げ入れる競技がありました。

一番印象的だったのはペアを組んで、片方が投げたブドウを相手が口でキャッチする距離を競うというもの。10mくらいの距離があっても成功しており彼らの動体視力には驚きました。

レネゲードショー

4日目の夜はレネゲードショーがありました。

レネゲードショーとは何でもありのパフォーマンスショーで、参加者は何かしらの仮装をしなければ入場することができません。私は何も用意していなかったので、フェイスペイントをしていたジャグラーに絵の具を借りて、顔に適当なペイントをして入場しました。

トップバッターはByron Huttonによるクラブアクト。無音の中でとてもハイレベルな3,4クラブの演技を行い、見ていて鳥肌が立ちました。

Joe Fisherのクラブアクトはテンポの速い曲に乗せて5クラブやバウンス技を決めており、最後は観客のスタンディングオベーションが起きていました。会場では抽選会も行われ、景品のファイヤー関連の道具がずらりと並んでいました。

総評

Spinfestは運営がしっかりとしていて、本当に充実した時間を過ごせました。帰りは参加者に駅まで乗せてもらい、無事にブリスベンへ帰ることができました。

今回のイベントにて、日本のジャグリングイベントでは感じられない、オーストラリアの文化をいくつか感じることができました。
一つ目は、彼らが練習する理由です。彼らは夜間に火を使ったパフォーマンスをするために日々練習していました。実際に会場では、日本でよく見かけるテールポイを使っている人は1人もおらず、コンタクトポイを使用している人ばかりでした。理由を聞いてみると、ファイヤーポイの形に近いからとのことでした。

二つ目に、彼らは”flow”の考え方を大切にしているということです。実際に参加してみて、私にもなんとなくflowというものが分かりました。ある参加者は「僕たたちにとって、flowはlifeなんだよ」と言っていました。彼らの動きは無理をせず、自然に任せてリラックスしているようで、見ていて気持ちよかったです。

三つ目にイベントの開催日程についてです。日本最大のジャグリングイベントであるJJFの開催期間が3日間であるのに対し、Spinfestは平日を含む5日間の開催でした。参加者の中には、1週間程休みを取って来ている人もいました。どうやらオージーには気軽に休みを取って良いという考え方があり、会社も休みに対して寛大なようです。

終わりに

英語が十分に話せない私に対しても、彼らは決して笑ったりすることなく話を聞いてくれて、コミュニケーションを取ることができました。

ジャグリングという世界共通のツールは、異国の文化に触れるための強みになると思います。もし海外のジャグリングイベントへの参加に迷っている人がいたら、とりあえず行ってみることをおすすめします。

(左から)筆者、ジョー、ヘイマッシュ、バイロン

芹川さんご自身のブログはこちら。

サーカスアートを紹介する雑誌を繋ぐネットワーク、INCAMに入りました。

編集長です。

2017年12月、PONTEが、ウェブ/紙の発信媒体として、INCAMと呼ばれるサーカスアートを紹介する雑誌を繋ぐネットワークに入りました。

 

全世界、とはいかないまでも、ヨーロッパを中心として数多くのサーカスメディアが掲載されています。

 

 

またこの団体は定期的にINCAM meeting というミーティングを開いており、今年2018年には、ブリュッセルで開かれるFresh Circusというイベントに合わせて行われます。

そこには、PONTE代表・青木直哉も参加します。

同時にブリュッセルで開催されるFresh Circusや、Festival UP! といったイベントもありますので、そちらのレポートなどもお届けします。

台湾のサーカスフェスティバル Future Circus Lab レポート

text by Naoya Aoki

2017年12月8〜10日に、台湾の高雄で行われたサーカスフェスティバル、「未來馬戲實驗場(うぇいらい まーしー すーいぇんちゃん) Future Circus Lab」に行ってきました。

会場の雰囲気は横浜のみなとみらいにある赤レンガ倉庫を彷彿とさせます。
使われなくなった倉庫などをリノベーションし、おしゃれな場所になっています。
気候は、12月の台湾、それも南部にしては異常なほど寒かったです。
なので、薄着でショーを観たり、演者として脇で待っている時など、凍えてしまいました。

地域の一般の方々も自由に出入りできる無料のイベントで、比較的多くの人が来場しており、フェスティバルとしては規模はかなり大きいほうでした。それでも、昨年行われた衛武営芸術祭よりも、断然規模が小さかったです。
ただ雰囲気はのどかで、それでいてお客さんの反応も温かく(オープンステージでの演技で実体験)アーティストの立場からも、参加者の立場からも、非常に満足のいくフェスティバルでした。

ガラショーやワークショップのために集められたアーティストは世界中から来た一流のジャグラー、パフォーマーたち。(「Future Circus Lab」と銘打っていますが、ジャグリングの比重が大きい。これは、主催者の意向でもある)豊富で豪華なラインナップながら、スケジュールには余裕を持って見られるように組まれていました。
日本からは、渡邉尚、ホワイトアスパラガスが参加。その他の参加者はここを参照。一人残らず、個性が出た面白いパフォーマンスでした。

大きな舞台で行われるガラショー(フェスティバルの中でも目玉になるショーをこう呼びます)では、台湾のアーティストが集まった「台湾之夜」、世界中のアーティストを集めた「世界之夜」、台湾のアーティストによる実験的な演目、カナダのカンパニーによるショーなどがありました。 他にも広場で行われる大道芸、規模感の小さいオープンステージ、ジャグリングバトルなど、いくつかのタイプのサーカスの形に触れられるようになっていました。
主催のシンホーさんが、ヨーロッパやアジア各国を回って実体験してきたことが、きちんと還元されています。









▲Kouki Fujimoto

オープンステージでは、台湾、日本、アメリカなどからパフォーマーが出ていました。
事前公募で集まったパフォーマーで、レベルは総じて高かったです。
日本からは、Shogunさん(デビルスティック)、カーキさん(リング)、たつるさん(シガーボックス)、神庭さん(ボール)、チコさん(十字のオリジナル道具)、そして編集長青木と藤本くんによる横濱ハッピーターン(シャツ / 手桶)が参加。

そしてTing-Koo-Ki Juggling Battle (ジャグリング / サーカスバトル)では、アーティストが音楽に合わせて各自のジャグリングやアクロバット、シルホイールなどのサーカスアーツを披露。
台湾のアーティストはバトルがうまく、駆け引きが非常に面白い見世物になっていました。
レベルの高い正統派ダグル(ダンス&ジャグリング)をする人もいれば、ダンスとハットを組み合わせる人もいる。
日本人のShogunさんも、技巧的なデビルスティックでおおいに会場を盛り上げていました。



▲Mari Nishimoto

主催のシンホーさんとヨウヨウさんは、「来年以降このような形で開催できるかどうかはまだわからない」と語っていました。
何より、資金的な面が問題のようです。
「今こうやってお客さんが来るのは、無料だからです。これが、お金を払ってください、ということになったら、一体どれだけの人が来るのか。自分の好きなことに対してきちんと対価を払う、という意識が根付かない限り、今後も恒常的にこのようなイベントを開催するのは私たちとしても難しいです」
とのこと。


 

インタビュー

今回は、電力会社にスポンサーをお願いして開催にこぎつけました。
来年以降も協力の意向を示してはいるようだが、やはり資金面で、簡単に再び実現できるわけではないようです。

ひとまず、台湾ではこんなにもサーカス / ジャグリングに対して熱心に活動している人、そしてヨーロッパの人たちや日本人にも負けないような、実力のあるアーティストたちがいる、ということを紹介しておきます。

また編集長の、出演者としての感想、より主観的な感想を、後日公開予定です。(2018/04/20 追記:台湾サーカスフェスティバル FUTURE CIRCUS LAB の話。by 青木直哉(横濱ハッピーターン))

2018/01/06 追記:
その他の参加者による記事一覧
台湾のサーカスフェスティバル「Future Circus Lab」 by SHOGUN(ジャグリングパフォーマー)
Future Circus Lab レポート
Future Circus Labは言葉にできないby 安田尚央(サーカスプロデューサー)

2018/04/20 追記:
台湾サーカスフェスティバル FUTURE CIRCUS LAB の話。by 青木直哉(横濱ハッピーターン)


text by Naoya Aoki

「大橋プロジェクト」本日公開

English summery

Ohashi Project (http://ohashiproject.online/about/) is founded to share about Kouta’s juggling work with HogonoProffiCe. You can find out more about the project and purchase a video compilation of Kouta’s juggling here.
http://ohashiproject.online/ohashi_archive/

HogonoPrffiCe と PONTE が共同で企画してきた「大橋プロジェクト」が本日公開されました。
PONTEは、現地取材と、公式サイトの構築、翻訳(アーティスト Misakiとの共同作業)、広報などを通して協力してきました。

このプロジェクトはもともと、日本トップクラスのジャグラーである大橋昂汰さんを仙台に招き、集団制作の監督をしてもらう、というホゴノプロフィスの企画からスタートしました。
だんだんと話が膨らみ、このプロジェクトから生まれたものをオンラインで共有することとなりました。

まず、公演そのものの映像と、その制作過程を追ったドキュメンタリーを無料公開。
そして大橋さんのジャグリングを広く支援する、という意図から、過去に公開されてきた動画と新しい動画を併せて、ひとつのパッケージで販売することが決定しました。

無料のYoutube映像はこちら

定価1000円で販売中の、「大橋アーカイブ」はこちら
You can purchase now, a video compilation of Kouta’s juggling here.
http://ohashiproject.online/ohashi_archive/

企画を宣言してから長い時間がかかってしまいましたが、ついに公開、販売にこぎつけました。

出来上がってから振り返ると、ジャグリングの世界では一般的ではない、外部の監督を招いての集団制作の作品とその軌跡の記録公開、また一個人のジャグリングの歴史をたどるアーカイブ、という稀有な企画となりました。これが世界中の多くの方の目に触れられ、次の行動につながっていけばなによりです。
またこの販売による収益の7割が大橋昂汰さんに届けられるため、現場にいるジャグラーの直接的な支援ともなっています。

大橋さんのジャグリングファンの方、そしてジャグリングを愛する全ての方、また日本のジャグリングシーンで、表舞台にまだまだ出ていない部分に興味がある方、是非とも、一度プロジェクトの全貌と映像をご覧になってみてください。

ご意見、ご感想は、Twitterハッシュタグ #大橋プロジェクト や、ウェブサイトのコンタクトフォームより、よろしくお願いいたします。

 

PONTE編集長 青木 直哉

台湾のサーカスフェスティバル

明日より、台湾の高雄でサーカスフェスティバルが開かれる。

日時:128日~10

場所:高雄 駁二藝術特區 大義區公園

内容は、ショーやワークショップ(教室)、演者の公募をしたオープンステージ、日本のジャグリング・ジャム・セッションにも似た、ジャグリングバトルなど。海外からもゲストアーティストを多数招聘しており、国籍もブラジル、スペイン、フランス、日本など多様で、スタイルも全く違う人たちが集まっている。

さらに注目すべきは、フェスティバルが行われるのは野外で、一般に開かれており、誰でも無料で見ることが出来るということ。しかもオープンステージ出演者には、宿泊、食事、現地での交通費の援助がある。

主催は、昨年も高雄で別名のサーカスイベントを開いた、Hsing ho co. Ltd.

台湾におけるサーカスシーンを本気で考える陳星合(チェン・シンホー)氏が率いる団体。サーカスを浸透させたい、アーティストを育てたい、という意気込みが伝わってくる。編集長青木も参加。

(画像は公式サイトより)

公式情報は、こちらをチェック。

ジャグラー・高橋優弘インタビューと、シンガポールのサーカス事情。

English summery

On 22nd October, an event called Circus360° was held in Singapore at Our Tampines Hub. This is an interview with  Masahiro Takahashi, winner of  Japan Juggling Festival 2016 Championships who performed on stage in the festival.

PONTE編集長、青木です。今回のWebPONTEは、シンガポールからお届け。

Circus360°というサーカス普及イベントが、2017年10月22日、シンガポールのショッピングモールOur Tampines Hubで行われました。主催は、シンガポールでサーカスコミュニティを組織しているBornfireという団体。

▲ Circus360° の様子 (photo : Rogan Yeoh(上) Naoya Aoki(下))

パフォーマンスの部では、日本人の高橋優弘(19)さんも参加。日本チャンピオンの名に恥じぬスムーズかつ高難易度なジャグリングをほとんどミスなしで見せ、会場を沸かせました。まずは、大トリとして大活躍した彼に、イベントに参加した感想、その他、練習方法などを聞いたインタビューから。

高橋優弘 インタビュー

(Photo : Rogan Yeoh)

-シンガポールはどうでしたか。

想像以上に食べ物も美味しいし、きれいなところで、人も親切でした。
実はお誘いをいただいた時は、英語も不安だったし、本当に楽しめるのかどうか迷いがあって、一回断ろうと思っていたんですが、結果として、来てよかったなと思っています。

-シンガポールのジャグリングシーンについては。

シンガポールには二日間しかいなかったので判断できませんが、まだジャグリングは発展途上なのではないか、という予感はします。でも少なくとも芸術に理解がある感じはしました。国立図書館の中に大きな劇場があったりして。

-今はジャグリングでは具体的に何に取り組んでいますか。

クラブのナンバーズ(本数の多いジャグリング、一般的には、クラブなら5本以上を指す)を中心に練習しています。

-なぜクラブナンバーズなんですか?

以前に、山本賢哉さんによるボールジャグリングの演技を見ました。
その時、クラブの技のレパートリーは、ボールの技の豊富さには勝てないな、と感じて。
なので、クラブに可能な技を拡張するという意味でも、ナンバーズに取り組んでいます。

-練習方法について教えて下さい。

ほぼ毎日、地区センターの体育館を借りたり、東京、横浜のジャグリングクラブにお邪魔したりして、3〜4時間練習しています。
時間を区切って、序盤は3本、次に4本、と本数を増やしていき、7本まで練習します。
本数ごとの練習時間は30分くらい。
最近は、自分のルーティンでやる技の練習がメインです。

-使用する道具の好みはありますか?

ハンドルが細いのと、重心の位置による回転の仕方が好きで、Play社のPX3クラブを使っていますね。ボールを練習している頃は、ビーンバッグを使っていました。

-2016年には、JJFに5年ぶりに出場し、優勝しました。出場のきっかけは?

高校生活で何をしていたか、後で振り返った時に、何もやってない、と感じたら悔しいだろうと思い、節目として出場することにしました。

-今後の予定を教えてください。

シンガポールでのパフォーマンスを終えて、今のところ演技をどこかでする予定はありません。
それでもひとまず、来るべき「いつか」に備えて練習をしています。
「一生懸命やっていればそのうちいいことがある」という思いで。これは、両親から教えられたことでもあるんです。たとえば今回のようにシンガポールに招待していただいたのも、そういうことなんだと思っています。なので、とりあえず今は、また練習に取り組みたいと思います。

-ありがとうございました。


シンガポールのサーカス事情

さて、高橋さんも楽しんでいた様子のシンガポールですが、「シンガポールではサーカスが盛んなのか?」とよく聞かれます。その点について少しだけ。

筆者が知っている範囲のことで言うと、今回イベントに招いてくれたBornfireという団体は、コミュニティサーカス、という名目で、ジャグリングやアクロバットなどを誰でも学べるプラットフォームを定期的に提供しています。毎週2回、屋内でジャグリングの練習会を開き、年に一度、さまざまなパフォーマンスやワークショップを含む、Bornfire Festival(ボーンファイア・フェスティバル)というお祭りも開催しています。

▲ 昨年度のBornfire Festivalの様子 (Photo : Rogan Yeoh)

シンガポールには、ジャグリングを練習する場所も、屋内、屋外、それなりにあります。
ダンスや、ダブルダッチ、ボルダリング、スラックラインなどを練習する人たちも周りに多くいます。
聞いたところでは、エアリアルのジムもあるそう。
SCAPEという繁華街のビルの屋上は、ダンススペースとして解放されていたりもして、練習環境としてはそれなりに豊か。

Circus360°では、フリースタイルフットボーラーのバトルイベントも開かれていて、20名ほどの選手が戦っていました。
親子連れの姿も多く、子供達もサーカスの演技やジャグリング体験を楽しんでいました。

まだまだ、「サーカスやジャグリングが盛んだ」と言えるような状況ではないですが、今回大きなショッピングモールでこのようなイベントが開かれた、ということを鑑みても、着実に理解は進んでいるような印象を受けます。

これから、シンガポールならではの「何か」が飛び出してくるのか。
それも期待しながら、シーンの発展を見守りたいと思います。
ちなみに、11月には、再びBornfire festivalが開かれます。
その様子もお届け予定。

 

 

高橋優弘(たかはし まさひろ)

1998年生まれ。2017年10月現在、大学1年生。5歳の頃にジャグリングを始める。JJF2016チャンピオンシップ男子個人部門優勝。ラスベガスで開かれたスポーツジャグリングの大会WJF2016でも、クラブ各部門で優秀な成績を残す。

『Double Exposure』(PONTE編集長の観覧メモ 2017/09/23)

文:青木直哉(編集長)

観劇日時:2017/09/23

場所:あうるすぽっと

ダブル・エクスポージャーについて

本作『Double Exposure』は、アン・ソンス率いる韓国のダンスカンパニーと、フィンランドから来た、Ville Walo(以下ヴィッレ・ヴァロ)との共同作品。初演は2012年。今回オリジナルのメンバーは3人(イ・ジュヒ、キム・ボラム、チャン・グンミン)で、あとの二人の女性(キム・ヒョン、キム・ジヨン)は、今回から加わったメンバーだそう。

ヴィッレ・ヴァロといえば、ジャグラーの間では主に「Peapot Video (ピーポット)」シリーズでその名を知られている、2000年代初頭に、既存のクラシックジャグリングの概念を塗り替えたレジェンドの内の一人である。(それを本人の前で言ったら、「もっと大きい声で言って!誰も僕が有名だってことを信じてくれないんだよ!」と笑いながら言っていた。愉快な人だ。そしたら横の通訳の方が、「本当に有名なんですね、やっと信じました」とおっしゃった)

終演後のレセプションパーティで、ヒョンさんに一体どのように練習したのかを聞いた。すると、「ビデオを見て振り付けを覚えたの。演技全体も、こっちに来てから初めて合わせた」と驚きの答えが返ってきた。

プロのダンサーって、こうなんだなぁ、と改めて思う次第である。

シリアスとユーモアのバランスがよい

本作品は全編にわたって、少し雰囲気が重い。
ただ随所随所で、特にヴィッレが出てくるとどうも「中年のおじさんが頑張ってる」風の、よい可笑しみがあってたまらない。ダンスの迫力、ヴィッレのひょうきんさ、その両者のいいところがうまく生かされていたように思う。

シーンごとの緊張と弛緩のバランスもなかなかよかった。
たとえば冒頭のシーンで、のっぺらぼうのマスクを被ってポッピンをする男性が出てくるのだが、このシーンで、中で息を吸うと「ぺこっ」とマスクが凹むのだ。意表をつかれた。バカバカしさと真剣味のバランスがとてもいい。
なんだか苦しそうなんだけど、どうも笑ってしまう。(同じ列でヘラヘラ笑っているのはどうも私だけでしたが)

ヴィッレのジャグリング

ヴィッレは、3”カツラ”ジャグリングや、マネキンマニピュレーションを見せてくれた。京都のジャグリングユニット「ピントクル」の中西一史氏が、以前から体の部位の模型を使ってマニピュレーションをしているが、このアイデアを実際に連続性のある長編作品に、テーマと関連させて違和感なく溶け込ませるとこうなる、という好例を見たようであった。

Kanon #Juggling #hand #manipulation #flowarts #three

Kazufumi Nakanishiさん(@n_mimizu123)がシェアした投稿 –

2911 #toycar #hand #head

Kazufumi Nakanishiさん(@n_mimizu123)がシェアした投稿 –

もちろん他にもたくさんやりようはあるだろう。

ジャグラーに見て欲しい

本作品は、端的に言ってジャグラーにも見て欲しい作品である。まだ上演は二日間ある。(各日14時より)国内最大のジャグリングフェティバルJJF2017 in Fukuokaが同期間に開催されている(9/22-24)こともあって、意欲のあるジャグラーが見に来づらいタイミングになってしまった。

しかし予定が空いたジャグラーには、ぜひ観て欲しい。もう次いつ見られるかはわからない。まずダンスの質が高いので単純に見ていて面白かったのと、「ジャグリングを作品作りに生かす」という観点からも、インスピレーションが豊富に含まれている。

観劇中ずっと、「ダンスに負けないために、ジャグリングはどうすべきか」を考えていた。

重みのあるジャグリングの作品、というのが、日本ではまだまだ少ない。厚み、とも言えるかもしれない。
純粋なジャグリングを、どう「テーマ」とリンクさせてそれを「見て面白く」提示するのか、ということは、もっと時間をかけて議論されてよい。

この公演は、そういうことを考えるためにぜひ観ておきたい内容だった。

マネキンの首、というインパクトが強かったからか、終演後、見に来ていた女の子の学生二人が、抱き合ってすすり泣いていたのは印象的であった。あまりにも怖かったらしい。

だが実際にはそんなに怖くはないので(笑)ホラーが苦手な方でも、ご覧になってみてください。おすすめです。

 

 

『Double Exposure』
~ダブル・エクスポージャー~
2017年9月22日(金曜)~9月24日(日曜)3回
○コンセプト&演出:アン・ソンス/ヴィッレ・ヴァロ
○振付:アン・ソンス
○出演:イ・ジュヒ、キム・ボラム、チャン・グンミン、キム・ヒョン、
キム・ジヨン、ヴィッレ・ヴァロ

ダンスとコンテンポラリーサーカス
奇跡の出会い
社会的テーマをダンスとサーカスでユーモラスに描いた国際共同制作。

「Double Exposure」はフィンランド/韓国で1年間に渡る国際共同制作から産み出されました。
リサーチとディスカッションの中から浮かび上がったテーマは、整形手術。
その美に対する理想と現実の狭間を、明るくユーモラスに、ダンスとサーカスが融合したヴィジュアルパフォーマンスとして描きます。フィンランドコンテンポラリーサーカスの第一人者ヴィッレ・ヴァロと、韓国現代舞踊界で数々の賞を受賞し、国際的にも活躍するアン・ソンスによる、2012年ヘルシンキ/ソウルで初演された作品を、日本初上演します。 愛と皮肉に満ちあふれた類い希な作品を、どうぞお見逃し無く。

(以上公式サイトより抜粋)

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公式サイト

本人インタビュー あうるすぽっと CINRA.NET